DARK HARBOR ネタばれストーリー解説 D




お待たせいたしました。ついに来ました衝撃のクライマックス!



監督コメンタリーつき改訂版が遅くなりましてどうもすみませんでした m(___)m
ここまでくると、それほど大きな今明かされる秘密!もないので、なんかヤル気が出ないまま放置しておりましたが、リクエストいただいて現金にもやってしまいました(*^_^*)
さっきも言いましたがそれほど面白いネタはもうほとんどないのですが、よかったらお付き合いください。


台所に降りていくと、奥さんは既にテーブルで朝食なぞ食べてます。デイビッドはきょろきょろしたり窓から外を覗いたりして、ノーマンを捜している模様(一途ね♪)。それにヒモを結んでないスニーカーかなんかを履いてます。なんで家の中でスニーカー?と思いますが、やっぱりこれは後で台所から飛び出す時の準備を既にしているということでしょうか。

なんとなく投げやりに(^^;)奥さんに「おはよう」とキスしようとすると、彼女は、いやんとばかりに顔をそらします。鏡を見てみると、デイビッドの口元に赤いアザのようなものが…(こはいかに?)

やっぱしこの口元の赤いアザは(デイビッドがワザとつけた)うるしのカブレだそうです。勝手に想像(妄想)して、昨晩奥さんが寝た後、デイビッドはベッドを抜け出して、ノーマンとどっかでワイルドな夜を過ごしてきたんじゃないの?とか書いちゃってすいません (*^_^*) 

ちなみにこのシーンはハンド・カメラで撮影されていますが、監督としては、一見ごく普通のいつもの朝っぽく見えながらも、これから始まる一世一代の大芝居(大ゲンカ)を予感させるような警告というか違和感のようなものを出したかったんだそうです(はー、あいかわらず深いですな…)。


デイビッドは席につくなり奥さんに、「いつから起きてるんだ?」とか「あのお友達(←ノーマンのこと)はどこにいる?」とかイライラと聞いています。ちょっと挙動不審ですね。
そして「ボートを見てくる」と出ようとすると、奥さんが「もう済んだわ」と即答したので、「どういうことだ?!」と気色ばむデイビッド。奥さんに、「彼(ノーマン)が見てくれたわ」と言われ、なんだ、とほっとした様子。

昨夜ボートが壊れたというのは嘘だと思われますので、奥さんに見にいかれたら困るから、ここではかなり冷や汗をかいているんでしょうね。ノーマンが、「ボートはスパークして壊れたみたい」とかなんとか奥さんに言ったようですが、まあ適当にほらを吹いたんでしょう。

この辺のシーンの音声は完全に別撮り(アフレコ)だそうです。雨がいらん時に雨が降り、雨が欲しい時には雨が降らんので、雨降り機を使いましたが、その機械音がうるさすぎるので、俳優さんのセリフその他はスタジオで吹き込みされました。

そこへ、ノーマン登場。上半身裸の上、パンツがちらり(ぶひーっ)。あれ、ノーマンひょっとしてブリーフはいてる? 色はグレーか、それとも白が薄汚れてねずみ色に…?(ぐえーっ)
いやだから役の設定上しょうがないでしょう。あ、でも、ノーマンの自前だったらどうしよう(どうもしねぇよ#)。勝手にノーマンはトランクス派かと思っていたのですが…(処刑人では、兄弟2人ともトランクス♪)

デイビッドが目のやり場に困っております(爆)。ノーマンに「おはよう」と言われてもろくに返事も出来ません(くすくす…)。管理人もどこを見たらよいやら分からず(何もかも見たいので)、会話に身が入りませんわ。奥さんが、「もうすぐ出来るわ」と言い、デイビッドが「何が?」と聞いたので、奥さんとノーマンがシンクロして「彼の/僕のシャツ」と答えます。この時の、ノーマンの仕草がこれまた一休さんみたいで、メチャかわいい。次にノーマンが、う〜ん、と伸びをしますが、画面が切れてよく見えません…(ほろほろ)。
ビデオ画面用にスクリーンを編集してあると思うのですが、劇場公開用の横長スクリーンだったら、もっとしっかり胸筋とか背筋とか肩甲骨とか大円筋とか三角筋とか二頭筋とか(←いい加減にしろ!)が拝めたんでしょうねえ…

奥さんがシャツを取りに席を外すと、ノーマンが「あなたの顔、好きだな( I like your face)」と、すっごいセクシーなかすれ声(うひーっ)で、デイビッドにささやきかけます。
ぎょッ?!とするデイビッド(←爆笑ポイント!)

