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No.434 2022.11.22(火)
人権抑圧の施策は、取り下げを!
―束ね法案 衆議院 通過―
11月18日(金)、今国会に提出されている障害者関連改正法案は、衆議院の厚生労働委員会で採択された。法案は、前進した側面も少しあるが、その本質は精神医療で本人や家族の同意がなくても市町村長が認めれば強制入院が可能になるという人権侵害だ。
障害連は、改正案を束ねるのではなく一つ一つ審議すべきだと訴えてきた。地域での自立した生活や施設の漸次縮小を求める立場からすると、自分の意に反した入院をしやすくする改正には容認できない。採択前日には、精神医療の強制入院に関して多く語られた院内集会があり、強制入院の問題性を共有した。
本来、障害者総合支援法の改正に際しては、医学モデルを反省して、病名で排除している問題をまっさきに検討されなければならないはずだが、今回一言も触れられていない。
また、難病の人については「登録者証」というものを新設しようとしているが、利便性が高められるということで、一部賛成の動きがあるものの、対象者は限定的であり、登録者証自体マイナンバーカードにひも付けされようとしており、これは重大な制度変更となる。そしてこれが障害者手帳にも拡大される布石ともいえる。
参議院では、束ねずに法案の一つ一つ個別にして、丁寧な審議を求める。
文:尾上裕亮
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すれ違いだった厚労省意見交換会(11.15)
11月15日(月)、障害連はこの夏提出した要望書に基づいて、厚生労働省との意見交換を行った。この日は福島みずほ参議院議員の仲介によって行われた。
施設の減少化を求めたが、「グループホームを多くするなど厚労省も基本的には同じ考え。ただ施設入所を待機している重度障害者も多く、全ての人を地域生活にしていくことは難しい。ただ他の事業者とも契約できる経過措置は延長する方向」と後ろ向きの回答。私たちは「経過措置ではなく、グループホームにおいても多様なサービス資源を利用できる、本人の考え方に基づいた生活が実現できるようにすることが本来の姿である」とした。
感染症になった重度障害者の介護体制について、厚労省が、「コミュニケーション支援の目的ならば、ヘルパーを利用できる」という通知を出しているが、太田参与がこの夏水疱瘡で入院したが、ヘルパー利用は認められず、医療スタッフによって介護され、おむつをあてがわれるなど厳しい毎日の連続だった、と訴えた。「9月に新しい通知を出したので今後このようなことはなくなるだろう。」と述べた。「実態を把握しようとしているのか」と尋ねると、「そのような考えはない」とした。
障害の範囲について「みなさんが満足できる回答をもてていないのが現状」と答えた。こちらから「社会モデルの考えで行うことが重要」となげかけると、「上に伝える」と述べるにとどまった。
この日は障害連から尾上代表を含め五名の役員が障害連から参加した。
(文:太田修平)
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「制度の谷間」が浮き彫りに
10月9日、障害連シンポジウム
10月9日(土)、障害連は「シンポジウム 2021(オンライン)谷間の住人~日本の谷底で社会モデルを叫ぶ~」を行い、約50名が参加しました。
白井誠一朗さんは、いわゆる「難病」という定義の中に、①治療法が確立されていない②長期の療養が必要とするものなどが整理されていると話しました。そして「『生活のしづらさ調査』に基づく障害福祉サービスのモデル事業をしてはどうか」としました。
続いてパネルディスカッションでは、医学モデルが根強い障害福祉サービスの問題を当事者たちが議論。1型糖尿病当事者より障害年金裁判から見た課題についても明らかにされました。厚労省は医学モデルで考え、当事者の苦しみの声に一切耳を貸そうとしないという姿勢で貫かれているとしました。
また、他のパネリストたちは、障害者総合支援法を受給してもワーカーから怠け病と見られてしまい、事業所も選べるどころか説明するのもエネルギーを消耗するので、その影響でまた寝込んでしまうとの悪循環に陥ってしまう等の話がなされました。そしてやはり「生活のしづらさ」を基にサービスを提供してほしいことを異口同音に訴えました。
指定発言に入り、権利条約では障害は環境を重視する社会モデルで考えられている、そして韓国は障害者手帳を廃止に向けて動いているとのことでした。さらに厚労省はなぜ障害の定義を障害者基本法に合わせないのか、と強い発言もありました。
文責:関根
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障害連、都と意見交換(6.22)
~成果はほとんどなく~
障害連は6月22日(火)東京都福祉保健局と住宅政策本部に対し下記の要望に基づいて、意見交換会を行った。
前向きな具体的回答は、ほとんど得られなかった。
1.にある「ヘルパー派遣の継続について」は、通知を通して「そのように行っている」と答え、「障害特性を十分に配慮した対応を」についても「そうしている」と回答したものの、「入院した事例はあるか」との問いに対しては「把握していない」と述べるにとどまった。「生命の選別を行わないこと」に対しては「その考えはない」とした。また「制度の谷間のない障害施策」については「国に要望している」とした上で、「市区町村の補助事業の中にあるかもしれない」としたが、「具体的にどこが行っているかは把握していない」と述べた。
住宅問題については、必要な住宅が不足していることが明らかになったものの、具体的前進は見られなかった。
障害連の出席者は、尾上代表など8名であった。
(文:太田)
1.コロナ禍における障害の重い人への対応について
1)ヘルパー派遣の継続について
2)障害特性を十分に配慮した対応を
3)医療アクセスの整備を
4)生命の選別を行わないこと
5)障害の重い人及び介護従事者へのワクチン接種の優先順位を上げること
2.
優生思想に基づく強制不妊手術問題の真相究明等
3.大地震など自然災害を想定した緊急時の備え
4.制度の谷間のない障害施策について
1)病名や障害種別、障害者手帳の有無に関わらず、生活実態によって福祉サービスを受けられるよう、都独自に事業を行うこと。
2)難治性疾患は、これまで東京都が独自に特殊疾病を定め、医療費の助成を行ってきた経緯を踏まえ、継続的に事業を継続・拡充すること。
5.ヘルパー派遣について
1)入院時のヘルパー利用について東京都は、重度訪問介護の区分6だけではなく区分4,5等も認めていることを、区市町村に周知すること。
2)東京都として、入院時の介助ニーズを把握するための調査を行うこと
3)区市町村によって支給決定の考え方にばらつきがあり、ニーズに基づく支給決定が円滑に行われるように、都は市区町村に対して、働きかけ(技術的助言)を積極的かつ強力に行うこと。
6.生活施設について
1)生活施設では、入居者の声が施設運営に反映されるよう、意思決定機関に施設入居者を参画させること。
2)施設や病院で虐待が横行しています。虐待の発見者が自治体に通報義務を円滑に履行できるように、仕組みを強化すること。加えて障害者への虐待がなくなるような様々な方法を駆使して、取り組みを進めること。
3)入居者の社会参加権(外出)を地域でくらす障害者と同等に保障すること。
4)都外施設で暮らしている東京都出身の障害者が、都に戻って暮らせるような政策整備を行うこと。
7.住宅施策について
1)空き家が最近増えているが、その有効的利用を積極的に行うことを含め、都は民間住宅などのバリアフリー化を推し進め(民間住宅へのバリアフリー化助成など)、障害者等も地域社会に包括される住宅供給政策を進めること。
2)都営住宅における「ハーフメイド方式」の成果を踏まえ、機能障害に対応した設計仕様の考え方を継承し、必要な場面において適用していくこと。
3)市区町村が設置可能な居住支援協議会は十分に機能しているとは言えず、この協議会を障害者が住宅確保するための真に役立つものとなるように市区町村に働きかけ、支援すること
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脱施設化ガイドライン策定 国連で動き出す
5月12日(水)、国連の障害者権利委員会は脱施設化ガイドラインのためのアジア太平洋地域のヒアリングを行われた。23団体と1個人が参加し、日本から尾上裕亮を含め4名が発表した。尾上は脱施設化の一方法としての重度訪問介護の利点(自分で生活の予定が決めやすいこと)と課題(通学・通勤の制限、支給決定が医学モデル等)について述べた。ヒアリングで多かった内容としては、東南アジアではコロナウィルスに加え、コレラなどの感染症の脅威にも晒されていること、脱施設化の政策がなかなかとられないこと等。
権利委員会は、今年の上半期に全地域から意見聴取を行い、9月頃にガイドラインを作り始め、2022年に出来るようにするという。
(文:尾上裕亮)
障害者差別解消法改正案 国会で成立
5月28日(金)、参議院本会議で障害者差別解消法改正法が可決成立した。改正法では、民間事業者に対する合理的配慮を義務化した。また、国・地方公共団体の連携の責務を追加した。一方、差別の定義については類型やその定義については盛り込まれなかった。障害者団体が強く求めていたワンストップ窓口については、調査・研究するという。
改正法をもとに細かな考え方を示す基本方針などが、障害者政策委員会などでの議論となるので注視していく必要がある。
(文:尾上裕亮)
障害当事者の課題、多面的に議論(DPI集会)
5月30日(日)「DPI日本会議全国集会」がオンラインで開催された。改正障害者差別解消法の問題、障害者虐待防止法の緊急性、障害女性の問題等々が多面的に議論された。(文:太田修平)
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どうなる障害者差別解消法改正!
またコロナ感染者が増えてきた。第4波に入ったと捉えることもできる。私たち障害者がコロナに感染すると相当厳しい状況に追い込まれる。施設で暮らしている人たちは社会から孤立を余儀なくされる。是非ともコロナ感染者数を抑え込んでほしい。
今国会に障害者差別解消法改正案が提出された。民間事業者に対しての合理的配慮を義務化するのが大きな目玉である。紛争解決の仕組みはイマイチだが、相談体制の充実をうたっている。完全に満足できる内容からは少し距離はあるが、改正されることは一歩前進と捉えられる。
少しずつ解散風が吹き出し、与野党の対決モードが強まりつつある。障害者差別解消法改正案は5月の連休明けた頃審議予定らしい。何かのきっかけで改正案が飛ばなければいいと思う。
障害者政策委員会はそういう状況の中、3月22日新しく衣替えした形で開催され、この障害者差別解消法改正案、「しょうがい」表記などについて議論が交わされた。今後改正障害者差別解消法の基本方針の在り方などが政策委員会の協議日程に入っている。
障害者権利条約の国連審査もコロナ禍で遅れている。
優生保護法裁判、1型糖尿病年金訴訟、65歳を過ぎた障害者に対する介護サービスの在り方の裁判など、見逃せない裁判も多い。
私たちは当事者として声をあげ続けていく必要がある。光は必ず見えてくる。
(文:太田修平)
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障害の重い人たちの通勤・就労保障をしっかりせよ
コロナの影響で事業所が閉鎖する状況も少なくない。また本人の希望で利用を一控えることも結構多くある。その中で、厚生労働省は、「現場に負担をかけるため、実態把握は今後もする予定はない」と答えた。
2月8日(月)、「障害者の地域生活確立の実現を求める全国大行動」実行委員会は、厚生労働省と意見交換会をもった。
多くの人たちの関心の的である通勤・就労中の介助の在り方について、「昨年10月から始まった地域生活支援事業は、自治体による手挙げ方式のため、区に掛け合っても未だに支援を受けることができない」と参加者は訴えた。これに対して厚労省は「今後、地域生活支援促進事業として開始されたら介助費用を遡って保障することもあり得る」とした。実行委員会は、「促進事業化は半歩前進に過ぎない。利用制限をなくし、介護サービスの中で使えるようにすべき」と強く主張した。
ところで実行委員会は、2020年8月に起きた、患者に卑劣な虐待を加えた神出病院について、「法律を改正することは重要だが、事件後も神出病院は開いていて入院患者がいる。こんなことはあって良いのか」と追及したが、厚労省からの明確な回答はなかった。
(文:尾上裕亮)
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コロナ禍、当事者の声を出して
「沖縄では、GoToキャンペーンで感染者が増え、米軍の新型コロナウイルス感染者も多いが、全国報道されない」。精神保健福祉会連合会の高橋さんは、こう述べた。
10月23日(金)、「骨格提言」の完全実現を求める大フォーラムが開催された。今年の大フォーラムは、新型コロナウイルスの拡大防止の観点から、東京・埼玉・群馬・兵庫の4会場と、各地をZoomで繋ぐかたちで行われた。
ピープルファーストヒロシマの近藤さんは、団体メンバーの話をしてくれた。会食に行く時に、ヘルパーに「一緒に食べることはできないことになっています」と言われるようになったという。「ピープルファーストの活動では会食の機会が多く、場がしらけてしまう」と実情を話した。
優生思想に関しても多く語られた。神奈川県障害者自立生活支援センターの鈴木さんは、津久井やまゆり園事件の裁判について、「「重度障害者は不幸しか作れない」という主張の背景や原因を深く掘り下げることはできずに結審してしまった」と述べた。京都の日本自立生活センターの小泉さんは、安楽死を美化する番組に対しBPOに申し立てをした活動を紹介。「報道は、人の生きる可能性を見い出せるものをつくっていくことと、一方で医療は人の命を救うことを全力でやってほしい」と訴えた。命の選別につながるコロナ禍の優生思想には、強く反対していく必要がある。
採択された集会宣言などは、以下のホームページから。
https://www.crpd-in-japan.com/10-23
(文:尾上裕亮)
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障害連シンポジウム2020.オンラインで開催
コロナ禍、改めて厳しい状況が浮き彫りに
「コロナ禍と、私たち障害者」をテーマに、10月17日(土)zoomで障害連シンポジウムを行った。パネリストは、海老原宏美さん(自立生活センター・東大和 理事長)、山田悠平さん(精神障害当事者会 ポルケ)、五位渕真美さん(障害連)、尾上裕亮さん(障害連 代表)の4人。
海老原さんや五位渕さんは、介助者の体調に気を配ったり、シフト調整が大変であることを話してくれた。そして、海老原さんは人工呼吸器を現在つけていたり、胃ろうであったり、他にも合併症があることから、「冬の時期になると、風邪をひかないように細心の対策を図っていて、ある意味自分にとってこの状況は特別なことではなく、かえって周りが感染対策をしてくれているので例年より安心できるかもしれない。」と話した。
五位渕さんは、もともと一人でいるのは苦痛でないタイプだったが、「コロナ禍は大きなストレスとなり、腰痛になるなど体調に変化をきたし、また外に出ていないので、車いすの操作が以前よりもうまくできなくなった気がする。」また、「人との関係性の大切さ」に改めて気づかされたと話していた。
山田さんは、「お話し会」や「ピア・カウンセリング」などの企画を立て、地域の仲間と関係をつくってきたが、コロナ禍によって会議室を利用できなくなってしまったとのこと。人と会う機会が少なくなり、体調不良となる人も多くなった、とした。ただオンライン会議が増えたことは、調子が悪くても会議に参加できるので、今後もそのメリットを活かしていくべきだともした。
尾上さんは、海外の当事者団体の報告をいくつか例を挙げ、「外出禁止で買い物に出かけられないので宅配を頼んだが、集合住宅の前に置き去りにされた。」ことや、「警察から障害者は外に出るな。」と言われたことなど、多くの事例が報告された。「運動を継続することがとにかく重要」と強調した。
厚生労働省との意見交換会(8.24)
8月24日(月)福島みずほ議員事務所の仲介と、福島議員の立会いの下、厚生労働省と意見交換会をもった。
冒頭、福島議員が挨拶し、既に要望書を出してあり、文書回答が示されていたので、それに基づき、意見交換が行われた。
回答の要旨は以下の通りである。
この日は、二時間とってくれたので、十分な意見交換ができた。
要望 |
回答 |
備考 |
1.障害者虐待防止法の改正 |
法律の改正は考えていない。運用等を通して虐待防止の対策を講じたい。 |
→精神科病院等では、虐待が増えており、運用だけでは限界ではないか。 |
2.生活施設の監査指導の強化等 |
利用者の人権や個人の尊厳が守られるように、指導監査の徹底等について、自治体に要請。 |
第三者機関について、もう少し具体的な回答が欲しかった。 |
3.施設の減少化計画 |
障害福祉計画で進めており、令和元年度末の施設入所者数の6%以上が地域生活へ移行、令和5年度の施設入所者数を令和元年度末時点の施設入所者数から1.6%以上削減。 |
感覚的には、施設は増えているように思えるが…。 |
4.優生保護法の被害者への賠償 |
現在係属中のため、答えられない。 |
優生保護法問題は、多くの問題に波及しているので、問題の大きさについてもう少し考えてほしい。 |
5.障害者の範囲を基本法と同じに |
基本法は理念。総合支援法はサービス給付法なので、別であるが、様々な意見を聞いて検討していきたい。 |
意見交換会では、生活のしづらさ調査を通して、実態を把握しようとしているとしたら、実態が把握されていない。 |
6.ヘルパー派遣の停止をしないこと |
利用者に発熱等の症状があっても、感染防止を行った上で、サービスの継続を自治体に示している。 |
多くの参加者から「障害者で入院している人がどれくらいいるのか」という声が上がったが、回答はなかった。 |
7.入院中、障害状況を考慮した対応 |
障害特性を踏まえた入院機関の整備、コミュニケーション支援等を都道府県に指示。 |
意見交換会では、コロナ禍のコミュニケーション支援は、障害程度区分あるいは重度訪問介護利用者であるか、関係なく、対象となるとのことだった。 →ヘルパーが実際、病院でどういう形で介護を行うか、イメージが付きにくい。 |
この日、厚生労働省からの出席者は、
障害保健福祉部企画課 課長補佐 吉元信治様、障害保健福祉部企画課 監査指導室 特別自立支援専門官 黒木信也様、障害保健福祉部障害福祉課 課長補佐 小林靖様、障害保健福祉部障害福祉課 課長補佐 土佐昭夫様、障害保健福祉部障害福祉課企画法令係長 名草あい様、障害保健福祉部障害福祉課地域生活支援推進室 室長補佐 栗原拓也様、障害保健福祉部障害福祉課地域生活支援推進室 相談支援係長 池沼憲一様、子ども家庭局母子保健課 企画調整係長 安藤弘貴様 の8名。
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条約の視点
6月22日(月)、第52回障害者政策委員会がオンラインで開催された。「障害者差別解消法」の見直しに関する意見書の最終検討だった。
意見書案は、もっと周知期間が必要とする意見があったものの、事業者の合理的配慮の義務化の検討をすべきとした。石川委員長は「障害者権利条約に照らせば義務化は当然。
相談体制については、たらいまわしをなくすため、ワンストップの相談窓口を内閣府に置く方向性が言及された。しかし、肝心の紛争解決の仕組みについては、先延ばしとされた。改正案が国会に提出・審議される過程での意見交換については、事務局も積極的な姿勢を示した。
意見書は採択された。
(文:尾上裕亮)
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委員 粘り腰をみせる
相談体制について多くの委員から、「たらい回しにされている実態があり、ワンストップの窓口が必要だ」とする指摘が出されて、事務局は「内閣府に、その窓口を置き、調整を図っていくことを含めてまとめを修正したい」とし、 次回の6月の委員会で最終確認を行うことになった。
5月25日(月)、第51回障害者政策委員会がインターネット会議という形で行われた。
障害者差別解消法の見直しが議題。事務局から前回の委員会で出された意見を踏まえた修正案が出された。「合理的配慮の義務化の周知期間はいらない」という意見は多かった。また、障害者基本法の見直しについても、必要とする意見が多く出された。
一方、「コロナで視覚障害者等は差別的取り扱いを受けている。」という指摘もあった。
最終的には、多くの委員の問題提起を受け止める形となった。政策委員会運営規則の改定も行われた。
次回は、まとめの最終確認。
(文:尾上裕亮、太田修平)
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障害者差別解消法見直し、もう一度議論
2月21日(金)障害者政策委員会が開かれた。事務局が出した取りまとめを中心に議論をされたが、「差別の定義化が必要だ」とする意見が多く出された。
一方経営者団体からは、障害者基本法の定義でおこなうべきだ、とする発言もあった。
相談・紛争解決の仕組みについては、「現在の人権擁護委員会にそれを任せるのは非現実的であり、何らかの仕組みが必要」とする意見や、「ワンストップの相談窓口を設けて、障害者にとって少しは使いやすいものとすべきである」、とする意見が出された。
この日の議論はさまざまな観点から出され、この議題は4月にもおこなわれることとなった。
少しでも実効性のある差別解消法にしていくため今後も力を尽くしていきたい。
(文:太田修平)
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No.420 2020.2.18(火)
東京都と意見交換(障害連)
2月17日(月)障害連は東京都と意見交換した。都側から10名(障害福祉5名、住宅関係5名)で対応、
障害連からは、尾上代表はじめ、5名が参加した。以下は主な要望と回答。
要望 |
回答 |
備考 |
強制不妊手術の調査 |
平成30年度中に社会福祉施設を含め全部終了 |
現状はどうなのか |
災害などの緊急時の備え |
要配慮者の対策は、福祉避難所などさまざまにおこなっている。台風19号によって生じた問題は、報告会などで課題を共有 |
超大型台風などに対する障害者の安全を具体的にどう保障するか |
「制度の谷間」 |
・福祉サービスについては、それをおこないたいと区市町村が言えば都として補助する仕組みができている ・医療費助成については、国に要求を出している中で、都として可能なことをおこなっている |
「制度の谷間」の人への施策を、都として積極的におこなうべき |
ヘルパー派遣 |
入院時のヘルパー派遣については、重度訪問介護区分6以外でも必要と認めた自治体は派遣をおこなっている。調査ではなく、日常的に区市町村と意思疎通を図っている |
回答と実際がかけ離れていないか |
生活施設 |
施設入居者の尊厳が守られるようにさまざまな取り組みをおこない、都社協においても苦情の窓口を置いている |
社会参加権に関する回答は抽象的で、現実を反映していない |
住宅施策 |
・建て替え工事をおこなう中で、既存のものを利活用するようにしている。 ・家賃債務保証制度については広報している(ただしその数は本日は不明) ・民間住宅への助成については、福祉保健局と協力しておこなっている |
障害者の地域生活にとって、住宅が重要という認識を、都は持てていないのではないか |
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No.419 2020.1.30(木)
事務局、解消法見直し議論をまとめる
障害者政策委員会が、1月27日(月)開かれ、この間続けられていた障害者差別解消法の三年後の見直しの議論のまとめを事務局は出した。差別の定義の在り方や、相談体制、紛争解決の仕組み、合理的配慮の提供の民間事業者への義務化等の問題が議論をされてきているが、複数の意見を羅列する形となっている。一部委員からは「これではよくわからない」という意見も出された。次回の委員会にさらに整理したものが出される予定。
(文:太田修平)
我々の羅針盤は、基本合意と骨格提言
1月7日(火)、「基本合意10年 全国集会」が開かれた。全国各地から300名以上が集まった。この日は10年前、国と障害者自立支援法違憲訴訟団が基本合意を交わした日だ。
弁護団の藤岡事務局長は「基本合意、国との定期協議は介護保険統合の阻止に役立っている。基本合意と骨格提言は羅針盤」とした。
パネルディスカッションでは、「被爆者団体も国と確認書を交わしたが、国が確認書の通り進めない」と述べ、共に声を上げようと呼びかけた。浅田訴訟弁護団の呉さんは「裁判所は総合支援法の7条を介護保険優先原則条項ではなく、併給調整の条項と捉えた。つまり同時に同じサービスを使わなければどちらを選べることを述べている」と裁判所の判決を評価した。
これからの10年、基本合意・骨格提言を履行させていくには、とても良い集会となった。
(文:尾上裕亮)
訃報 昨年12月31日、宮尾修議長が永眠されました。宮尾氏は1970年代前半の障害連設立から先頭に立ち、DPI日本会議議長なども歴任。心から哀悼の意を表します。(太田)
民間事業者への合理的配慮の義務化は重要
11月14日(木)、第47回障害者政策委員会が開かれた。
この日は第4次障害者基本計画の実施状況が報告された。文部科学省の報告に対して委員は「小学校、中学校の通常学級に関する説明を加えてほしい」「インクルーシブ教育という言葉が見当たらないが、それは何故か」と質問。それに対して文科省は「平成30年度の実施状況ということだったので盛りこまなかった。認識不足だった」と回答した。石川委員長は「インクルーシブ教育は障害者権利条約における重要項目の一つ。実施状況をみる必要がある」と指摘した。
後半は、障害者差別解消法の見直しについて審議。合理的配慮の提供義務について様々な意見が出された。「合理的配慮は個別・具体的なもので、統一的な義務化は慎重にすべき」、「義務化するためには合理的配慮の内容をもっと議論するべき」とする意見の一方で、「合理的配慮は建設的対話が鍵。当事者同士の対話を義務にするという解釈で良いのでは?」といった意見があった。
差別の定義については「複合差別は深刻。議論、記述する必要」「直接差別、間接差別、関連差別それぞれを明記すべき」「差別の類型を知らない人が多いため法令にできないと言うが、書き込むことによって国民に周知されるのでは」という発言があった。
次回の委員会は、12月12日。
(文:尾上裕亮)
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No.417 2019.11.14(木)
今だからこそ、骨格提言 求む!
