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石田巍の作詞・訳詞集


衣を脱いだ小倉百人一首 「四つの恋の歌」
「お父さんが作った15編の子守歌」
「今昔物語に登場する四人の女」
「イタリア古典歌曲」より(訳詞)


衣を脱いだ小倉百人一首
 「四つの恋の歌」

最初は万葉集を題材に詞を書こうと思った。万葉集にはダイナミックな恋の歌がたくさんある。
しかしどれも骨太で私には合わなかった。そこでたどり着いたのが小倉百人一首。
子供達が意味も分らず遊んでいるのもおかしかった。「本当は恋の歌なんだぜ、これは」
始めは解説書みたいな気持ちで書いたので、最初につけたタイトルは「小倉百人一首・解説」
その後、徐々に変化して現在のタイトルになった。
姉妹編に衣を脱いだ小倉百人一首「鹿・月・もみじ・さくら」がある。

この作品は、いとうたつこにより作曲され、
2012年8月、日本歌曲振興会主催の「第7回・邦楽器とともに」(津田ホール)で初演された。
演奏者は、歌・天野深世(ソプラノ) 二十絃・木村玲子

由良の門を・・・・

 
【百人一首・46 新古今和歌集 曽根 好忠】

果てしない海に漕ぎ出す恋心
舵を失い、漕ぎ手もいない

どうなるの この先は
どこに着くの この舟は

誰も知らない 恋の道


忍ぶれど・・・・。

【百人一首・40 拾遺和歌集 平 兼盛】

そっとしておきたいのに 
知られたくない恋心
でも 
顔に書いてあるらしい 私の気持ち

なにか なにかお悩みですかと
まわりの人が 聞いてくる

忍ぶれど 色にいでにけり 我が恋は 
物や思うと 人の問うまで



今来んと・・・・。

【百人一首・21 古今和歌集  素性 法師】



今晩行くよ 
今晩行くよ と約束したのにね

九月の夜、夜明けの月が出てくるまで
あなたを 待ってしまいました

九月の夜明けの月は、光が薄くて、寂しそう
おぼろげでー、影が薄くて、寂しそう

今来んと 言いしばかりに 
長月の 有明の月を 待ちいでつるかな


忘れじの・・・・。

百人一首・54 新古今和歌集  儀同 三司母

君のこと、忘れないよ
あなたのうれしい言葉

でも、殿方の心は移りやすいもの
それならいっそ、優しいお言葉を胸に
今、私の命が終わって欲しい

忘れじの 行く末までは かたければ
今日を限りの 命ともがな





「お父さんが作った15編の子守歌」

この子守歌は、私の子どもがまだ小さい頃のことを思い出して15編の詞にしたものです。

この15編の子守歌はいとうたつこ氏により作曲されCDが発売されています。
また、この内の6編(1.6.9.10.12.15)が女声合唱曲として楽譜が出版されています。
※詳しくは、いとうたつこのCD,楽譜コーナーをご覧ください。

 
 1.泣き声


  聞こえる 
  泣き声が聞こえる
  どこにいても聞こえる
  
  ごめんね 寂しいんだね
  私をさがしている声だね
  
  泣き声が聞こえる
  どこにいても おまえの声が聞こえる
  泣き声が聞こえる

   
 2.記念日

  初めて私に笑った日
  初めて私をさがした日
  まいにち まいにち あなたの記念日
  おぼえておこうね あなたの記念日
  
  いつか ヒトを愛する時がくる
  いつか 遠くに離れる時がくる
  
  まいにち まいにち あなたの記念日
  おぼえておこうね あなたの記念日
  Hum・・・あなたの記念日

 
 
3.ときめき

  何をしているの 
  両手をお空にかざして
  お顔に光が たくさんあつまっている
  
  何を見ているの 
  そんなに遠い目をして
  お目々に 明日が映ってる
  
  まいにち まいにち 
  大きくなるね 大きくなるね
  ※最後の2行 繰り返し
    

 
4.お兄ちゃん
 
  ほら お兄ちゃんが のぞいているよ
  いつも不思議そうに のぞくんだよ
  ほら ほら
  ほら お兄ちゃんが さわっているよ
  いつもやさしく さわるんだよ
  ほら ほら
 
  お兄ちゃんは 
 「ぼくの妹だからさわっちゃいけない」
  って 言うんだよ



 5.おまじない
 
  ねむれないの
  胸がドキドキするの?
  あしたうれしいの?
  
