アマゴ発眼卵放流プロジェクト


 情報収集や色々な準備を進め、ようやく自主放流を実施する事ができました。

2005年の3月から掲示板等で発表し、メールなどで多数のご意見を頂きました。
実際、養殖に携わっている方、魚類学の専門家の方、津市出身で海外在住の方等からもメールを頂き、話がどんどん大きくなっていく事には恐怖を感じました。(←ノミの心臓)

多くの方から申し出て頂いたのは「人的な援助」「金銭的な援助」ですが、いずれもなんとかやりくりしています。

と言うのも、複数の人間で動くと日程の調整や連絡等、どうしてもフットワークが重くなります。放流以外の事務作業が必ず増えます。成果が上がれば2回目・3回目を実施しなければ・・というプレッシャーも出てくるでしょう。
そうすると、「やろう!」という前向きな意気込みが「やらなければ・・」という義務・責任の意識に変わりかねません。それだけは避けたいと言うのが本音です。

次に金銭的な事ですが、これも上記と同様、人様からお金を頂くと責任感を背負っての行動になりかねません。思いの外、発眼卵が安く、器材を含めても数万程度の出費ですのでご心配は無用です。

仮に管理人の口座を公開して寄付を募ったとします。1週間後、記帳に行くと「お預かり金額¥1,000,000 イ○イ ケ○イチロウ」の文字が!

そうなったらね、もう光の速さで持ち逃げですよ。

Fly High Fisher管理人、某テレビ局職員のように、皆様の善意のお金で豪遊です。私なんかに金送る行為は、ヤギの首輪に1万円札くくりつけて買い物に行かすようなもんです。

とりあえず、当サイトにはフライ用品購入等の広告がベタベタ貼ってありますので、そこで買い物して頂くと幾らかの広告収入が管理人に入ります。金銭的な援助の申し出は、そちらでバンブーロッドや小型GPS等、超高額商品を購入して頂くという形でお願いします。買え。(←オイ)

次に、放流に関する法的問題や方法についての詳細は、長くなるので下に掲載。

現時点では、県の規則や条例で在来種であるアマゴの放流は何ら規制がありません。
しかし、岐阜県産のアマゴを三重県の川に放流する行為等(漁協があった時は、他県からもアマゴを仕入れいていた模様)は、遺伝子レベルので自然環境破壊に繋がりかねず、届出制や許可制が必要であると考えます。