10月30日(水)、「「骨格提言」の完全実現を求める10.30大フォーラム」が開かれた。様々な課題が語られたが、とくに反優生思想と介護保険統合問題が印象に残る。
DPI女性障害者ネットワークの藤原さんは、自身が障害をもつ前は周りから“はやく子どもを”と言われたのに、障害をもつと“やめたほうが良い”と反対された経験を述べ、「旧優生保護法を廃止された以後も、“障害者は子どもをもつべきではない”とする措置や扱いはある」とした。「出生前診断が進んでいくと、ここにいる多くの人がいなくなるかも」と述べた神経筋疾患ネットワークの見形さんは、「私たちはこれまで以上に“障害があっても良いんだよ”と言い続けなければならない」と訴えた。透析を受ける当事者の有馬さんは、透析再開を要求したのにもかかわらず中止した公立福生病院事件をうけ、「医療人は生きることを支援する人であってほしい」と述べた。
基本合意の完全実現をめざす会の家平さんは「政府は、障害者福祉を介護保険に入れようとしており、骨格提言をないものとしている。超高齢者社会の中で福祉の総改悪が行われている。その状況で骨格提言を訴える意義はある」とした。全国公的介護保障要求者組合の三井さんは「介護時間数を1日1時間半しか出さないなど、不当な支給決定をする自治体が少なくない」とし、「障害者が介護保険にどんどんはめられている」と現状を語った。
この日、大フォーラムは厚生労働省に「介護保険ではなく、憲法に則り、政府の責任で、年齢にかかわりなく、すべての人に必要な福祉、介助を保障し、地域での暮らしを保障する制度をつくるべきだ」とする集会決議を提出した。
(文:尾上(裕))
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No.416 2019.10.29(火)
十分な検証・反省を!
「手術後遺症で身体が痛いが、強制不妊手術を受けさせられた仲間たちのために、裁判を起こした」。この問題で最初に訴訟を起こした仙台の原告の飯塚さんは、こう訴えた。
10月23日(水)、日本障害フォーラム(JDF)主催の学習会「旧優生保護法に関わる支援の到達点と課題」が開かれた。
JDFの藤井さんは、「旧優生保護法は廃止された後も、この国の障害者差別の根幹となっている」と述べた。一時金支給法を作ったことは前進であったが、「支給法は反・優生思想に有効に働いているのかをちゃんとみていく必要がある」と訴えた。新里弁護士は、今年5月28日の仙台判決に触れ「強制不妊手術をされてから20年を経過した場合、損害賠償を請求することはできないという法解釈はおかしい」とした。
各地の原告の方は、「勝手に病院に入れられ、医者が親に手術同意書にハンコを押すよう強要した」、「廃止する20年前から旧優生保護法がおかしいという指摘があったのにもかかわらず、国は放置してきた」、「自分たちの経験を二度と繰り返さないためには今の一時金支給法だけは不十分」といった発言があった。
(文:尾上(裕))
1型糖尿病東京年金訴訟―9月30日―
9月30日(月)、1型糖尿病障害年金訴訟第4回口頭弁論が開かれた。
裁判官は糖尿病の認定の基準について国側へかなり詳細に質問した。
糖尿病の認定が1級や2級なら障害基礎年金が支給される。国は西田さんを3級と認定。しかし西田さんの日常生活をみると、重症低血糖状態が年20回と明らかに3級を上回る症状がある。国側は「症状3級から逸脱しない」と言う。裁判官は、重症低血糖が月2回なら年24回になるが、その場合も3級か」と質問して、国は「2級になり得る」と答えた。裁判官は更に「年23回なら3級、24回なら2級ということか」と質問を重ねたが、国は明確な回答を避けた。
次回は、2020年1月20日(月)の15時~東京地裁103号法廷。
(文:尾上(裕))
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ご挨拶
代表 尾上裕亮
2019年度から障害連(障害者の生活保障を要求する連絡会議)の代表をさせていただきます、尾上裕亮(おのえゆうすけ)と申します。正直、1976年の結成以来、少なからず障害者運動に影響を与え続けてきた障害連のトップに、私がつとまるか非常に不安です。運動全体を考えると未知数ですが、自分の生活と身近なことをまず「現状プラス1」に改善していきながら,障害連で「現状プラス1」の運動をしていこうと思います。例えば、生活で読書時間を増やす、介助者に伝えにくい介助内容を工夫して諦めず伝える、会場に遠い会場の会議にも参加する。障害連で定期的な勉強会を企画する、他の団体と一緒に何かする。
障害連の太田さんに誘われたのが2013年5月。この6年間で教わったことは実に様々ありますが、いちばん心に残っているのは「運動は自分の生活から始まる」という言葉です。上述した読書量の増加や介助者への伝え方ということは、私事であり運動に関係のない話かもしれません。しかしそれを放置して団体運営のことをしていけば、仏をつくって魂を入れないことになります。逆に、自分の生活のみならば、代表失格です。常に自分の生活に結びつけながら、強制不妊手術、出生前診断、尊厳死の問題や、介護保障、制度の谷間問題、交通問題などに積極的に取り組み、皆さんと共有していきたいと思います。
至らないこともたくさんと思いますが、何かあればご指摘ください.そして「現状プラス1」でいく障害連を、どうぞよろしくお願いいたします。
2019・2020年度 役員
8月31日行った総会で、役員が以下の通りに選出されました。
代表 尾上裕亮 副代表 関根義雄,桜井淳子 参与 太田修平(事務局責任者),伊藤雅文
会計 池上智子 幹事 小松直勝,木賀沢元,西田えみ子(事務局),白井誠一朗(事務局),緑野健司,頼尊恒信,新井寛(事務局),五位渕真美 相談役 宮尾修,春田文夫 会計監査 宮原映夫
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「健常者に近づくのではなく」~障害連シンポジウム2019~
本質を捉えた運動を!
8月31日(土),障害連シンポジウム2019「障害者解放運動が問うてきたもの、~そしてこれからのあり方」が開かれた。
CILだんないの頼尊さんは、脳性マヒ者が他の障害よりも孤立化・差別化された現実があり、脳性マヒだけの同窓会をつくったのが青い芝の出発点だった、とした。また青い芝の会のテーゼには「我らは自らがCP者であることを自覚する」とあるが、脳性マヒの特徴は、“クロス・ディズアビリティ”な部分であり、身体、知的、精神、発達などの障害を併せ持っている場合が多く、それらを自覚することによって、社会の差別・抑圧を様々に感じ取り、運動を展開することを可能としたのではないか」と指摘した。
「幼い時、健常者に少しでも近づこうとしたが、壁はあまりにも高かった。」「もし私に言語障害がなかったら違う人生を歩んだのではないか。」とふと思う時がある、五位渕さんは語った。青い芝の会と時代的にも人的にも重なる文芸同人雑誌『しののめ』の編集に携わった経験からである。五位渕さんは、花田春兆さんとその『しののめ』と出会い、これまで抱いていた自分の位置の不安定さを共有でき、探していたものをようやく見つけたような安心感を得たと言う。
太田参与は、全障連の結成と障害当事者団体が共闘した経緯を話す。「ひとり一人が制度を活用させて自立生活の実現を図ることも大切だが、もっと大きな視点に立ち、差別と対峙する解放運動的な観点を今こそ持つべき」と述べた。
さて、第1部では、障害連で5月~7月に実施した入院時のヘルパー利用のアンケートの中間報告を行われた。障害連の池上さんは、知的障害の方の入院支援をした経験を述べ「入院時の介助の必要性は、区分6に限らず障害種別を越えたもの」と話し、これからも継続して取り組む必要性を強調した。
総会では尾上裕亮新代表を選出
シンポジウムの前に障害連の総会が開かれ、尾上新代表を選出するなど新体制が確認された。若返りと全身性障害者を中心とする運動の飛躍が期待される。
(文:尾上(裕)・太田)
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障害当事者議員に大いに期待する
参与 太田修平
障害当事者の議員が多く当選した。少し驚いた。
船後靖彦さんと木村英子さんは、お二人とも障害がとっても重く、車イスを使い、日常生活では、介助者を欠かすことができない。
川田龍平さんもご自身障害をもち、これまでも国会の中で、障害政策の前進に尽力されてきたが、今回も見事に比例で当選を果たした。
岩手選挙区の野党統一候補の横沢髙徳さんも、元パラリンピック選手で、車イスを利用している。
障害のある人たちの日々の生活は厳しさを増している中、私たちの思いを国政に反映させる絶好のチャンスを迎えた。目標は障害者権利条約の完全実現だ。
なによりも国会議員の意識改革に大きく寄与する。LGBTや女性候補者も多く当選した。
私たちには、このチャンスを十分に活かしていくことが求められる。まずは彼ら彼女らにエールをおくりたい。
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強制不妊手術問題、国は明確に謝罪を
仙台地裁は5月28日、旧優生保護法を“憲法違反”と判断した。一方で、原告たちの賠償請求については認めなかった。
この旧優生保護法問題で、6月5日(水)原告や障害者など300名が国会周辺に集まり、「国の明確な謝罪」や、一時金の額320万円の見直しを求める集会を行った。
(文:太田)
障害連、厚労省と意見交換(6.3)
6月3日(月)障害連は、福島みずほ議員事務所の仲介で、厚労省と意見交換をもった。厚労省側は、小林障害保健福祉部障害福祉課課長補佐など9名が対応。障害連側は、11名の役員、加盟団体代表者が参加した。
話し合いは、全ての項目で平行線をたどり、今後の課題が明らかになるものとなった。
内容は以下の通り。要望書は障害連のホームページ参照。
要望 |
回答 |
備考(課題や感想) |
1.65歳問題について |
介護保険サービスで足りない部分は、障害者総合支援法で対応するようになっている。介護保険にないサービスが必要な場合も同じ。自治体の判断で。 |
障害の重い人にとって「重度方訪問介護」の必要性について、今後さらに厚労省に理解してもらう必要がある。 |
2.入院時のヘルパー利用について |
今は区分6の人を対象にしている。今後は状況を見て…。 |
なぜ入院時にヘルパー利用が必要なのか、実態をもっと知ってもらう必要がある。 |
3.制度の谷間問題について |
いろいろな人の意見を聞きながら範囲のあり方も検討している。 |
骨格提言があるので、少なくともそれに沿った形で進めてもらうことが課題。 |
4.生活施設について |
虐待防止の研修に力を入れている。外出については地域生活拠点を充実させることによって…。脱施設の目標については、自治体の障害者計画などに沿って…。 |
質問に対する答えが得られていなかった。施設で暮らす障害者の気持ちに沿ってほしい。 |
(文:太田)
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旧優生保護法「違憲」判決 仙台地裁
旧優生保護法問題ではじめての判決がでた。仙台地裁は5月28日(火)強制不妊手術を憲法違反と判断した。旧法の規定は、「憲法13条に違反し、無効というべき」との、考えを明らかにした。
仙台地裁には2名の被害者が提訴していた。
今年1月に被害者に一時金(320万円)を支給する法律が成立し、施行されたばかりだが、この違憲判決は今後の法律の見直しに大きな影響を持つことになる。
(文:太田)
日本の現状を世界に
5月24日(金)、JD政策会議2019が開かれた。今年は、今月できたばかりのJDFパラレルレポートについて。
JD佐藤さんは、パラレポをもう一つの真の障害者白書と述べ、自治体の障害者基本計画の作成時などに「条約やパラレルレポートを地域でどんどん活かすことが必要」と訴えた。
6月には英語版ができ、障害者権利委員会に渡され、日本の現状が審議されるのは2020年秋の予定という。
(文:尾上(裕))
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もっと生活に根ざして
旧優生保護法による被害者たちへの一時金法は、先日成立・施行した。国は未だに憲法違反を認めず、明確な謝罪をしていない。今後しっかりした検証が求められる。いずれにせよ、与野党が一致して補償へと動き出したのは一歩前進である。
この問題をきっかけに、横塚晃一氏の「母よ!殺すな」を改めて読み返してみた。1960年代から70年代にかけての「青い芝の会」のリーダーの一人であったが、「障害者はあってはならない存在なのか」と鋭く問いかけ、当時から優生保護法撤廃を訴えていた。今読み返すと、決して過激なことを言っているわけではなく、ごく当たり前に「インクルーシブ社会」の実現を提起しているように読めた。
ところで、4月22日(月)内閣府の障害者政策委員会が行われた。テーマは“差別解消法の見直し”。内閣府が自治体への調査を行い、その結果の報告が中心。議論を聞いていて、もどかしい。行政のペースに多くの委員がはめられてしまっているという感じ。テーマは“法の見直し”である。どういう見直しが必要かという議論をもっとしてほしかった。それにしても「相談件数ゼロ」の実態があることや、差別解消支援地域協議会に女性障害者の委員がいない自治体があることが明らかになったことは驚きである。
委員会は決して研究会ではない。本質的な問題をつかみ、障害者の生活に則し、その改善に向けた具体的議論をしてほしい。いくら相談件数がなくても“差別”はある。
そして旧優生保護法問題は、究極の“障害者差別”である。同じ過ちを繰り返さないためにも、障害者政策委員会で議論すべきではないか。
議論のための議論は不毛な結果に終わる。8年前の障がい者制度改革の熱気はどこにいったのか。
(文:太田)
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痛みを共有できているのか
参与 太田修平
審議なしで衆議院の委員会を通過してしまった。来週にも旧優生保護法の被害者たちの補償法案が衆議院を通過する見込み。全国の裁判所で被害者たちは訴訟を提起している。近々仙台などでは判決が言い渡される見通し。
争点は、憲法違反であったかどうか、国の明確な謝罪、今後のこの問題に関する徹底調査・検証だ。さらに補償額の問題もある。
なぜ判決を待てずに審議なしの通過なのだろうか? 参院選もあり国会議員が入れ替わってしまうという問題もあったのかもしれない。ただ審議なしは甚だしく疑問だ。障害者の尊厳や人権を著しく、暴力的に侵害した国家的犯罪に対して、言論の府である国会が、そして各政党が意見表明もせず、とっても大切な法案を通してしまうことについて、障害者を愚弄しているという非難のそしりがあったとしても、しかたがない話である。
この旧優生保護法のみならず、新しい母体保護法においても、違うかたちで手術がおこなわれている。それらを合わせると優生思想による被害者は天文学的数字になってしまう。
国の明確な謝罪は、優生思想による政策との決別を意味する。だからなおさら重要なのだ。
脳性マヒの団体である「青い芝の会」は、「障害者はあってはならない存在なのか」と40年前から優生保護法の撤廃を訴えてきた。その当時、「不幸な子どもを産まない」運動も全国の自治体、とりわけ福祉関係者の主導で展開された。これらにもきちんとした総括が求められる。
出生前遺伝子検診や、尊厳死問題、最近では、透析中止問題など、障害を持つ人の生命の問題が、優生思想によってさらに脅かされている。こういう状況をきちんと踏まえれば、国会は優生思想とどう向き合うか納得できる議論をすべきである。
参議院においては、しっかりと議論した上で、成立させてほしい。
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No.408 2019.3.5(火)
旧優生保護法下における強制不妊手術に関するJDFフォーラム
法案が出されようとしている。超党派の議員連盟によってだ。旧優生保護法の被害者は、最低でも2万5千人。3月5日(火)被害者、弁護団、JDFによる、国の謝罪と補償、検証などを徹底的に求める集会が参議院議員会館で開かれた。
(文:太田)
差別解消法見直し議論始まる -第42回障害者政策委員会-
3年目となる障害者差別解消法の見直しのため、障害者政策委員会が2月22日(金)に開催された。
自治体における障害者差別解消法の施行状況では、前年に比べると進んでいるとのこと、差別解消地域協議会を設置しない中核市があるのはなぜか、自治体の条例で紛争解決がどのようにされているのか、などの質問があった。さらに、差別解消法の見直しにあたっては、差別解消法が具体的にどういう役割を果たしてきたか否かを、検証する必要がある、との意見もあった。
1~2か月に一度くらいのペースで議論を進めたいとのことだ。
これに先立ち、第3次障害者基本計画の達成状況について事務局から報告があり、関連して、障害者雇用について、通勤時は、重度訪問介護を受けることができないが「在宅就労時も訪問介護を受けられる全国初のサービスを提供するさいたま市の施策」委員から紹介された。
また、計画相談支援数に関して、セルフプランは平成30年度3月時点で16.4%で、今後、そのあり方を含めて相談支援について検討を進めるとの回答があった。自立生活においては、セルフプランも重要なポジションだ。
(文:新井)
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「障害者手帳」カード化??? 障害者部会で議論
2月22日(金)に開催された第93回障害者部では、障害保健福祉施策の動向について意見が交わされた。
特に「障害者手帳」のカード化については、「障害名・傷病名の記載」などについて、可否が分かれた。障害の情報はマイナンバーで確認できるようになっている。という回答が事務局からあった。
この日は「障害福祉サービス等報酬改定検討チームの議論」に大半の時間が充てられた。これは介護人材と同じく、障害福祉人材の処遇改善を行っていくというものだが、様々な立場から意見が出された。
難病・疾病関係委員から『障害雇用率の対象になっていない』等、障害者就労に係る意見があった。
今後のスケジュール、新年度に入って。具体的日程は決まり次第後日。
ところで障害者手帳の問題は、一歩間違えると、「支援という名の管理」に繋がるのではないのか。大変危惧する。
(文:新井)
段差解消の必要性を真剣に!
「お宅の会社にも、身体障害、知的障害、発達障害のある社員がいるはず。自分たちのこととしてこれらの要望を捉えてほしい」。交渉参加者の一人は、こう訴えた。
2月26日(火)、交通行動東京実行委員会はJR東日本と話し合いをもった。
今回のテーマの一つだった単独自力乗降についてJR東日本は「順次、ホームドアの設置は進めており、より良いホームドアの開発をしている」と述べ、段差解消の有効な策は示さなかった。降車駅にスロープが来ず凄く困った経験を語った参加者に対しては「申し訳なかった」と述べた。
ある参加者は「イベントがあり駅に車椅子の人が多く来た。駅から主催者に“イベントをやるときは事前に言ってほしい”といわれた。障害を理由とする差別ではないか」と指摘した。それは「お客様の安全のためにそうした対応をお願いした。差別ではない」とJR東日本は回答した。
(文:尾上(裕))
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No.406 2019.2.5(火)
―最近の交通行動東京実行委員会の動き(12.6・1.29)―
-乗車拒否は存在している-
12月6日(木)、東京バス協会・複数のバス会社と意見交換会をもった。ハンドル形電動車イスの乗車が焦点。バス会社等は、「特定の車種なら乗れます」という従来のスタンスを崩さない。参加者は「ハンドル形の乗車拒否に対する抗議要望を10年間している。実際に乗れている人もいるのだから好事例を広めるべき」と述べた。これに対し「車イスの形状によっては乗車を断る場合もある」「乗れないときは丁寧な説明をしている」と回答。参加者は「障害や車イスを理由に乗せないのは乗車拒否。理解しがたい」と述べた。
車イスやベビーカーの人がバスに乗る際、座席の跳ね上げが無いようフリースペース化を求めたが議論は平行線。しかし「座席を少なくするのは危険。むしろ座席を増やしていこうと考えている」回答。「フリースペースと転倒事故との関係を調べたデータはあるか」問うと、無いと回答。
-単独自力乗降の恒常化を-
1月29日㈫ 東京都交通局と交通行動実行委員会の話し合いが行われた。
ホームと段差の隙間の解消と、駅員の接遇が重点的内容であった。段差の解消は進展せず。現在新宿線ホームドア施行中だが、新たな設置か所では快適な段差の隙間になっていないことを言及したが、納得のいくものではなかった。接遇の問題についても納得のいく回答を得られなかった。私達はストレスなく交通機関を使いたい。話し合いを継続していく。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
JR東日本との交渉は以下の通り、是非参加よろしくお願い致します。
日時:2019年2月26日(火)14:00~
場所:JR東日本本社 大ホール
集合時間は13時、そして13時半から会合場所へ順次移動します。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(文:尾上(裕)、桜井)
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障害連、東京都と意見交換(1.21)
1月21日(月)東京都福祉保健局と都市整備局、それぞれと意見交換を行った。
要望と回答は以下の通り。
要望 |
回答 |
備考(課題や感想) |
1.強制不妊手術実態調査 |
婦人科、産婦人科の医療機関はもとより施設も調査の対象としている。 |
昨年の調査発表以降のことなのか?また現状における問題点には触れず。 |
2.緊急時の備え |
指針等によって、要支援者のリストアップ、対応の仕方などをうたっている。避難所のバリアフリー化も進めている。 |
現実にどの程度の体制ができているか、不明確。 |
3.谷間のない障害施策 |
福祉サービスについては区市町村で進められるように補助。 難治性疾患の新たな認定は難しい課題。 |
区市町村が行うのは非現実的。 難治性疾患の新たな認定については国に先んじて、都が行っていくべき。 |
4.ヘルパー派遣 |
入院時のヘルパー派遣については、市区町村が必要に応じて認めるよう働きかけている。問題があれば都に連絡をほしい。 65歳問題は介護保険優先が原則だが、重度訪問介護が必要な場合は、市区町村の判断で決める。 |
短時間しかヘルパー派遣が行われなく、入院時に体位交換も食事も十分にできなかった。 また人工呼吸器をつけた人が、会話ができるとのことで、派遣を認められなかった。 |
5.生活施設 |
都外施設にいる障害者が都内施設に移れるよう取り組み中。施設内での問題は、東社協などが相談窓口となっている。 |
外出保障について、答えがなかった。こちら側も施設をどう変えていくかという戦略的視点を持つ必要がある。 |
6.住宅施策 |
都営住宅の全居室のバリアフリー化を進める。ハーフメイドタイプについては、総量を抑制する中で、既存の居室を活用している。 |
形だけのバリアフリーは問題で、障害に応じた居室設計が必要。障害者にとっては公営住宅の充実が不可欠。「社会経済の動向を見ながらハーフメイドの研究も…?」(質疑から) |
(文:太田)
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浅田訴訟高裁勝利
12月13日(木)、広島高裁岡山支部は「浅田訴訟」について、被告側の市の上告を棄却する判決を出した。
浅田達雄さんは、1か月249時間の重度訪問介護を受けていたが、65歳になった時、介護保険を申請しなかったとのことで、岡山市は重度訪問介護を打ち切った。憲法違反などとして浅田さんは地裁に提訴、約5年かけて、3月14日岡山地裁は市の決定を取り消す判決を下した。その後、市は高裁に上告していた。
総合支援法の介護保険優先原則を根底からぐらつかせる内容の判決で、今後私たちはニーズに基づく支給決定の運動を強めていく必要がある。「65歳問題」がさらに一歩前進した。
(文:太田)
生活実態をみて判断を!
