Manner 牌品 

    (14)魔法の呪文


 打ちながらいろいろくっちゃべるのはよろしくない。まぁ「勝負!」とか「降りんぞぉ〜」、あるいは「もぉ〜死にた〜い」というレベルのチャチャなら愛嬌もある。

 しかしそんな愛嬌を振りまくっても、何の効果もない。せいぜい「弱った魚は目でわかる」と相手が喜ぶばかり。そこでどうせくっちゃべるなら、相手の心臓をグサリと刺すような事をくっちゃべった方がいい。

 そんな都合のいい能書きがあるかだと?。もちろんある。おまけにこの能書き、たった一言で自分の手をカモフラージュできるだけでなく、たとえそのとき放銃しても、相手のアガリの効果も半減できる、さらには今後の相手の手作りもおかしくなるという、まさに魔法の呪文である。

 中盤、Aさんが 三索 を切ってリーチをかける。自分はいまドラの 七萬 を暗刻にしての一上聴、もう行くばっかの手。都合上、今もっとも切りたいのは 五索。しかしいきなりそんな牌を切れば、たとえ通っても自分の手に注目が集まる。放銃すればしたで、「一発でそんな危ないところを捨てて・・・・」と冷たい視線だって浴びかねない。そこで登場、魔法の呪文。「うまい人はソバテンをしないからなぁ〜

 そうつぶやいてから 五索 を切る。もちろんそんな論理はまったくない。それでも言われてみるとそんな気がしないでもない(笑)。なんとなく説得力だってある?。これでまず、「危険牌を勝負しているのではない」というイケイケモードをカモフラージュする。ここで 五索 が通れば通ったで結構な話、できれば 「な、そうだろ」と軽くフォローしておく。

 万が一 五索 が放銃となったとき、敢えて口には出さぬまでも、「本来は打つ牌ではない。Aさんだから安心して打ったのだ」という暗黙の言い訳にもなる。もちろんこの場合、「ふ〜ん、ソバテンなのかぁ・・・・」と追い打ちをかけておくと、今後のために絶大な効果がある。

 放銃になろうがなるまいが、相手は次から意識してソバテンにならないように考え込み、うまく行けば今後の手作りもガタガタになるかも知れない。(~_~)V 

後日談
 あるところでの会話。
 「魔法の呪文、面白かったです」
 「だろ、(^-^)/
 「でも、あれってホントに利くんですか?」
 「うん、まぁ....魔法の呪文っていうからいだから....」
 「ふ〜ん、でもあんまり感じのいい呪文では....」
 「・・・・・

 え〜、これは「こんなアホなこと、云っちゃいけないよ」という話なので....(_ _;

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