それらの制度改革については、放流活動と共に行政に訴える必要があると考えています。


FAQ

個人が勝手に放流して大丈夫なのか?  法令的には問題なし。「魚を獲ること」には多種多様な規制がありますが、「放流すること」には意外と規制が少ない。漁協が無いので遊漁規則が無いのも理由の一つ。三重県の漁業調整規則は海の事が中心で、内水面の規定が甘いってのもあります。
 一応、県の水産室と元・漁協事務局があった旧芸濃町役場産業課には、自主放流の実施を報告しています(特に役場の方には丁寧に対応して頂き、旧漁協の放流情報を色々教えて頂きました)。
 これら役所への自主的報告は、ゲリラ的な放流にならないよう、県や地元役場に情報を伝えることが目的です。簡単に言えば「念のため」です。
仮にトラブルが懸念される場合、例えば規則が大改正されて「アマゴは放流してはならない」となった場合、我々市民にはその情報がすぐには伝わりません。定期的に報告していれば、それらの情報をキャッチする確率が高まりますので、お守り程度の効果を期待した行動です。
 なお、法律上例外を除き、安濃川の在来種であるアマゴを放流することに、許可や報告は特に必要ありません(三重県に確認済みです)
乱暴な言い方をすれば、ニジマスや岩魚を放流しても、現時点の規則では罪になるとは言い切れません(絶対にやってはいけませんが)。
三重県自然環境保全条例に若干の規定がありますが、「生態系に著しく支障を及ぼす恐れのある種」と曖昧な表現になっており、「著しい支障」の根拠が不明確なためです(バスやギルのように、多数の研究データがあれば話は別でしょうけど。いっその事、「三重県の○○川の上流には、アマゴと鮎以外放流禁止」とか厳格に規定したほうがいいと思うが・・・。)。
 但し、規則には「外来魚の移植制限」の規定があり、ブラックバス・ブルーギル・スモールマウスバス等オオクチバス属の魚を移植した場合は罰則(懲役6ヶ月or罰金10万円orその両方のダブルパンチ)が確実に適用されます。また、コイヘルペスの蔓延防止のため内水面漁場管理委員会より、コイの放流には規制勧告が掛かっているようです。
 ところで、よく言われる「外来種」「移入種」「在来種」ですが、実は法律・省庁によって使われ方が曖昧です。外国から持ち込まれた(入ってきた)動物を外来種と呼ぶ事は、一応の共通認識として成り立っているようですが、他県・或いは他の水系から入ってきたものも、場合によっては「外来・移入種」とされるケースがあります。発眼卵放流のケースで言うと、安濃川には安濃川で生まれ育ったアマゴの稚魚しか放流してはいけない、という解釈ができる法規が存在しますが、それを言ってしまうと各地で放流される鮎(琵琶湖産)、潮干狩りで撒かれるアサリ、植樹される杉、田んぼに植えられる米苗、ゴルフ場の芝、これら全てが移入種となってしまいます。我々釣り師が使用するウェーディングシューズのフェルトに染み込んだ水に含まれる、藻類の胞子さえも外来種の拡散に繋がりかねません。厳密に解釈するとキリがありませんので、アマゴの川にはアマゴを、ヤマメの川にはヤマメを放流する事を第一段階、その次がなるべく放流する河川に近い系統の魚を放流する事が第2段階、可能であれば、親魚がその河川の天然個体であれば・・・コレが最も理想的ですが、実現は難しいでしょう。
 ちなみに、放流の際は他の河川からの病原虫持ち込みとカビの発生を防止するため、卵はイソジンで出荷段階で消毒されたものを再度消毒し、器具と手、ウェーディングシューズは放流場所で消毒しています。
 ご注意頂きたいのは、漁協がない川でも魚の採捕方法や漁の期間、体長制限は県の漁業調整規則で定まっています。違反すればこれも罰則の対象です。
放流する魚種は?  アマゴのみ。
ただし、一部区間では「落合の郷」の釣り池から逃げたのか、有志が放流しているのか定かではありませんが、ニジマスが時々釣れます。
ニジマスに関しては、現時点で放流することに規制はありませんが、三重県自然環境保全条例の放流禁止種や特定外来生物被害防止法による要注意外来生物又は規制対象生物になりえますので、善意であれ偶然であれ自然河川への放流は自省すべきかと思います。
 まぁ、ここまで養殖や釣り産業に寄与してる魚なので、このあたりの問題は現在、非常に微妙な問題を抱えています。
日本全国で養殖され食卓に上り、放流が行われているニジマスは、この対象にはなりえないとは思いますが。
放流する魚の仕入先は?遺伝子的な問題は?
天然魚がいるのでは?
 三重県美杉村のアマゴ養殖業者を予定。
本来なら地元養殖業者から安濃川産アマゴの発眼卵を仕入れたいところですが、残念ながらそんな養殖業者が見つかりませんでした。