ちなみにこの「I like your face」は「I'm in love with you (愛してる)」という言葉を反響させてるんですと。(でへへ)

face には『顔』と『文字盤』の意味があり、ノーマンはすぐに、「時計のこと。文字盤がクールだ」と言いますが、このへんは、時計を誉めながら、「口元の赤い痣」についてデイビッドをからかっているんでしょうね。ギョッとしつつも、ホッと胸をなでおろし、「危ない言い方をするな」と言わんばかりに、しかめつらしく「アレクシスが(時計を)くれたんだ」と答えているデイビッドが大変おかしかわゆい。

ノーマンはデイビッドに、「今朝、奥さんと2人で電話を直した」と告げています。そこに奥さんがノーマンのシャツを持って戻ってきたので、デイビッドは「機械に強いんだってね」と探りを入れます。奥さんは「あら、何でもないわ。ケーブルが切れてただけ。たぶんアライグマの仕業ね」などと答えますが、アライグマって、奥さん… (ヌケてるにも程があるんじゃないでしょーか)

ここでノーマンは「電話が直ってしまった」という非常に重要な情報を、デイビッドに告げています。青年はものすっごく計算高く頭がいいので、奥さんに聞かれる可能性がある最初のほうでは時計の話なんぞして、しばらくたってから、ほんのついでのように実にさりげなく電話の話をポロッとしてます。

初日に電話が壊れたのは嵐のせいだろう、などと言っていましたが、当然デイビッドが電話線を切ってしまっていたと思われます。というのも、ホームレスの若者を拾って別荘にまで来ている、などと奥さんに外部に話されては困るからなのですが、電話が直ってしまって殺害計画もいよいよ崖っぷちに立たされてしまい、デイビッドはかなり焦っています。「誰かに電話したか?」と随分気にしていますが、まだ奥さんはボストンの自宅の留守電をチェックしただけのようで、ほっとするデイビッド。

夫婦が電話のことを話している間に、ノーマンはシャツを着てしまいます(いや〜ん)が、処刑人の拘置所でのカワイイ着方はしてくれません… (もう1度みたかったです)

そこに電話がかかり、デイビッドが飛びつくように出ている間に、ノーマンはミルクを頂きます。ミルクカートンがカラになったようです。

電話は(たぶん)管理人夫婦のマイクからで、まだ女房のメアリーのお母さんと一緒にポートランドにいるから、こっちには明日戻ってくるとか。ここでノーマンが「くすっ」(← くはーッ!)とまた意味ありげに笑うのですが、ナンでしょうね一体(そしてナンでしょうね、この色っぽさは…)。デイビッドがカチンときたように、「何がおかしい?」と問いつめると、「さあ、夫婦が、かな…」と答えていますが、まあ義理のお母さんとのしがらみやら何やらを想像しておかしく思った、ということでしょうか(しかし、何かと深読みがある映画ですから、まだ何か裏があるような気がしてなりませぬ)。

とにかくデイビッドは計画上、奥さんに喧嘩をふっかけたいので、イライラをつのらせて、それを彼女にぶつけようとします。デイビッドのボウルに「いつもバナナを食べるじゃない」と言ってバナナを入れようとする奥さんに、いらない、と言い、「今度から、“ほとんどいつもバナナを食べる” と言い直すんだな」などと憎まれ口をきいたり、空のミルクカートンに腹を立てて、叩きつけたりして、テンションが上がってきます。

この辺で雷が鳴って雨が本降りになる効果音が入ることで、険悪な雰囲気が高まって参りました。それから、デイビッドと奥さんのアップが多くなり、青年がほとんど映らないことで、夫婦の最終対決を極限に持っていきます。

