麻雀覚えたての頃、手の内にとあるときが出た。思わずポンと言うと、「アホか、お前は!」
(そうか、これはポンできんのか....) 次に上家がを切ったので「チーッ」と云ったら、今度は殴られた、なんて話はなかったけど。(笑)
「ほいじゃあ、集めてカンってのもやったろう?」
え〜え〜、やりましたとも。(^-^; でもね、あれは明カンじゃなくて暗カンだった。(笑)
こんな経験はσ(-_-)だけじゃないと思うが、いずれにしてもこんなものはポン・カンできるわけがない。しかしところがギッチョンチョン。たしかに中国でもポン・カンできないけれど、自分で3枚集めた場合は それなりに1セットの組み合わせとして認められるルールがある。
の3枚1セットを紅喜(ホンシー)と呼ぶ。「紅(ホン)」は紅中(ホン)の紅ではない。中国では、めでたいことは紅色で表す。めでたい組み合わせだから紅喜というわけだ。そのルールでは、配牌に紅喜(ホンシー)があると、その時点で、「紅喜(ホンシー)、紅喜(ホンシー)=めでたい、めでたい)」と言ってご祝儀をやりとりするという。
この紅喜、日本のローカルルールでも、豆三元(まめさんげん)とかいう名前で一翻と認められるという。それも配牌でご祝儀をやりとりするのではなく、普通の面子として扱われるらしい。なら、そのルールではポンもできるのかな?。
中国の紅喜も、ご祝儀をやり取りしたら終了ではない。特殊なアガリ役の1面子として手牌で使うこともできる。しかしそれについては後回しにして、とりあえず風牌の話を先にする。
三元牌が紅喜なら、風牌だって同様である。、あるいはなどの3枚1セットを風喜(フォンシー)と呼び、配牌にあるとその時点でご祝儀をやりとりする。また特殊なアガリ役の1面子として手牌で使うこともできるのも同様である。
おまけに配牌でとあるものは四風喜(スーフォンシー)、4枚揃いであるから、とうぜん3枚セットの紅喜や風喜より値段が高い。
こういう変則組み合わせを有効とするのは数牌にもある。 という組み合わせは幺喜(ヤオシー)、 は五喜(ウーシー)、 は九喜(チョーシー)と呼び、それぞれご祝儀の対象となる。紅喜や風喜はともかくとして、実はこの異種同数字牌3枚1セットが本来の麻雀の組み合わせ。
現在の麻雀は1種類に4枚の同一牌がある。そこでという同種同数字の組み合わせ=刻子を作ることが可能となっている。しかし麻雀が現在の形になる前は、同一牌は1種類に2枚であり、字牌は現在のような形で存在しなかった。
そこで順子以外にできる形は、 という異種同数字3枚の組み合わせしかなかった。これを連子(レンツ)といい、連子(レンツ)のみが得点の対象となるメルドであった。※詳しいことは「郭雲亭に会ふの記」を参照されたい。
もちろんこの連子の時代には159という牌だけではく、234678の牌による連子も有効であった。それが牌のデュプリケーション化とともに同種牌による3枚セット、すなわち刻子が台頭し、連子は自然消滅した。しかし頂牌である159だけ、幺喜、五喜、九喜としてローカルルールに残っているわけである。
まぁ、そいでも紅喜や風喜、あるいは幺喜・五喜・九喜なんかは話が判る。しかし次の形の1セットなどがご祝儀対象と云われると、さすがにウ〜ン。
両幺挟風(リャンヤオチャオフォン)
(任意の幺牌2枚に任意の風牌1枚)
両風挟幺(リャンフォンチャオヤオ)
(任意の風牌2枚に幺牌1枚)
こんなのはまだまだあるぞ。
孔雀東南飛(ホーチャオトンナンフェイ)
“孔雀()が東南(恵方)へ飛んでいったから目出度い”って、ちとこじつけじゃないのか....
西北飄(シーペーピャオ)
“つむじ風(飄=)が西北へ巻いていった”って。孔雀東南飛でを使ったから、今度はを使いたかっただけじゃないのか....