12月12日(水)、東京で1型糖尿病障害年金裁判が始まった。この日は、第1回口頭弁論。裁判では、年金申請の却下の違法性を争う。
原告の西田さんは法廷で1型糖尿病について、自分の症状をわかりやすく説明。幼少期に発病し、“糖尿病”というだけで世間や医師から間違った偏見を受けてきた。「裁判所においては、偏見をもつことなく公正な判断をお願いしたい」と訴えた。
裁判後の院内学習会では、当事者の林さんは「昔から社会にある観念(考え方)は私たちにとって一番の社会的障壁だ」と述べた。学習会では、大阪の障害年金支給停止取り消しの訴訟についての近況報告が行われた、大阪弁護団代表は「皆さん、地域や家に帰って、家族や知り合いと今日のことを話してほしい。一人でもこの問題を知ってもらうことが大切だ」と呼びかけた。
次回は3月13日(水)11時に東京地方裁判所。
(文:尾上(裕))
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No.403 2018.12.6(木)
優生保護法被害者の会結成
旧優生保護法による強制不妊手術などが国を相手に裁判を起こしているが、12月4日(火)「旧優生保護法被害者・家族の会」が結成された。新里弁護団長は、「仙台での訴訟は違憲判決が出る可能性が高くなってきた」と述べた。この問題、優生保護法の違憲性と、謝罪、権利回復法の制定が課題となっている。与党WTの事務局長の田村衆議院議員も「国会に責任があることは明らか。早急に謝罪と補償を盛り込んだ救済法を制定したい」とした。法律制定後、どのようにして周知を徹底させていくかについても議論となっている。
被害者たちの多くは高齢となっている。取り戻せない人生の重みを感じさせる発言ばかりで、この問題の解決を抜きに、これからの障害者政策はあり得ないことを強く感じさせた。
なお、翌日のJDFフォーラムでも取り上げられ、運動のさらなる盛り上がりを見てとれた。
(文:太田)
国連勧告を武器にするために
12月1日(土)と2日(日)、第7回DPI政策討論集会が開かれた。
全体会では、障害者権利条約の第1回締約国報告に対するパラレルレポートについて議論された。権利委員会の委員の石川さんは、委員会ではどのように審議されるかを教えてくれ、「2年後の日本の審議では“障害者基本法・差別解消法の見直しがされているところだ”と言いたい」と期待を込めて訴えた。佐藤さんと崔さんはJDFパラレポの作成状況を報告し、「第19条(自立した生活)や第24条(教育)は色んな立場の意見があり議論が必要で、ゆっくり起草している」。尾上浩二さんはパラレルレポートの意義に関し「今後、運動を進めてくためには、権利委員会からどのような勧告を引き出し、それを如何に武器にするかが大切」と述べた。
2日目は分科会で、「所得保障」では、「状態が変わっていないのに、障害年金が突然うち切られたり、年金の申請を却下される人がいる」などの現状が訴えられた。「教育」では、川崎就学裁判を紹介し、「教育委員会は専門性、安全を理由に特別支援学校にと言うが、根拠に乏しく抽象的で看過できない」との提起があった。
(文:尾上(裕))
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No.402 2018.11.20(火)
ハンドル形をなぜ差別する
「車両にハンドル形電動車椅子が乗れるか乗れないか、当事者を入れたうえで議論してもらいたい」。ハンドル型に乗っている交渉メンバーは、こう訴えた。
11月16日(金)、交通行動実行委員会は複数の民間の鉄道会社との意見交換会をもった。
民鉄各社は「ハンドル形電動車椅子で利用できる車両と駅を今増やしている」「車椅子トイレに入れないため、すべての駅でハンドル形に対応できない」と述べた。これに対して参加者は「トイレは重要だが、だからといって乗車できないのはおかしい」「2年後のオリンピック・パラリンピックで、海外からハンドル形に乗る人が来たらどうするのか」と追及したが、明確な回答はなし。
交通行動実行委員会は来月、バス協会との意見交換会を下記のように行う。
(文:尾上(裕))
日時:12月6日(木)14:30~16:30
場所:東京都障害者総合スポーツセンター2F 集会室1,2
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障害者雇用水増し問題、国会参考人質疑
11月20日(火)10時~12時10分(参議院)http://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/
11月21日(水)9時30分~お昼過ぎ(衆議院)http://www.shugiintv.go.jp/jp/
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No.401 2018.11.5(月)
優生手術 人生を変えさせられた
―10.30大フォーラム―
「14歳の頃、施設で“わるいものをとる”と説明され、優生手術された。人生を変えさせられた。国は謝罪してほしい」。旧優生保護法による強制不妊手術の訴訟原告は、強く訴えた。
10月30日(火)、「「骨格提言」の完全実現を求める10.30大フォーラム」は日比谷野外音楽堂で行われた。全国各地から300名以上の障害当事者と関係者が集まった。
リレートークでは様々な課題が提起されたが、優生思想問題の指摘が目立った。兵庫県の石地さんは「兵庫県には1970年代に、不幸な子どもの生まれない施策があった。まさに障害者抹殺計画実行部隊だ。県には過去の検証と謝罪を強く求めていく」と述べた。同じく兵庫の吉田さんは三田市の障害者監禁事件について「加害者の親への同情が多い。おかしい」と訴えた。
生活の保障も問題も多かった。ピープルファースト・ジャパンの小田島さんは「生活保護費をこれ以上引き下げられると地域で自立生活できなくなる。地域は楽しくなければならい」と訴えた。65歳問題の訴訟原告の天海さんは「障害者総合支援法には、年齢制限はない。自分の生活は自分で決める」と強く述べた。
障害年金の問題も語られた。1型糖尿病障害年金訴訟原告で障害連の西田さんは、「合併症が軽いという理由で年金申請が却下された。生活の困難状況を示した書類も無視。制度改正で“総合的判断で決める”としたのは何か」と問うた。年金制度の国籍条項を完全撤廃させる全国連絡会の李さんは、「国連の勧告にもかかわらず在日外国人は国籍を理由に社会保障を受けられないことがある」と訴えた。
集会のあと、厚生労働省前でデモが行われ、参加者は「地域で暮らす住宅を保障しろ!」「難病に谷間を残すな!」等のシュプレヒコールを挙げた。
集会の動画は、以下のウェブページで。
https://www.youtube.com/watch?v=UMvr-oogQCs
(文:尾上(裕))
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生活実態より、客観的な診断基準(厚生労働省)
~大フォーラム 内閣府、厚生労働省と意見交換~
10月5日(金)、「『骨格提言』の完全実現を求める大フォーラム」実行委員会は、障害者総合支援法の対象から外れた難病の人の生活問題とヘルパー不足の解決について、内閣府、厚生労働省と意見交換の場をもった。
「外にも出られない、生活がままならない人がいる。障害者総合支援法はそのような人を入り口で切り捨てている」。1型糖尿病をもつ人の生活実態を例に、病名で排除され、区分認定すら受けられない現状を訴えた。事例を見た厚労省は「大変な状況」としながら、区分認定を受ける前段階で、医学的な診断基準とは異なる「客観的な診断基準」を「要件」とした。小児慢性特定疾患認に該当したにもかかわらず客観的な診断基準がないのかという質問には「担当課がいないからわからない」「児童福祉法、難病法は法の目的が違う」と回答。難病法、支援法も目的が違うのになぜ難病法の対象だけが検討の土台になるのか、回答はなかった。「脳性まひも1型糖尿病も完治しない」という認識は確認できたが「要件は合理的」とする姿勢は変わらず、骨格提言を実現するための段階的な方策も示されなかった。
ヘルパー不足の解決は「勤続10年のヘルパーに昇級する仕組みを創設する」、「処遇改善加算を柔軟に使えるようにする」などの回答があった。参加者から「10年後ではなく、今必要なのだ」と声があがった。ストマ(人工肛門・人口膀胱)の袋を交換する時に介助者がいなければどうなるか。全身性重度障害当事者は「今この瞬間にも介助が必要な生活」を伝えるべく、お腹をさらけ出して訴えた。介助者募集のビラまきを禁じる大学への対応については、大学へは働きかけず「総合支援法の範囲で方策を検討する」とした。ボランティアで関わっている人が継続して介助を続けるための制度創設については「サービスの質を確保するために資格要件は必要」とした。参加者の「1人のヘルパーが週に何回も来ざるを得ない」、「自分の生活に合うかどうかが大切。資格の有無ではない」などの実状を受けて「パーソナルアシスタンス制度の議論は止まっているが、パーソナルアシスタンスも含めて検討する」とした。
(文:西田、尾上(裕))
10月30日(火)12時から15時(開場11時) 日比谷野外音楽堂に集まろう!!
骨格提言の完全実現を求める10.30大フォーラム
https://daiforamu1027.jimdo.com/
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No.399 2018.9.13(木)
都条例の改正時期、状況に応じて!
9月4日(火)、東京都主催の「東京都障害者への理解促進及び差別解消の推進に関する条例に係る説明会」が開かれた。都条例は10月1日に施行する。
約15分、会場との質疑応答があった。「障害があると不動産さんは、物件紹介を拒否することもあるが、都条例は不動産分野も考慮するのか」という質問には、都は「考慮している。不動産業にも都条例を周知していく」と述べた。自分が住んでいる市にも差別解消条例がある場合、都に相談できるかという質問には、「できる。ただ相談のなかで市の支援も使うことを促すこともあると思う」と回答。条例の見直し年限が明記されていないことに対し、「国の差別解消法がいつ改正されるか分からない。年限を明記してしまうとそこに縛られ、臨機応変さが無くなる」とした。
(文:尾上(裕))
ニーズに合わない専門性
―インクルーシブ教育を求める川崎裁判 第1回―
9月12日(水)、特別支援学校に決定されたのは不服として、神奈川県と川崎市に対して起こした裁判が始まった。この裁判は、障害者差別解消法が施行されて初めての小学校就学裁判。
第1回目のこの日は、原告側の弁論が行われた。光管和希さんは難病。和希さんの母親は「幼稚園では友達と楽しく遊んでいたが、特別支援学校に決定されて遊べず関係が薄くなった」と訴えた。父親は「教育委員会に、特別支援学校で受けられる専門性について聞いたら、コミュニケ―ション機器のスイッチ操作の習得とのこと。和希のコミュニケーションを分かってない」と述べた。
裁判後の報告集会では、支援者からは「神奈川県内では、普通学級に通っている重度障害児もいる。なぜ地域によって違うのか」、「判決まで時間がかかる。中止された学校間交流を復活するなどの暫定的な方法も考える必要がある」といった発言があった。
(文:尾上(裕))
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障害連シンポジウム2018
―-ニーズに応じたサービスを! 自立生活を実現するために-
8月5日(日) 2018障害連総会のあと、東京都障害者福祉会館でシンポジウムを開いた。
前半は、長岡健太郎弁護士から「支給量訴訟と65歳問題」についての発表を受け、後半は、尾上裕亮障害連事務局次長から「自立生活をはじめた経験」を発表した。
最後に質疑応答や意見が多くあり、有意義なものとなった。概要は以下である。
① 長岡健太郎弁護士「支給量訴訟と65歳問題」
重度脳性マヒで、生活上全面的な介助の必要な和歌山の男性が、24時間介助を求め
る和歌山石田訴訟が、支給量訴訟の今の到達点である。また、65歳問題の説明がなされ、介護保険申請を断固拒否していくのか、介護保険も利用しながら、不足分や支給内容の異なるものは、従来通り支給を受けていくのか、考えていく必要がある。
いざとなれば、介護保障ネットの弁護士たちが相談に乗れることや、当事者の生活実態を、行政に知らしめていくことが必要であることが話された。
② 尾上裕亮障害連事務局次長から「自立生活をはじめた経験」
2017年3月から、家族と同居の生活の中で支給量増の交渉をする一方、2017年秋
から自立生活スタートの準備をはじめ、2018年の3月から自立生活をスタートした経験を発表された。この間、先輩たちの様々なアドバイスを受け止め、多くの困難と対峙し、その時の心模様を素直に語ったことがフロアに感銘を呼んだ。自立生活スタートには、何十年も前からみんな苦労してきたちはいえ、まだまだ同じことが起こっている。
行政はじめ、世の中に、地域で当たり前に生活するためには、介助やその他必要なことがあることを知らしめていく必要がある。
尾上さんが、行政に説得力のある文書を提出しながら交渉をすすめながらも行政の的外れの助言に耳を傾けてしまいそうになったり、食事や買い物など初めてすべて一人でやりこなす戸惑いは、のちの力にかわるものと聞こえた。
(文:池上)
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優生手術、情報公開を
―-大行動、厚労省と意見交換――
7月27日(金)、「障害者の地域生活確立の実現を求める全国大行動」実行委員会が厚生労働省と意見交換会をもった。
優生手術への賠償責任に関しては、「議員連盟の議論を見守っている状況だ」「今は担当者がいないので答えられない」という回答を繰り返した。「各自治体の調査結果が6月末に上がっていると思うが、どんな内容か」「旧優生保護法をどう認識しているか」といった質問に対して。また「優生思想はどう思うか」という質問にはきちんと答えなかった。女性メンバーは「産後の支援のために、産前から障害の子を受け入れる用意をするのは良いが、そこには優生思想は絶対に入り込んでほしくない」と訴えた。
障害者虐待防止法の対象に学校・病院を入れることに対して、厚労省は「昨年行った検討では、『子ども同士の場合は、障害児とは限らなく区別ができない場合もあるのでは』『他の法律でまかなえるのでは』といった意見がでた」と述べた。参加者は「精神保健福祉法の審査会は全く機能していない」等と真剣さがみえない回答に苛立ちを憶えた。
通勤・通学に重度訪問介護が使えないなど、移動支援の制限には、「他の制度もある。使いにくい場合は具体例を挙げてもらえれば検討する」と答えた。
(文:尾上(裕))
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ニーズに応じたサービスを
―障害連、厚労省と意見交換をする(5.28)―
5月28日(月)障害連は厚労省と別紙要望書に沿って意見交換を行った。
介護サービスを受ける人に障害者が65歳になった時のサービスの質と量の問題、そして費用負担の問題については、「介護保険優先原則があり、まず介護保険を申請してもらうが、介護保険にないメニューが必要な場合や、介護保険では足りない場合は、市町村の判断によって、障害者施策からのサービスが可能である」とした。また、費用負担については5年間続けて障害者サービスを受けている人については、「実質的には現状を維持する仕組みである」とした。
重度訪問介護の入院時の派遣については、コミュニケーション支援としての役割が大きいとしたが、現状においては区分6からまず始めたいとした。
1型糖尿病問題について数点指摘したが、内部障害に入れてほしいという要求や、総合福祉法の支援メニューに加えてほしいとする主張、そして障害年金の申請や更新をきちんとしてほしいといった問題については、ことごとく曖昧、消極的、あるいは否定的な回答だった。厚労省の視点は診断書、あるいは診断基準を重視するものだった。
ただ、障害者雇用促進法については、難病を広く捉えていることから、法の対象であるとした。
障害者権利条約や、総合福祉部会の骨格提言は、医療モデルではなく、障害の社会モデルを基本としており、もう一度原点に立ち返った政策が求められる。
(文:太田)
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No.395 2018.3.29(木)
JR東日本と話し合い(3.22)
3月22日(木)交通行動東京実行委員会は、JR東日本と交渉をおこなった。
ホームと電車の隙間をなるべく少なくして、単独で乗降ができるようにすることが第一の要望であったが、「スロープ板で対応している」との回答。駅間連絡の件で、「他の会社ではすぐ乗せてくれる」との指摘については、「指導を引き続き徹底させる」との答え。
「駅員が少なくなる時間帯の駅もあり、乗車を制限されている」との訴えに対して、「電話をくれれば対応する」との回答だったが、本社の考え方と現場の実際との食い違いを感じさせられた。
こちら側としても事前準備をもっとしなくてはいけないと個人的には思った。
今年は、バリアフリー法の改正が予定されている。誰もが使いやすい交通機関をめざして、今後も努力していきたい。
(文:桜井)
自立支援法訴訟団、厚労省と定期協議(3.26)
3月26日(月)、障害者自立支援法違憲訴訟団と厚労省との定期協議がおこなわれた。
定期協議は要望書に沿っておこなわれた。様々な自治体で家族同居を理由に必要な支給量が出ない現状や、65歳になり強引な介護保険への誘導が行われ、十分なサービスが受けられなくなったなどの問題も出された。厚労省は、「個々の判断で必要なサービス支給量を決定するように通知している」と答えた。訴訟団は「今の通知が不十分なため、このような事が起きている。新たな通知を出すべきだ」と要求した。
この日は大沼みずほ政務官が最後まで出席し、「基本合意と骨格提言を守る姿勢には変わらない」と冒頭にあいさつした。
(文:尾上(裕))
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No.394 2018.2.26(月)
民間事業者に合理的配慮を義務化
―DPI東京、都と懇談―
2月23日(金)、DPI東京行動実行委員会は東京都と都条例について懇談会をもった。
民間事業者の合理的配慮の義務化については「そうする方向で、議会に諮る」との回答をもらえた。民間事業者は、「営利法人だけではなく、広範囲の事業者を想定している」とした。「例えば車いすという理由で入店拒否をされたが、それは障害を理由とした差別ではないと相手方が主張した場合、どうなるのか」に対して、「間接差別といったものを明確に定義はしていないが、合理的配慮をしなかったということで、問題となっていくのではないか。今後こういった事例を多く収集していくことが重要」と答えた。
そして都が置く広域支援専門相談員については、委託ではなく都の非常勤職員とすることを明らかにした。
また「都外施設で起きた差別は条例の対象か」には、「属地主義を取っているので、厳しいものがあるが、将来的な検討課題かもしれない」とした。
都条例は、2019年度施行予定。
この日は東京都からは、障害者施策推進部権利擁護担当総括課長代理の有原さん、同担当宇賀神さん、同担当佐藤さん、総合局人権部企画課課長代理の松島さんが対応した。
DPI東京からは、代表の八柳、事務局長の太田をはじめ、5名が出席した。
(文:尾上(裕))
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JD、国土交通省と懇談する
―バリアフリー法改正問題で―
日本障害者協議会(JD)は、2月19日(月)バリアフリー法改正について、国土交通省総合政策局長井課長らと懇談をもった。バリアフリー法改正案は先日閣議決定されたばかりである。
長井課長は、「3千人/日以上の駅等の段差解消率は2018年度には90%近くに達し、2020年度には100%を目標としている」とした。これに対して、JDは、「地方が置き去りにされる」と表明、同課長は、「2021年度以降のガイドラインでどうするかを検討していきたい」と答えた。また、「ホームと車両の段差・隙間についてもう少し具体的な基準が必要」とJDは指摘。同課長は、「どの程度の高さなどであれば安全か、来年度以降検討に入る」とした。
参加者からは「移動権が明記されるか」との質問があり、「過去検討した経過もあるが、明記していない。理念に“共生社会の実現”や“社会的障壁の除去”を明確化している」と答えた。
さらに「飯田橋駅の危険性の問題」「無人駅への対応」などの問題も出され、「事業者にその旨を伝える」「必要性は認識するので今後検討していきたい」などの回答があった。
「駅や車両での放送を文字化しないと聴覚障害者にはわからない」という指摘に対しては、「ガイドラインでも緊急時については出来る限り文字化するように」としてあると述べた上で、今後の課題である、とした。
改正案では、障害当事者参加による評価会議の設置がうたわれており、どういう形にするかは今後検討していきたい、としたうえで、「成功事例を広めていくようにしたい」と述べた。
バリアフリー法改正をさらによくしていくための運動が強く求められている。
(文:太田)
「現場を見て!」都交通局と意見交換(1.29)
「実際にかさ上げ現場を見ているのか」。メンバーは、ホームのかさ上げがされているのにもかかわらず自力乗降できない現状について訴えた。
1月29日(月)、交通行動東京実行委員会が東京都交通局と意見交換会をもった。
全駅の単独自力乗降ついては「アジアの国では当たり前になりつつあり、他の鉄道会社はできるのに、ホームのかさ上げが不十分」「誰のために設計しているのか」等、指摘した。これに対して交通局は「建築限界がある。国交省の通知に沿ってやっている」「現在でも電車とスロープゴムの隙間はギリギリ」とした。大阪府の交通局は0~20ミリと定めていることに対し「都は正確な数値は定めていない。3.5センチになるように努めている」と回答。
エレベータに関して「地上に行くエレベータが極めて少なく車いすは遠回りせざるを得ない」「新しく設置したエレベータも小さい。」という意見があった。これに対して「認識はしているが。土地の取得や駅構造も検討しなければならない」とした。
以前行った交通局と当事者との検証のことも知らなかったようだ。充分な引継ぎがなされてないように思われた。話し合いの前に、事前準備をしてほしい。そうでなければ、せっかくの、話し合いの意味がない。
(文:尾上(裕)、桜井)
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専用車両は求めない―バス協会、民鉄協と懇談―
12月5日(火)と12日(火)、交通行動東京実行委員会が東京バス協会、日本民営鉄道協会との懇談会をそれぞれもった。
5日のバス協会との懇談では、ハンドル形電動車いすに乗っている当事者が、「話し合いを重ねて、私の車いすが乗ることが出来るようになったが、まるで私のためだけに走っているバスのようで、求めているものではない」と切実に訴えた。バス会社は車いす利用者のために特定のバスを走らせるという対応をとっている。他のバス会社数社も「事前に連絡をしてくだされば、ハンドル形の方も乗れるバスを配車する」と述べた。別の当事者は「私たちが求めているのは、いつでも誰でも乗れるバスだ。専用の車両ではない」等と声を荒げた。
12日の民営鉄道協会との懇談でも、ハンドル形電動車いすの利用が大きな問題になった。「認可されたハンドル形は乗ってもらえる」「ハンドル形でも乗れる車両を増やしている」という鉄道会社に対して、メンバーは「スペース的にはハンドル形でも乗れる列車もある。なぜ“乗ってください”と言えないのか」等の発言がでた。
要望書に対し鉄道会社は、車いすの人は駅員が案内をする前提で回答した。メンバーは、「なぜ私たちが単独自力利用を求めているか認識しているのか。自由に乗りたい、快速や特急に乗り換えたい、途中でトイレに行きたいんだ」と訴えた。これに対して鉄道会社は「出来るところからホーム・電車間のフラット化をしていく」と回答。
(文:尾上(裕))
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合理的配慮を義務化に!
―都条例検討部会―
「合理的配慮は障害者と障害のない人の条件が平等ではない現状があるために行うもの。努力義務とすると事業者の善意に頼ることになる」。女性の障害当事者の秋山さんはこう述べ、合理的配慮が義務になる意義を訴えた。
11月30日(木)、第8回目の障害者への理解促進及び差別解消のための条例制定に係る検討部会が開かれた。
これまでの部会では、合理的配慮の民間事業者への義務規定が一つの大きな争点になっていた。委員からは「相談に応じることは過重な負担では言えない」「合理的配慮は人権の問題であり義務にすべき」。一方で「事業者ヒアリングでは、合理的配慮の抵抗感が多かった。初めから義務としなくとも周知から始めれば良いのではないか」等という意見もあった。川内委員長は、「あとは私と事務局の協議に任せてほしい」と述べた。
条例案のパブリックコメントは12月下旬~1月下旬にかけて、構成の概要を公表するという。委員からは「条例文は公表しないのか」ともあったが、都は「具体的な文言は専門部門と調整する必要があるので難しい」とした。この委員会でも公表しないのかとの指摘に対し「議会提出の前には作る予定。この部会に示すかは検討する」と述べた。
(文:尾上(裕))
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障害連、東京都と懇談会をもつ
11月28日(火)障害連は東京都と懇談会をもち、以下の内容の回答を受けましたが、差別解消法以外、期待していた回答はもらえませんでした。障害連参加者7名。(文:太田)
要望 |
回答 |
備考 |
1権利条約との関係 |
平成27年度第4次障害者計画 |
|
2差別解消条例制定 |
平成30年度中の施行を目指して検討部会で議論 |
民間事業者への合理的配慮の義務化は、検討部会では賛成意見が多いが、まだ議論中 |
3緊急時の備え |
指針では、避難所のバリアフリー化、要援護者のスペースの確保などをうたっている |
|
4制度の谷間をなくす |
・総合支援法で、358疾病に拡大。国へはさらに要望 ・医療費助成については、国330疾病に拡大。都として、8疾病独自助成 |
都としてモデル事業をする考えはない |
5ヘルパー派遣 |
・入院時のヘルパー派遣は、国で制度化されたが、都は従来通り区分4、5についても要望があれば行う。 ・自治体間格差は、区市町村特別支援事業などで可能な限り対応している。 |
|
6生活施設について |
・社会参加などは、施設で苦情窓口を設置。 ・地域移行も進めている。 |
|
7住宅施策 |
都営住宅は新規建設を行わず、従来のものを活用しているが、バリアフリー化には力を入れている。民間については、指針を出している。 |
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社会保障削減ではなく、骨格提言実現でしょう!
