法の性格 |
|
目的 |
大気汚染物質の排出に関する規制等により、国民の健康を保護するとともに生活環境の保全を目的としています。また、損害賠償責任を規定し、被害者の保護を図ることを目的とします。 |
|
規定内容 |
- ばい煙に関する規制
- 粉じんに関する規制
- 有害大気汚染物質対策の推進
- 自動車排ガスに係る許容限度
- 大気汚染の状況の監視等
- 損害賠償
|
|
機能 |
工場等の排出口から排出される大気汚染物質(ばい煙、粉じん等)の排出規制、大気汚染物質を排出する施設を設置する際の施設規制などの規制的手法により、固定発生源からの大気環境負荷を低減する機能を有しています。また、都道府県知事に対して、大気汚染状況の監視などの環境保全措置を取ることを義務づけ、大気汚染防止の確実な推進を図っています。また、大気汚染による人への健康被害が生じた際の、事業者の損害賠償責任を明確にし、被害者の救済を図っています。 |
ばい煙に関する規制 |
|
ばい煙の定義 |
- 燃料その他の物の燃焼に伴い発生するいおう酸化物
- 燃料その他の物の燃焼又は熱源としての電気の使用に伴い発生するばいじん
- 物の燃焼、合成、分解等に伴い発生する有害物質(政令で定められます)
|
|
規制対象 |
ばい煙発生施設(ばい煙を発生し排出する一定の施設、政令で定めることとなっています)。 |
|
施設規制 |
ばい煙発生施設を設置・変更等をしようとするときには、都道府県知事に届出を行わなければなりません。届出受理後、60日間は設置・変更を禁じています。また都道府県知事は、届け出られた計画では排出基準に適合しないと認められる場合には、届出受理後60日以内に計画変更ないし廃止を命ずることができます。 |
|
排出規制 |
ばい煙発生施設設置者は、排出口において以下の各種排出基準に適合しないばい煙の排出を禁じられています。排出基準不適合のばい煙を継続して排出する恐れがあり、人の健康または生活環境に被害を生じると認めるときには、都道府県知事は改善命令、施設使用停止命令を行うことができます。 |
|
排出基準 |
いおう酸化物、ばいじん、有害物質、特定有害物質のそれぞれについて政令で排出基準が定められています。施設単位の基準となるため、施設集中立地地域では効果に限界があります。 |
|
特別排出基準 |
いおう酸化物、ばいじん、特定有害物質の発生施設集合地域において、複数の施設からの重合によって一定の水準を超える汚染が発生し、または発生する恐れがある場合に、その施設集合地域の全部または一部の地域について定めます。 |
|
総量排出基準 |
工場・事業場集合地域においては、施設単位の排出基準では限界があります。そのため排出基準だけでは環境基準を確保することが困難と認められる地域については、都道府県知事は、一定規模以上の工場・事業場(特定工場等)を対象に指定ばい煙(政令でさだめる)の総量削減計画を策定し、総量規制基準を定める義務を負います。 |
|
燃料使用基準 |
都道府県知事は、燃料使用量の季節変動が著しい一定の地域および指定地域において燃料使用基準を定めることが出来ます。燃料使用基準の不遵守は遵守勧告、遵守命令の対象となります。 |
粉じんに関する規制 |
|
粉じんの定義 |
物の破砕、選別その他の機械的処理またはたい積に伴って発生、飛散する物質を粉じんと言います。さらに粉じんは以下のように区分されます。
- 特定粉じん:アスベスト等、健康関連被害を生じる恐れがある一定の指定物質。政令で定める。
- 一般粉じん:特定粉じん以外の粉じん
|
|
施設対象 |
- 一般粉じん発生施設:工場又は事業所に設置される施設で一般粉じんを発生・排出・飛散させる一定の施設で、政令で定める施設が対象となります。
- 特定粉じん発生施設:工場又は事業所に設置される施設で特定粉じんを発生・排出・飛散させる一定の施設で、政令で定める施設が対象となります。
|
|
施設規制 |
一般粉じん発生施設の設置は届け出制となっています。構造、使用、管理基準の遵守義務があり、不遵守の場合は遵守命令、一時使用停止命令の対象となります。
特定粉じん発生施設の設置についても届け出制となっています。届け出受理後60日間の設置が禁じられ、以下の敷地境界基準遵守が義務づけられます。届け出られた計画では規制基準に適合しないと認められる場合には、都道府県知事は届出受理後60日内に計画変更・計画廃止を命ずることができます。 |
|
敷地境界基準 |
特定粉じん発生施設については、施設の隣地との敷地境界における規制基準が設けられています。敷地境界基準は、特定粉じんの種類ごとに大気中の許容濃度として政令で定められます。 |
自動車排ガスに係る許容限度 |
|
許容限界 |
環境庁長官は、以下の事項について許容限界を定めることが規定されています。
- 大気中に排出される排出物に含まれる自動車排ガスの量
- 自動車燃料の性状(必要があれば)
- 自動車燃料中に含まれる物質量(必要があれば)
以上の許容限度を確保するため以下の措置を取ることが規定されています。
- 運輸大臣は、「道路運送車両法」に基づく命令で、自動車排ガスに係る規制を定める場合には、上記の許容限度が確保されるように考慮しなければならない。
- 通商産業大臣は、「揮発油等の品質の確保に関する法律」に基づく命令で自動車の燃料に係る規制を定める場合には、上記の許容限度が確保されるように考慮しなければならない。
以上の規定により、「道路運送車両法」の排出規制、「揮発油等の品質の確保に関する法律」の燃料規制が具体化されています。 |
監視等 |
|
常時監視 |
都道府県知事は、大気の状況を常時監視し、汚染状況を公表しなければなりません。 |
|
ばい煙排出者 |
ばい煙排出者は以下の義務を負います。
- ばい煙の量・濃度の測定、記録義務
- 特定物質の発生施設に関する事故時の応急措置、復旧義務
- 報告義務、検査受認義務
|
|
粉じん排出者 |
特定粉じん排出者は排出濃度の測定、記録義務を負います。 |
|
緊急時の措置 |
大気汚染の状況が一定の水準を超える場合には、都道府県知事は市民に対する周知、ばい煙排出者に対する排出削減協力要請義務を負います。汚染水準がさらに著しい水準に達する場合には、ばい煙排出者に対する命令権限を有します。 |
|
自動車排ガス |
藤堂府県知事は、自動車排ガスによる大気の著しい汚染が生じ、又は生ずるおそれがある道路の部分について、大気中の自動車排ガスの濃度の測定を行うことが規定されています。 |
損害賠償 |
|
無過失責任 |
工場又は事業場における事業活動に伴う健康被害物質の大気への排出により、人の生命・身体を害したときは、当該排出に係る事業者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負います。 |