 従前、解散した漁協が放流していたアマゴの仕入先は、三重県多度町他、県内又は県外各地の養殖業者で、役場でも詳しく調べないとどこから仕入れたか分からないとの事でした。さらに、その養殖業者に連絡もしましたが、電話に出た人は「現在、鯉は養殖しているが、過去にアマゴを養殖していたかどうか知らない」との回答でした。しかも、複数の養殖業者から稚魚を仕入れて放流を行っていたようで、どこのアマゴが放流されていたのかはっきりとは分かりませんでした。
 何故雲出川水系のアマゴを養殖する、美杉村の業者から仕入れることにしたかと言うと、安濃川は三重県の布引山地(主峰、経ヶ峰・笠取山)に源を発する川ですが、多度町近辺の川は養老山地又は長良川、揖斐川の流れの影響を受けている事は明白で、より安濃川に近い、布引山地に源を持つ雲出川産アマゴの方が細かい系統的にはより近い種だと考えられるためです。さらに、アマゴを自家生産している養殖業者が、美杉村に複数あり、個人的な交流もあるためです。
ただし、水系や山地を気にしたところで、その業者が過去に他県から卵を仕入れ、雑種となっているケースもあり、結局は自己満足のレベルでしかありません。
放流資金は?  自腹です。寄付を申し出て頂いた方には、この場を借りて厚くお礼申し上げます。どうしても、と言って頂ける方は。トップのフライ用品購入のページでお買い物でもしてください。
放流の際の人手は?  一人です。(兄か友達には少し頼むかもしれんが)
紛いなりにも30万ヒットを数えるサイトなんだから、オフ会でもやって人手を集めればいいのに・・とたまに言われます。
実際会ってしまうと、管理人が実は17歳のピチピチ女子高生だとばれてしまうので、皆さんを驚かせないように配慮しているのも、一人でシコシコやる理由の一つです。
放流場所(区間)は?  当然詳しくは書けませんが、最上流部にはもしかすると天然魚が残っているかもしれないので、大型の砂防堰堤より下流を予定。
ボサや浅瀬が多く、道路から見えない区間。川に入り難く、とにかく釣りにくい区間を選んで放流します。最終的には「釣る」ことが目的ですが、まずは「生育する」ことが重要だと考えています。
最も気掛かりなのは水温で、何度かの調査の結果、8月中の気温が35度近い日は水温が25度近くに上昇する事がわかりました。
それでもアマゴは釣れましたが、コレばっかりは2〜3年は様子を見ないと分かりません。お持ち帰りされない事を切に願います。
放流地点には一定期間、放流した旨を伝える小さなプレートを設置します。見つけたからといって景品はありません。
放流方法は?  自作バイバード・ボックスを使った発眼卵放流です。
他の河川からの病原虫持ち込み防止とカビの発生を防止するため、卵はイソジンで出荷段階で消毒され、器具と手も放流場所で消毒します。
発眼卵放流に限らず、本来であれば他県の川へ釣りに行って、次の週に地元の川で釣る場合は、ウェーディングシューズのフェルトも殺菌すべきかもしれません。
 放流器具のバイバード・ボックスは写真左【FlyHighFisher1型豆腐保存容器改良バイバードボックス】5個がメインです。バイバードボックスはティムコから¥630で発売されていますが、「100円均一の容器で作ればええやん」、と思ったのがそもそもの間違い。
園芸用水きり網、ナイロンバンド、ルーター、ルーター用ドリル刃と出費がかさみ、多分1個あたり¥500近いコストが発生しています。しかも1個作るのに1時間近くはかかってしまう・・・。でも、自分で作ってみて良かったと思ってます。愛着が沸くし稚魚の色々な習性を知ることが出来ました。
その後、100均をフラフラしていて思いついたのが写真右【FlyHighFisher2型虫かご改良バイバードボックス】
コストは1個作成するのに150円程度。虫を入れる透明窓から卵を入れることが出来、中も観察できる。
開かないように6箇所をナイロンバンドで固定するので耐久性も抜群。なにより工具はハサミしか使わず、10分程度で完成する。考え付いたときは「あぁ、やっぱり俺って天才」と思ったが、色々調べたら既に作ってる人がいる模様。
これらボックスの作成方法は、効果を確認してから1月頃にアップする予定です。
ただの自己満足では?  ただの自己満足です。普通なら、釣れなくなったら川はさっさと見捨てて他の川へ移動すりゃ良いだけの話。
三重県の渓流釣りファンが、初心者が気軽に釣りに来れる川になることを祈っています。
 また、悪意ある者が放流した卵を盗んだり、ボックスを破壊したとしても何の罪にも問えません。悲観的な言い方をすれば、数万円のお金を川に流すのと同様の行為です。
しかし、多数の方が応援してくれているのも事実であり、管理人はそんな人達の期待を裏切らない程度に頑張る所存です。
えいえいおー。

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