-10.27大フォーラム-
「政府は社会保障を切り捨てようとするが、私たちは障害者権利条約や基本合意を勝ち取ってきた。訴え続けよう」。障害者自立支援法違憲訴訟 元原告の家平さんは、こう強く呼びかけた。
10月27日(金)、「優生思想に断固反対! 医療・福祉を治安維持に使うな!「骨格提言」の完全実現を求める10.27大フォーラム」が開かれ、多くの障害当事者や関係者が集まった。
神奈川県のやまゆり園再生基本構想に対しピープルファーストの小田島さんは「本人と親は違う。なぜ本人の声を聞こうとしないのか」と疑問を呈した。
社会の様々なところで、障害当事者の声が軽んじられている。支援者の遠藤さんは「本人の意見を聞かず、後見人を付けられ、その後見人が生活の重要な決定をするのは、人権侵害」と訴えた。
インスリンポンプの会の清水さんは、インスリン投与の便利な機械が出来たのに当事者が説明しても、学会は“操作が難しい”として機械を認めない現状を語った。人工呼吸器ユーザーネットワークの小田さんは、“人工呼吸器を付けても意識は戻らない”という医者の判断に抗して装着したら1時間で意識が戻った、自身の経験を話し、「もし当時、尊厳死法がつくられていたら、私はここにはいない」と述べた。
採択された集会アピールは、以下の通り。
(文:尾上(裕))
集会アピール
「大人になったら、家族から独立し一市民としてくらしたい」。
これは、誰もが少なくても一度は思い描くことだと思います。しかし、しょうがいや病気があり、支援が必要な身になると、それが一気に難しくなり「何だかいけないこと」として感じてしまう。非常に恥ずかしいことに、それが今の日本社会です。
「市民としてくらしたい」を難しくさせているのは、しょうがいや病気のせいではありません。自分の必要な支援が、周りに十分に無いためです。
今日の集会では、公的支援を抑制しようとする国の動きや、多くの社会福祉の課題が語られました。昨年起きた津久井やまゆり園事件の大きな原因の一つは、しょうがいしゃを厄介者扱いにして一カ所に集め管理する、日本が長年とってきた国策にあります。しかし隔離施策の反省をせず、小規模化という名のもと、また入所施設を作ろうとしています。施設での虐待が後を絶ちませんが、通報対象に病院・学校・官公署が含まれていないという大きな問題を放置し、障害者虐待防止法の改正議論を進めようとしません。
しょうがいしゃが地域生活を送るのは、健常者に比べ簡単ではないです。津久井やまゆり園事件を機に、政府は何ら根拠も無いのにもかかわらず、措置入院をした人の生活を警察も含んだ会議体で支援していくのだとしています。精神しょうがいの人の生活支援を述べるならば、障害者総合支援法の活用と拡充で良いはずで、なぜ警察が出てくるのか。「支援という名前を借りた監視」は許されません。難病の人は支援を、病名によって制限されています。行政は、本人の生活よりも医学的なことを重視するのです。多くの自治体では地域生活のために必要な介護時間の上限を勝手に設け、国はその実態を容認しています。介護保険では、一人暮らしの人に欠かせない家事支援、生活援助を勝手に必要ないと決めつけ、国の事業から外そうとしています。
今日の集会でみえてきたのは、“財政難”というインチキ言葉を多用し、しょうがいや病名ごとで施策を分け、本人の自立した生活に向き合わない、生活の最も基盤となる生活保護を切り捨て、支援が必要ならばできるだけ地域住民のボランティアを使えと、国家が担うべき憲法第25条の責任を軽くしようとする国の姿勢です。障害者権利条約、骨格提言と相反するものです。
しょうがいや病気があると、家族から独立して市民生活を送るのは、そんなにだめなのでしょうか。「障害者自立支援法違憲訴訟団」と国との基本合意や骨格提言では、そのようなことは全く書かれていません。2つの文章では、公的支援を受けながら自立生活をすることは、権利として述べられています。先月の9月29日に行われた私たちと厚生労働省の意見交換で、厚労省の職員は、骨格提言を「これから読んでみます」とおっしゃったのですが、あれからきちんと読まれたのでしょうか。
私たち大フォーラムは、違憲訴訟団と国との基本合意に基づいて創られた「障害者総合福祉法の骨格に関する総合福祉部会の提言」の完全実現を求めています。この骨格提言は、ひとを線引きしない福祉政策を提言しており、しょうがい・病気があっても地域で十分に生活できる社会、優生思想がはいりこむよちがない社会を描いています。
私たち大フォーラムは、他の団体と連携し、「市民として生活したい」を深く追求し、強く訴え続けます。
2017年10月27日
「骨格提言」の完全実現を求める10.27大フォーラム参加者一同
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合理的配慮は、“義務”に
10月15日(日)、DPI東京シンポジウム「東京都障害者差別解消条例制定の動きと障害者差別解消法の見直しを考える」が開かれた。都条例検討委員の秋山浩子さんに、検討状況について話してもらい、「今、民間事業者は合理的配慮の義務化に反対しており、その義務化が分からなくなってきている」とした。各地の取り組みも報告された。
採択された集会アピールは以下の通り。
(文:尾上(裕))
実効性ある東京都障害者差別解消条例の制定を求める
10.15 アピール
私たちDPI東京行動委員会は、本日10月15日に、東京都障害者差別解消条例検討委員である秋山浩子さん(自立生活センター日野事務局長)をお招きし、東京都多摩障害者スポーツセンターで、DPI東京シンポジウム「東京都障害者差別解消条例制定の動きと障害者差別解消法の見直しを考える」を行いました。
様々な意見が出されましたが、「実効性ある東京都障害者差別解消条例の制定」が共通の大きな声です。
私たちは、以下のことを強く求めます。
記
1、
国の障害者差別解消法のレベルを上回る真に実効性ある障害者差別解消条例とすること。
2、
それには紛争解決の仕組みが重要となり、悪質な事業者については、公表を含めた、実効性のある紛争解決の仕組みとすること。
3、
現在検討会で審議されている、専門相談機関と第三者機関については、その両方に障害当事者を参画させること。
4、
東京都で暮らす障害者が、どこの区市町村で暮らしていても相談対応について差別されることがないようにすること。
5、
障害や差別を定義化し、特に差別については、直接差別のみならず、間接差別、関連差別、合理的配慮の不提供を組み込むこと。
6、
また、障害の定義については、骨折などの一時的障害も入れること。
7、
合理的配慮については、民間事業者も義務化すること。
8、
女性障害者などの複合差別の解消も総則で明記すること。
9、
条例の制定および、制定後の見直しにあたっては、絶えず障害当事者の意見を基本にして行うこと。
2017年10月15日 DPI東京シンポジウム「東京都障害者差別解消条例制定の動きと障害者差別解消法の見直しを考える」参加者一同
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「やな事・丸投げ」政策
-10.27大フォーラム・厚労省と意見交換―
9月29日(金)障害連も参加している『「骨格提言」の完全実現を求める10.27大フォーラム実行委員会』は厚生労働省へ質問状を提出、意見交換をした。
地域移行について、厚労省は「グループホームを増やして新規の施設入所者は減っている、目標値は更に下げていきたい」などと回答。参加者からは「医療的ケアが必要な人、強度行動障害のある人など、支援ニーズが大きい人ほど施設に置き去り」などの声があった。また、精神科病院の社会的入院の解消問題については、「重度及び慢性」という概念を持ち出してきた。
「社会環境の問題を個人の問題にすり替えているのでは」という質問に対しては「社会的入院と認識している」という回答はあったものの、公的な文書で「社会的入院」という言葉を全く使わなくなった理由は説明されなかった。
障害総合支援法の対象問題については、厚労省は「総合支援法はサービス給付法なので公平性の観点から客観的な診断基準が必要」と、昨年同様の回答を繰り返した。参加者は「客観的な診断基準という概念がおかしい。医師の診断を受けているのになぜ排除されるのか」「その人の状態が根拠ではないのか」「障害支援区分では状態を評価しているのに、なぜ病名で申請できないのか」と発言。厚労省は明確な回答を避けた。骨格提言では慢性疾患をもつ人への具体的なサービス支給の方法が述べられていることについて「骨格提言は読んだことがない」と驚きの回答だった。
入院時の重度訪問介護の利用については、厚労省は「医療者にその人のコミュニケーション支援の方法を伝えることを想定している」とした。参加者からは「友人は看護師の不慣れな介助で病状が悪化して、ヘルパー派遣を求めながら亡くなった」「尿意を感じてナースコールを押しても、慣れた介助者ではない看護師では出せなくなり、看護師に殴られた」などの実情があがった。問題を置き去りにして地域の現場へ丸投げしようとする姿勢が見えた。
報酬改定委員会の議論も、来年公表としたが、このままいけば、障害当事者の声は無視されそうだ。→10月27日(金)は日比谷で大フォーラムです。みんな集まろう!
(文:
尾上(裕))
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パーソナルアシスタンス制度、都に強く要望(全都在障会)
障害連事務局次長 尾上裕亮
私は今一人暮らしをしようと、介助のことを考えたりアパートを探しているところだが、そんな矢先、全都在障会と東京都で話し合いがあり自分も参加した。
都はグループホームについては力を入れているようだが、一人暮らしにはあまり力を入れていない様子だった。一人暮らしについては、数値目標もないとのことであった。話し合いでは、知的障害の当事者が東京都に対して「グループホームではなく、地域で一人暮らしをしたい」とはっきりとこう訴えていた。支援を受けながら自分の選ぶところで暮らすことは、誰でももっている思いで、声を出すことが大事であると再確認できた。
パーソナルアシスタントサービス(研修を受けていない人が障害者の意思に基づいて介助する)についても昨年と同様、「検討する」という回答にとどまった。介助者が足りない理由のひとつに「研修を受けた者」に限られていることがあり、そういうことをもっと理解してほしいと強く感じた。
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地域も、施設も、いつも改革する努力を
―障害連 自立生活のさらなる重要性を再確認するシンポジウム―
8月5日(土)、障害連シンポジウム「私たちにとって、くらしの場とは何か? パート2」を行った。
相模原市のやまゆり園事件検証委員会の座長を務めた石渡和実さんは、報告書は防犯のことよりも、地域にひられた施設、人権教育の重要性を訴えたかったが、それがうまくメディアに伝わなかったと振り返った。事件後、神奈川県の福祉関係者同士で対話が増えたり、田舎の施設から都会にある施設に移った人が様々な経験をできた事例を紹介し、「入所施設ありきの選択肢はいけない」とした。
施設入所者の小上泰雄さんは、「楽しいこともあるが、職員が足りず外出できないことが多くなった」と当事者の現状を述べた。「施設で暮らしても地域で暮らしても課題がある。改善していく努力することが大切」だと訴えた。
地域で自立生活をしている中根英樹さんは、事故で障害者になり数年間、病院や実家にいたが、自立していた人の話を聞いて行動したという。「家探しや介助者確保など大変だったが、自由にいつも出かけられることがとても良かった」と述べ、「今は自立している障害者が多く、使える制度もあるので、どんどん地域で暮らしてほしい」と鼓舞した。
大橋和子さんは、この日ご家族の関係で、出席できなくなったが、事前に用意された原稿をスタッフが読み上げた。「障害者と健常者は分けられて育つため、介護される側、する側の関係のみで接するとカルチャーショックを受ける。職員は働いて1年で迷う」。障害者施設で長年働いていた経験から考えを明らかにし、相模原事件との関係にも触れた。
太田は、「自分が施設にいた頃、暴力は日常的にあった。今もそういう話を聞く。介助者との関係では、地域も同じような問題を抱えている。」と指摘した。
フロアからは、施設で外出しにくい現状が語られる一方で、大阪では入所者でもガイドベルパーが利用できるといった、自治体間格差も浮き彫りになった。また、家族旅行をしようとしたら障害を理由に拒否された差別事例が述べられ、差別が起きたら仲間と迅速に共有・行動する必要性が提起された。
シンポジウムの前に、障害連の総会が開かれた。2016年度活動報告、決算報告、2017年度活動方針、予算が議論され、全会一致で承認された。役員体制もほぼ継続が確認された。
(文:尾上(裕))
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No.383 2017.6.8(木)
治安目的の精神保健福祉法「改正」案を廃案へ!
6月8日(木)、「こんどの精神保健福祉法「改正」案は絶対におかしい!!6.8院内集会」が開かれた。当事者の戸田さんは、説明もなく措置入院となり、身体拘束や家族との面会を制限されたと振り返った。「支援してくれる友人がいなければ今も病院かもしれなかった」とした。弁護士の佐々木さんは委員の経験から精神医療審査会が、権利擁護の役割を全く果たしていないことを鋭く告発した。採択された決議文は下記。
(文:尾上(裕))
決議文
5月17日、参議院本会議において精神保健福祉法改正法案が可決され、衆議院に送付された。
本法案は、当初の趣旨説明分にあったような相模原障害者施設における殺傷事件の再発防止に端を発した立法事実のない法案である。政府は、法案審議中にその趣旨説明を削除するという暴挙に出たが、どんな取り繕うとも、精神保健福祉法を事件の再発防止という法の目的にない治安目的で用いようとすることに変わりはなく、法治国家としてもあるまじきことである。これは大臣が謝罪すれば済むということではなく、直ちに法案を取り下げるべきである。
このような法案が仮に衆議院でも可決されることになれば、精神障害者に対する監視が強まり、精神障害者を危険視する偏見がさらに助長されてしまうことになる。
措置入院をした者への退院後支援計画の策定は各自治体の義務となっており、当事者抜きでも可能となったままである。また、精神障害者支援地域協議会に警察が参加し、個別の情報が警察に伝わる可能性もある。
以上のような大きな問題点を残したまま採決が行われ、数の力で参議院においては可決されるに至ったが、到底容認できるものではない。
我々は、本法案の廃案を強く求める。
以上、決議する。
2017年6月8日
こんどの精神保健福祉法「改正」案は絶対におかしい!! 6.8院内集会 参加者一同
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No.382 2017.5.29(月)
『手話言語は、別の条例を検討しつつ、解消条例でも』
―複合差別についても提起される―
5月26日(金)、第3回目の障害者への理解促進及び差別解消のための条例制定に係る検討部会が開かれた。団体ヒアリングのまとめや情報保障について議論された。
ヒアリングは4月末に22団体に対して行われ、「障害者権利条約や障害者差別解消法の趣旨を反映すべき」「事業者に対しても合理的配慮を義務にしてもらいたい」「差別を相談しやすい環境を整備する必要がある」等の意見があった。これに関連し秋山委員は、DPI女性ネットワークの調査資料をもとに、複合差別の禁止を都条例に盛りこんでもらいたいと訴えた。入所施設で女性利用者の入浴に男性職員が入りそれを断ると入浴できないこと、 DVシェルターに障害者が入れないなど「普通なら認められる女性の権利も障害があると認められない」と述べた。
情報保障に関する意見表明として佐々木委員は、情報を受け取り発信するのは憲法上の権利と述べ、様々な方法による情報保障の重要性を訴えた。また越智委員は「手話言語条例の制定」を訴えつつ「解消条例でも手話は言語である」ことを位置づける必要性ついて述べた。そのほか「情報保障は知的障害、発達障害の人も必要。意思疎通という場合、伝わりやすさも大切になってくるのでは」といった意見があった。
(文:尾上(裕))
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No.381 2017.5.15(月)
「つきそいが条件」、おかしい!
「保護者につきそいを求めないことで、学校・先生・本人にリスクマネージメントの力がつく」。障害当事者の海老原さんは、集会の挨拶でこう述べた。
5月11日(木)、「障害のある子どもの合理的配慮を考える集い」が開かれた。DPI日本会議や障害のある子どもの合理的配慮を考える集い実行委員会などの共催。保護者による学校つきそいを主な問題点としたもので、全国から約120名が集まった。
障害当事者の川端さんは学校時代、普段は介助員がついていたが、宿泊行事などには親のつきそい必要だったという。あるときの宿泊で親の仕事のため、楽しみにしていた夜のキャンプファイヤーと残りのイベントに参加できなかった経験を述べ、「今の生活のようにヘルパー生活であれば学校時代も違ったかもしれない」と振り返った。五位淵さんは、「一緒にいることを前提に、他の者と同じように学べる環境・工夫が必要だ」と述べ、親のつきそいが通学の条件にされることの不合理を訴えた。高校3年間、親のつきそいを求められ、経済的に負担だった同時に親がいることで、友人関係が思い通りに築けず自由に遊べなかったという。
集会では、保護者からも報告があった。谷口さんは、給食時によるつきそい課題について提起した。子どもの可能性を感じ普通学校に入学したが、入学前から「こちらでは給食をペーストにすることはできない、委託契約にはない」と言われたという。足立さんは、支援員はいても週3回までであったり、教育委員会が医療行為を一部禁止する等により、つきそいをせざるを得ない現状を述べた。母親の体調でつきそいができず父親が育児・介護休業をとったとき、教育委員会からは“訪問教育を受けては?”等と言われたという。谷口さんや足立さんは現在、学校・教育委員会側に、さらなる理解を求めている。
DPIの尾上さんは、今後の運動として「統計的調査と同時につきそい実態を当事者が訴えることが重要だ」と述べた。
(文:尾上(裕))
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No.380 2017.5.1(月)
本格的な議論 始まる
―第2回都条例検討部会―
「多くの条例では“障害の理解を促進する”ということになっているが、医学モデルの発想。本来ならば障害者と社会障壁に関する理解の促進とするべきだ」。川内委員長は、条例における都民の責務についてこう述べた。
4月21日(金)、第2回目の障害者への理解促進及び差別解消のための条例制定に係る検討部会が開かれた。議題は、都民及び事業者の責務。
委員からは「事業者のなかでも,交通系インフラの事業者の合理的配慮が重要」「都民の定義は広くしてもらいたい」という意見があった。論点に挙がったのは、責務に障害当事者を含めるかどうか。「差別をうけているのは障害者だから、責務には含まないほうが良い」「含めると合理的配慮の意思表明をしなければならず、知的障害の人にはハードルが高くなるのではないか」,一方で「責務には障害当事者も含めることが大切」という発言があった。
この日は八王子市から、市条例の運用状況が紹介された。委員からは「調整委員会には障害当事者はいるか」「委員会の構成には当事者が入るのは重要」という意見があった。これに対し八王子市は「調整委員会の当事者は1名だが、連携している障害者自立支援協議会には様々な障害当事者がいる」とした。また「改正して保育の条項を加えたのに、なぜ合理的配慮が努力目標にしたのか」という指摘があった。
(文:尾上(裕))
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No.379 2017.4.3(月)
乗りたいときに乗れるように!
3月27日(月)、交通行動東京実行委員会がJR東日本と意見交換会をもった。
メンバーは「自分の最寄り駅では一部の時間帯で無人駅になり、その間は乗降できない」「待っていると警備員が謝ってくるが。謝るべきはJRのはず」とJR東の車イス利用者を待たせる体質を問うた。「ある駅ではエレベータ完備にもかかわらずスロープ板の用意があるため2週間前に連絡してくれと言われた」という経験談も出された。JRは、具体的な改善策は述べなかったが、「2週間前というのはあまりだと思うので改善する」とした。
ハンドル型車イスについては、現在、国土交通省で乗れるようにルール改正をしているという。改正されるまでは「ステッカーを貼っている車イスは乗せる」と従来の姿勢を崩さなかった。
リクライニング式車イスに乗っている子どもが、修学旅行で新幹線を乗車拒否された件に関し、JRは「その後、本人と保護者とともに車イスの形状を確認し、特定の車両ならば乗れることが分かった。修学旅行時はその車両に乗っていただく」と述べた。その子どもが大人になり電車利用が多くなった場合、どのような対応をするのかはなはだ疑問である。
(文:尾上(裕))
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我が事・丸ごとでも、障害者政策は現状の通り…
―障害連、厚労省との意見交換会―
「我が事・丸ごと政策は、縦割りをなくし、柔軟にサービスが提供されるようにするもの、現サービスを縮小・廃止するものではなく、同政策で重度訪問介護がなくならないし、現状の障害者政策については厚労省全体の考え方」と厚労省は言明した。
3月13日(月)、障害連は厚労省と意見交換会をもった。
入院時の重度訪問介護の利用について、「まず区分6からはじめ、その後見直したい」という回答があった。
また難病等に関連して、「生活しづらさ調査」の当事者ヒアリングについては、社保審障害者部会などを通じ、またJPAなどに聞いた。ということだった。
なおメンバーから「自分の市では、介護保険の支給サービスを使い切ってからでなければ、障害者福祉のサービスを使えないと言われた」という訴えがあった。これに対して厚労省は、「あくまで自治体の決めることだが、厚労省としては個別ニーズに即して併用できるように通知を出している」とした。
「我が事・丸ごと」は、国の財政問題が大きな要因になっていることは、誰もが認めるところだろう。サービスを柔軟に提供できるようになることは、それ自体良いことだ。しかし生活に困っている人がさらに追い込まれないように注意していく視点を持つと同時に、権利条約に基づいた障害者政策が前進するように、働きかけが求められる。
この日は、厚労省は照井障害福祉課課長補佐を含め3名で対応、障害連は関根代表を含む8名が出席した
(文:尾上(裕))
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実効性ある都条例にむけて
3月7日(火)、都は第1回障害者への理解促進及び差別解消のための条例策定に係わる検討部会が開いた。検討部会には、女性障害者や知的障害、精神障害の当事者が加わる。
冒頭挨拶として、川内部会長は「東京ならではの条例を創りたい」、池原副部会長は「解消法では障害者の権利性について述べていない。都条例では多様性の尊重等の理念的なことと同時に、権利性を述べたい」とした。
当事者委員は、「複合差別についても積極的に盛りこんでもらいたい」、「差別について気軽に相談できる仕組みや、解決事例を共有できる仕組みが必要」、「学校教員にも偏見がある現状。差別を無くすためには教育分野が重要」といった発言があった。その他、「“障害者”の定義について議論してもらいたい」、「特別支援学校でも合理的配慮について悩む。過重な負担の基準を示してほしい」等の意見があった。
意見の方向性は「実効性ある条例」であったし、事務局の都は「上乗せ・横出し」も検討していきたいとした。
検討部会では各回のテーマに応じて、ゲストスピーカを招く。ヒアリングは、当事者団体に対して4月下旬~5月中旬、事業者団体に対しては夏頃に実施する。
(文:尾上(裕))
No.376 2017.2.13(月)
「差別をなくす」条例について東京都と意見交換
―DPI東京行動委員会―
「国の差別解消法のレベルを上回った条例をつくれるように努力したい、例えば、相談、紛争解決の仕組みなど…」と、下川課長は答えた。
2月13日(月)DPI東京行動委員会は、東京都障害者施策推進部共生社会推進担当課長下川課長、東京都総務部小河原人権部企画課長などと意見交換を行った。
部会の当事者委員参加について、DPI東京側の指摘に対し、下川課長は「重く受け止めたい」と答えた。
要望項目は以下の通り。
1.
小池知事が所信表明で明らかにされたように、相談、紛争解決の仕組みの整備、意思疎通支援への配慮は、障害を理由とする差別をなくす条例には是非とも必要な課題であり前提条件でもある、その条例制定の実現化を図るため、東京都障害者差別解消支援協議会およびその専門部会における障害を持つ当事者をはじめ、多様な立場にある構成員の意見が十分に反映されたものとすること。
2.
東京都障害者差別解消協議会における上記の条例制定を検討する部会の構成員については、障害のバランスやジェンダーバランスを配慮したものとすること。さらに必要に応じて障害者団体からのヒアリングを実施し、障害者の実態を反映させていくこと。
3.
条例策定においては、この条例が障害者の人権に関わるものととらえられ、障害担当部局のみならず、局を超えた横断的な体制をつくっていくために、総務局人権部が深く関わっていくこと。
4.
2020年の東京オリンピック・パラリンピックを控え、条例制定の営み等を通して、日本の首都東京がマイノリティーを包括するインクルーシブな国際都市であることを内外に訴えられるようにすること。
(文:太田)
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No.375 2017.2.6(月)
都「差別解消」条例、検討スタート!
各地で条例制定がされているが、東京都も動き出した。2月3日(金)、第2回の東京都障害者差別解消支援地域協議会が開かれた。
協議会に条例制定に係る検討部会がされることになった。事務局案では、条例検討部会は公開制で3月から全9回行い、2018年2~3月頃にパブリックコメントし、修正を経て、18年10月の施行をめざすという。条例には次の4項目を盛りこむ予定。都民及び事業者の理解促進、事業者による取り組みの推進、社会参加促進のための情報保障(手話等)の推進、相談・紛争解決の仕組みの明確化。
部会長になった川内委員は「この条例は障害者に特別な権利を与えるものでなく、障害のない人が普通に行えることを障害者ができるものにしたい」と述べた。委員からは「この支協議会・条例検討部会には、精神当事者がいないのはどうしてか」という指摘があった。事務局は「検討します」と答えた。
昨年10月から約2ヶ月間実施した、障害者差別事例及び合理的配慮の好事例等の調査は124件の事例があった。結果は以下のウェブページの下のほうに掲載されている。
4名の委員による発表があり、合理的配慮の必要性や障害者差別解消法の課題について述べられた。東京都盲人福祉協会の佐々木委員は、鉄道駅舎のホームドア設置状況が低迷であることに対して「設置は過重な負担と言われるが、人の命と比較できるのか」とし、解消法の解釈の充実、条例による補完の意義を訴えた。
国の政策にも影響を与える東京都の動きは今後注目していく必要がある。
東京都障害者差別解消支援協議会に関する(東京都ホームページ内)
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shougai/shougai_shisaku/tiikikyougikai.html
施設はどこも障害者を非人間的に扱う
―1.26神奈川集会―
「入所者それぞれが希望する生活を実現するために、やまゆり園の入所者の希望をていねいにききとり、計画をつくることを、私たちは神奈川県にもとめます」などを柱とするアピールを、1.26神奈川集会は採択した。この日、相模原障害者殺傷事件から半年が経つ。
会場のかながわ県民センターは、県の施設立て替え方針に異議申し立てをしようと、障害者たちであふれんばかりであった。県知事もその流れは無視できず、立て替え問題について「再検討する」とした報道もあった。
この日は、河東田博さん(浦和大学特任教授)、大熊由紀子さん(国際医療福祉大学大学院教授)などが問題提起をした。二人とも施設はノーマライゼーションの基本原則に反するものだとした。スウェーデンなどの北欧の国々は、ノーマライゼーションの理念に照らして、施設をなくしていき、障害が重くても地域社会の中で暮らせるような環境をつくり出していった、と話した。
(文:太田)
理想、原則を追い求める運動を
―地域でくらすための勉強会 part2―
「状況がどんなに難しくても“私達のことを私達ぬきに決めるな”等の理想を貫き、実践していくことが僕らには必要だ」。鈴木治郎さん(神奈川県障害者自立生活支援センター)は、やまゆり園の再生構想で“入所者の意思確認は困難”とする知事の姿勢に対して、こう述べた。
1月28日(土)、地域でくらすための東京ネットワーク主催の勉強会「津久井やまゆり園事件と東京の精神保健福祉の体験を語り合おう」が開かれた。
第一部ではやまゆり園事件を考えた。「県、施設、家族は、入所者の立場に立って考えていない」としたのは佐々木信行さん(ピープルファストジャパン)。「検討が支援のことではなく建て替えありきで進めている」と指摘し、地域でのびのび生活することの大切さを訴えた。古賀典夫さん(怒りネット)は、事件の原因のひとつは、社会の様々なところで分断されて弱いものいじめが起きていることによるとした。「私達は連帯しながらそれをストップしなければならない」と呼びかけた。
第二部では、東京の精神医療福祉の実態について語られた。戸田和博さん(精神障害当事者)は、措置入院の経験を「隔離・収容・幽閉とよく言われるが、自分の体験は全くそれだった」と振り返った。他のシンポジストからも相談対応等から見えた東京都の精神保健福祉の実情が報告された。第三部では、会場からそれぞれの思いが語られた。行政や病院など、生活に欠かせない機関から搾取されたり無視されたりする状況がある中、孤立無援で追い込まれてしまう障害当事者と、どう向き合ってどうつながっていくのか。虐待防止法や差別解消法を建前ではなく、私たちの生活に活用するためには何がたりないのか。深く考える勉強会だった。
(文:尾上(裕))
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権利条約を身近なものに
―第5回DPI障害者政策討論集会―
「スケジュール的に来年から再来年が障害者基本法を改正するチャンス」。DPIの尾上さんはこう述べ、障害者政策委員会への注目や改正運動を展開していこうと呼びかけた。
12月10日(土)・11日(日)、第5回DPI障害者政策討論集会が開かれた。全体会では、障害者基本法の改正について議論。障害者政策委員の委員長の石川さんは、「改正法では、障害者権利条約をしっかり位置づけ、政策委員会が条約監視をしやすくすることが必要」と訴えた。
弁護士の野村茂樹さんも、「日本の差別禁止法制は監視、救済機能が脆弱」とし、まずは基本法を変えることの必要性を述べた。政策委員の阿部一彦さんは、現行法では障害者基本計画の枠組みでしか議論できず、介護保険の問題などが抜け落ちることがあると指摘。
DPI女性ネットの藤原久美子さんは、団体で調査をして、色んな複合差別は生活の様々な場面であるとわかったという。現在でも根強くあって、声を挙げなければならないとした。
分科会はテーマごとに4つあった。教育に関する分科会では、権利条約のインクルーシブ教育と日本との違いについて議論。インクルネットほっかいどうの山崎恵さんは、2016年春にダウン症の生徒が定員内不合格になったことに対する抗議行動の経緯を話し、「特別支援教育、能力教育の考え方が浸透しているなか、インクルーシブ教育を求めていくのは難しい」と実情を述べた。大学研究員の一木さんは「近年“十分な教育のための”合理的配慮という理由で分離を進んでいる」と指摘。しかし、そんななかでも、共に学校生活をする合理的配慮の実践もあるので、その実践を広めていきたいと訴えた。
権利条約の教育に関する一般意見を紹介してくれたのはDPIの崔さん。一般意見では、分離、一般的教育制度とは何か等、権利条約をどのように解釈すれば良いか具体的に示されており、「これをみれば、いかに日本が権利条約の内容と違うのか明白にしてくれる」とした。
(文:尾上(裕))
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事業者としての創意工夫を!