  ねむれないの
  悪魔がおそってくるの

  大好きなおまじないで 寝ましょうね
  どうぞ明日が良い日でありますように


 6.魔法使い

  きみは魔法使いかい
  生まれた時から魔法が使えるのかい
 
  お外を歩けばまわりが変わる
  ふたりでいれば やさしくなれる
 
  かわる かわる 私はかわる
  きみは 本当に魔法使いなんだよ




 
7.お空を飛んだ
 
  ブタさんがお空を飛んだ 
  ブーウーウー
  クジラさんも一緒に 
  クーウーウー
  みんなお空を飛べるんだ
  おじいちゃんもお空を飛べるんだ
  パタパタパタ
  おばあちゃんも一緒に
  スイスイスーイ
  きみもお空を飛べるんだ
  フワッ、ファッ、ファッ、ファッ…

 8.おじいちゃん

  たくさんのしわの中 お顔が笑ってる
  どんな夢を見ているのですか
  どんな歌が聞こえているのですか
 
  小さく閉じた目ぽつんと涙が光ってる
  昔を懐かしんでいるのですか
  いまをいまを 楽しんでいるのですか

  おじいちゃん おじいちゃん
  おじいちゃん

 
 9。とってもないしょ


  好きな子が いるんだって?
  それは内緒の話?
  きょう その子と何したの?
  それも内緒の話?
  おうちを 作ったの?
  それは内緒の話?
  どこに おうちを作ったの?
  それはとっても内緒の話?
  とっても ないしょ
  とっても ないしょ
  ないしょ ないしょ ないしょ


 10.絵本

  ねむるあなたのからだは あたたかい
  あなたのぬくもりは 
  私をはるか遠くへ運ぶ
  
  遊んだ絵本の中で 私は眠る
  あなたの国で 私は眠る
 
  私はしあわせの中で もう戻れない
  ねむるあなたのからだは あたたかい
  あたたかい








 11.仲間に入れて

  くまさん りすさん うさぎさん
  しかさん ぞうさん きりんさん
  たくさんの動物たちに囲まれて
  あなたは眠る
 
  森の奥で 湖のほとりで 
  草原の中で お空の上で
  あなたは遊ぶ
  仲間に入れて 私も入れて

  ロボットさん 怪獣さん
  自動車 飛行機 宇宙船 
  たくさんの仲間たちに囲まれて
  あなたは眠る
  仲間に入れて 私も入れて
 12.たからもの
 
  消しゴム 輪ゴム プラモデル
  絵本 小さなジグソーパズル

  くぎ ねじ 針がね こわれた時計
  赤えんぴつ 青えんぴつ ボールペン
  じしゃく お人形 ぬいぐるみ
  
  みんな大切 たからもの
  小さな箱につまった あなたのこころ










 13.おはなししてよ

  お母さん お母さん お話してよ
  それから私はどうしたの
  ねえねえ お話してよ

  私はあなたの声がすき

  お母さん お母さん お話してよ
  私が生まれた時のこと
  生まれた時のこと







 14.大切な人

  聞きたいの 笑う声 
  とりとめの無い話
  見たいの はしる姿 
  たあいのないしぐさ
  私にたくさんの力をくれる
  私にたくさんの力をくれる
 
  感じる 熱いからだ 
  かけめぐるリズム
  私にたくさんの力をくれるあなたは
  私の大切ないのち





 15
またあした
  
  目をとじてごらん
  暗闇の中に 
  笑った顔が見えるだろう
  耳をふさいでごらん
  風の音の中に 
  柔らかな声が聞こえるだろう 
  おやすみ しずかに またあした
  おやすみ しずかに またあした

  手をにぎってごらん 
  暖かさの中に 
  明日の命が見えるだろう
  力を抜いてごらん
  穏やかな心に 
  静かな幸せを感じるだろう
  おやすみ しずかに またあした
  おやすみ しずかに またあした



 「今昔物語に登場する四人の女

今昔物語から特徴的な女性、四人を選びました。
この作品は「いとうたつこ作品展・2007」(銀座・王子ホール)のために書いたものです。
その2年前、私がプロデュースする、俳優座の岩崎加根子氏といとうたつこ氏が競演する【朗読とピアノの協奏曲】の、
朗読部分のために書いた台本を、歌曲用に作りなおしました。

