登場人物



ジュート・ノーウッド
 (個人名・家名)
 
 年齢:自己申告は28歳 実年齢は25歳
 
 性別:男性
 
 身分:平民
 
 職業・役職:王国海軍少尉
 
 経歴:8歳の時、母親が病死し、父方の祖母の元に預けられる。10歳の時、父親がジュラン 
    遺跡で消息不明となる。その後、11歳で祖母も病死。天涯孤独の身となる。
    その後、日々の生活をする為に都市部でさまざまな職を転々とする中、とある港の造船
    工場で、その工場に軍用小型艇の修理を要請しに来ていた水兵に遭遇。海への単純な
    憧れと「軍人になれば日々の食事は保証される」という即物的な動機から15歳の時、18
    歳と偽って海軍に志願する。
    度々発生する戦争において極無難に幾つかの武勲を上げる。特に2年前に終結した  
    第四次ブルハン会戦において指揮官の死後、代理としてその指揮を引き継ぎ勇戦した
    事が認められ、26歳、実年齢23歳で少尉に昇進。
    現在、ヒースター海軍基地司令部第2部隊に所属している。
 
 容姿:普段は海軍士官の白い軍服、軍帽を着用。短銃と軍刀を所有している。細身で長身。
    力仕事には向いていなさそう。鮮やかな赤毛が特徴。似合わない口髭を生やしている 
    が、これは実年齢を誤魔化す為と、周囲の熟練兵が彼を「若い士官」と言う外見から、 
    勝手に「幼年学校か、士官学校を卒業したエリート仕官」と勘違いし馬鹿にする事を嫌っ
    てのこと。
 
 性格:基本的に温和で懐深い人物。幼いころから苦労をしてきたせいか対人関係もその対 
    応は柔らかく、職務上の部下からも人望がある。
    戦術面においては相手の心理を読むことに長けており、なかなか非凡な才能を示す。 
    だが10年以上の軍歴を重ねている者として、経験の浅い無能な上官には容赦がなく、 
    戦術家としての才能を示しながらも昇進のスピードが同僚に比べ一歩遅れている。
    父親が研究していた「考古科学」に多少の興味があり、趣味もかねて独学でそれなりの
    勉強をしているという勤勉な面もある。


ロレッタ・ロン・シュタミッツ
 (個人名・貴人称号・家名)
 
 年齢:18歳
 
 性別:女性
 
 身分:王国貴族第四代シュタミッツ侯爵家当主令嬢
 
 職業・役職:無職
 
 経歴:王国でも五指に入る権勢家、シュタミッツ侯爵の長女として誕生。母親は元ヴィーフィ 
    ー伯爵家の次女。幼い頃、父親は王家の重臣として公職にあり多忙の日々で、母親は
    夫が不在の隙に幾人もの愛人と共に淫行に溺れる。両親の愛に飢える寂しい少女時 
    代をすごす。
 
 容姿:母親譲りの美しい直毛の金髪を所有する女性。中背で痩せ型という体型にその美しい
    容姿は外見的には非常に繊細でたおやかな印象を与えるが、対峙するものを萎縮させ
    るほどの眼光の鋭さは、未だ十代とは思えないほどである。
 
 性格:両親の愛情を知らず皮肉れた性格に成長してしまうが、彼女の世話を焼いてくれた平
    民出身で既に老齢だった侍女頭に大切に育てられ、根は非常に優しく、貴婦人とは思 
    えないほど他者を思いやる心をもっている。が、普段はあくまで他者には冷淡に接して 
    いる。その冷淡さが、他者には侮蔑に受け止められるらしく「権高な女」という印象を与
    えてしまっている。侍女頭の死後はその冷淡さにさらに磨きがかかり、よほど、自分に 
    自信の無い男でなければ彼女に言い寄る貴族もいないありさまだ。
    頭脳明晰で計算高く、並みの貴族では太刀打ち出来ないほどの権謀術数を誇る。
    本当はすごく寂しがり屋である。


ジャネス・ペイリン・ロン・ディ・ハーベイス
 (個人名・第二個人名・貴人称号・王族称号・家名)