新しいミルクを開けて、ラッパ飲みするデイビッドに、「コップを使う?」と奥さんがコップを差し出しますが、デイビッドは「いらない」とワザとそっけない言い方。奥さんは、出したコップの引っ込みがつかず、コップを洗うと、デイビッドは、「君の手は、汚いのか?」とイチャモンをつけます。きれいなコップを、使ってもいないのに洗うからには、君の手が汚いんだろう、という訳です。

さすがに奥さんもこれにはキレて、「一体どんな毒が回ってるのか知らないけど、(イライラは)自分の中におさえといてちょうだい」と言い返します。

このシーンは脚本で14ページくらいあるそうですが、役者たちと監督で舞台のお芝居みたいに何度も何度もリハーサルして、撮影の時には役者たちは完璧だったので、午後の半分くらい(数時間ってこと?)で14ページぶん撮影したとか。映画の撮影の詳しいことはよくわかりませんが、脚本で14ページってかなり長いシーンじゃないかと思います。それを数時間で撮影っていうのは、相当早いってことで、皆さん集中して一気呵成にできたんではないでしょうか。

デイビッドはさらに、「ボート小屋みたいに楽しくないだろうよ。でも、人生はカウボーイやインディアンとは違うからな」と、昨日のノーマンと奥さんのカウボーイごっこについて厭味を言い始めます。ついでに、「ここは明るすぎないかい? 彼のためにシェードを降ろしてあげたらどうだい? 真っ昼間からシェードを降ろすのがお好きなようだから」などと、ボート小屋でナンかあったかのような言い草(→何もなかったことは知ってるくせに…)。

「私が降ろしてやろう」とデイビッドがシェードを降ろそうとして、「おっと」と手が滑ったフリをし、逆にシェードが大きく上がってしまいます。これは、ボート小屋で奥さんがやったことの真似をしてるんですけど、ノーマンから聞かない限りこんなことまでデイビッドに分かるわけがないんですから、これはちょっとやり過ぎではないかと思うんですが…

何でこんなことまで知ってるのか訳がわからないまま、奥さんが「散歩でもして、頭を冷やしてきた方がいいわ」と言うと、デイビッドはさらに憎ったらしいことをまくしたてます。
(あまりにも長いので割愛→とにかく夫婦ゲンカで言いそうなことを思いつく限り吐き出してます)

ポイントは「一族の財産を無駄使いする金目当てのユダヤ人(デイビッド)がいなくなって、みんなせいせいするだろうさ!」というデイビッドのセリフ。どうやらデイビットはユダヤ系のようで、だから奥さんの一族に毛嫌いされているんですね(しかし、決して敬虔な信者ではなさそう → ユダヤ人グッズが全く見当たらないので)。デイビッドの口調から、折につけ奥さんサイドの人間から厭味を言われたりして、不満を長年溜めてきたことがうかがえます。

奥:「ええ、あなたのこと気の毒に思うわ。今はね」
デ:「私のことを気の毒に思わない奴がいるか?
   7年も棺おけの中に君と閉じ込められてたんだからな!」

…何もそこまで言わなくても…(計画のためとはいえ)。蒼白になりながら、「棺…? 本心から言ってるの?」と聞く奥さんに、「結婚したその日から分かっていたが、そうと認める勇気がなかった」と答えるデイビッド。

ショックで現実逃避状態になっているのか、一心不乱に皿を洗う奥さんに、追い討ちをかけるようにデイビッドは、「ほーらこれだ、信用できない時は、(その人を)締め出すんだ!」と彼女の『臭いものには蓋をする』主義を非難します。良家のお嬢さんにはよくあることだと思うのですが、奥さんも都合が悪いことは見ないふりをする、という処世術を見に付け、それで今まで生きてきたんでしょうが、そういうところがデイビッドには我慢ができなかったんでしょうか。

「締め出せ、締め出せ!」と叫びながら、台所の戸棚をバタバタ閉めていくデイビッド(←ヒステリックな演技が絶妙ですね、リックマンさん)。そして最後に、「こうして彼女は我々を棺の中へと引きずっていったんだ。ちょうど父親のように!」と、奥さんの父親の死が自業自得だ、というような言い方をします。