―交通行動東京実行委員会 交渉―
12月8日(木)と13日(火)、「誰もが使える交通機関を求める全国行動」東京実行委員会は、それぞれ、バス、鉄道事業者との意見交換会をもった。
要望に対してバス事業者は、高速バスのリスト導入については、「数社が試行実験をしているが、重量の増加や乗車人数が減ってしまい難しい」、乗車拒否に関しては「車イスが回転できない、うまく固定できない場合には、他の乗客の安全を考慮しなければならない」等とした。メンバーからは、「工夫をすればリフト車も走れるはず」、「ハンドル形電動車いすや大きな車イスのユーザの乗車拒否は、明らかに差別」、「話を聞いていると、障害者は数が少ないから我慢しろと聞こえるが、高齢化もあり障害者はこれからもっと増える。お金の問題ではない」と訴えた。
鉄道事業者とは8日のバス協会の時よりも増して、ハンドル形電動車イスなどの乗車問題が注目された
複数の事業者で「補装具交付証明書の提示を求める」、「国の報告書に合致する車両で乗車可能」、「エレベータや昇降機には乗れない場合がある」という回答だった。これに対してメンバーは「各社はバリアフリールートを確保していると言っているが、ハンドル形電動車イスは乗れない。なぜ差別をするのか」、「設備的に乗車可能なのに乗せない。差別解消法に抵触している」、「毎年、要望しているのに進展がない」といった発言があった。
自閉症の当事者から「駅・電車のLED証明のドットが眩しく体調が悪くなる。一部で導入化されている加工されたLED使ってもらいたい」といった指摘もあった。
(文:尾上(裕))
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No.371 2016.12.15(木)
自立支援法違憲訴訟団、厚労省と定期協議(12.12)
障害者自立支援法違憲訴訟団は、去る12月12日(月)、約1年半ぶりの定期協議を行った。
この間、総合支援法は3年後の見直しが今年行われた。
障害者自立支援法違憲訴訟団からは、元原告の秋保夫妻がビデオレターで出席・発言した。
「65歳を過ぎ介護保険との併用となる、利用者負担の面からも、サービス面からもきつい状況が続いている。」と切々と訴えた。
さらに協議では訴訟団から「必要な介護の半分しか自治体から認められず、生理的な部分まで我慢をしいられている。」状況などが述べられていった。
これに対して厚労省は、「自治体が必要な状況を1番わかっているはずなので、自治体に支給の決定については委ねている。」と、原則的な答弁を繰り返した。
「我が事・丸ごと」についても指摘したが、「我が事・丸ごとは縦割り行政の考えをなくしていくためのもの。介護保険との統合は前提にしていない。」と答えた。
この日の厚労省の出席者は堀内詔子政務官、堀江裕障害保健福祉部長などであった。
(文:太田)
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相模原事件を風化させるな
―中身の濃いJDF全国フォーラム(12.6)―
相模原障害者殺傷事件から三か月。「今障害者が恐怖心を解かれつつある中、少しずつ口を開こうとしている一方、社会の方は相模原殺傷事件を忘れつつある。この溝をいかにして埋められるか」尾上浩二DPI日本会議副議長は述べた。
12月6日(火)JDF全国フォーラムが全社協で開かれた。メインは“相模原事件を考えるディスカッション”だった。「事件のあと、外を歩くのが怖くなった」あるいは、やまゆり園の入所者の家族からは、「息子は事件で怪我をさせられ、回復してきたが、障害者である息子が家族の宝であることを再認識できた」「優生思想の問題は、容疑者だけの問題ではなく、その後のネットなどで彼を支持する発言も多く出され、そういう動きと、対峙していかなければならない」などの発言が相次いだ。
午後は「権利条約の目指す社会に向けて」をテーマにパネルディスカッション。権利条約を批准し、障害者差別解消法がスタートした今、実際のところはまだまだで、これから中身をきちんとさせなければならない、という意見が相次いだ。障害者差別解消法を補う役割として期待されるのが条例、という発言もあった。
(文:太田)
No.369 2016.11.17(木)
条例、「様々な角度から議論している」と答える
障害連、都と懇談会をもつ
11月15日(火)、障害連は東京都福祉保健局と懇談をもった。
懇談のなかで、今後に期待をもてたのは差別禁止条例についてであった。都は「差別解消法に基づき9月から差別解消支援協議会を立ち上げ、差別事例を広く集めている」と答えた。差別禁止条例の検討について「他の自治体の状況や、実態を把握した上で、様々な角度から議論する」と答えた。
入所施設で利用者の社会参加が保障されていない問題について、都は「福祉施設サービス推進費を施設に出し、外出や日中活動の充実にあてられるようにしている」と述べた。しかし「外出の実態を把握しているのか」とただすと、「把握はしていないが、問題があれば、第三者機関などで相談を受け付けている」と答え、従来同様、要望にまともに答えなかった。
難病については、「国に対してはサービスの範囲の拡大について、生活実態に即して検討をしていくことを都として要望している」「都独自の指定難病については維持するが、新たに指定することはない」と答えた。
施設利用者の外出問題にみられるように、わかりにくい回答が多く、今後率直なわかりやすい回答を求めたい。
この日は関根代表をはじめ役員6名が参加、東京都からは、西脇地域生活支援課課長など、各課が対応した。
(文:尾上(裕))
東京都では、差別事例を募集しています。皆さんの体験したこと(見聞きしたことでもOK)を投函しましょう!
(東京都福祉保健局内のウェブページ:
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shougai/shougai_shisaku/tiikikyougikai.html
)
優生思想と闘うぞ!
-10.27大フォーラム、日比谷で-
10月27日(木)「優生思想に断固反対しヘイトクライム(暴力・差別)を許さない『骨格提言』の完全実現を求める10.27大フォーラム」が日比谷野外音楽堂で開かれた。
第1部『相模原事件に抗議する』では「今すべきことは、相模原事件はヘイトクライムであると認識すること、隔離収容主義・施設主義をやめること」。こらーるたいとうの加藤さんは、政府の事件対応のおかしさを指摘しながら訴えた。登壇者からは、「やはり、施設を出た今の生活が良い」、「入所施設では虐待がたくさんある。実態を知ってもらいたい」、「施設では事件について積極的に議論しようという空気は少ない。目の前の仕事に忙殺されず脱施設について深く考えていく必要がある」、「重度障害者の介助の大変さが報じられているが、問題を障害者のせいにしないでほしい」など、自治体首長、知的障害者、精神障害者、神経筋疾患、療護施設、福祉労働者・支援者、報道記者、脳性マヒ者など、さまざまな立場から力強い抗議の声があがった。
第2部『連帯アピール』でも「骨格提言は多くの障害者団体が合意するものだが、政府は実現に極めて消極的」、「最近の政策は、骨格提言のときと違い当事者不在で進められている」、「砂糖菓子のような甘くきれいな言葉を並べて、社会保障の大後退が進められている」、「国会は、優生思想をなくすための集中審議を開く必要がある」、「犯人の生育歴や特異性のみ焦点化され傷害事件として取り扱うのはおかしい」などの声が続いた。
第3部『リレートーク「骨格提言の完全実現を求める」』の中でも、「相模原事件と出生前診断による中絶には共通する部分がある」、「安倍総理は無視しないで『社会モデルへ転換する』と明言して」「生活保護費も危ない。切り下げは団結して反対しよう」など、やはりさまざまな立場から抗議の声があがった。集会後、厚生労働省前で抗議行動が行われ、「入所施設をなくせ」「人を切り捨てないで」などと訴えた。
(文:尾上(裕)、西田)
10.27大フォーラム ホームページ http://daiforamu1027.jimdo.com/
集会の映像 https://youtu.be/HDXBW2dWQEo
満場一致で採択された集会アピール文は、以下。
10.27大フォーラム
集会アピール
障害者差別解消法が施行された今年、私たちにとってひじょうに哀しい事件が起きました。
7月26日未明、神奈川県相模原市にあるしょうがいしゃ施設・津久井やまゆり園で、男が侵入し、入所者19名を死亡させ、27名を負傷させた事件。 被害にあわれたかたのご冥福をお祈りするとともに、順調な回復をお祈りいたします。
犯人は、ことし2月に、しょうがいしゃは社会にとって不要な存在とする手紙を衆議院議長宛に書いていたり、「彼らはいなくなればいい」と話すなど、しょうがいしゃに対するゆがんだ考えをもっていました。
私たちはこの事件に対して、怖さと怒りをおぼえています。私たちの仲間には、「自分たちもおそわれないか」、「周りの人も“しょうがいしゃはいなくなればいい”と思っているのではないか」。そして、犯人を何の根拠もなく精神障害と決めつける政府や世間に対して、「自分も危険な人物としてみられないか」と思ってしまう人が多くいます。
「骨格提言」の完全実現を求める大フォーラムは、このような思いを共有し、ともに不安を乗り越えます。また、事件でふたたび浮き彫りになった社会の障害者不要論、しょうがいしゃを排除しようとするちからに対して断固反対し、しょうがいしゃが入所施設ではなく地域で暮らすことのできる環境整備を強く求めます。
この事件の根底にあるのは優生思想です。優生思想とは、人間の命に優劣をつける思想で、世界はもとより日本に昔からありました。たとえば、しょうがいしゃを保護者、施設職員がころす事件は、くりかえされていて、保護者に対する減刑嘆願・同情的報道は、減りません。つい20年前まで、優生保護法が存在して、そのなかには不良な子孫の発生予防という条項がありました。
政府は長年、しょうがいしゃを地域で暮らせるようにすることよりも、本人の意に反してとおい施設で生活させることにちからをいれてきました。1960年代からの経済成長期には、都市から離れた場所に入所施設をどんどん建てて、定員を満たすようにしょうがいしゃを入れてました。現在、入所施設にいる人は、精神障害で32.3万人、知的障害で11.9万人、身体障害で7.3万人います。また急速な高齢化社会により「入所施設にいれる」ということに何ら疑問を持たない世間があります。
しかし私たちは知っています。入所施設は“効率的な介護”が行われ、職員に従わなければいつ虐待がおこるかわからない状態であることを。本人の意志ではなく、家族や地域の事情と意志で入所させられることを。そして「厄介者は外へ一カ所に」という論理が、ひとびとのなかに働いているため、自治体は在宅サービスの充実や脱施設化をすすめないことを。これらに共通することは、しょうがいしゃを何もできない者、邪魔な存在とする優生思想が働いており、根底では相模原事件の犯人と同じなのです。
今日の集会で語られたように、政府は優生思想そのものを否定はせず、むしろ擁護するような政策を出しています。出生前診断で陽性だったひとの9割が中絶をえらんでしまうのは、しょうがいじを安心して育てられる環境の整備を社会があえて放棄しているからです。障害者虐待防止法の改正議論をはじめず、学校・病院を対象外のままにしつづけることは、しょうがいしゃの人権を軽んじでいるからではないでしょうか。改正される総合支援法は、「地域でどうくらせるか」という発想ではなく、「弱者はがまんせよ」という立場にたって、地域格差や、障害の種別・程度による支援格差をひろげています。政府は相模原事件の原因である優生思想をひとことも批判していません。それどころか厚生労働省は事件の原因を精神医療の不備にもとめ、措置入院の強化という、精神しょうがい者の社会復帰の促進とはまったく逆の方向を向いています。3年前に日本が批准した障害者権利条約にも反しています。
優生思想をもつ為政者は、どの時代にもいました。しかしすでに述べたような社会環境にあるいま、優生思想に同調する言動があちらこちらで聞かれます。
2011年に当事者と関係者55名がまとめた「障害者総合福祉法の骨格に関する総合福祉部会の提言」は、ひとを線引きしない福祉政策を提言しており、優生思想がはいりこむよちがない社会を描いています。私たち大フォーラムは、この骨格提言を完全実現させることが、優生思想をなくすみちだと確信しています。今後とも、他の団体と広く連帯して、優生思想を根絶させる運動、骨格提言を実現させる運動をしていきます。
2016年10月27日(木)
「骨格提言」の完全実現を求める10.27大フォーラム 参加者一同
No.367 2016.10.18(火)
広い視点で真相究明を
「精神医療の問題としてのみ伝えられ,それが事件の本質であるという誤解を招いている」としたのは新聞記者の原昌平さん。10月12日(水)、心神喪失者等医療観察法をなくす会の院内集会「相模原市『津久井やまゆり園』と精神医療」が開かれた。
原さんは、相模原事件を見ていく視点として、優生思想に加え、近年みられる社会保障費がらみの弱者に対する攻撃としても捉える必要があるとした。犯人の犯行は精神障害の症状と一致しないと述べ、「犯人の心理状態、事件を起こした経緯をみることが重要だ」と指摘した。
施設側の労働実態、職員の研修については、疑問が残るという。犯人はやまゆり園の勤務経験から「障害者は意思疎通できない」としているが、「同園はそんなに重度の利用者はいない。職員に対する教育が足りなかったのではないか」と指摘した。
(文:尾上(裕))
No.366 2016.10.13(木)
DPI東京シンポジウム「東京の差別禁止条例の動きは今」
10月9日(日)、DPI東京シンポジウム2016が開催された。
東京都内で現在、市レベルで差別禁止条例制定に向けて取り組みを行っている藤田博文さん(CIL日野事務局次長)と尾上裕亮さん(障がいのある人もない人も暮らしやすい立川を考える会)から、運動の経過を話してもらった。
CIL日野の藤田さんは、「条例は差別をなくしていくためのツールであり、作ることがゴールではない」として、しっかりとした条例を作るために事例を2000件集めようとしている。立川の尾上さんからは、立川市のバリアフリー運動の流れを背景に幅広い団体が参加した検討会で、条例づくりの具体的議論が進められていることが報告された。
そして、後半の質疑応答では、多くの質問や意見が飛び交い、差別禁止条例づくりの意義などについて議論が深まった有意義なシンポジウムとなった。
なお、このシンポジウムに先立って、DPI東京の総会が行われ、引き続き、東京都における差別禁止条例制定を目指して、JDF東京と連携していく方針や予算などが承認された。
また、役員改選も行われ、引き続き代表に八柳卓史、事務局長に太田修平、会計に殿岡翼の体制が承認された。任期は2年間。
(文:白井)
本質をみよ!
-9.29大フォーラム交渉:警察庁・厚労省、まともな回答せず―
9月29日(木)、「骨格提言の完全実現を求める」大フォーラム実行委員会は、警察庁・厚生労働省と交渉をもった。テーマは、相模原事件や改正総合支援法。
「なぜ被害者の名前を公表しないのか」という指摘に対して、警察庁は「現場の判断だ」と答えた。そのほか、「予告する手紙が出た時点で、なぜ威力業務妨害などで逮捕しなかったのか」の質問に対して、明確な回答を避けた。
厚労省の回答も、私たちが望むものではなかった。容疑者を精神医療で取り扱うことについて「容疑者の措置入院を決定した精神科医による資格の不正取得は、問題ではないのか」という発言には、厚労省は「問題はない」とした。厚労省の検証チームの議論は精神医療の課題に限るのか、については「あらゆる分野から議論している」と回答した。担当者は、やまゆり園の容疑者をヘイトクラムだとする認識は全くないようだった。
総合支援法における障害の範囲について「定義を医学モデルではなく社会モデルにしてほしい」、「身体障害は症状により、手帳審査が行われるのに、難病はなぜ病名なのか」という発言に対し、まともな答えはなかった。
文:(尾上(裕)、西田)
No.364 2016.9.27(火)
障害当事者の視点で、改めて権利を考えてみる
このところ、立て続けに障害当事者の集会が続いている。9月22日(木)はDPI全国集会が行われた。「障害当事者発!!インクルーシブな防災、復興に向けて」がメインテーマ。これは春に熊本で予定されていたが地震が起きてしまい、延期となっていたものだ。権利擁護など4つの分科会に分かれて討論した。「地域生活」の分科会では、厚労省が最近打ち出した地域包括ケアについても意見が出された。知らないうちに介護保険統合とならないよう、しっかりした議論が求められる。
9月26日(月)は、DPI日本会議他の呼びかけによる実行委員会主催の、相模原殺傷事件の追悼集会と、パレードが行われた。朝日新聞やNHKでも取り上げられた、発言者が口々に「優生思想を許してはならない」「インクルーシブな社会をつくろう」などと語った。相模原の問題の集会は、9月28日(水)にも日本障害者協議会(JD)の企画で予定されている。
9月27日(火)、アメリカ元上院議員で、ADAの成立に深く関わった、トムハーキン氏のシンポジウムだった。テーマは、「障害者差別のない社会を目指して」であった。ADAは障害者権利条約の内容に強く影響を与え、当事者運動の力を実証したものである。今改めてADAを学ぶことは、日本の状況に、良いタイミングとなった。
(文:太田)
―バリアフリーシンポジウム「私たちだって自由に乗りたいんだ!」―
移動は“権利”そのもの…
7月23日(土)、障害連シンポジウムが開かれた。テーマは交通バリアフリーだった。
はじめに基調講演をDPI日本会議副議長の尾上浩二さんが行なった。尾上さんは30年近くになる交通バリアフリー運動に、はじめの段階から主導的役割を果たしてきたのだ。初期の“交通アクセス全国大行動”のテレビ報道のビデオも紹介しながら「障害者なら乗車拒否を誰もが経験した1970年代」から、各地や中央の粘り強い運動によってバリアフリー法ができた経緯を述べ、権利に根ざした運動の重要性を強調した。さらに「今後のバリアフリー政策は、障害者権利条約、障害者基本法や差別解消法との関係性でみる必要がある」と提起した。また2016年はバリアフリー新法の見直し時期。障害者基本法と同様に社会モデルによる障害の定義への変更や、当事者評価制度を盛りこむべきと訴えた。
今回は労働組合の方もシンポジストとして参加してくれた。
「私鉄の労働組合でも、長年、移動権を明記した法律を求めてきた。これからも障害当事者の声を挙げ続けてほしい」としたのは東急労働組合執行委員長の平森悟さんと私鉄総連中央執行委員の衣幡義男さん。障害者から不評のホームでの乗車待たせについて、事業者の立場としては、乗り換え駅の問題もあり、先方の駅に連絡がついてから安全に乗車してほしいとの思いもあるのが正直な話、今後の課題であり、なるべく「誰でも気軽にパッと利用できる鉄道」になるよう心がけたいと述べた。
STEPえどがわ事務局長の土屋峰和さんは、「都内のバリアフリーは進んできているが、接遇に課題」と指摘した。一部の鉄道事業者は車いすユーザーを待たしたり、降車駅をホームのアナウンスで伝えることがあり、無人駅も増えている。「改善には、当事者参画で施設、仕組みを設計することが不可欠」と訴えた。
エコモ財団バリアフリー推進部企画調査課課長の松原淳さんは「バリアフリー新法と差別解消法は両輪だ」とした。全体の設備をバリアフリーにしつつ、個別の合理的配慮に応えていってこそ、誰でも利用しやすくなる。また合理的配慮は難しいものではなく、失敗してもどんどん改善していく姿勢が大切だと述べた。
参加者からは、「終電前に使えなくなるエレベーターが多々ある」「早く全駅で車両との段差を無くしてほしい」といった発言があった。
(文:尾上(裕))
2016年度 障害連総会
シンポジウムの前、障害連の総会が行われた。2015年度活動報告・会計報告、2016年度活動方針、予算が提案され、承認された。
質疑応答では、今年度の重点課題でもある差別禁止条例の運動について、静岡と東京等の状況報告が行われた。団体の財政支出のスリム化と加盟団体の増加を実施しつつ、今年度も活発に運動していくことが確認された。
(文:尾上(裕))
No.362 2016.7.5(火)
具体的な中身は今後の検討(?)へ
―第80回障害者部会―
6月30日(木)、障害者総合支援法改正案が成立して以来、はじめてとなる社保審障害者部会(第80回)が開催された。
改正障害者総合支援法のほか、現在検討が進められている精神保健福祉法や今年度実施予定となっている平成28年生活のしづらさ調査についてなどが当日の議題であった。
総合支援法については、厚労省からの説明に対し、多くの委員から意見や要望が寄せられた。特に多かったのは、平成30年施行予定のサービスの中身や今後の検討方法についての質問が多かったが、詳細について厚労省から具体的な回答はなかった。
しかし、入院時のヘルパー利用に関しては、重度訪問利用者で区分6の者という要件について、「現時点ではそう考えている」とし、若干の含みを持たせていた。今後、重度訪問利用者で特に必要性のあるものについては、区分6以外でも利用できるよう実態をもとに働きかけていく必要がある。 (文:白井)
第32回DPI日本会議総会が開催される
6月25日(土)、熊本地震の影響により延期されていたDPI日本会議の総会が戸山サンライズで開催された。今年は常任委員の改選の年にあたり、選挙が行われ、障害連からは白井が選任。また質疑の中では教育問題についてフロアから多くの意見が寄せられるなど、活発な議論が交わされた。
(文:白井)
「地域で普通に生きたいんだ!」
―第3回、6.26集会―
「検討会で、精神医療そのものを問題とする意見を出しても、無視される」。これは《これからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会》の当事者委員が述べた言葉だ。
6月26日(日)、病棟転換型居住系施設について考える会が主催する3回目の6.26集会が開かれた。今年は、「これでいいのか 精神医療!!」と題するシンポジウムで、本人の意向に関係なく進められる医療が語られた。約130名が参加した。
「病院では、拘束ではなく“抑制”という言葉で身体拘束が行われている」と、考える会の長谷川さんは訴えた。医師の氏家さんは、日本の精神医療の歴史を紹介しながら、「1970年代、薬の進歩等により長期入院が必要でなくなり、世界では病床を減らしていったのに、日本は逆だった」と指摘した。認知症の人を多く入れて何とか経営を維持している病院の現状に対して「認知症の方にも良くない。施策の変革が不可欠」と訴えた。
弁護士の内田さんは、福祉事務所から紹介されて精神科病院に行く人が少なくないと指摘。福祉事務所に退院させるよう交渉すると、「その人は金銭管理に不安があるから施設のままで良い」という返答があると述べた。
長谷川さんは基調講演のなかで、省令改正後、自治体が病棟転換型居住系施設を進められないのは、「私たちが声を挙げた成果だ」とし、これからも運動を続けていく重要性を訴えた。当事者の山本さんは、「私たちは地域でふつうに生きたいんだ」と力説した。
(文:尾上(裕))
目をそむけてはいけない、“実態から”
―6.22全国行動実行委員会、厚労省交渉報告―
虐待防止について、厚労省と実行委員会の間では認識について大きな開きがあった。
6月22日(水)、「障害者の地域生活確立の実現を求める全国大行動」実行委員会は、厚労省と交渉した。約30名が参加した。
「虐待は職員の研修だけでは無くならない。もっと構造的な問題」としたのは、こらーるたいとうの加藤さん。水戸事件の原告の一人は、「学校や警察等に私たちが受けている虐待を訴えても相手にされなかった」と述べ、ピープルファーストの小田島さんは「施設虐待を監視・調査する行政が、施設と利害関係にあることが少なくない」と強く訴えたのだ。
移動支援は、通勤・通学に使えないなど制約がある。これに対して厚労省は、「自治体の判断に任せている」とした上で、サービス費用基準等で“社会通念上適当でない外出”を除外するのは「公費を使う以上、国民の理解が得られないものは認められないから」としたのだ。しかし、参加者からは、「移動支援の内容について実際に国民から苦情が出ているのか」、「健常者は行っても規制されない場所を障害者にだけ規制するのは、障害者権利条約や厚労省から出ている「障害者差別解消法の福祉事業者向けガイドライン」に反している」等の発言が相次いだ。
難病に関しては「今後行う生活のしづらさ調査では、既存の施策の対象にならない人も対象範囲にし、支援ニーズが分かるようにしてもらいたい」、入院時のヘルパー利用については「利用を重度訪問介護の区分6の人に限ることは、やめてもらいたい」と訴えたが、明確な回答を示せなかった。
(文:尾上(裕))
※7月23日(土)午後1時から東京都障害者福祉会館で、交通バリアフリーをテーマに「障害連シンポジウム」を行いますが、これにあたって、皆さまからのカンパを募集しています。振込先は以下の通りです。よろしくお願いいたします。
振込先 中央労働金庫本店 (普通) 口座番号4870174
障害者連絡会議(代)太田修平
【事務局】〒101‐0054東京都千代田区神田錦町3-11-8
武蔵野ビル5階
障害連ALS当事者出席拒否問題で抗議文
5月10日(火)、衆院の厚生労働委員会に参考人として出席予定だったALS当事者が、出席を拒否された問題で、障害連は以下の抗議文を出した。
(文:太田)
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2016年5月12日
衆議院厚生労働委員会 御中
(障害連)障害者の生活保障を要求する連絡会議
代表 関根 義雄
事務局長 西田 えみ子
衆院厚生労働委員会でのALS当事者に対する出席拒否についての抗議文
私たち障害連は、社会生活上の障害が重い人たちの独立と自由、社会的な自立をめざして活動しています。私たちの仲間には脳性まひ等による言語障害があるため、コミュニケーション上の困難を抱える者も多く、今回、5月10日の衆院厚生労働委員会で起きたALS当事者の参考人出席拒否の件について、以下の観点から抗議するとともに、2度と同じようなことが起きないようにするための検証と再発防止に向けた取り組みを求めます。
一部の報道によれば、出席拒否をした理由として「コミュニケーションに時間がかかり、限られた時間の中で伝えたいことが十分伝わらないのではないか」などという説明が報じられていますが、これは明らかに障害者差別解消法が禁止している障害を理由とする差別的取扱いに当たると私たちは認識しています。
本来、障害者差別解消法の趣旨に基づけば、ヘルパーによる読み取りを介したコミュニケーションやそれに伴う時間調整(発言時間の延長など)を認めるといった合理的配慮の提供がされなくてはならないはずです。
しかし、実際にはそうした合理的配慮を当事者の求めに応じていかに提供していくか、という積極的な姿勢とは正反対である、「出席を拒否する」という結論に至ったことは大変遺憾であると言わざるを得ません。
審議事項である障害者総合支援法改正案の中には、コミュニケーションに困難を抱える重度障害者が入院中もヘルパーを利用できるようにするという内容も盛り込まれており、法案審議上もきわめて重要な参考人であったにもかかわず、当事者の声を聞くことなく審議を進めたことも大きな問題です。
以上の抗議とともに、下記2点について衆院厚生労働委員会に対して要求します。
記
1. 今回、衆院厚生労働員会の中でALS当事者の出席拒否に至った経過についての検証作業を行うこと。
2. 上記検証結果に基づき、具体的な再発防止策について検討し、実行すること。
以上
【事務局】障害者の生活保障を要求する連絡会議(障害連)
〒101‐0054 東京都千代田区神田錦町3-11―8武蔵野ビル5階
(担当:西田・太田)
TEL:03-5282-0016 FAX:03-5282-0017
「障害者総合支援法改正法案の審議に対する要望」を提出
障害連は、5月9日(月)衆議院厚生労働委員に、障害者総合支援法改正案の審議にあたって、徹底審議を経た上で、入院時のヘルパー派遣に関する修正などを趣旨とする要望を提出しました。
(文:太田)
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2016年5月9日
衆議院・参議院 厚生労働委員 各位
(障害連)障害者の生活保障を要求する連絡会議
代表 関根 義雄
事務局長 西田 えみ子
障害者総合支援法改正法案の審議に対する要望
今回の障害者総合支援法改正案に関しまして、私たち障害連をはじめとする多くの障害当事者は、障害者自立支援法違憲訴訟の基本合意や、それにつづく総合福祉部会骨格提言からほど遠いものとして受け止めており、落胆しているのが正直なところです。
めざすべきは、障害者権利条約の指し示すインクルーシブ社会、すなわち障害があってもなくても分け隔てられない社会です。障害者総合支援法は具体的なサービス法として、それに向けた制度を作り上げなければならないはずです。それにもかかわらず、骨格提言とはまたしても程遠い内容であることは、残念でたまりません。
今回の改正案の検討段階で社会保障審議会障害者部会から様々な意見が出されています。重度障害者の入院時のヘルパー派遣については、審議会でも深刻な問題として受け止められ、何とか今回の改正案に盛り込まれました。
この改正案は、全体としては失望的な部分が多くを占める中で、入院時のヘルパー派遣を盛り込んだことに限っては、唯一光明を見い出すことができます。ただ重度訪問介護利用者でかつ区分6の者しか認めないのは問題で、入院時にヘルパーが必要かどうかについてはコミュニケーション障害がどの程度あるかなど、環境的な部分があり、一概に区分で割り切ることはできません。医師・看護師とうまく意思疎通できないことから、入院が必要な状態にもかかわらず入院を躊躇する、あるいは病気とは別の不安にかられる人が多くいます。
以上の認識にたち、私たちは国会の中で障害者総合支援法改正案に関しまして徹底的な審議を経た上で、下記のことを強く要望いたします。
記
1.