1曲目の前に前奏曲があります。前奏曲は楽曲を平安時代に誘います。
また、2曲目の後に間奏曲があります。弥勒菩薩をイメージして作曲したそうです。3曲目はチェロと歌の2重奏。
初演はいとうたつこ自身の歌でされました。(ピアノは山内三代子、チェロは三枝慎子)

2009年、壱・弐・四番は女声合唱曲用に編曲された。
 

 
 
【壱】 魚を売る女

  今は昔、
  三条の院の天皇が皇太子でおわします時に、
  警護の詰所に常に来たりて 魚を売る女ありけり。

  私、嘘をついているのです。
  売っている魚、本当は魚では有りません。
  私、嘘をついているのです。
  売っている魚、
  本当は蛇(へみ)の塩漬けです。

  いつか、分かってしまう。

  いつか、お縄にかかる。
  毎日まいにち 針のむしろ。
  嘘をつかないと、生きていけないのです。
  女ひとり、生きていけないのです。

  嘘がばれない事を、

  祈りながら、感謝しながら
  生きていかなければ、ならないのです。







 【弐】 風流の心ある女

   今は昔、
   心に風情ありて、人の品、卑しからぬ 公達ありける。

   長いこと暮らしていた妻と別れ、
   今風な女の所に、行きにけり。
   元の妻、「情けなや」と思いつ、
   ひとり、心細く暮らしていた。

  あなた。
  今日、海のお土産、届きました。
  珍しい貝と海草。これを私に? 
  これはきっと、間違えたのでしょうね。
  れはきっと、あの方に贈ったのでしょうね。
  わたし、ゆっくりと見ることなく、
  想いを、楽しむことなく、そのまま、お返しします。
  あなた。

  若き公達、手紙を読みて、
  今の女の言葉を思い出す。
  「海草は、生で食いてまし」
  「貝は、焼いて食いてまし」

   これに比べて、もとの妻
   「土産、うしなわずしてありける」と。
   たちまち熱きものこみ上げ、
   元の妻のところに帰りける。


 【参】 ひとり、お産をする女

   今は昔、
   ある所に宮使いしける若き女ありけり。

   妊娠したの。誰の胤かしら。分からない。
   生む所無い、相談する人、誰もいない。
   一人で生むことにしたの。深い山の奥で。

   都の東、奥深く、
   小さな庵があった。
   老婆が一人、すんでいた。
   親切な老婆、優しく助けてくれた。
   そして、元気な男の子が生まれた。

   ある日の昼下がり、柔らかな光のもと、
   聞こえた老婆の声。
   夢で聞こえた老婆の声。
   「あな、うまげ、ただ、ひと口」

   鬼。老婆は鬼。
   逃げたわ、逃げたわ、すきを見つけて。
   走ったわ、無我夢中。
   念じたわ、念じたわ、仏、助けたまえ。
   走ったわ、走ったわ、一心不乱。

   あの子、預けたの。やんごとなき方に。
   今は、ひとりよ。元の暮らしよ。



 【四】 恥ずかしさで死する女

   今は昔。
   近江の里に、都で生まれた美しき女ありける。

   都からきた、あの殿方、
   遠くから見ても素敵なお方。
   今宵、あのお方に呼ばれています。
   気に入ったらしいの。私の姿。
   大好きな香り、まとって、でかけましょう。

   都からきた、あの殿方、
   肌を合わせても素敵なお方。
   明日も、あのお方に呼ばれています。
   懐かしかったらしいの。私の話。
   都のうわさ、あつめて、お話しましょう。

   話が弾み、身体が弾み、もたげた不安。
   懐かしい感覚、懐かしい声。
   これは、もしかしたら、昔の夫。
   これは、まちがいなく、別れた夫。 
  
   あ〜

   今は昔。
   近江の里に、恥ずかしさのあまり死する、
   美しき女ありける。





「イタリア古典歌曲」より(訳詞)

歌は歌詞の意味が解からないと、魅力が半減します。
歌の意味が解からなくても素敵な曲はあります。

しかしそれは、メロディが美しかったり、歌い手の声が素晴らしかったりで
歌の楽しみ方の一部分ではないかと思うのです。

歌い手が歌詞をどのように表現して歌っているか、
聞き手に詞の意味が解かっていなければ、良いも悪いも言えないし感動も出来ません。

たとえばイタリア語、どのくらいの日本人が解かるでしょうか。
聞き手はどのようにして歌に感激をするのでしょうか。
声がのびやかで、高い声も低い声も自由に操っている、美しい。
でもこれって、とても部分的な評価ではありませんか?
ただ技術的な部分を聞いているだけではありませんか?