これは、まさしく奥さんの逆鱗に触れたらしく、彼女は恥も外聞もなく、
「出てって! 出てけーーーッ!!」と皿を投げて絶叫します。

このお皿が割れるガシャーンという音は、音響効果で後で入れられたもので、ここにお皿なんて無いそうです。奥さんは皿をつかんで投げたフリしてるんですね。

今まで完全に無視されていたノーマンが(かなり長〜い間、全然画面に映ってません)、「出てけ」と口をはさみます。「えくすきゅ〜ずみ〜?」と聞き返すデイビッドは中々笑えますが、キッとばかりにデイビッドを睨み据えて(ぶひーっ)、再度「出てけ」と言うノーマンは、もう何をか言わんや。前髪の間から覗く青い瞳がきれいだゾ、と。

デイビッドが殴りかかり、台所の床に倒れるノーマン(そこだー!押し倒せーッ! デイビッドーッ!)。しばしもみ合ってから、ノーマンがデイビッドを突き飛ばし(ここで、デイビッドがノーマンのシャツを引っ張って、ノーマンの背中と腹が大きく露出! ←よくやったぜ、デイビッド!)、ノーマンは台所から飛び出します。この時、ノーマンの左足が、椅子の脚に引っかかって、弁慶の泣き所をしたたか打っているように見えるのですが、大丈夫ですかね(うぅーっ 痛そう…)

このケンカは当然お芝居ですので、振り付けして殴りあうデイビッドと青年のシーンを、振り付けられたリックマンさんとノーマンが演じてるわけですね(ややこしいな)

デイビッドがノーマンの後を、海岸、ボート小屋まで追いかけます。

ボート小屋でデイビッドが板を持って構えてるところで、「これは撮影初日の一番最初に撮ったシーンだ。今まさに見ているこのシーンが、この俳優(リックマンさん)が一番最初に撮った場面だ。」と言ってますが、その直後に、「こんなふうに雨の中、外に走り出すシーンだよ」と言ってて、映像と合ってないので混乱します。話の流れからいけば、デイビッドが青年を追いかけて海岸をきょろきょろしながら走るシーンが、リックマンさんの初シーンではないかと思うのですが、監督コメンタリーの音声がちょっとズレてるんでしょうかねぇ。

まあとにかく、このデイビッドが海岸できょろきょろするシーンは、いいアングルで撮るために、撮影監督のウォルト・ロイドさんが、長靴とウェットスーツを着けて、海に浸かった状態で撮影したそうです。


そして場面は森に移ります。奥さんも、「やめて!」と言いつつ追いかけ、少し遅れて森までやって来ます。ノーマンと殴り合ったのか泥だらけでよろめきながら森から出てくるデイビッドに奥さんは、「私の島から出ていって」と引導を渡します。

ちなみにこの森のシーン、幻想的に霧がたち込めていますが、人海戦術でものすごい数のスモーク・マシン(煙霧機)を使っていて、これまた凄まじい音が出るので、あたかも無数のチェーンソーが部屋にバリバリ斬り込んでくるかのような騒ぎだったとか。そんな中で役者さんたちは演技しなければいけないんですから、ほんと大変ですよね。もちろんセリフはアフレコです。

更に森の奥に進むと、いました、ノーマンが! 息を切らしてッ!何でそんなに息を切らしているのかという妄想はひとまず置いといて(^^;)、シャツもびりびりに破れてます〜(♪)

特に奥さんと青年のこのシーンでは、スモークだけでなく雨降り機まであって、さっき以上のチェーンソーの大合唱の中で、ロマンチックかつクライマックスの重要な場面を感情込めて演じなければいけなかったので、役者さんにとっては非常に難しいシーンだったようです。
ノーマンたちの苦労を偲ぶために、このシーンを見る時は、バックに工事現場の騒音が流れてると想像してみましょう(^^;)


ノ:「彼はどこ?」
奥:「もういないわ」
ノ:「警察を呼んだ?」
奥:「いいえ。警察はいらない、でしょ」

と、島には2人っきりだと告げ、奥さんもヤル気満々(←だから何を?)。そしてノーマンの口元の傷の血に触れながら、泣き出す奥さん。雨も激しくなってきます。ノーマンは媚薬キノコを取って奥さんに差し出し、「これどうしようか?」(←食べてイイコトしようよ♪ という風に聞こえますね)と、泣いてる奥さんを慰めるように言います。それから例の手品で、キノコを出したり消したりしながら、奥さんの耳やら首筋やらにキスをし…(この辺、冷静に描写できまへん。あわあわ…)今度は奥さんも突き放したりせず、身を任せています。

