アマゴ発眼卵放流 ボックス回収と浮上実験
2011年1月 三重県 安濃川
局地的な大雨が原因と思われるボックス流失により、過去最悪な結果となった今回の発眼卵放流。
正直残念ではあるが、自然が相手である以上、このような年があっても仕方ないと気持ちを切り替えている。むしろ、2005年から初めて、ほぼ毎年成功していた事の方が、幸運だったのかもしれない。
今回、比較的下流に設置したボックス数個は流失したが、上流部では5〜6割ほどの稚魚が確認できるボックスが残っている。
大学院のメンバーと手分けして、ボックス回収に向かう。
ひっくり返ってしまったボックス。しかし、100匹程の稚魚は残っていた。川へ解き放つ。
固定用のロープとカゴを回収し、次回に向けて改善策を色々と考える。
こちらは学生さんの検証用ボックス。土砂の堆積が著しい環境にもかかわらず、直播きでも意外と魚は生き残るという実績から、多地点に設置した疑似直播きボックス。中に砂礫を入れた後、卵を入れ、自然産卵と同じく上からも砂礫を被せている。
より負担の少ない直播きの効果検証が目的であったが、流されたりひっくり返ったりで正確なデータ収集は微妙かも。
なんとも足取り重く家路に着いたのだが、今回は1年越しの別の実験が待っていた。
それは、「産卵後、産卵場の上に土砂が堆積した場合、どれ位までの土砂層の厚さなら脱出できるのか実験」
日本(三重県)の川で渓魚が増えないのは、放流が少ないわけでも乱獲でも地球温暖化(←オイ)でもなく、産み落とされた卵から孵った稚魚が、川底(産卵床)から脱出できないからではないか、という推論がある。
仮にそうだとすると、放流やC&Rやってる場合ではありません。川の周りに木でも植えた方がいい。
自然の川であれば上下左右に石の隙間があるので、正確な実験は難しいが、川全体が、一律に土砂で覆われた場合を想定し、次のような器具で実験を開始した。
まずは100均で、なるべく透明な水を入れられる容器を購入。
透明の下敷きを容器の形に合わせてカット。また、多数の穴をあける。
発泡スチロールを使い、容器内を区切る。
・・・もう、お分かりですね?(←分からんわ)
ここに、熱帯魚水槽用の水中モーターを組み込む。
安濃川で採取した土砂から
礫を取り出す
各スペースに礫を沈め、安濃川の水を注水
ピョコッと飛び出す発泡スチロール棒。
「マテ貝かよ!」と、分かる人にしか伝わらない微妙な突っ込みを一人で入れる。
補強。がっちりとね。
放流とは別で確保しておいた稚魚をすくう。
すくってるのは、次女(2歳)愛用のレンゲだという衝撃事実。嫁にばれたら殺される(ちゃんと洗って戻しておいたよ☆)。
電源ON
生物濾過は期待できないので、活性炭を使用。
pHが若干アルカリに振れるので、pHを見ながら水で薄めた降下剤を2滴。
あまりの出来栄えに感動し、別アングルから撮影。
実用新案権を出願したら通るんじゃないかしら?
ちょっと問題発生。
上記の作業中、低水温のため底でジッとしていた稚魚が、ふわふわ泳ぎ始めた。
水温上昇と明るさのためだと思うが、いま浮上稚魚になると実験が成り立たない。
慌てて屋外に移動し、稚魚が落ち着くのを待つ(思惑通りなら、低水温で底に沈み、石の隙間に入る)。
土砂を被せるのは後でも問題ない。
そして2日後・・・
実験容器、横転(泣)
終日影になる出窓の下、エアコン室外機の上に置いてあったのだが(近くに屋外コンセントがあるため)、見るも無残な状態。周囲には、点々と獣の足跡が・・・。
近所に、野生ニャンコが沢山生息していることを忘れていました。
今年の発眼卵放流は、課題だけが残る事となりました・・・。