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 酒類を製造するには?

 酒類を製造しようとする者は、製造しようとする酒類の品目別に、製造場ごとに、その製造場の所在地の所轄税務署長の免許を受けなければなりません。

免許を受けないで酒類の製造を行った場合は懲罰に処せられます。


 ※ 酒類の製造は、自己消費目的で行う自家製造も含まれ、製造目的を問いません。

 ※ 酒母又はもろみを製造しようとする場合も、免許が必要となります。
   (ただし、酒類製造者が当該酒類の製造のため酒母又はもろみを製造する場合等を除く)

 ※ 試験研究を目的とする場合には、酒類試験製造免許が必要となります。

 ※ 未納税酒類の貯蔵場所を設置する場合には、酒類蔵置場設置許可が必要となります。


 構造改革特別区域内において、「農業」と農家民宿や農園レストランなど、「酒類を自己の営業上において飲食に供する業」を併せて営んでいる者が、「その他の醸造酒」(原料とする米は自ら生産したものをしようしなければならない)を製造しようとする場合には、「法定最低製造数量」の要件は適用されません。(いわゆる、どぶろく特区)
長野県の構造改革特区


 酒類とは?

 また、酒類とは、酒税法令により次のように定義されています。
種 類 品 目 主な製造方法
清酒 ・米、米こうじ及び水を原料として発酵させて、こしたもの
・米、米こうじ・水及び清酒かす、米こうじその他政令で定める物品を原料として発酵させて、こしたもの
合成清酒 ・アルコール・しょうちゅう・清酒・ブドウ糖等を原料として製造した酒類で、その香味、色沢その他の性状が清酒に類似するもの
しょうちゅう 連続式蒸留
しょうちゅう
・アルコール含有物を連続式蒸留機で蒸留したものでアルコール分36度未満のもの
単式蒸留
しょうちゅう
・アルコール含有物を上記以外の蒸留機で蒸留したものでアルコール分45度以下のもの
みりん ・米・米こうじに、ちゅう又はアルコール・その他政令で定める物品を加えてこしたもの
ビール ・麦芽・ホップ・水を原料として発酵させたもの
果実酒類 果実酒 ・果実を原料として発酵させたもの
甘味果実酒 ・果実酒に糖類、ブランデー等を加えたもの
その他の醸造酒 ・穀類、糖類その他の物品を原料として発酵させた、アルコール分20度未満のもの
ウイスキー類 ウイスキー ・発芽させた穀類及び水を原料として糖化させて、発酵させたアルコール含有物を蒸留したもの
・発芽させた穀類及び水によつて穀類を糖化させて、発酵させたアルコール含有物を蒸留したもの
・酒類にアルコール、スピリッツ、香味料、色素又は水を加えたもの
ブランデー ・果実、果実・水を原料として発酵させたアルコール含有物又は果実酒を蒸留したもの
・上記にアルコール、スピリッツ、香味料、色素又は水を加えたもの
スピリッツ類 原料用アルコール ・アルコール含有物を蒸留したものでアルコール分45度を超えるもの
スピリッツ ・清酒からウイスキー類までのいずれにも該当しない酒類でエキス分が2度未満のもの
リキュール類 ・酒類と糖類等を原料とした酒類でエキス分が2度以上のもの
雑酒 発泡酒 ・麦芽又は麦を原料の一部とした酒類で発泡性を有する、アルコール分20度未満のもの
粉末酒 ・溶解してアルコール分1度以上の飲料とすることができる粉末状のもの
雑酒 ・清酒から粉末酒までのいずれにも該当しない酒類


 酒類製造業の免許をとるには?

 酒類製造業は、酒税の確保を目的とする酒税法の規定下に置かれており、参入の厳しい業態となります。

 免許を受けるには、酒税法令上の数々の要件をクリアしていく必要があります。また、いわゆる工場施設の設置ともなりますので、関係する土地利用、環境、保健衛生等の諸法令も同時にクリアしていく必要があります。


 免許後1年間の製造見込数量は、酒類の品目ごとに定められた一定の数量(法定最低製造数量)以上であることとされます。

 ■ 法定最低製造量

品 目 1年間の製造見込量
清酒 60キロリットル
合成清酒 60キロリットル
連続式蒸留しょうちゅう 60キロリットル
単式蒸留しょうちゅう 10キロリットル
みりん 10キロリットル
ビール  60キロリットル
果実酒 6キロリットル
甘味果実酒 6キロリットル
ウイスキー 6キロリットル
ブランデー 6キロリットル
原料用アルコール 6キロリットル
発泡酒 6キロリットル
その他の醸造酒 6キロリットル
スピリッツ 6キロリットル
リキュール 6キロリットル
粉末酒 6キロリットル
雑酒 6キロリットル