そして、口元に差し出されたキノコを奥さんが口にするところで、暗転。


・・・・・・・・・・・


いきなり葬式のシーンになり、ノーマンが奥さんに書かせた “死を暗示する詩” が、はじめは奥さんの声で、後半は牧師の声がかぶさって読み上げられます。どうやら奥さんは、ノーマンにすり替えられた毒キノコを媚薬キノコと信じて食べて死に、例の詩が遺書として読まれているようです。奥さんの死は自殺として処理されたようですね(計画完了)。

しかし、この墓地は一体どこにあるのでしょうか。参列者は皆さん車で来ているようなので、別荘のある島ではないようですが、海が見える高台ですから、島の対岸かもしれません。また、キリスト教の葬儀のようですから、奥さんサイドの墓地だと思われます。でも、一族は(たぶん)ボストンに住んでいると思うので、わざわざ離れたメイン州(別荘のある島の地域)に墓を置く、というのも変な話です。デイビッドの妻なんだから、デイビッド側の墓地に埋葬するのが普通ですが、やはりユダヤ教徒の墓には入れないということで、奥さん側の墓に入ったんでしょうか。

やっぱりこの墓地はメイン州の海岸にあるそうです。適当な墓地が見つからなかったので、監督たちがそのへんに作ったのだとか。それからクレジットによると、Minister (プロテスタントの牧師・司祭)が葬式を行なっているので、やっぱり奥さんサイドのキリスト教の葬式みたいです。

ユダヤ人はユダヤ人同士でないと結婚できないので、ユダヤ人でないひとと結婚する場合は改宗したりするはずなんですが…(『Sex and the City』 のシャーロットみたいに)。
でも、アメリカで生まれ育ってあまり敬虔ではないユダヤ教徒の場合は改宗せずに結婚することもあるみたいですので、この夫婦の場合は夫婦別姓ならぬ、夫婦別宗だったのかもしれません。

あ、しかし、キリスト教でもユダヤ教でも自殺したら葬儀を出してもらえないはずですが、どうしてこの牧師さんはやってくれたんでしょうね。たぶん奥さんくらいになると、普通に亡くなった場合は教会で花と賛美歌いっぱいの荘厳な式をやるところを、墓地でお祈りをするだけの地味葬(読み:じみそう)で、しかも一族の墓地ではなくどっかの無縁墓地みたいな所(?)に埋葬されたんではないかと推察いたします。


さて、奥さんの母親らしき冷たそうな年配の女性が、デイビッドのところにきて、「サングラスを取って」と言います。デイビッドは多少ビビリつつも(たら〜り)、サングラスをとって、義母の目を見返します。お義母さんは「あの子の遺書よ」と、詩が書かれた紙をデイビッドに渡しますが、どういう意図なんでしょうね。いくらなんでもママは、アレクシスの自殺を怪しいと睨んでると思うんですが、全く証拠もないし、デイビッドの目を覗きこんで後ろめたい所がないか見計ろうという感じだと思いますが、一応デイビッドは合格したんでしょうか。

監督によると、お義母さんは、アレクシスの死の真相についてはっきりとは分かっていませんが、デイビッドが奥さんの遺書をハンバーガーの包み紙みたいにその辺に置き忘れていったことには気づいて、ああいう風に(非難のこもった目で)渡したようです。

奥さんの母親(アレクシス・シニア)役の人は、地元メイン州の元舞台女優さんですが、その英国アクセントがいまいち正しくないので、声だけエマ・トンプソンのお母様(!)フィリダ・ロウにロンドンで吹き替えてもらったそうです。しかし、声だけだとクレジットには出ないんですね。リックマンさんがエマからママに声かけて友情出演してもらったのかしらん…(エゲレス俳優は皆友達?)
とにかくこのシーンは顔と声が別の2人で、2つの大陸(北米とヨーロッパ)にわたり、8ヶ月の時を経て収録されたことになります(だからどーしてそこまでするの…)

