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身近にある病気「犬のバベシア症」について

 「犬バベシア症」という病気を聞いたことがありますか?
 中国四国地方でも多発しており、貧血をひき起こす感染症です。

 死に至ることもある恐ろしい病気、バベシア症。
 当院周辺での発生状況や治療法についても交えてお話していきますね。

そもそもバベシアってなに??

バベシアはとっても小さな虫(原虫)です。
顕微鏡でやっと見えるくらいの小さな虫で、血液中の赤血球に寄生します。
赤血球を破壊するので貧血を起こします。

バベシアは、マダニに吸血されることにより犬に感染します。

マダニの予防が大切です

マダニは草むらなどに生息する吸血性の大型のダニ類です。

吸血後は2センチ以上にもなり、山や野原の草むらに生息しています。

(イエダニなどの小型のダニ類とは全くの別物です。)

マダニの予防の動物用医薬品はスポット薬(滴下薬)、飲み薬、首輪など様々な予防方法が確立されていますので、ワンちゃんのライフスタイルに合った予防方法を選択していただけます。


八本松動物病院周辺のバベシア症発生状況

近畿圏をはじめ、関西より西の中四国〜九州、沖縄の一部地域で特に多発していますが、最近では関東や東北でもバベシア感染の報告があります。

広島県内では福山市、東広島市は多発地域です。 
当院周辺では八本松町、志和町地域での発生が多く、この周辺のわんちゃんには特にマダニの予防を積極的にお勧めしています。

バベシア症の症状・検査方法・治療方法

症状:バベシアに感染してから数週間で症状が現れる事が多いと言われています。元気食欲の消失、発熱、貧血(歯ぐきや舌の色が白い)、おしっこの色の変化(濃い色になる)、下痢・嘔吐などが認められることがあります。

検査方法:血液を採って赤血球中のバベシアを顕微鏡で確認する直接鏡検法の他、バベシアに対する抗体を測定する方法やバベシアの遺伝子を検出する方法なども一部の施設で行われるようになっています。

治療方法:注射薬や飲み薬を使った治療が主になりますが、貧血がひどい時には輸血が必要になることもあります。現在の所、特効薬といわれるものがなく、お薬での完全治癒が困難な病気です。一旦症状が治まっても完治せず、バベシアが体内にひそんでいることがあり(不顕性持続感染)、何らかの原因で再発が見られることもよくあります。

他にもあります。マダニによって媒介される怖い感染症!

マダニの活動時期は、主に若ダニの活動が活発な春過ぎ(5〜6月)と初秋の幼ダニが多く発生する時期(9〜10月)で、バベシア症の発生もこの時期に多く見られます。
マダニにって媒介される感染症はバベシア症だけではありません。また、マダニ以外にノミや蚊なども様々な病原体を動物に媒介します。その被害は動物だけでなく、人にも及ぶことがあります。犬のバベシア症は人には感染しませんが、ライム病やQ熱はマダニによって媒介され、人にも感染する人畜共通感染症です。

昨年は当院の院長も足にマダニが付いていたことがありました。おそらく診察中に付着したものと思われます。私たちが野山や草むらに行かなくともペットと一緒に生活していれば、院長のようにマダニに感染する機会があるのだという事を念頭に置いて生活した方がいいでしょう。

2011年はマダニによって媒介される人の病気、日本紅斑熱の発症報告がとても多く、福山市内では日本紅斑熱による死亡例も確認されました。
野山や田畑に入る機会が増える春から秋にかけて、さらにペットを飼っているご家庭では特に注意が必要です。

山地や農地では長袖の服を着るなどして皮膚の露出を避け、帰宅後はすぐに入浴するなどの予防をしっかり行うようにしましょう。ペットのノミダニ予防も確実に行うようにしましょうね。