 ただし、次の場合は除きます。
  1. 清酒の製造免許を受けた者が、その製造免許を受けた製造場において、単式蒸留しょうちゅう又はみりんを製造しようとする場合

  2. 連続式蒸留しょうちゅう又は単式蒸留しょうちゅうの製造免許を受けた者が、その製造免許を受けた製造場において、みりんを製造しようとする場合

  3. 果実酒又は甘味果実酒の製造免許を受けた者がブランデーを製造しようとする場合

  4. 試験のために酒類を製造しようとする場合(別途、「試験製造免許」を取得する必要があります。)

  5. 1製造場において、清酒及び合成清酒を製造しようとする場合で、製造免許を受けた後1年間におけるその製造見込数量の合計が60キロリットル以上であるとき

 申請人(法人の場合には、その役員)が次の人的要件に適合しない場合、免許は取得できません。

 ■ 欠格要件
  1. 酒税法の免許、アルコール事業法の許可を取り消されたことがないこと

  2. 法人の免許取消し等前1年内に業務執行役員であった者で当該取消処分の日から3年を経過していること

  3. 申請者が未成年者又は成年被後見人、被保佐人若しくは被補助人のとき、その法定代理人が欠格事由(1. 2. 7. 8. 9)に該当しないこと

  4. 申請者又は法定代理人が法人の場合に、その役員が欠格事由(1. 2. 7. 8. 9)に該当しないこと

  5. 支配人が欠格事由(1. 2. 7. 8. 9)に該当する者でないこと

  6. 免許の申請前2年内に、国税又は地方税の滞納処分を受けていないこと

  7. 国税・地方税に関する法令、酒類業組合法、アルコール事業法の規定により罰金刑に処せられ、又は国税犯則取締法等の規定により通告処分を受け、刑の執行を終わった日等から3年を経過していること

  8. 未成年者飲酒禁止法、風俗営業等適正化法(未成年者に対する酒類の提供に係る部分に限る)、暴力団員不当行為防止法、刑法(傷害、暴行、凶器準備集合、脅迫、背任等に限る)、暴力行為等処罰法により、罰金刑に処せられ、刑の執行を終わった日等から3年を経過していること

  9. 禁錮以上の刑に処せられ、刑の執行を終わった日等から3年を経過していること

 免許申請する製造場にあっては、「取締上不適当と認められる場所でないこと」として、次の要件を満たす必要があります。

 ■ 場所的要件
  1. 申請製造場が酒類の販売場、酒場、旅館、料理店等と同一の場所でないこと

 申請人が「経営の基礎が薄弱でないこと」として、次の要件を満たす必要があります。

 ■ 経営基礎要件
  1. 申請者は、破産者で復権を得ていない場合など、その経営の基礎が薄弱であると認められる場合に該当しないこと

    • 現に国税若しくは地方税を滞納している場合

    • 申請前1年以内に銀行取引停止処分を受けている場合

    • 直近終了事業年度における確定した決算に基づく貸借対照表の繰越損失が資本等の額を上回っている場合

    • 直近終了前3事業年度のすべての事業年度において資本等の額の20%を超える額の欠損を生じている場合

    • 酒税に関係のある法律に違反し、通告処分を受け、履行していない場合又は告発されている場合

    • 製造場の申請場所への設置が、建築基準法、都市計画法、農地法、流通業務市街地の整備に関する法律その他の法令又は地方自治体の条例の規定に違反しており、店舗の除去若しくは移転を命じられている場合

    • 現に酒類製造免許を受けている酒類に対する酒税につき、担保の提供を命ぜられたにもかかわらず、その全部又は一部の提供をしない場合

    • 酒類の製造免許を付与することとした場合において、当該製造者が今後1年間に納付すべき酒税額(既免許の酒税額を含む。)の平均3ヶ月分に相当する価額又は免許申請書に記載する酒税相当額の4ヶ月分に相当する価額のうち、いずれか多い方の価額以上の担保を提供する能力がないと認められる者である場合

    • 申請酒類小売販売場において酒類の適正な販売管理体制が構築されないことが明らかであると見込まれる場合


  2. 申請者は、事業経験その他から判断し、適正に酒類を製造するに十分な知識及び能力を有すると認められる者又はこれらの者が主体となって組織する法人であること

  3. 申請者は、酒類を適切に製造するために必要な資金、製造又は貯蔵等に必要な設備及び人員を有する(ことが確実と認められる)者であって、酒類の製造に関して安定的な経営が行われると認められること

