エピソード3 牛と孔雀 |
7月4日の那覇は、朝から暴風雨モード全開であった。なにせ950ヘクトパスカルの台風5号である。 台風は、常に沖縄付近では、内地(本土)より遙かに勢力が強く、かつ進行速度が遅い。 だもので、今日も、なかなかすごい風景が、ホテルの外では展開しているのであった。 それでも台風慣れしている沖縄の人々はびくともしないようだ。 この台風5号(950ヘクトパスカル、風速50メートル)での人的被害というのは、 NHKのニュースを見た限りでは、たった一人 <石垣◎◎さん 90歳> というオバァが、 台風の様子を見に外へ出て風にあおられて転んでケガをした というものだけだった。停電はあちこちであったのだけれど、人的被害というのはこれのみ。 台風のまっただ中へ出ていく90歳のオバァもオバァだと思うけれど しかし被害の少なさは台風への対処が良くできている証なのだろう。 もちろん、内地とは地形が違うので、土砂崩れや洪水といった被害が 沖縄では起こらないということもあると思う。 さて、その台風5号も無事去り、7月5日。我々はようやく石垣島へ飛んだ。 石垣島はピーカンだった。太陽光線が<重い!>と感じるほどに、晴天だった。これぞ八重山の光!! ここから本日、黒島という離島へ渡るのだけれど 船の出航時間まで、私達は石垣港離島桟橋からほど近い石垣市立図書館で過ごすことにした。 ここは本当に素晴らしい! 沖縄の伝統建築を模した赤瓦の屋根の、ものすごく美しい図書館である。 内部もゆったりした作り。そして・・・・・・・・・・・・。 石垣島へ来るのは4年ぶりだった。もちろん図書館も4年ぶり。 久し振りに来てみたら、やはりというかなんというか、インターネットのできるパソコンが置いてあったのだ! 使用はひとり1時間以内。それが無料だ!ブラボー!!! 迷わずここで自分の掲示板へ書き込みをした。 旅先でのネットって初めてだったけれど、なんだか楽しかった。ありがとう!石垣市立図書館!!! ところで、図書館へ行く途中、笑える看板を発見。 なんなのよ?????「トニーそば」って???????????? ともあれ、「トニーそば」の謎に心を残しつつ、我々は離島桟橋から、船上の人となったのだった。 |
25分の船旅で、黒島到着。5年ぶりの黒島である。 この島は周囲12キロメートルくらいの小さな島。人口は200人強。 観光的には<何もない>。本当に、何もない。 色々八重山の離島というところへ行ったけれど、<何もなさ>ということではこの黒島と 波照間島(はてるまじま)というところが双璧だと思う。 それでも、波照間島には、<日本最南端の土地!>という肩書きがあるのだ。 が、黒島は・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ <何もない>。 我々のような観光客が来るにもかかわらず、食品などが買える商店は島に1店きり。 それも、コンビニの4分の1くらいの面積の小さな店である。 しかし、私がすごいなと思うのは こういう離島でもちゃんと小中学校があり、小さいながらも診療所があり 立派な郵便局があり、そこからの郵便物がわずか3日で内地に届く!ということだ。 こういう部分を見ると、やはり日本はシステムの整った安定した国なのだなぁ・・・と、つくづく思う。 郵便局ではきちんとお金も引き出せるし。 しかし、<何もない>と言いつつ、この島はとても個性的でもある。 それはこの風景を見ていただければおわかりになるかも・・・と思うのだけれど、 ・・・ケニアのセレンゲティ国立公園でも、タンザニアのンゴロンゴロ国立公園でもない これは黒島の風景。 この、キリンがいたら完璧ではないか?? と言いたくなる、サバンナみたいな風景が、亜熱帯の島全体に広がる。それが、黒島。 理由は、この島が、ほぼ全面<牧場>だから、だ。 主要産業が肉牛の飼育なのである。 というわけで、この風景。 ヘンテコだけれど、地平線の向こうにはキリマンジャロがあるわけではなく、東シナ海があるのだった。 あははははは。 ちなみに人間200人に対して、牛は2万頭だそう。 宿泊した民宿の窓から見えるのも こういう風景である。私は北海道へ来たのかい???????? いや、しつこいけれど、地平線の向こうは、あくまでも東シナ海なのだった。 さて、先に書いた通り、黒島へは5年ぶりに来たのであった。 5年。 それでもこの島の風景はあまり変わってなかった。 が、 ひとつだけ、・・・・・・・面妖な変化が。 それはこの島に、人&牛に続くもうひとつの主要生物が現れていたことだった。それは <孔雀>。 孔雀である。それも野生の。 イヤ、多分、正しくは<野生化した>。 民宿の人は「野生の孔雀が200羽くらいいますよ〜〜〜」と言っていたけれどインドじゃあるまいし やっぱり<野生化>が正解だと思う。 なんたって5年前にはそんな話聞いたことがなかったし。 ともあれ孔雀がこの小さな島にワサワサといるわけである。 「ほんまかいな??」と思ったけれど、ほんまなのだった。 民宿の窓から牧場を眺めていると、あっちの森から3羽、こっちの茂みから5羽 と、ノソリノソリと孔雀様が登場するのだ。 望遠レンズを持っていなかったのが実に悔やまれる! わけのわからない写真になってしまったけれど 画面の左真ん中あたりに黒くチョコッと写っているゴミのようなのが孔雀。 本当に孔雀なんですってば!!!!!!! 妄想でもウソでもないのよーーー!! というわけで、 この島でぼんやりしていると耳に入ってくるのは 牛の声とヤギの声、潮騒の音と、そして 孔雀の「ミャーミャー」いう猫のような鳴き声。それだけ。 のどかである。でも、うるさいぞ!孔雀。 そんな黒島。皆さんも、一度いらしてみませんか?? 港にはこんな銅像(??)があるし (牛の変な銅像。右下にいるヤギは本物ね。) で、牧場以外はこういうところだし。 静かで、海はもちろん美しい、黒島。 良い島です。 てなわけで、しばしのどかな日々を過ごした我々夫婦。 しかし、黒島で2泊後、石垣島へ戻ったところで、次なる試練が・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 <エピソード2へ戻る エピソード4へ進む> <ヘロヘロ旅行記>目次へ戻る トップページへ戻る |