現在国会に上程されている障害者総合支援法改正案では、入院時のヘルパー派遣について盛り込まれていますが、重度訪問介護利用者でかつ区分6と認められた者に限られており、それ以外の者であっても、必要な状況にある時は、入院時のヘルパー派遣を認め、全てのコミュニケーションに障害がある人が、安心して医療を受けられるようにすること。
2.
上記1.以外でも、障がい者制度改革推進会議総合福祉部会の骨格提言や、現行法の附則の見直し規定に沿った形の修正についても、法案審議にあたって追求をしていくこと。
3.
2010年、障害者自立支援法訴訟団が、国・厚労省と交わした基本合意について、この法案の審議を通じて、政府からこれからも遵守する旨の確約を引き出すこと。
4.
この改正法案が、障がい者制度改革推進会議の総合福祉部会の骨格提言や、現行法の附則規定にある見直し条項を満たしたものではないと認識し、この改正案の中に3年後の見直し条項を盛り込むこと。
5.
上記4.について、とりわけ障害者の範囲のあり方、障害支援区分の認定を含めた支給決定の在り方、施設入所中の外出・外泊に伴う移動支援のあり方など、今回の改正案では盛り込まれなかった事項について、次の3年後の見直し条項として必ず盛り込むこと。
以上
【事務局】障害者の生活保障を要求する連絡会議(障害連)
〒101‐0054 東京都千代田区神田錦町3-11―8武蔵野ビル5階
(担当:西田・太田)
TEL:03-5282-0016 FAX:03-5282-0017
国は約束守れ!
―基本合意・骨格提言を、あきらめない!―
「私たち訴訟団は、基本合意によって、新しい総合福祉法を、政治家個人とではなく、日本政府と約束したのだ」。と、原告の一人は激しく主張した。
4月21日(木)、日比谷野外音楽堂で「ふつうに生きたい くらしたい! 障害者権利条約・基本合意・骨格提言の実現をめざす 4.21全国大集会」が、自立支援法違憲訴訟団や全国実行委員会の主催で開かれた。全国各地から約3000人の障害当事者・支援者が集まった。
「3月、国会に上程された総合支援法改正案は、私たちが求めてきた基本合意と骨格提言に背を向けている」、「国は社会保障にお金を出し渋るのはおかしい。“財政が足りない”というのなら、実態を調べてから言ってもらいたい」等と主催者から報告があり、さらに各団体からは「施設職員からの虐待が後を絶たない。現状を打開すべき」、「自分たちの調査では、多くは経済的に厳しい状況にあることが分かった。生きるためのサービスに負担を求めるのはやめてほしい」等の発言があった。
集会後、参加者の多くがデモ行進をして、財務省や国会議事堂の前を歩きながら次のようなアピールした。「地域でともに暮らし続けたい!」、「精神科病院の社会入院を解消しろ」、「介護保険との統合は許さないぞ!」、「憲法25条を守り、社会保障の切り捨てをやめろ」等々。
厚労省は改正法案を早く可決したい構えだ。しかし、慎重な審議、そして基本合意に基づいた抜本改革をめざすべきで、当事者無視は許されない。
(文:尾上(裕))
No.357 2016.4.4(月)
差別解消法を育てていこう!
―見直しに向け、課題は山積―
3月31日(木)、「障害者差別解消法施行を祝うパレード@東京」が行われた。これは、4月1日に施行される同法を多くの人に知ってもらおうという趣旨。大阪や静岡などから700人の障害当事者や関係者が、霞ヶ関から銀座を経て、東京駅周辺まで行進した。
参加者は、カラフルな風船をもつ、フェースペイントをする、トランペットに合わせ歌いながら、街の人たちにアピール。「みんな一緒に学ぼう」「みんな一緒に語り合おう」「差別を知って差別をなくそう」「ハッピーバースディ差別解消法」と訴えた。
同パレードは銀座という日本の代表的な街を通った。これから私たちがやらないとならないことは、自分の暮らすまちの人(店の従業員を含む)と対話し、差別一つ一つをなくしていく作業だ。さあ、どんどん、まちに出よう!
なおこのパレードに先立ち、「NGOガイドライン成果報告集会」が衆議院第1議員会館で行われ、法の施行の歴史的意義を確認しながらも、苦情解決の仕組みや差別の定義化など、残された課題は多く、これからの見直しに向けた一層の運動が重要という議論が交わされた。
差別解消法施行を記念する同様のパレードは、3月27日の名古屋を皮切りに全国13カ所で行われる。
(文:尾上(裕)、太田)
障害者虐待防止法は運用の改善で対応
―JD、厚労省と意見交換を行う―
3月22日(火)、日本障害者協議会(以下、JD)は厚労省障害福祉課、精神・障害保健課と障害者虐待防止法の改正について意見交換の場をもった。
JDからは、虐待防止法を改正し、通報義務の対象に病院や学校、保育所などを含めることや、虐待の通報を行った者に対して「不利益取り扱い」がなされないよう法的保護の仕組みをつくることなどを要望した。
しかし、厚労省は「データの蓄積が十分でない」、「国の研修も実施している」、「法制改正は難しいので、運用で改善できるところはしていきたい」と消極的な姿勢を示し、現時点で検討会の開催など具体的な動きはないと回答した。
それらに対し、「そもそも虐待はデータに表れにくい現状がある」、精神病院についても「精神医療審査会がきちんと機能していない」など、JDのメンバーは発言したが、議論は平行線のままであった。
(文:白井)
No.355 2016.2.29(月)
障害連、厚労省障害福祉課と意見交換
―65歳問題を中心に―
2月26日(金)、障害連は厚労省障害福祉課と意見交換の場をもった。65歳以降の介護をはじめとして、入所施設、障害の範囲、意思疎通支援の問題について話し合い、総合支援法3年目の見直しの内容の一部が明らかにされた。
65歳以降の介護については、65歳以前に一定程度障害福祉サービスを利用している低所得者を対象に、65歳以降の利用者負担の軽減策を検討中であるとした。また、支援の内容については、介護保険が優先されるが、介護保険のメニューにない、あるいは足りない部分は、総合支援法から決定が可能、という認識を示し、「それまでのサービスを大きく下回らないようにしたい」と答えた。
これに関連して、介護保険との統合の方向ではないのか?という質問に対しては、否定的な見解を示した。
入所施設の問題については、外出支援や虐待防止法の見直しのいずれも一定の問題意識は持ちながらも「実態把握に努めて引き続き検討していきたい」という回答にとどまった。
障害の範囲については、「基本法の定義に合わせることは難しい」との見解を示したうえで、障害者手帳の認定基準見直しや総合支援法の対象疾病の見直しを進めていきたいとしたが、権利条約との整合性という点では疑問が残る回答であった。
意思疎通支援については、サービス等利用計画の中でニーズを丁寧に聞き取るよう主管課長会議で周知する他、OJTをさらに評価する方向で報酬改定を進めたいとした。その他、入院中のヘルパー利用については、重度訪問介護利用者が入院時もヘルパー利用ができるよう、法律改正を行うとした。
当日は、厚労省からは障害福祉課照井課長補佐など5名が対応し、障害連からは関根代表など7名が参加した。
(文:白井)
No.354 2016.2.25(木)
アクセス、運動しつづける大切さ
2月13日(土)、国立障害者リハビリテーションセンターの国際セミナー「障害者の移動支援を考える -人的支援等のソフト面を中心に-」が開かれた。7名の発表者が、バリアフリー社会に何が必要かについて議論した。
「障害者運動は空気の抜けたサッカーボールのようだ。常に蹴り続けなければならない」としたのはマレーシアのピーターさん。同国では法律が守られない、同じ鉄道会社でバリアフリーの電車車両が作られることも、全くバリアフリーでない車両が作られることがあるという。
タイのサオワラックさんは、「障害者が地域で家族や友人と暮らすことで、周りや障害者自身もエンパワーされる」と、障害者権利条約第19条(自立した生活及び地域社会への包容)の重要性を訴えた。
日本盲人会連合の鈴木さんは、「視覚障害者にとって大事な支援は移動先の場所で、空間の様子などを詳しく教えてもらうことだ」とし、ハードとソフトの支援が必要と訴えた。
アクセスジャパンの今福さんは、日本の現状について報告した。1980年代はどこに行くのも人の手を借りなければならなかった。しかし、運動によって街のバスにリフトが設置されたり、法律ができて急速にバリアフリーが進んだという。「2020年には都内にある駅すべてで、駅員に頼まなくても電車に電動車いすで乗れるようにしたい」と述べた。
伊勢志摩のバリアフリーツアーセンターの野口さんは、車いすの旅行者のプランを立てている経験から「地方には歴史遺産等があり、どうしてもバリアフリーができないところもある。人的支援が重要になる」と報告した。
(文:尾上(裕))
No.353 2016.2.18(木)
「解消法の対応要領でしっかりと」東京都人権部
「条例の制定について現在考えてなく、都としては、差別解消法の対応要領でやっていきたい」と小河原東京都人権部課長は答えた。
2月18日(火)DPI東京行動委員会は、東京都人権部と話し合いを持った。対応要領では、相談体制をきちんとすることなどがあげられているとのこと。対応要領は、“服務規程”“要綱”“ハンドブック”の3つから成り、“ハンドブック”については、パブリックコメントを募集中とのことであった。
「市レベルの条例制定の動きもあるが、市の担当者は都がどうするか様子を見ている状態だ」などとDPI東京のメンバーは発言した。
小河原課長は「今の知事は障害者のことを考えているようだ」「条例をつくるに当たって具体的な問題があるわけではない」「ただ現段階は解消法の対応要領をしっかりとやっていきたい」と述べた。
(文:太田)
政府報告にパブリックコメントを出す(障害連)
障害連は、2月13日、下記の内容で、障害者権利条約の日本政府の報告案に対し、パブリックコメントを出した。
【該当箇所】第1部総論 Ⅲ条約上の権利の実現のための政策、戦略、国内の法的枠組み、障害者差別に 関する包括的な枠組みについて‐9
【意見1】障害者自立支援法違憲訴訟原告団・弁護団の、現在の意見を明記してください。
【理由1】厚生労働省と障害者自立支援法違憲訴訟原告団・弁護団との基本合意や、「障害者総合福祉法の骨格に関する総合福祉部会の提言」は、現在の施策にほとんど盛り込まれず、原告団・弁護団のみならず、さまざまな障害当事者団体から意見・要望が出されています。
【該当箇所】第2部各論 第1条目的-17
【意見2】障害者自立支援法や難病医療法などの福祉法の定義が、障害者基本法の定義とかい離していることを明記してください。
【理由2】 障害者基本法では対象が包括的な定義に改正されましたが、具体的な施策は依然として手帳の有無や病名で分け隔てる入口規制があり、真に支援を必要としている人が病名で排除され、公的支援から排除される問題は全く解消していません。骨格提言ではニーズのある人が置き去りにならないよう、病名で分け隔てられないための仕組みが提言されましたが、全く反映されていません。具体的な障害施策で病名による制限列挙が続けられている実状をありのまま記載するべきです。
【該当箇所】第2部各論 第4条一般的義務-30
【意見3】「知的障害、精神障害の当事者委員がいない」と明記してください。
【理由3】障害者政策委員会の構成が「半数以上が身体障害・知的障害・精神障害・難病の本人又はその家族からなる団体の方々で構成されている」という表記では、知的障害、精神障害当事者の委員が参加できていない実状が報告できません。
【該当箇所】報告書本文から漏れている問題について
【意見4】成年後見人制度の問題を明記してください。
【理由4】制度運用では、成年後見人の使い込みや本人の意向を無視して施設へ入所させるなどのさまざまな問題が報道されています。「当事者には意思決定能力がない」という前提の成年後見人制度は、条約の理念に反します。
No.352 2016.2.13(土)
「検討中」に終始
「介護保険との統合は前提としていない」と厚労省担当者は言った。
2月9日(火)日本障害者協議会が、65歳以降の障害者の介護問題をテーマに、厚労省障害保健福祉部と意見交換会を持った時の回答だ。
一方、この3月に総合支援法の改正案が出される予定となっているが、その中身については「検討中だ」とし、ほとんど明らかにしなかった。支援法から介護保険に移り変わる障害者の利用者負担についても、なんらかを検討していることはほのめかしたが、具体的な基準などは明らかにしなかった。
J Dの参加者たちは、「障害者施策としての介護と、介護保険のそれとは目的も中身も違い、65歳になった途端に、介護保険に移るのは、様々な問題が起きる」ことを強調した。
冒頭、藤井障害保健福祉部長が挨拶し、「皆さんとは方向性は同じはず」と述べた。
法案の中身を厳しくチェックする必要がある。
(文:太田)
報告書案がまとまり、次の段階へ
―第79回障害者部会―
12月14日(月)に開催された第79回障害者部会では、前回提案された総合支援法3年後見直しの報告書案について一部文言修正が加えられたものがあらためて提示された。この日の部会では、報告書の内容がこれまでの議論を踏まえた内容となっているか、表現が適切かといった確認作業が中心となった。
議論された中では、高齢障害者の論点について、65歳を機に障害福祉サービスを打ち切る自治体が134に上るという調査結果の新聞報道があったことをもとに、厚労省の省令などでしっかり対応すべきではないかとする意見があった。他の委員からも自治体ごとに取り扱いが大きく異なることに対して、改善を図るべきとする意見が出たが、厚労省からは従来通りの「自治体に周知徹底を図る」、「実態把握に努める」といった消極的な回答しかなかった。
3年後見直しの報告書案の検討は、この日の議論をもって終了となった。骨格提言から見ると、だいぶ薄まり、期待外れは否めない。今後細かい文言修正が図られたのち、3年後見直しの議論は次の段階に進むこととなる。障害者部会で十分に検討されなかった点や深め切れなかった論点については、今後の障害者運動の取組みが重要となってくるだろう。
(文:白井)
さらに踏み込んだ議論を・・・
―第76回障害者部会―
11月13日(金)に開催された第76回障害者部会では、総合支援法3年後見直しの各論点について3週目の議論が開始された。この日は①常時介護、②移動支援、③就労支援、④精神障害者支援、⑤意思決定支援、⑥意思疎通支援の6つの論点について、厚労省が議論の整理案として提示した内容について各委員から様々な意見や質問が寄せられた。
常時介護については、入院中のヘルパー利用に関し、重度訪問介護利用者に限定するのか?入院した人が新規に使うことはできないのか?といった質問が相次いだが、それに対して事務局からは現行の重度訪問介護利用者を想定しており、その他の対象については今後の検討とする旨の回答があった。
その他、移動支援については通勤通学に関する記述が「関係省庁との連携」と相変わらず消極的な書きぶりとなっていたことについて、多くの委員から批判が集中し、実効性を求める意見や厚労省がイニシアチブをとって進めてほしいといった意見が相次いだ。
その他の論点についても様々な意見が出されたものの、一方で事務局が示した論点以外のその他の重要課題についてまでは十分踏み込んだ検討がされていないようにも感じられた。
次回は11月27日(金)14時~16時半の予定。
(文:白井)
11.10基本合意・骨格提言の実現をめざす全国集会
―300名が参加―
11月10日、衆議院第一議員会館で基本合意・骨格提言の実現をめざす全国集会が行われ、会場一杯の約300名の参加者が集まった。
めざす会世話人の藤井氏による情勢報告や佐藤久夫氏による講演では、障害者部会や社会保障全体の極めて厳しい情勢が報告された。また、指定発言では多様な立場からそれぞれ深刻な実態の報告とともに多くの問題提起もあった。
社会保障全体の厳しい動きに対抗していくために、多様な人たち同士の連帯に基づく運動の必要性をあらためて認識する集会となった。
介護保険統合や、介護保険の優先原則の動きに対して、基本合意の実現に向けた運動をさらに強めていくとするアピールを最後に採択した。
(文:白井)
第2ラウンドの議論が終わる
―第75回障害者部会―
11月9日、この日は10項目の論点のうち障害児支援とその他の障害福祉サービスのあり方について、厚労省の検討の方向性をもとに議論が行われた。
障害児支援については、特に放課後デイサービスに対する意見が多く、質の向上や支援内容の適正化について見直すべきとする委員の声が多くあがっていた。
その他の障害福祉サービスの在り方については、この日も1回目の議論と同様、利用者負担についての意見が多く出された。サービス抑制になることを懸念する意見の他、そもそも現在多くの利用者が負担なしになっているのは、利用者負担をできる経済状態にないからでは?など、慎重かつ丁寧な検討を求める意見が多く出された。
一方で、「みんなが少しずつ負担をする」方向性での検討を求める意見や、現行の負担の階層区分を細かくする、所得を個人単位とするなどした上で見直していくべきとする意見もあった。
最後に、「国民の理解」が得られるように負担のあり方を見直すことについて、自己負担が増えるから国民の理解が得られるということにはならないのでは?と疑問を呈する意見も出された。
その他、障害の範囲については、疾病を増やすだけでなく生活の困難度や福祉ニーズにもとづいた対象拡大を求める意見もあった。
この日の部会で各論点について2回目の議論が終了した。次回からは3回目の議論に入っていく事となる。次回は明日、11月13日の開催。
他の者との平等を基礎にした公平性を!
―第74回障害者部会―
11月2日に開催された障害者部会では、高齢障害者と支給決定の在り方についての論点が議論された。
介護保険制度との関係性については、現行の介護保険優先原則を維持した上でいかに障害福祉制度との連携を図るかという視点にもとづいた検討の方向性が厚労省より示された。
この検討の方向性について、総論として賛同を示す委員や「ゴールを決めて検討すべき」、「社会保険制度にもとづく障害福祉制度の再構築を」といった踏み込んだ意見があった一方、介護保険との連携を図るにあたっては、介護保険制度と障害福祉制度の適用関係についての通知が徹底されることが大前提としてあるべきという意見もあった。その他、利用者負担への配慮や必要なサービス量の担保、介護保険移行後も同じヘルパーによる支援を受けられるような仕組みが必要だとする意見があった。
利用者負担について一般高齢者との公平性に留意することや、制度の在り方としてユニバーサルな仕組みとすべきといった論調がみられたが、障害者権利条約では「他の者との平等」が基礎であるとしているのだ。
支援を必要とする者だけの間での公平性やユニバーサル化を図るのではなく、まずは障害者と障害のない者との実質的な平等を図るための制度改革となるような議論が求められる。
(文:白井)
当事者の声 結集を!
