いま、市町村合併が推進されていますが、地方交付税の段階的削減や特例期間の延長など、どちらかというと、「中央集権的地方分権化」の形をとっているようにみえます。地方自身の主体的「合意」に基づく合併こそが在るべき姿のように思われますが、といって、その「合意」を促す「統一原理」はあるのでしょういか。

 「中央政府」の機構は「縦割り行政」といわれます。これが地方へおりますと、すべての「縦割り」は現実のなかで混合されてしまいます。やはり、なにか「統一原理」がなければまとまりません。いま、地方自治体はいろいろなキャッチフレ-ズを打ち出してその統一を図っていますが、それは「理念的統一」であって、ややもすると言葉だけが先行し、「現実的統一」にはなかなか結びつくようにはみえません。

 それでは、地方自治体の現実をどのように捉えたらよいのでしょうか。現実は多面的で、これを実践的視角から統一する最善の方法はなかなか見つかりません。一つの便法として経済面から把握しては、という考えがあります。現実は経済がすべてではありませんが、ほとんどすべての事象は経済面に投影されます。経済は相互に関連していますから、その面で統一的把握は可能です。

 とはいえ、地方自治体としては財政以外の経済問題は少ないようです。しかし、経済は生物に付いてまわる一種の宿命みたいなものですから、現実的にはこれを等閑に賦すわけにはいきません。地域について経済全体を視野に置いた、もっとバランスのとれた認識が必要です。

 しかし、そのためには、経済統計がないという恨みがあります。分野別には膨大な統計はあるのですが、それらを「整合的に総合した統計」が必要です。それは「新SNA」と呼ばれる方式で、国連によって統一され、日本では都道府県や政令指定都市にも適用されております。地域政策フォーラムでは千葉市のそれを試作しましたが、その経験を基礎に今回、千葉県80市町村の各々について、それを推計してみました。「地域政策研究会」で分析し、それを『地域フォーラム』で発表しました。

地域政策フォーラム

趣旨