ここで今さらのように気がついたんですが、奥さんのママは英国人なんですね。奥さんのパパのところに嫁ぐためにエゲレスからアメリカに移民したということでしょうか。

さて、ここから管理人の勝手な妄想です: 奥さんの父方の一家はアメリカ開拓時代初期に入植して財を成した東部上流階級の名家でした。でもアメリカでは名家といえど、ヨーロッパ社交界では成金のそしりは免れず、財を得た人が次に求める家柄が欲しくなりました。
それでパパのお父さん(奥さんのお祖父さん)あたりがイギリス没落貴族の娘アレクシス・シニアを、金にモノを言わせてアメリカに連れてきてパパと結婚させることにいたしました。
(このへん、『タイタニック』 風のBGM でお願いします。)

優しいけどちょっと気の弱いパパは家には逆らえず、諾々と結婚してしまい、一方、落ちぶれたとはいえ名門貴族出身のアレクシス・シニアは気位ばかり高く、金で買われた自分の境遇が惨めでアメリカでの生活にも馴染もうとしません。義務的に作った娘を可愛がるでもなく、結婚生活は冷えていくばかり。パパはそんな人生に疲れ果て自殺してしまったのでした…(と、まるで見てきたかのように適当なことをペラペラ語る管理人。)

デイビッドはボートで別荘のある島に戻り、結婚指輪と時計を外し(←どっちも奥さんからもらったものだから)、それから服を脱ぎ 全裸(あわあわ…)で海に飛び込みます。牢獄のような結婚から解き放たれた開放感からでしょうが、別にそんなもん見せんでも…。 ←リックマン・ファンの皆さん、すみません(^^;)

この飛び込みシーンはリックマンさん本人がやりました。医者に「(この水温では)役者に飛び込ませないほうがいい」と忠告されてたそうですが、リックマンさんは勇敢にも全裸で、ものすごく冷たい水の中に飛び込んでくれました。せいぜい8〜9秒ほどしか水にいられないので、すぐボートに上がって暖房と毛布で身体を温め、また次のテイクのため飛び込みをしてくれたそうです。(はー大変)

そして 全裸のまま別荘に上がっていく後姿が映りますが、こっちはどうもダブルっぽいですね。体の後ろ側には年齢が出るといいますが、アラン・リックマンさん(デイビッド)の歳にしては、ぴちぴちし過ぎ(お尻とか)。『ターミネーター』 のシュワちゃんの後姿のようですよ。


・・・・・・


また暗転して場面が変わります。足音を聞き、ドアから出てきて客人を迎えるデイビッド。
「やっと…」と万感胸に迫る表情でつぶやくデイビッドの頭を、客人は優しく引き寄せ…

もう はらほろひれはれ〜の腰砕け状態 ☆?%&!# (@_@)
とても見てられない〜、と言いつつ、「おお〜結構しっかりキスしとるの〜」とバッチリかぶりつきで見てる人…(^^;)

ご覧の通りキスのお相手はノーマンなのですが、何だか別人のよう。髪はぴったりと七三になでつけているし、目つき口つきが少しカマっぽい…(やっぱり受なのねぇ、とよけいなお世話) そして、セリフを話す時に、蛾眉が妖しく動き、扇情的な視線を投げかけるノーマン。オトコでそんなに色っぽくていいのか〜!?

ノマ:「どうしてる?」
デビ:「つらい夜を幾度か過ごした…」 (←毎晩でしょう!)
ノマ:「もう僕はここにいるよ」 (←この眉の動きがええでええでvv)
デビ:「それが…私の望んだ全てだ」
ノマ:「証明してくれたね」
デビ:「だといいが…」

そして、きゅ〜っと抱き合う2人ですが、この時のノーマンの身の寄せかたが愛情こもってて実にうまい!(おぬし、初めてではないな!) 密着した首筋から相手の体温が伝わってくるようです。それを味わうように頬をスリスリとこすりつけるあたりが、またニャンコっぽくってたまりません(悶絶…じたばた)。

役者たちはこのシーンの前はとってもナーバスだったそうです(*^_^*)
でも撮影当日には2人は
準備万端で、実に快調に進んだようです(…それもな)