 年齢:24歳

 性別:女性

 身分:王国王族第一王女、公主

 職業・役職:王国軍務省総務官府所属武官中将、王国軍務省最高幕僚会議議員、王国軍 
        務省高等参事武官、王国軍第3元帥府所属第5分隊司令官、王室会議議員

 容姿:王族、という立場上、美しいという形容詞で飾られる遺伝子が集合した人物。意外に背
    は低い(これが彼女の唯一のコンプレックス)。亜麻色の美しい髪をしているが短く耳で
    切りそろえられており、一瞬,少年と間違えられるような容貌をしている。何と言っても凍
    て付いた青い瞳が印象的で、これで睨まれると一万の軍勢も凝固してしまう、という迷信
    が立つぐらい美しく激しい。「綺麗な女性は怒ると怖い」という評を体現した女性。

 経歴:現国王第5代ウェンバント・ロン・ディ・ハーベイスが侍女であったジョアンナ・ペイリン 
    に生ませた第3子にして第一王女。非嫡子。母親が平民だったのと、正妃セザリア・ロ 
    イ・ディ・ハーベイスより疎まれ、王宮よりジャネスと共に放逐される。母親ジョアンナは 
    放逐後まもなく死亡。祖母の元で平民として育てられる。正妃セザリアが病死後、再び 
    14歳で王宮に戻される。その後、王宮での地位を確固としたものにするため王国軍に 
    志願。始めは王族のため予備役准将だったが、16歳の時初めて戦場で指揮をとり勝 
    利。平民出身のホイスラー・オイカワ陸軍少尉と邂逅後、彼女が指揮する軍はことごとく
    連勝し総務官府所属武官中将にまで昇進。二年前の第四次ブルハン会戦において隣 
    国を完全併呑する。その武勲により、王国貴族の最高位にして王族でも王太子や王兄
    弟にしか与えられない公主位(男性の場合は大公位)を与えられる。その為、第一王子
    の現王太子ジョアン・ロイ・ディ・ハーベイス大公より敵対視されている。「戦いの女神」 
    「武烈公主」と呼ばれる。
 
 性格:王宮を放逐された後、母親が病死してしまった事が、彼女に王宮への憎悪を植え付け
    た。幼いころの庶民の生活と、成長してからの王宮の生活の落差が、彼女に卓越した 
    思考と軍指揮官としての客観能力を育てる。復讐と腐敗した宮廷の貴族政治を一掃す
    るために、つまりクーデターを起こすために現在足掛け八年の歳月をかけて地歩を固 
    めている。その能力を隠すために普段はその冷静さを失わないでいる。他者への好悪
    の念が強く、有能で自分にとって有益な人物には非常に友好的な態度を取るが、無能 
    者には身も蓋もなく「馬鹿」と言い放つ。戦場での能力は戦術面にとどまらず、戦略家と
     しての顔も持つ。きわめて慎重でかつ正確な情報分析を行い、敵軍を退けてきた有能
    な将帥である。好きな戦いは大包囲網による「殲滅戦」である。果断速攻を好む。だが、
    普段が冷静な分、一旦箍が外れると例え相手が降伏しようとしても、それを拒否してま 
    で相手を蹂躙する苛烈さから「武烈公主」と呼ばれる。内面はかなりの激情家である。


ホイスラー・オイカワ
 (個人名・家名)

 年齢:31歳

 身分:平民

 職業:王国軍務省総務官府所属武官大佐、王国軍務省作戦参謀会議議員、王国軍務省高
    等参事武官付副官、王国軍第3元帥府所属第5分隊参謀長兼司令官付副官

 容姿:名の通り、日本人の血を引いている為、黒髪、に黒い瞳の黄色人種。ただ、混血も進
    んでいるようで、背は高い。柔和な微笑は見るものを蕩かすほどだが、仮面のように張
    り付いたままいつも笑顔でいる為、ある意味不気味がられる。戦闘中も常に笑顔。