    • 酒類の製造に関し、必要な資金を融資等により将来にわたって確保することができ、かつ、その事業計画が単年度黒字の発生、累積欠損の解消等が確実に図られることを予定しているなど黒字体質に転換する合理的な根拠があると認められる場合を含む

  4. 酒類の製造免許を付与することとした場合において、当該酒類の製造に必要な原料の入手が確実と認められること

 「需給調整上問題がないこと」として、概ね次の要件を満たす必要があります。

 ■ 需給調整要件

 次の酒類の製造免許は、免許の付与が限定されます。(構造改革特区等の特例を除く。)

製造免許 需給調整要件
清酒
合成清酒
連続式蒸留しょうちゅう
単式蒸留しょうちゅう
(かす取り・特産品以外のもの)

みりん
原料用アルコール
当該既製造者が、企業合理化を図るため新たに製造場を設置して製造しようとする場合

2以上の当該既製造者が、企業合理化を図るため新たに法人を組織し、新たに製造場を設置して共同製造しようとする場合

当該既製造者が、企業合理化を図るため分離又は分割し、新たに製造場を設置して製造しようとする場合
清酒 共同してびん詰めすることを目的として設立された清酒製造者が主となって組織する法人の蔵置場又は自己のびん詰等のための蔵置場に未納税移入した清酒に、炭酸ガス又は炭酸水を加え、発泡性を持たせた清酒を製造しようとする場合
単式蒸留しょうちゅう
(かす取りしょうちゅう)
清酒製造者が、自己の清酒の製造に際し生じた酒かす又は米ぬか等の副産物を主原料として、当該清酒製造場又は自己の他の製造場において単式蒸留しょうちゅうを製造しようとする場合

2以上の清酒製造者が、新たに法人を組織して、その構成員である製造者の清酒の製造に際し生じた酒かす又は米ぬか等の副産物を主原料として、新たに製造場を設置して単式蒸留しょうちゅうを製造しようとする場合
単式蒸留しょうちゅう
(特産品しょうちゅう)
製造しようとする酒類が、特産品の特性を有するものであり、かつ、その製造及び販売見込数量から販売先が申請地域に限定されていると認められる場合、個々にその内容を検討し免許付与の可否を決定
 原料用アルコール 製造者が連続式蒸留機を設置している製造場において原料用アルコールを製造しようとする場合

 「申請者が酒類の製造について必要な技術的能力を備えている、又は製造場の設備が十分であること」として、次の要件を満たす必要があります。

 ■ 技術的設備要件

  1. 申請者が醸造・衛生面等の知識があり、かつ、保健衛生上問題のない一定水準の品質の酒類を継続的に供給することができ、不測の事態が生じた場合に対応できる能力を有していること

  2. 酒類の製造又は貯蔵に必要な機械、器具、容器等が十分備わっているとともに、工場立地法、下水道法、水質汚濁防止法、食品衛生法等製造場の設備に関する法令及び条例に抵触していない又は抵触しないことが確実であること


 酒類製造業免許を申請するには?

申請にあたっては、概ね次の書類を作成・提出する必要があります。

必 要 書 類
 免許申請書
 免許申請書チェック表
 製造場の敷地の状況
 建物等の配置図
 製造方法
 製造場の設備の状況
 事業の概要、収支の見込、資金調達
 酒類の販売管理の方法
 誓約書
 申請者の履歴書(法人の場合は役員全員)
 定款(法人)
 登記簿謄本(法人)
 住民票(個人)
 土地・建物・設備等が賃貸借の場合、当該契約書等の写し
 地方税の納税証明書
 最近3事業年度の財務諸表
 酒類の製造について技術能力を備えていることを示す書類
 土地・建物の登記簿謄本
 申請者の酒類製造場についての書類


 酒類製造業免許で知っておきたいこと

 ■ 製造数量について

 免許を受けた後、3年以上酒類を製造しない場合又は製造量が法定最低製造数量を下回る場合、免許取消となることがあります。


 ■ 酒類製造者の義務

事 項 内 容
記帳義務 製造、貯蔵、販売、引取等
申告義務 製造場の位置、製造及び貯蔵の設備、製造の開始、休止等について
実績報告 4月〜翌年3月までの「酒類の製成及び移出数量」等を申告

 ■ みなし製造について

 酒類に水以外の物品(当該酒類と同一の品目の酒類を除く。)を混和し、混和後のものが酒類であるときは、新たに酒類を製造したものとみなされる場合がありますので、注意が必要です。


弊事務所では、酒類製造業の事業開始に関する相談、免許に関する書類作成、並びに提出代行をします。また、製造場設置に関する諸法令への対応も可能です。

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