抱き合っているデイビッドの顔には、心の平安と不安が混ざり合ったような不思議な表情が浮かんでいます。この表情が出るまで、リックマンさんと監督はなかなか満足せず、だいぶ時間をかけたようですが、最終的にはご覧の通りすばらしい出来となりました。

ところで、このシーン、奥さん殺害計画の時(5月)から場所も季節も変わったようです。あの別荘がある島のどこかに見えないこともありませんが、それだったらそうと分かるような景色を入れてくれると思うし、波の音も聞こえません。何となく山小屋という気がするのですが、どうでしょう? また、木枯らしが吹いて粉雪が降りこんでいますので、季節は冬に移った模様(ということは、も、もしかしてデイビッド、半年くらい禁欲生活?? ←死ぬで。きっと)。ほとぼりが冷めるまで、ノーマンはどこかに身を隠していたんでしょうか。

ちなみにこの木枯らしのシーンの日の気温は華氏70度(21℃くらい)。ニセの雪とニセの氷をつけてうまく寒そうな雰囲気を出してますね。

そして、「いこ」とばかりにノーマンに手をひかれ(このノーマンの手つき顔つきが、またたまりません)、小屋の扉の向こうに消える2人…。もう一刻もガマンできないご様子(^^;)
外では木枯らしが吹きすさぶ中、お熱い夜が燃えあがるのですね〜(これっ#)


ドアが閉じられると同時に、画面も真っ暗になり、私たちは閉め出されてしまいます(これからイイトコなのに)。監督によると、「非常に特殊かつ不穏な愛を分かち合うこの2人の未来は、彼らのプライベートな世界であり、観客はドアの前でうろうろせず、劇終と同時にすぐさま締め出されポツンと取り残される感じにしたかった」ということであります。ここまできといて、そりゃねーだろ、って感じ(^^;) そんなこと言われたら、かえってドアや窓に鈴なりに張り付いている腐女子が見えますよ(笑)

で、監督は最後に、「また映画を見直して欲しいな、何度も。何度も。」と結んでいらっしゃいます。
ええ、見ますとも。何度も何度もすり切れるまでッ(また大声)


(これで終りでいいのか?! でも終り♪)





【コメント】

う〜ん、う〜ん…(と、まだ腰砕け状態…) もう何とコメントしてよいやら。本当に最後まで驚かせてくれました。なんとなくこのオチが来そうな気がしていたのですが、それでも衝撃脳天爆発ものでした。2度めに見ると、1度目に見たときには気がつかなかった伏線・ヒントがあちこちで見つかり、実に楽しめます。

ノーマンとデイビッドはホモの恋人どうし(!)で、2人で共謀して資産家である奥さんを殺した、と言えば簡単ですが、ノーマンに男から見ても女から見ても魅力がなければ、こんな設定は説得力がありません。この点、よく出来たキャスティングだと思います。

見終わった後も、色々と疑問は残るのですが、考えても謎が深まるばかり… 例えば、デイビッドとノーマンはどうやって出会ったのか、とか、ノーマンの本当の正体(職業とか)は何だったのか、など、監督にぜひお聞きしたいものですが、知らないままのほうが作品の余韻が残っていいのかもしれませんね。とにかく、謎が気になって、麻薬のように何度でも見てしまう映画です。

デイビッドと青年だと、デイビッドが年上ということもあって勝手に、デイビッド(攻)×青年(受)と思い込んでましたが、世間的には受攻認定に年齢は関係ないんですよね(どの世間かにもよるけどな)。
広い世の中、青年×でいぶカプもいると知ってからは、わたくしもそういう目でも見れるようになってきました(割と融通はきくの♪)。「そういや青年Sっぽいよなぁ」とか「デイブいぢめたら楽しそうだなぁ」とか。いや〜やっぱり Dark Harbor って見れば見るほど無限の楽しみが広がりますのぅ (*^_^*)

個人的には Dark Harbor がノーマンの最高傑作だと思いますが、何故か海外のファンにはそれほど人気がなく、Gossip (ゴシップ)、 Six Ways to Sunday (ハード・デイズ)などのほうが好評のようです。皆様はいかがでしたでしょうか。




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