「イタリア古典歌曲」の中からいくつかの曲を、
原詩に出来るだけ近い意味で今の日本語に訳し、歌える形にしました。


 1 Piacer Damor  (愛は気まま)

   喜びは一日限りよ でも苦しみはいつまでも続く
   私は全てを捨てたのに 
   あの子はもう 他の男の腕の中 
   喜びは一日限り でも苦しみはいつまでも続く

   私は あなたを 愛します
   川の流れ絶えるまで愛します
   あの子は誓った

   川は今も流れ あの子はいない
   喜びは一日限りよ でも苦しみはいつまでも続く


 
 

 2.Nina  (ニーナ)

   さあ起きてよニーナ ニーナ、ねぇ、ニーナ
   もう三日の間 眠り続けている

   太鼓たたけ 大きく
   目を開けてよ ニーナ、わたし見てよ ニーナ

   夢の中で 遊ばないで
   目を開けてよ ニーナ、わたし見てよ ニーナ
   夢の中で 遊ばないで 
   目を、目を、覚まして




 
3.Caro  mio  ben (ねえ、いとしい人)

   恋人よ 信じてよ あなたが入ない今
   私の心 傷つき苦しい 

   深いため息 あなたに届け 届け
   切ない恋心 届いて

   恋人よ 私にそんなに冷たくしないで
   恋人よ 行かないで 私を捨てないで

 4.Nel cor piu non mi sento (輝いた青春)

   ああ、どこに行った あの輝く日 
   私はうつろ、愛で苦しむ
   傷ついた心 血まみれな身体 責めるの やめて
   私をこんなに虚しくする愛は魔物 
 






 5.Le violeete   (すみれ)

   やさしく香る花 バイオレット すみれよ 
   露に輝く花 バイオレット 輝く小さな野の花
   緑に隠れて咲いてる うなじを垂れて咲いてる
   恥らって隠れる姿 あわれ
   なぜに隠すの 美しい姿、隠すの
   やさしく香る花 バイオレット、バイオレット野の花
   露にゆれ輝くバイオレット 誰にも知られず姿見えぬ花
   緑の葉陰になぜ隠れるの
   緑のベールを取って姿見せて

   やさしく香る花 バイオレット バイオレット内気な花
   優しくって、恥らって バイオレット バイオレット 
   優雅で
   バイオレット バイオレット 内気な花 



    



 6.Lascia ch
io pianga  (泣かせてください)

   アルミーダ、あなたは天上で暮らす私を、
   地獄に落とし 果てしない苦しみに閉じ込めた
   神よ お願い 泣かせください

   涙止まらぬむごい仕打ち
   神よ 自由を私にください
   この手につかみたい 自由を

   涙止まらぬむごい仕打ち
   神よ 自由を私にください

   この苦しみ打ち砕く、あなたの哀れみ 
   どうぞどうぞ、私にください ください






 
7.Ombra mai fu (オンブラ マイ フ)

   静かな すずかけの木陰 
   いま全てが止まって
   静かな 緑の木陰 心地よく安らか
   緑の木陰 心地よく 
   いま全てが止まって 心地よい 心地よい











 8 Sebben,Crudele  (愛の希望)

   冷たいわ、あなたの仕打ち。
   でも私、何時までも 愛してる
   傷ついて、壊されて、でも私は 愛し続ける
   傷ついて、壊されて、でも私は 愛し続ける

   長いときを、ふたり過ごせば
   固い心、冷たい心 きっと とける。 
   あなたのこころ きっと とける

   冷たいわ、あなたの仕打ち
   でも私、いつまでも 愛してる。
   傷ついて、壊されて、でも私は 愛し続ける。
   傷ついて、壊されて、でも私は 愛し続ける。