 経歴:19歳で陸軍に徴兵されるが、身体能力がどれもCランクだった為、前線補給小隊の専
    任下士官として配属。ジョウ辺境伯領侵攻作戦において銃弾の嵐が飛び交う中、自軍 
    勢の後方から敵軍勢正面までを隈なく、弾薬、銃器、弁当、慰安手紙(前線兵士に送ら
    れる名も無き女性からの激励の手紙)をこぼれんばかりの笑顔と共に配達し、スマイリ
    ング・ポストマン(微笑む郵便配達人)と呼ばれる。以後、ムードメイカー的役割として、 
    各部隊を移動。移動中、陸軍曹長まで昇進。
    23歳の時、フリンセチアの内紛(フリンセチア総務官大佐の起こした軍事クーデタ)の 
    際、初めて総務官准将だった、16歳のジャネス王女と邂逅。初めての戦場で、緊張しっ
    ぱなしのジャネス王女に何かと目をかけ、本来、高級士官や女性にはまず、送られる事
    のない慰安手紙をわざわざ自分で書いてさり気無く手渡したり、伝令官の変わりに戦場
    状況を報告したりする。
    この内戦に参加していたフリンセチア大佐の息のかかった男爵家の令息だったセスラ 
    ー陸軍少将が謀反を起こそうとしている事を察知したオイカワはジャネスに報告。
    ジャネスはこの意見を具申したが、他の高級士官には相手にされず、結局、ジャネス直
    属の2個中隊とオイカワの呼びかけで集まった本来、実践には参加しない補給部隊数 
    百名がセスラー謀反の際の直属迎撃部隊として参集。
    先端が開かれて以後、セスラー少将が味方に対して反転、攻撃を仕掛けようとした際、
    セスラー部隊の左右を挟んでいたジャネス部隊、補給部隊が挟撃。
    逆転されかけた味方を再逆転し、戦勝に導く。
    ジャネスは王族、ということもあり、逆に戦勲を立てた、ということでお咎め無しだった  
    が、オイカワは一陸軍伍長が命令違反の角で、兵士を扇動し、男爵家令息のセスラー
    少将を殺害したというのは、結果的には戦勝、という戦勲を立てたものの、貴族将官の
    怒りを買い、査問会により営倉入り、減俸一年、その後の免職を言い渡される。
    が、免職後、少将に昇進したジャネスが、個人的にオイカワを士官学校に入学させその
    一年後、中途卒業させ、直属の参謀の一人とする。
    その二年後ジャネスは総務官府にオイカワを入れるため、陸軍中尉になっていたオイカ
    ワを軍事指揮官学校へ入学させ、これまた一年後、中途卒業させ卒業後、総務官府所
    属武官少佐としてジャネスの参謀に復職。
    ジャネスの周囲の貴族将官の眉を潜めんばかりの活躍と、入念な根回し工作、オイカ 
    ワ自身の人当たりのよさと目立たなさから現在、王国史上初の平民出身の総務官高級
    士官となる。

性格:温和で大変に優しい。頼みごとをされたら絶対に断れない性格。ただし、ジャネスの事に
   関しては頑固で、ジャネスの誹謗や中傷には過剰な反応を示す事もしばしばある。
   その派手な経歴は普段の人当たりのよさと、控えめな性格による目立たなさにより完全 
   に覆い隠されており、大して有名でもなく、その不自然な昇進も問題視されていない。多 
   少目端の利く貴族士官から「何で平民が総務軍人?」と不思議がられる程度。
   戦場全体を補給部隊という第三者的立場で脚で稼いだ下士官時代の経験から、戦場全
   体の状況の把握と情報収集を主とした面での能力に秀でている。その才能はジャネスの
   陰に対して発揮され個人的に小規模ながらスパイ網を持っている。
   実は、彼の事を重要視しているのは他国の軍人であり「スマイリング・スタッフ・オフィサー
   (微笑む参謀)」という異称も彼の情報収集と分析力、ジャネスの陰で常に微笑んでいる 
   存在に畏怖を感じたブルハン会戦時の隣国の将軍により付けられた異称。それ以降、さ
   すがに有名になった。



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