~10.29大フォーラム~
10月29日、東京・日比谷野音にて「『骨格提言』の完全実現を求める10.29大フォーラム」が開かれた。全国各地から集まり、12テーマに関して障害当事者とその関係者が現状を訴えた。
障害者虐待、施設問題については、「障害者を隔離・虐待して平然としている職員がいる」現状が語られた。そして「虐待は閉鎖性・上下関係のもとで起きる構造的な問題。これに手を入れずに解決することはできない」、「障害者虐待防止法を見直し、法対象に病院と学校に入れるべき」と提起した。
福祉制度の谷間の問題では、「支援があれば社会貢献できる人は多くいる。病名で支援を区切らないで」、「生活のしづらさをベースにして社会福祉が受けられるよう抜本的に変えてもらいたい」という訴えがあった。
尊厳死法制や生前診断については、「重度の障害があるからといって医療を受けられないのはおかしい」、「自分の障害は,今では出生前診断の対象になっているが、自分は半世紀近く生きている。障害があっても十分に楽しく生きられる。出生前診断はその可能性を摘むものである」などと率直な意見が出された。
集会では、「障害者権利条約の政府報告(案)などには、基本合意の“き”がなければ、骨格提言の“こ”もない。私たちの声を結集し訴え続ける必要がある」、「骨格提言は今、国の倉のなかで眠っている。私たちでそれを起こさなければならない」と、広い連帯を作りながら運動を続けていくことを呼びかけた。
集会の動画は、YouTubeの以下のページで見られる。
(文:尾上(裕))
満場一致で採択された集会決議文は以下のとおり。
◇「骨格提言」の完全実現を求める10.29大フォーラム集会決議
私達は、「障害者総合福祉法の骨格に関する総合福祉部会の提言」(骨格提言)の完全実施を求めていきます。障害者は今なお、隔離政策が続いていると言えます。隔離体制と一体の構造として、家族のもとにいる障害者も、家族依存を余儀なくされ、家族の高齢化や死により、施設入所に追い込まれていく状況が続いています。また、家族による障害者殺しも続いています。こうした状況を1日も早く改善し、障害者が施設や病院に隔離されることなく、地域社会での生活を送るための最低限の政策を求めたのが、’骨格提言’です。しかし現在の政策は、改悪の方向であり、私たちは強い危機感を抱かざるを得ません。
ひとつに、障害者への虐待が増え続けています。精神病院での身体拘束も増え続けています。障害者虐待防止法は、3年後の見直しが規定されていたのにもかかわらず、厚労省はそのための検討すら進めていません。障害者の生命をも脅かしている虐待を一刻も早く止める為に、虐待防止法の改善は急務と考え、現在対象となっていない学校や医療機関、官公署をも組み込み、虐待防止の実質的効果を持つ法改正を求めます。
次に、日本政府の対応は、障害者権利条約の存在を踏みにじるものです。精神科病院の病棟をグループホームに転換する「地域移行型支援ホーム」を推進するなど、障害者政策委員会の反対する政策を推し進め、同委員会の存在をも踏みにじる対応を行っています。また、精神障害者と知的障害者の委員を外しています。権利条約の解釈をゆがめ、批判の声は無視するその態度を、私たちは決して許せません。
さらに政府は、骨格提言のみではなく、「障害者自立支援法違憲訴訟原告団・弁護団と国(厚生労働省)との基本合意」をも無視して、応益負担の復活を狙っています。家事援助を個別給付制度から外し、自費購入(一部自治体の助成)に変えようとしています。また、介護保険と同様に、利用限度額を設定しようとしています。そして厚労省は市区町村支援事業の削減をしようとしています。これらは、障害者から介助を受け、地域に生き生活をする権利を奪う政策です。作業所に対しても、就労至上主義を押し付けるため、一般就労させた成果や工賃の金額によって、ますます報酬に差をつけようとしています。障害年金制度から多くの障害者を排除していく動きもあります。
また、経済財政諮問会議では、社会保障を歳出削減の中心に位置づけています。介護保険サービスの給付対象から、要介護1・2の人を外し、サービスを自費で購入させ、利用者負担を基本的に2割とし、ひと月当たりの支払いの限度額も引き上げる。 医療についても高齢者の窓口負担を2割に引き上げ、受診時定額負担を別途徴収する。生活保護については、生活扶助の部分から医療費負担を行わせ、また、制度利用の更新制をも作ろうとしています。
そして、「人生の最終段階における医療の在り方の検討」という言葉で、「尊厳死」の推進を打ち出しています。撤廃すべきと考える、障害者総合支援法の介護保険優先原則も変わらないままです。
政府は、この社会保障制度の大改悪を、2018年度までを集中期間として行おうとしています。’障害者総合支援法’の改定は来年(16年)の通常国会であり、ここでの私たちの戦いが、その後の状況をも大きく左右させていくものと考えます。
最後に、私たちは、この安保関連法制に絶対反対します。安倍政権は安保関連法案=戦争法案を強行採決しました。戦争は、人の生きる権利を合法的に奪うものです。そういう状況下では、病気や障害のある私たちは差別されるでしょう。私たちが求めてきた、一人一人が尊重され、多様な生き方を認める捉え方は存在しません。また、安保関連法案を進めることは、政府の障害者権利条約を批准し、差別解消法を施行しようとする姿勢とは相反するものです。 私たちの目指すものは、国境や民族をも超えて、ともに生きることです。
障害者団体のみなさん、市民のみなさん、戦争法の発動を許さない運動を進め、だれもがともに生きるための闘いを、より強力に、より広い連帯を作りながら闘っていきましょう。
2015年10月29日
「骨格提言」の完全実現を求める10.29大フォーラム 参加者一同
No.346 2015.10.26(月)
「権利条約に基づいて国内法に障害女性の項目をつくるべき」と力説したのは松森委員。同委員は、障害女性について終始取り上げ、政府は虐待やDVについて、「支援をしている」「措置を講じている」と言っているが、その実態を見ると何もしていないのではないか、と鋭く指摘した。
10月26日(月)の障害者政策委員会は、国連への政府報告案に対する議論だった。
後半では、政府報告案自体に対する意見が出され、DPIの佐藤委員は、「自力通勤可能な人、というような条件をつけて、公務員試験を受けさせないところもまだ多い」や、「成年後見を受けると公務員を辞めさせられるという差別の実態がある」などと提起した。
会議の前半は、政府報告案に対する政策委員会として意見をつけるが、それについて議論した。ワーキンググループで議論されたことがまとめられるかたちだが、成年後見制度についての考え方、精神医療と人権についての考え方、などは、多様な意見が出された。特に成年後見は、国連が代行型の仕組みを認めていないのではないか、ということで、新たな法的行為能力の支援の構築が必要だ、という意見を基に、さらに練り直していくこととなった。
その日の会議は全体的にはおとなしい議論で、委員相互の連携がもう少しほしいところ。ところで同日行われたJDFの会議では、政府報告案について政府としっかり意見交換を行う必要があるとの指摘もあった。当事者参画の報告をきちんとつくらなければならない。
この日の政策委員会では新たに任命された加藤障害者担当特命大臣も駆けつけ挨拶した。次回は12月。
(文:太田)
当日の資料は内閣府のホームページ http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/seisaku_iinkai/k_27/index.html
説得力のある議論を ―障害者部会から―
「常時介護を要する障害者は施設、という考え方を変えていくことが重要」や、「パーソナルアシスタンスの場合、資格は考えなくてもよいのでは」という意見が出た。10月15日(木)、社会保障審議会障害者部会があった。様々な立場からの意見が出され、少々分散気味の感はあった。「拠点づくりということが示されているが、自治体に丸投げ状態ではないか」との厳しい指摘も…。
財政審にみられるように、政府の社会保障の見直しの圧力が高まる中で、“なぜ障害の重い人たちの地域自立生活が社会に求められているのか”という根本的な命題について、もう少し説得力のある議論がほしい。
この日は、“移動支援”“就労支援”も議論され、「省庁間、自治体、などとの相互連携や意思疎通が大きな課題である」等、多くの意見がだされた。
(文:太田)
DPI東京シンポジウム「どうつくる差別禁止条例」
10月10日、DPI東京シンポジウム2015が開かれた。参加者約50名。
愛知障害フォーラム(ADF)の辻さんは、愛知県で現在起きていることを報告した。同県は今年8月末に条例案を示し、9月の議会に通過させたいと発表した。これは、条例化運動を展開してきたADFにとって「寝耳に水で、“私たち抜きに私たちのことも決めないで”を無視した行為」と受け止め、議会提出を延期させ、3年後の見直し規定や紛争解決機関の設置を最低限、要求しているところだという。「条例ができるのは大事だが、そのプロセスも極めて大事」と訴えた。
木下さんは名古屋市の状況を紹介した。条例化はまだ本格的になっていないが、「つくる場合は、市民の意見を聞きじっくり行うことを市側と確認している」と述べた。
DPI日本会議からは、田丸さんが「差別事例」や「良い事例」を集め、分析をしているとのことがあった。
JDF東京の今村さんは、「都に差別禁止条例をつくらせるため、JDF東京も運動をしている」と報告した。
なお、シンポジウムに先立って、DPI東京の総会が行われ、「JDF東京と連携を深めて、差別禁止条例をつくっていく」などの方針や予算が承認された。
(文:尾上(裕))
政府報告案出る
9月24日(木)の障害者政策委員会で、権利条約に基づく日本政府報告案が出された。
内容的には、最近の政策を並べている感が強く、改善の指摘はほとんどされていない。障害者政策委員会での議論の反映が少ない、との批判が各方面からされている。
今後、障害者政策委員会で、どこまで修正させていけるか、きちんと見守っていくとともに、NGOによるパラレルレポートをしっかりつくり、日本の実情を国際社会に訴えていく必要がある。
政府報告案は内閣府のホームページを参照
http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/seisaku_iinkai/k_26/index.html
(文:太田)
対応指針案、これまでの趣旨をふまえ
差別解消法の対応指針案などが検討中だが、公明党のヒアリングで、国交省などが「障害者のみを理由とする…」と指針案で記されていることに、「障害に付随したものも含まれるはず」とJDとして参加した太田が指摘し、内閣府は「これまでの議論を踏まえ、誤解が生まれないよう、書きぶりを整理していきたい」と答えた。
(文:太田)
在宅サービスに力点を
―8月31日(月)、第25回障害者政策委員会―
前半は、精神科医療、教育に関するヒヤリングが行われた。東京都医学総合研究所の西田参考人は、精神障害や認知症の人の強制入院の割合について「EU諸国は高くて20%台だが、日本は40%以上と非常に高い」と紹介。その理由を「ヨーロッパでは“最後の手段”として使われる強制入院を、日本では在宅サービスが不足しているため、頻繁に使わざるを得ない」とした。そして、医療・家族から独立した代弁者制度、在宅サービスに力を入れる仕組みが必要だと訴えた。
柘植委員は、今後インクルーシブ教育システムを監視していく場合「いつまでにどうするかという目標を明確にする必要がある」と述べた。そして、経年変化を追跡できる質的な調査、例えば「個別の教育支援計画では何が書かれているのか、重度の子どもが通常学級に行った事例では実際にどのようなことがやられたか等の調査」が必要だと訴えた。
後半は、第3次障害者基本計画の実施状況について議論が行われ、事務局から修正された実施状況(案)が示された。委員からは、「現状把握にとどまっている項目がある。“施設中心の精神医療を在宅型に変える”は委員共通認識なので、そういう項目は提言的な記述もしたらどうか」、「65歳以上の障害者は基本計画の対象なのか」といった発言があった。
次回は9月24日。
(文:尾上(裕))
安保法制、福祉切り捨て 断固反対!
9月3日(木)、『「骨格提言」の完全実現を求める10.29大フォーラム実行委員会』が緊急行動を開催した。社会保障制度を破壊する政府の方針に対し、「憲法第25条に則った政策を!」と、命の危機感をもつ当事者が各省担当者へ要請書を手渡した。その後「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動」へ合流した。
「骨格提言」の完全実現を求める10.29大フォーラム2015 10月29日(木)12時〜15時
日比谷野外音楽堂
(文:西田、尾上(裕))
No.342 2015.8.20(木)
治らない病気をもちながら共に生きられる社会を!
7月31日(金)、日本弁護士連合会主催のシンポジウム「難病者の人権保障の確立を考える」が開催された。日弁連が難病者の問題に正面から取り組む初めての企画。
川島聡氏の基調講演では、「社会的障壁」の枠組みから見れば「障害の法的定義を狭く設定している社会」のあり方にも問題はあり、権利条約に照らし合わせれば障害者の範囲は相当広範なものと解釈できる、障害の定義が見直されていく際には「社会モデル」の概念が議論の出発点に置かれるべきと述べられた。
障害者運動の重要なテーマである「社会モデルへの転換」は、改正障害者基本法、障害者差別解消法、障害者雇用促進法で果たされつつあるが、障害者総合支援法は依然として病名で排除し続けている。既存の枠組みから病名を見直すのではなく、条約に基づいた見直しが必要だ。
青木志帆氏の特別報告では7月16日付の日弁連「難病者の人権保障の確立を求める意見」が報告され、障害者権利条約の完全実施に向けた施策の必要性が述べられた。リレー報告では、障害連事務局でもある白井誠一朗氏(DPI日本会議常任理事)、篠原三恵子氏(筋痛性脳脊髄炎の会理事長)、水谷幸司氏(日本難病・疾病団体協議会事務局長)から深刻な状況が報告された。社会モデルへの転換の必要性は共感するばかりであったが、水谷氏の訴える「人権」には違和感があった。水谷氏は、患者としては「治療研究の発達が一番大切」であり、日弁連意見書で「治すための医療」に触れられていないことが残念と述べられたが、治療研究は障害施策に馴染まないのではないか。
治らない病気による「生活苦の解消」が施策へ求めることであり、治らないからこそ医学的な指標で分け隔てられない共生社会を目指すというのが、権利条約の基本的な考え方である。
もっとも混合診療導入への反対意見にはとても共感した。導入されれば障害者手帳の有無や等級に関わらず不当な負担がかかる。また、政府は医療や介護を必要としない人へ手当等を支給する「インセンティブ改革」も打ち出している。あからさまな差別であるが、医療費負担の問題は難病者・障害者に限定せず、皆保険全体の問題として幅広くとり組む必要があるだろう。
<当日資料および意見書>http://www.nichibenren.or.jp/event/year/2015/150731.html
政策委員会の役割と権限
―第24回障害者政策委員会―
8月10日(月)障害者政策委員会が行われた。
この日は、基本計画の内容を超える事柄が議論に多くあがった。審議官は、「基本計画の監視がどこまでおよぶのか、政策委員会の役割を改めて整理する必要があると思う。委員長とも相談したい」と述べた。
会議前半、障害女性に関し2名の当事者委員による意見聴取が行われた。大日方委員は、「障害者就労に関する性別統計がないことは、驚き」と述べた。「推測で考えるのではなく、ちゃんと統計をとることで見えてくるものがある」と、条約に対応する統計の重要性を訴えた。松森委員は、「聴覚障害の母親を理由に、子どもの習いごとへの参加を断られた等、母親として切ない思いを幾度もした」と自身の経験を述べた。そして出産を躊躇する人もいるなど、日本は未だ障害女性が安心し、生み、育てることができる環境が整っていないと訴えた。
次回は8月31日。
(文:尾上(裕))
国交省交渉、進展せず
8月4日(火)国交省と、交通行動委員会が交渉をもった。差別解消法の対応指針のあり方についても話し合ったが、ハンドル型電動車いすについては、JR東海など乗車に否定的な考え方が今だにあり、現段階では解決できないとの考え方が示された。これに対して交通行動委員会は、「オリンピック・パラリンピック等を控え、海外からハンドル型電動車いすの人が来る。日本の遅れた考え方をさらけ出すのは国際的に恥ずかしいこと」と迫った。
(文:太田)
施設は『限界』!? ―仲間が意識を変えてくれた―
“障害者が一人暮らしをする”という発想が本人や家族にないことを問題にしたのは、自立生活センター・日野の秋山浩子さん。彼女自身の経験からだった。
7月25日(土)、障害連シンポジウム2015「私たちにとって暮らしの場とは何か」と題し、シンポジスト3名とフロアで熱い議論を交わした。
湘南希望の郷の五十嵐紀子さんは、施設経営に長年携わってきた立場から、「私たちも、できるだけ利用者のニーズに合わせたい気持ちはあるが、大規模の生活施設は限界があるのが現実」と率直に述べた。五十嵐さんはこれまで障害者運動に深く関わりながら、必要に迫られ経営者となった。
清瀬療護園自治会の大島由子さんは、施設の職員配置が利用者の障害の重度化などに対応できていないと訴えた。その結果、介護の不足を招き、「利用者同士で遠慮しあい、人の手が必要な片付けや掃除、外出もできない毎日がある」と述べた。
秋山さんは,障害のある人は実際に地域で暮らしているのを目の当たりにして、自分にもできると確信したとし、ピア・カウンセリングを通して「“施設に入ることは当たり前”という認識を変えることが大切だ」と述べ、そして社会に「障害者も地域に出られる」と発信してほしいと提起した。
フロアからは、「自治会は施設経営者に都合がよいものではダメ」、「自立生活運動も大切だが、経管栄養を必要とする人など、重複障害の人には施設も選択肢」といった発言があるなど、シンポジウムでは”多様性”という言葉が何回も飛び出て、内容の濃いものとなった。
(文:尾上(裕))
4名新幹事、2015年度 障害連総会
7月25日(土),障害連の総会が行われた。2014年度活動報告、2015年度活動方針・会計報告、人事が承認され、4名の新しい幹事が補充された。 (文:尾上(裕))
障害女性などに着目して…
7月10日(金)、第23回の障害者政策委員会が行われた。今回は、参考人の意見聴取と、4つのワーキングセッションの報告と議論。
勝又参考人は、統計は「障害女性などに着目した、障害者権利条約を実効あるものとするための資料」であるべきだとした。また障害のない人との比較、障害者の理解促進のためにも「一般の国勢調査では障害に関することを聞くことが重要」と述べ、政策委員会から統計委員会へ意見を出すことを求めた。障害女性の調査のメリットを問う委員に対し、「統計をとらなければ複合差別の実態が分からない」とした。
ワーキングセッション2の報告のなかで、厚生労働省は「病床転換型居住系施設は、退院支援を徹底しても地域生活ができない人にとっての一時的な施設だ」という追加説明した。これに対して委員からは「民間病院には一時的な施設を構える余裕はない」、「私人である医者が私人の患者を拘束するのは明らかに人権侵害だ」と述べた。委員長は「これは極めて重要なテーマなので、改めて参考人を呼んで議論する機会を設けたい」という意向を示した。
次回8月10日(月)は、ワーキングセッションの論点を整理し、国連の権利委員会に提出する政府報告について議論する。
(文:尾上(裕))
利用者負担問題で調査、厚労省言明
「なぜ65歳になると無料だったのが負担が発生するのか」という疑問の声が各自治体にあがっているが、厚労省は利用者負担問題についても、実態を調査することを明らかにした。これは6月29日(月)の自立支援法訴訟団との定期協議で答えたもの
(文:太田)
本人の意思決定を支援する制度へ
障害者政策委員会は、政府報告の取りまとめに向け、課題別のワーキングセッションを行っているが、6月12日(金)などに、”意思決定支援”のセッションがあった。
まず参考人の意見聴取。佐藤参考人は、「どんなに重い障害や認知症があっても、その人の意思があるということを前提にした制度設計が必要である」と訴えた。一方で細川参考人は保護者の立場から、「本人の意思が絶対であり知的障害者の支援も意思決定支援に変えようとする意見は、知的障害の特性を知らない」と主張した。知的障害当事者の都築参考人は、実際に支援を受けている立場から、相談員がいてくれることの長所・短所を述べた。
さらに、成年後見制度について厚生労働省・法務省と委員の議論が行われたが、両省の意思決定支援に対する消極的な姿勢が露わになった。権利条約と成年後見制度との整合性について、法務省は「抵触するものではない」とした。その具体的理由を委員から問われ、「判断能力が欠いている人に意思決定させるとその本人にとって利益を害するおそれがある」ことをあげた。
成年後見制度の運用実態に関する質問が委員から多く出されたが、両省は「把握しかねる」という回答を連発。このような姿勢に対して委員は、「運用の課題・問題点が整理できていないなかで、権利条約に抵触しないと評価するのは早すぎる」などと指摘した。
2回にわたる議論をもとに事務局が「論点の整理(たたき台)」をつくる。
(文:尾上)
「病棟転換施設は住宅ではない」
5月19日と6月1日 、障害者政策委員会のワーキングセッション2「精神障害者・医療ケアを必要とする重度障害者等の地域移行の支援など」が開かれた。トピックをひろうことにする。
精神医療人権センターの山本参考人は、「身体拘束がルールだと堂々という医師が急性期で多い」、「権利制限を乱用されている状況がみられる」と述べた。浮き彫りになったのは、統計上、長期入院者は強制入院ではなく、自発的入院による者で多いことだ。精神科医の上野参考人はその理由を、「施設にいると患者自身が施設化してしまい『退院したい』と要望しなくなる」とした。
病床転換型居住施設については、障害者権利条約の面からみて「地域移行や住居とはいえない」という考えや、反対意見が相次いで出された。
求められるものとして、川崎参考人は「精神科病棟にピアサポートや地域移行の相談を行う第3者機関の人権監視が入ること」という。
親の会の折田参考人は「子どもには居宅介護・移動支援に厳しい制限がある」、「保育・教育の場での親のつきそいが後を絶たない」と現状を述べ、。「障害が重く医療ケアが必要な人に一人暮らしは無理だ」という偏見・差別をなくしてほしい、と訴えた。
参考人意見、省庁に対し委員からは、「近い将来、退院の見込みがないとされた人の割合が欧米より高めに出る傾向にあるが、それは何故か」、などの問いかけがされている。
(文:尾上(裕))
JDF東京、「差別禁止条例」に向けて
6月11日(木)JDF東京は総会を開き、「差別禁止条例の制定に向けて」都議会に請願をだしていくことや、フォーラムの開催など、運動を盛り上げていくことを確認した。JDF東京には、DPI東京行動委員会など、障害種別を越えた、幅広い団体が参加している。
(文:太田)
No.336 2015.6.11(木)
介護保険は優先ではなく選択制へ
―社会保障審議会障害者部会(第63回)―
6月2日、社会保障審議会障害者部会(第63回)が開催され、関係団体からのヒアリングが行われた。
この日のヒアリングでは、各団体から障害者総合支援法3年後見直しの論点整理の各項目について様々な意見が出されたが、常時介護の論点では現行では制限されている利用対象者や利用範囲の拡大、特に入院時でも介助サービスが使えるよう見直すべきとする意見が多くの団体から出された。
また、障害者の範囲では、総合支援法の定義を障害者基本法の定義に改正し、あらゆる障害のある人が利用申請できる仕組みとすべきとする意見もあった。
高齢障害者に関する論点では、ほとんどの団体から、障害のある人が介護保険の対象年齢となった際に介護保険を優先するのではなく、本人が選択できるようにすべきだとする意見が相次いだ。
関係団体のヒアリングは引き続き次回以降も行われる予定となっている。
(文:白井)
“労働法の適用”と”原則インクルーシブ”
ワーキングセッション”雇用”と”教育”から
6月5日(金)、障害者政策委員会のワーキングセッション”雇用””教育”があった。
まず、”雇用”では、永野参考人は、「労働法の保護の強化‐一般就労、就労支援を問わず‐」を強く訴えた。また、障害者優先調達推進法にも触れ、”入札”の問題性について、競合会社と太刀打ち出来ないという観点で、問題点を述べた。
男女別・地域別の雇用状況について、以前質問が出されていたが、厚生労働省は「調達時の企業への負担になるので、調査項目を増やすことはできない」と回答した。
今回も委員から「体調を壊したら特例子会社を進められた人がいる。特例子会社の賃金はやはり低いのでは」といった特例子会社に関する意見が出た。これに対して同省は「一般就労で障害者を拒否する場合は問題であるが、特例子会社制度は必要」、「親会社と特例子会社の賃金格差の比較は、業務が異なるのでできない」と述べた。
教育については、委員から「原則インクルーシブとすべき」という意見が強く出された。
文部科学省は、通常学級に在籍している障害児の通学介助に関し「設置者、学校、本人・保護者の話し合いの上で、就学先も含め検討していくことが必要」とした。特別支援教育支援員の対象については、知的障害も対象としつつも「就学時相談において十分に把握した上、決定することが重要」と述べた。
委員からは、「障害者手帳を所持していない発達障害者や難病患者も就学支援が必要」、「特別支援教育支援員で知的障害児を対象外とするのは、障害者権利条約や実施状況でも書かれている合理的配慮に反する」、という意見もあった。