撃鼓咢曹(チークーアースォ)
大勢()で太鼓を打つ。そりゃあまぁ、は太鼓、はバチに見えんことはないが...※撃鼓咢曹には、「大勢が言い争う」の意もある。
しかしこんなんで驚くのはまだ早い。ローカルルールとなれば何でもアリ。それが下記にあげた乱子系の組み合わせ。北方系統の役ということだが、本当にこんあるかしらん。(?_?)。
乱数和(ランシューホー):数牌14枚、かき集め。
乱中和(ランツォンホー):タンヤオ牌14枚、かき集め。
乱将和(ランチャンホー):258の数牌14枚、かき集め。
乱七対(ランチートイ):乱対子の七対子。
ルールによっては数牌の対子に限られるらしい。って何がルールなんだ。(笑)
乱対々(ラントイトイ):連子の対々和。
乱混一色(ランホンイーソー):混一色牌14枚、かき集め。
乱清一色(ランチンイーソー):清一色14枚、かき集め。
乱幺九(ランヤオチュー):19字牌14枚、かき集め。
乱老頭(ランロートー/役満貫):19牌14枚、かき集め。
うみゅう、いくら乱れ打ちでも、こりはムツカシイ....
乱字和(ランツーホー/役満貫):字牌14枚、かき集め。
これも相当むずかしそうだ。
乱風一色(ランフォンイーソー/役満貫):風牌14枚、かき集め。
こりゃあ、むずかしさ一番だろう。
たしかに役満クラスは大変と思うが、「組み合わせ」というより、“勝っ手にやっとれ”という感じ.... ほいじゃあ、我々はこういう組み合わせにまったく縁がないのかというと
そうでもない。ひょっとしたら、下記のような形に対して点数を払ったりしてないか?
そう、かの有名な十三不搭(シーサンプター)、俗名、十三バラバラだ。(笑)
「いやあ、こんなアホなモンに点棒は払っとらん」というなら、これはどうだっ!間違いなく点棒払っているだろう。
ではローカルルールはともかくとして、中国公式ルールでは、このたぐいの役は採用されていないのかというと、実はちゃんとある。まずは泣く子も黙る(笑)組合龍(ツーハーロン)。
これだけ見ると(@_@)であるが、並べ替えるととなっている。つまり組み合わせると一気通貫(龍)。そこで俗名(-_-)ばらばら一通とか、筋一通。しかしなんだか目がチラチラしてくる....
この組合龍で大事なことは、一つの筋は同種の数牌でなければならないこと。つまり は筋牌で並べ直してもホントにバラバラ。 これでは筋が通らない。(笑)
でも思うけんど、ばらばら一通があるくらいなら、こういうでたらめ一通があってもいい。いつか中国関係者と会う機会があったら、とにかく数牌で1から9まで揃っている形をでたらめ一通として採用するよう、提案してみよう。点数は1点でもいい。(^-^;
全不靠(チェンプーカオ)
全部ばらばら(不靠)となれば、十三不搭(シーサンプター)とよく似ている。しかし十三不搭は配牌が対象であるのに対し、全不靠は手作りOKである。
また十三不搭は数牌がバラバラでありさえすればいいのに対し(筋となっていなくても良いし=、異種数牌が同じ筋でも良い= )、全不靠は必ず異種数牌の筋となっていなければならない。つまり組合龍形になっていなければならない。
そこで例題の形はの三門張であるが、でアガると組合龍(ツーハーロン)が同時にできる。そこででのアガリが最高目ということになる。
※「靠」は「側に寄る」とか「ささやく」という意の字。
「告」は宣告の告で、「はっきり告げる」の意。その「告」に「非」が加わると、「はっきり告げるに非ず=ささやく」の意となる。「ささやく」ためには側による必要がある。そこで「側による」の意が生まれた。その靠をさらに「不」で否定する。そこで不靠は「側による」の反対で、「離れる=ばらばら」の意となる。
七星不靠(チーシンプーカオ)
全不靠と非常によく似ている。七星(チーシン)とは北斗七星の意であるが、ここでは7種の字牌を表す。そこで七星不靠は字牌7種が揃っていることが前提となる。とうぜん数牌は組合龍の形にはなり得ない。とはいうものの、どれをとってもてんでんバラバラ。なんか本格的なドンジャラのような....
漢字といっても、もはや日本と中国では発音はもとより用法も字体も異なる。いまやまったく異なる文字といっていい。麻雀ゲームもまったく同じで、同じ道具を使って見た目なんとか似ていても、日本と中国では囲碁と連珠ほども異なる。
それはそれでいいけれど、それほど内容・発想が異なる中国麻将を、あたかも全麻雀の代表のごとく、国際ルールと称するのだけは勘弁しちくれ....
|