Laboratory 研究室

    (11)N式数学法


 これは、戦前「雀鬼」と謳われた沼崎雀歩(ぬまさきじゃんぽ)氏の考察法。 弟子筋にあたる天野大三氏が、のちに頭文字をとってN式と命名したもの。

 K式A式が聴牌までの有効度が対象であるのに対し、 N式ではアガリ牌の枚数まで計算に入れるのが特徴。 すなわちA式では残存有効牌数=摸率であったが、N式では、 これにアガリ牌数を乗じて、その積を摸率とする。碰 率は、その積に7/4を乗じる。

 たとえばかの有名な「二五八は何を切る」という形。該当書ではこれを例にとって、N式の考え方を説明してある。

一索一索二萬五萬八萬

二萬を切った場合
聴牌有効牌 . 碰 率
三万 4(残存有効牌数)X4(和牌数)=16(摸率) .
四万 4(残存有効牌数)X8=32(摸率) .
五万 3(残存有効牌数)X4=12(摸率) .
六万 4(残存有効牌数)X8=32(摸率) .
七万 4(残存有効牌数)X8=32(摸率) .
八万 3(残存有効牌数)X4==12(摸率) .
九万 4(残存有効牌数)X4=16(摸率) .
1索 2(残存有効牌数)X3=6(摸率) 6X(7/4)=10.5
計8種 158 10.5
∴158+10.5=168.5(牌価値)

五萬を切った場合
聴牌有効牌 . 碰率
一万 4(残存有効牌数)X4(和牌数)=16(摸率) .
二万 4(残存有効牌数)X3(和牌数)=12(摸率) .
三万 4(残存有効牌数)X8(和牌数)=32(摸率) .
四万 4(残存有効牌数)X4=16(摸率) .
六万 4(残存有効牌数)X4=16(摸率) .
七万 4(残存有効牌数)X8=32(摸率) .
八万 33(残存有効牌数)X4==12(摸率) .
九万 4(残存有効牌数)X4=16(摸率) .
1索 2(残存有効牌数)X3=6(摸率) 6X(7/4)=10.5
計9種 158 10.5
∴158+10.5=168.5(牌価値)
 K式では単に聴牌有効牌数を対象にするだけ。そこで搭子になる可能牌が多い五萬切りの方が効率が良いと出る。しかしN式 and A式では等価値と出る。そこで天野氏は「二五八、何を切っても等価値」と論じている(「麻雀の定跡(天野大三/日東書院)S37/1」)

 K式では五萬切りの方が効率が良く、N式 and A式では等価値ということになるのであれば、“では、どうせ切るなら五萬”と云う結論になりそうだ。

 しかし云うまでもなく順搭率(両面率)では二萬 or 八萬切りの方が効率がいい(壁石No.5 二五八は何を切る)。 そこで大先輩には申し訳ないが、σ(-_-)はやっぱり八萬を切る。。。。

以前へ  以降へ  目次へ