今回と前回の議論をもとに事務局が「論点整理(たたき台)」をつくることになった。
(文:尾上(裕))
政府報告の作成はオープンで ―マッカラム氏―
障害者政策委員会(第21回)5月29日
5月29日、第21回障害者政策委員会が開かれた。今回は、ロン・マッカラム氏(前国連障害者権利委員長)の講演があった。
同氏は、権利委員会は災害と差別禁止に関する報告を、日本に対して特に期待するだろうと述べた。加えて、障害のある女性や子どもに関すること、そして教育についても報告されることが望まれるとした。
政府報告を作成する際は、オープンでやるべきだと強調。具体的にはオーストラリア等のように、インターネット等で公開することがよい、とした。NGOからのパラレルレポートの重要性を強調、「改善したことのみならず達成できなかったことも書くことが大切だ」と訴えていたのが印象的だった。
後半は、ワーキングセッションで取り上げない分野に関する障害者基本計画の実施状況について議論。その分野は、保健医療、スポーツ・芸術、生活環境。
委員からは、「厚生省の説明は医学的リハビリテーションに偏っている。権利条約では医学的のみではなく、総合的にリハビリを述べている」、「博物館などで視覚障害、盲ろう者の人に対しても、画一的に展示物に触らないでくださいというのは、権利条約や差別解消法に照らしてどうなのか」「鉄道会社は窓口を減らす、機械化する等の合理化を進めている。障害者の対応はどうなっているか」といった発言があった。
次回の政策委員会は、6月29日(月)。
(文:尾上(裕))
No.334 2015.6.2(火)
震災・原発・障害について議論が展開
第31回DPI日本会議全国集会in福島、開催される
5月31日、福島県郡山市で31回目となるDPI日本会議の全国集会が開催され、全国から300名を超える人が集まった。
午前中の全体会では、障害者権利条約をテーマに基調講演やシンポジウムが行われた。また、韓国DPIからパラレルレポートへの取り組みについての報告もあった。
さらに、被災地発信のアピールも採択された。
第二部の分科会では、地域生活、教育のほか、特別分科会として原発と優生思想、避難と防災の4つの分科会が開かれ、それぞれ熱心な議論が交わされた。
原発と優生思想の分科会では、「反原発という立場に立つが、運動の中で“障害は怖い”という意識をあおりたてている」といった発言が多く出された。
また、その前日にはDPI日本会議の総会も開かれ、事業報告とともに今年度の活動方針について報告があり、今年度の取組みの方向性が共有された。
(文:白井)
No.333 2015.5.25(月)
JD、権利条約パラレルレポートをめぐって政策会議
内閣府の障害者政策委員会では、この夏をめどに権利条約の政府報告書の原案となる考え方をまとめているが、報告は政府だけではなく、NGOの立場からも出せることになっており、日本ではJDF(日本障害フォーラム)を中心に進められる予定だが、その前の準備としてJD(日本障害者協議会)は、パラレルレポート(NGOとしての報告)をテーマに会議を行なった。
5月23日(土)の午後、戸山サンライズで約120人の参加者があった。今回はパラレルレポート(NGOとしての報告)の意義をまず広めようとするねらいもあった。
障害別、分野別の報告もされたが、キーワードとして挙げられたのは、「他の市民との平等」「自立生活とインクルーシブ」「合理的配慮」などであった。JDとしては検討委員会をつくり、今後も各団体の意見を反映させたいと考えている。
政策会議の前、同じ日、JDは総会を開催した。2015年度の事業計画などを採択したが、副代表として新しく薗部英夫氏(全国障害者問題研究会)が選ばれている。
(文:太田)
都合の悪いデータをのせてこその政府報告
5月22日、障害者政策委員会の「ワーキング・セッション3:インクルーシブ教育システム、雇用など」が開かれた。ワーキングセッションはテーマごとに4つ設置され、障害者権利条約の第1回政府報告に載せる分野の基本計画(第3次)の実施状況を集中的に議論するもの。議論は、各省庁が教育と雇用の現行制度について説明した後、行われた。
教育に関して参考人からは、次のような意見があった。全国特別支援教育推進連盟は、文部科学省の施策を支持しつつ、教員の定数改善、教室不足の解消、個別の教育支援計画が機能してない現状を訴えた。発達障害の当事者の村上さんは「学校に通うための下準備がとても少ない」と述べ、発達障害の子どもが学校にいられるための配慮がまず必要だとした。発達障害の人のなかには、光や音、においに敏感な子どもがいるにもかかわらず、通常学級で配慮を申し出ると“わがままだ”として片付けられてしまうことが少なくないという。
委員から、「資料に“子どもの状況に応じて学びの場を柔軟に変更する”と書いてあるが、どの段階で誰かどのようなプロセスで変更するのか」、「実施状況(案)には学校教育法施行令を改正したと書かれているが、それだけでは政府報告としては不十分。改正してどうなったかを分析する必要がある」、「通常学級における合理的配慮のデータがない」、「インクルーシブ教育であれば通学支援を予算化してもらいたい」といった発言があった。委員の意見で、とくに聞かれたのは、特別支援教育支援員に関して。「支援員は学校が長期休業になると収入がなくなる。継続的な雇用を」、「予算を地方一般財源ではなく文部科学省の予算でやるべき」、「発達障害の子ども以外も利用できるのか」等。
雇用に関して、視覚障害当事者の参考人・田中さんは、民間企業や都道府県等の教育委員会では障害者の法定雇用率が達成できていないことや、採用後に障害をもった人の支援の重要性(リハビリ休暇等を創設)について述べた。また「特定子会社の制度を改正する際には、特例子会社が障害者を区別する道具として使われる(障害者を特例子会社のみに採用し親会社には一人もいない)事態に陥らないよう、親会社と特例子会社との人事交流をさせるなどの仕組みが必要」と訴えた。
委員からは、「職場定着率の定着とは、何をもってそう言うのか。考え方を教えてもらいたい」、「5年後や10年後の職場定着率のデータはないのか」、「特例子会社は障害者のみを雇うおかしな形態。権利条約を批准した現在、あり方が問われる可能性がある」、「親会社と比べた特例子会社の賃金のデータを出してもらいたい」、「男女別、地域別の雇用率を出してほしい」といった発言があった。
委員からの省庁への質問には、6月5日(金)の次回ワーキンググループで文章にて回答することになった
(文:尾上(裕))
No.332 2015.4.24(金)
障害連、厚労省障害福祉課と意見交換
4月21日(月)障害連は厚労省障害福祉課と意見交換した。残念ながら目新しい回答は引き出せなかった。
生活施設における人権問題、65歳以降の介護問題、障害の範囲の問題、意思疎通支援の問題について、行った。どれについても「検討していきたい」の回答だった。
「生活施設では、ナースコールを押しても、トイレを1時間以上待たせるなど、日常的にひどい実態がある」ことを訴え、厚労省は「そういうことがないように『虐待未満』と言える問題についても、今後一層注意を払いたい」と答えた。
65歳以降の問題については、最近自治体に対し、「65歳に達したときにそれまでの生活を維持できるように」という事務連絡を出し、厚労省としても問題意識は持っているとした。一方サービスが引き下げられている現実もあり、それが大きな問題なのだ。
障害の範囲については、障害者基本法に沿って3年後の見直しの議論で検討中だとし、指定難病数も増やしている、とした。
意思疎通支援については、「人的な部分は、専門支援相談員等に対する研修などを強化したい」「機器的な部分は、検討したいが、難しい現実がある」とした。
当日厚労省からは課長補佐、係長など7名が対応し、障害連から関根代表をはじめ6名のメンバーが参加した。
(文:太田)
丁寧なモニタリングを
―障害者政策委員会(第20回)―
4月17日(金)、障害者政策委員会(第20回)が開かれた。政府は国連に対し、2016年2月に障害者権利条約の第1回モニタリング報告(政府報告)を提出しなければならない。政策委員会では、障害者基本計画の実施状況の監視を通じて、条約のモニタリングを行うことになっており、今年9月頃にかけて集中的に、第1回政府報告に載せる分野の基本計画(第3次)の実施状況を議論することになる。
事務局は、特に議論を深めるべきテーマを次の4点に絞り、各テーマごとにワーキングセッションを開催することを提案した。(1)成年後見制度も含めた意思決定支援など、(2)精神障害者の地域移行の支援など、(3)インクルーシブ教育システム・雇用など、(4)情報アクセシビリティ。ワーキングセッションは1~2回開催される。5月中旬から6月にかけてセッションを行い、それぞれ「議論の整理(たたき台)」を作成し、7月と8月の政策委員会で意見交換する。セッションは、情報保障つきで公開制であることが確認された。
議論の進め方について委員からは、「司法手続きに関することが抜けているのでは。司法機関のヒヤリングをしていただきたい」、「障害女性のような横断的な課題はどのように扱うのか」、「第1回政府報告では難しいかもしれないが、2回目・3回目では新たな視点からの性別・地域別の統計を載せる必要がある。来年の政府報告ではそれを統計の課題として述べることが大切」といった意見が出された。
ワーキングセッションに関しては次のような発言があった。「4つのワーキンググループすべてで障害女性の意見が必ず入るようにしていただきたい」、「地域の障害者施策は、進捗に地域格差があるので丁寧に議論していくことが大切」、「地域移行の問題は精神障害だけではない。重症心身障害や重複障害のある人においても深刻」、「雇用と教育を一緒にやるのは難しいのではないか。一緒にするとしたら参考人の制限を緩和したり、セッション時間を長めにとっていただきたい」。
次回の政策委員会は5月29日(金)、ロン・マッカラム氏(前国連障害者権利委員長)の基調講演がある。
(文:尾上(裕))
「条例、今は考えていない」
DPI東京行動委員会、都・人権部と話し合う
DPI東京は、4月8日(水)東京都に障害者差別禁止条例の制定を求めて、東京都総務局人権部と話し合いをもった。
「現在都としては条例をつくるという話はなく、障害者差別について、差別解消法で行っていくのか、条例で行っていくのか、白紙の状況」と回答した。「皆さんの声を聞きながら、福祉保健局など他局に伝えたい」とも述べ、さらに「人権部としては、あらゆる差別の解消に向けた意識啓発に今後も努めていきたい」とした。
参加者からは「他の地域では条例を制定するところが多くなっているのに、なぜ東京ではできないのか」などの疑問や意見が次々とあがった。
なお要望項目は以下の通り。
記
1 条例策定を議論する組織を設け、その構成は各種の障害当事者等を過半数以上とし、その他様々な分野からも参加した、当事者性と多様性と差異を尊重した委員構成としてください。
また、本組織が、実態調査や事例収集、または委員会に入れなかった当事者・団体からの声を拾えるようなヒアリングを行うなど、きめ細やかな策定過程を経ること
2 条約の精神に基づいた理念を示すとともに。差別解消法を補完するよう、「差別の定義」、「女性と障害等の複合差別の禁止」などを盛り込むこと
3 差別を受けた人の相談を受け、相手方との調整を可能にする問題解決を図る組織を、障害当事者参加を前提に設置すること
4 この条例を検討する東京都の担当部署は、障害者差別全般が対象となることから、総務局人権部とし、他局と連携を図りながら、全庁をあげて行うこと
(文:太田)
3年後見直しで目指すものは骨格提言!
―障害福祉サービスの在り方に関する論点整理のためのWG(第9回)―
4月8日、障害福祉サービスの在り方に関する論点整理のためのWG(第9回)が開催され、各作業チームでまとめられた論点整理案の報告などが行われた。
作業チーム座長からの報告の中では、「そもそも3年後見直しで目指すものは何かという共通認識が必要」が示されたが、権利条約に則した政策や骨格提言の実現以外に何があるというのだろうか。
他にも、よりユニバーサルな制度にしていくために障害と高齢をうまくつないでいくことが重要だといった、あたかも介護保険との統合を前提としているかのように受け止められる旨の報告もあり、多くの障害当事者が望む方向性とはかけ離れた論点整理が行われていることが改めて浮き彫りとなった。
私たち抜きに私たちのことを決めさせないために、多くの障害当事者による監視がますます重要になっている。
次回のWGは4月15日開催。
(文:白井)
しっかり見ていこう障害者政策委員会
―障害者基本計画の実施状況の検討始まる―
「障害者基本計画の実施状況を検討するには、分野が多すぎて、小委員会などをつくってそこで検討した方がよい」とする、意見が委員から出された。
3月27日(金)障害者政策委員会が久しぶりに開かれ、差別解消法の基本方針の閣議決定報告や、障害者基本計画の実施状況の検討のあり方について議題とされた。
障害者政策委員会の役割としては、障害者基本計画のモニタリングを行うことを通して、障害者権利条約の国内モニタリングも、行うということから、政府報告を出すにあたって重要な議論が始まった、といえる。
事務局から出された実施状況は、平成25年度の分で、10分野にわたり、分量も多かった。政府報告を出すことを念頭においたときに、「4月、5月、6月と集中的に議論をしていかなければならないだろう」と石川委員長は述べた。
DPIの佐藤委員は、「このまま数字のみを鵜呑みにしてしまうのは問題があり、例えばバリアフリー法では、乗降客3000人以上の駅を対象にしているので、地域格差の問題が見えてこない」と述べた。また松森委員は「雇用について、男女別の統計を出してほしい」と訴えた。
精神障害者の地域移行が進んでいない現状や、難病の問題についても出されていった。
今後の検討では、精神障害者や知的障害者からきちんとヒアリングすることとなった。
重点課題としては、精神障害者、高齢障害者、重複障害者などがあげられた。
どこまで中身を詰めた議論を進めていくか、注目される。小委員会をつくる、といった形式などについて、内閣府の中島審議官は、「今日出された意見を踏まえ、どういう形にするか、委員長と相談をし、皆さんにはかりたい」とした。私たちはしっかりと注視していく必要がある。
(文:太田)
もっと調査と当事者参画の議論を
3月27日(金)、3回目の意思疎通支援に関する検討作業チーム(※)が開かれた。今回は、これまでのワーキンググループおよび作業チームの委員の議論や、団体ヒヤリングをうけて、今後議論を深める必要がある事項を検討した。前回のヒヤリングでみられた、手話や要約筆記の情報保障はなかった。
支援機器については、「開発のみに着目するのではなく、機器のセッティングなど導入後のフォローアップも重要」、「海外の機器も導入しやすくしてほしい」という意見があった。
意思疎通支援事業に関しては、「現制度をアレンジしていくことは重要」、「各制度を弾力的に運用すべき。自治体によって要件が違っても、厚生労働省には怒らないで認めてもらいたい」といった制度の柔軟性を求める発言があった。ただ、別の委員は「いくつかの団体から、対象範囲のみを広げて、現制度を障害種別を超えて使えるようにしないでほしいという要望がきている」と報告した。この要望は前回のヒヤリングで、対象要件の緩和に関する意見が多かったことをうけてのことだ。委員からも「対象要件の緩和を訴えていた日本失語症協議会は、同時に失語症に特化した支援者養成も訴えていた。個別に支援者を養成していくことも必要」という意見が出された。
何名かの委員から、この作業チームの議論の進め方に関する指摘が聞かれた。例えば「意思疎通支援事業の具体的な運用実績のデータが不足している」、「手話通訳者がどのくらい実際に働いているのか、地域の偏在はないか、ニーズに対応できているかといった調査結果がほしい」、「全国の現状が分かる調査がないと、ヒヤリングにおける各団体の要望が、団体独自のものか、共通のものか、わかりにくい」。
議論のとりまとめは、委員長と事務局で行うことが一任された。作成した報告は、親部会のワーキンググループに報告する。
※本作業チームの正式名
障害福祉サービスの在り方等に関する論点整理のためのワーキンググループ「手話通訳等を行う者の派遣その他の聴覚、言語機能、音声機能その他の障害のため意思疎通を図ることに支障がある障害者等に対する支援の在り方に関する論点整理のための作業チーム」
(文:尾上(裕))
“介護保険”、選択、連携などが出される
若い時からの障害者が65歳を過ぎた場合
「若い時からの障害者が65歳に達した場合、その障害特性から、そのまま介護保険に移行するのは問題だが、介護保険を選択できるようにしたり、障害と介護保険が連携することが求められる」というのが、この日の結論だったように思う。
3月25日(水)、「高齢の障害者に対する支援の在り方に関する論点整理のための作業チーム」(第3回)が行われた。
議論では、「障害者についても介護予防が必要ではないか」「障害と高齢などの垣根を越えた地域拠点や、相談支援が必要」といった意見が出された。
これらの議論には、うなずけてしまう点もないわけではないが、権利条約でうたわれている地域社会での自立生活の実現、という観点から考えた時に、頭をかしげざるを得ない。障害の重い人たちが、重度訪問介護等のサービスを受けながら、社会参加など、いきいきした生活を送っている現実の姿は、多くの人に影響と自信を与え、これからの福祉社会のありようの示唆となっていることにも注目すべきである。
自立支援法違憲訴訟の基本合意や骨格提言の意味をもう一度問い返す時だ。それにしても、この作業チームには学識経験者が多く、障害者らしい人は見受けられなかった。「私たちのことが私たち抜きで」決められてしまうのか!!30年前にタイムスリップしてしまった錯覚に陥った。
(文:太田)
多くの当事者の目を!
―第2回常時介護を要する障害者等に対する支援の在り方に関する論点整理のための作業チーム―
3月9日(月)、2回目の「常時介護を要する障害者等に対する支援の在り方に関する論点整理のための作業チーム」が開催され、札幌市や諸外国で行われているパーソナルアシスタンス制度について札幌市からヒアリングを行った。
ヒアリングをもとに論点整理に向けた意見交換が行われたが、気になったのは会場に長時間介護を要する(と思われる)障害当事者が見当たらなかったことだ。多くの当事者が目を向けているのだということを行動で示すことが、より当事者の視点に立った議論へとつながっていくのではないだろうか。
(文:白井)
積極的な議論を!
―第3回障害者総合支援法対象疾病検討会―
3月9日(月)、第3回障害者総合支援法対象疾病検討会が開催され、指定難病検討委員会で指定難病の候補に挙がっている疾病をそのまま総合支援法の対象疾病案とする事務局提案が提示された。
この日も委員からは事実確認の質問が1つあった程度で、何ら議論らしい議論が交わされないまま事務局案が了承される運びとなり、40分も経たずして閉会となった。次回は積極的な議論を期待したいが・・・。
(文:白井)
意思疎通支援事業の
対象範囲や利用目的の拡大を!
3月12日(木)、「障害福祉サービスの在り方等に関する論点整理のためのワーキンググループ『手話通訳等を行う者の派遣その他の聴覚、言語機能、音声機能その他の障害のため意思疎通を図ることに支障がある障害者等に対する支援の在り方に関する論点整理のための作業チーム』(第2回)」が開かれた。今回は、5団体からヒヤリングを行った。
日本盲人会連合は、「500字中25字(5%)も点訳、音訳にミスがあれば、視覚障害者にとって、とくに専門書を読む場合は内容理解に大きく左右する」とし、点訳者・音訳者を専門職として位置づける必要性を訴えた。また、「ディジー(DAISY、普通の印刷物を読むことが困難な人々のためのデジタル録音図書)は視覚障害者のみならず発達障害者などにおいても有効。ディジー制作者の養成を意思疎通支援事業に組み入れてほしい」と述べた。
全日本ろうあ連盟は、「手話通訳士の養成には時間がかかる。大学など高等教育機関等での手話通訳士養成が行えるようにしてほしい」、「これからは、合理的配慮に基づく意思疎通支援の在り方を十分検討していくことが必要である」とした。
全日本難聴者・中途失聴者団体連合会は、「意思疎通支援事業の対象範囲や利用目的に対する制限は原則的に設けるべきではない」、「意思疎通支援の中身を技術の進化に合わせて、合理的配慮として個別に行うものと、環境整備として不特定多数に行うものに整理して、進めていくことが大切」と述べた。
全国盲ろう者協会は、「盲ろう者は人数が少なく、必要な支援の程度は非常に多様であり、意思疎通支援の制度に関しては画一的に議論すべきでない」、「ある人は常時介護が必要で、重度訪問介護に「盲ろう者のコミュニケーション支援(通訳)」を加えたかたちにしたほうが良い場合もある」とし、意思疎通支援事業の個別給付化に関し丁寧な議論を要望した。
日本失語症協議会は、「各地の意思疎通支援事業は、対象範囲が狭く、失語症者は利用できない」、「一部の自治体では、「会話パートナー」のような失語症者に対する意思疎通支援事業を行っているが、全国レベルの支援はみられない」と現状を訴えた。また、作業チームに対し、当事者団体の参加がないことを「遺憾」とした。
(文:尾上(裕))
このままでいいのか!障害福祉サービスの議論
今日も当事者の傍聴が少なかった。骨格提言の実現をめざし、3年後の見直しの議論が厚労省内で進んでいるが、議論は、「持続可能な制度」という言葉が飛び交うなど、骨格提言とは程遠いものとなりつつある。
3月17日(火)「障害福祉サービスの在り方に関する論点整理のためのWG(第7回)」が行われた。就労支援や精神障害者施策、障害児支援、その他のサービスについて議論がされたが、改革の具体的な方向性は示されなかった。
今こそ障害当事者が注目し、監視していくことが強く求められている。
(文:太田)
入院はいやだ
―病棟転換居住系施設問題 院内集会パート3―
3月3日、病棟転換型居住系施設について考える会主催「病棟転換居住系施設について考える院内集会part3」が行われ、衆議院第一議員会館に250名を超える参加者が集まった。
杏林大学教授の長谷川利夫氏による基調講演や障害者政策委員会委員の上野秀樹氏による特別報告のほか、リレートークなどがあった。
リレートークの中では入院経験のある当事者からの「入院はいやだ」という発言もあり、もっとも大切にしなければならないのは当事者の声であるということを再確認した。 (文:白井)
IPC基準で日本のバリアフリーを進めよう!
―東京2020オリパラ学習会―
3月4日、DPIと脊損連合の共催による学習会、「IPCアクセシビリティガイドから見た日本の競技施設」が行われ、前日の院内集会に続いて250名を超える参加者が議員会館に集まった。
東洋大学教授の川内美彦氏の講演やDPI日本会議バリアフリー部会による調査報告から、アメリカの競技施設などと比べて立ち遅れている日本の現状が示され、東京オリンピック・パラリンピックを契機としたバリアフリーの一層の推進に向けた取り組みが重要であることが確認された。
与野党から数多くの国会議員も会場にかけつけた。
(文:白井)
差別解消法基本方針 閣議決定
2月24日、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律に基づく、障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針が閣議決定された。
この基本方針は、不当な差別的取扱い及び合理的配慮の不提供を差別と規定する等、画期的な内容をもつ。
一方、課題としては、差別解消に関する相談及び紛争の防止等のための体制を、既存の機関等の活用・充実を図ることとされ、実行の仕組みは各自治体に丸投げしていることで、実効性が問われる。
差別解消法を活かしていくために、今後、対応要領・対応指針の作成過程や、自分が住むところの自治体の条例づくりにしっかり関わることが重要だ。そして何より大切なのが、自分が差別にあった場合に声を上げて解決しようとすることだ。
(文:尾上(裕))
基本方針の検討が始まるが・・・課題続々
―第36回難病対策委員会―
2015年2月17日、1年2か月ぶりに第36回難病対策委員会が港区芝の労働委員会会館(7階)で行われた。この日の委員会は、難病法施行後の制度の実施状況について意見交換が行われた。また、この間ずっと策定されないままとなっていた基本方針案の検討が進められ、患者団体からヒアリングも実施された。
制度の実施状況についての意見交換では、現在、指定難病の第二次実施分の検討が行われている指定難病検討委員会の進め方について、当事者団体の代表や医師の委員から多くの意見が出された。
特に多く意見が出ていたのは、指定難病の選定にあたって厚労省が公開した検討対象となる疾病の候補リストに関するものであった。リストに挙がった疾病の中にはそもそも指定難病の要件を明らかに満たしていないような疾患等も多く見受けられ、どのような基準や考え方でリストアップされたのかという疑問の声が相次いだ。
厚労省からは、これまで難病対策の中で研究対象とされた疾患や小児慢性特定疾患の他、検討対象として学会等から情報が得られた疾患等を合わせた所、610疾病のリストとなったとの説明があったが、委員からは「もう少しきちんと整理した上で出すべきではないか」といった指摘がなされた。
また、難病法第4条に規定されている基本方針の策定に向けた患者団体のヒアリングでは、法施行後の課題として、原則医療費助成の対象外となる軽症患者の研究データ登録の整備が進んでいない問題や指定難病の診断を行うことのできる指定医や指定医療機関の整備の遅れについての指摘があった。
難病対策委員会は今後も、基本方針の各項目について同様のヒアリングを行いながら、夏を目途に委員会としてのとりまとめを行うというスケジュールが示されており、法施行後の実態に即した基本方針の策定が期待される。
(文:白井)