Treatis 論考 

    (44)麻雀ジャーゴン試論(前編)


 千田俊太郎(TIDA Syuntaro)さんの「麻雀ジャーゴン試論」を紹介します。千田さんはパプア諸語、朝鮮語などを主な對象とする言語研究者です。試論の原文は舊假名 舊漢字で記述されていますが、千田さんの了解を得て舊漢字のみ常用漢字とさせていただいています。

 タイトルの「ジャーゴン(jargon)」は一般に「隠語(特定の世界での隠語や符丁の意)」と訳されます。似たような表現にスラング(slang)がありますが、ウイキペディアによれば、「スラングとジャーゴンを明確に区別することは難しいが、スラングは趣味・娯楽等で使用される流行語的な性質や方言に近い 単なる言葉のずれとしての性質、ジャーゴンは学術的な場面で使用されることの多い専門用語の前段階としての性質を重視されていることが多い」のだそうです。

 実はσ(-_-)、チーポンカンなどの伝統的用語はもとより、このような麻雀関連のジャーゴンスラングのたぐいを「麻雀語」と総称しています。その麻雀語ジャーゴンの発音が酷似しているので、初めてこの論考のタイトルを目にしたとき、「これは“雀語”のモジリかな」と思いました(^-^;)

 てなヨタ話はさておいて、「麻雀ジャーゴン試論」は言語学的視点からのアプローチなので、一般には馴染みが薄い言語学用語がいくつか出てきます。そんな用語の幾つかを、簡単に説明させていただきます。

(1)オノマトペ仏 onomatopee,英:onomatopoeia)
 擬声語:一言で云えば、“わんわん,かぁかぁ,ガンガン,ペコペコ”などの類い。

(2)モーラ
 音節の長さの単位。「拍」とも言ふ。例へば俳句は「五七五」、短歌は「五七五七七」ですが、この「五七五」の一言一言が1モーラ((「ちゃ、きょ」など拗音の類の表記が混ざるとずれたりする(二字一拍))。なほ、「っ、ん」は一字が一拍に相当する。

(3)フット
 日本語においては2モーラを基本とする音節より 大きな音韻的長さの単位。

(4)シソーラス(Thesaurus)
 単語の上位/下位関係、部分/全体関係...etcなどによって単語を分類し、体系づけた辞書。


麻雀ジャーゴン試論
麻雀ジャーゴン記述と社会方言、集団語の一般論に対する問題提起
千田俊太郎

1. はじめに
 本稿は麻雀ジャーゴンに見られる特徴を記述し、麻雀ジャーゴン特有の現象を指摘することを目的とする。はじめに「ジャーゴン」として扱ふ対象について、また麻雀および麻雀ジャーゴンについて、本節で簡単に導入する。つぎに二節では麻雀ジャーゴンに特徴的にみられる語種について見る。三節では麻雀ジャーゴンの文法を形態論と統語法に分けて記述する。形態論において注目するのは基本的な役の複合が複合語で現はれるといふこと、そして一翻手が一フット形式をもつといふ麻雀ルールと形態法の相関についてである。統語論において扱ふのは役の宣言に見られる語のならべ方に関する規則性であり、形態論的な振る舞ひの分類が統語法上もある種の類をなす奇妙な符合を指摘する。また麻雀ジャーゴンの文法が麻雀ルールの影響下にあることと繰り返し観察される類像性について論ずる。ジャーゴンは語彙ばかりが注目されてきたが、特徴的な文法をもつこともあるのではないか、また言語外要因が文法に影響を与へることがあるのではないか。

1.1 ジャーゴン
 本稿でいふ「ジャーゴン」とは、特定の活動において、特定の仲間と専ら使用されることばの体系のことである。所謂専門用語、隠語、仲間内ことばなどを含むものと大まかに考へても良いが、初期には「隠語」と呼ばれ、さらに「位相語」、「社会方言」、「集団語」などと呼ばれてゐるものや「専門語」と呼ばれてゐるものを含む。それらの名称を避けた理由にも関聯するため、ここで以下の点を明確にしておきたい。
(1) a. 「ジャーゴン」は特定の活動に関る特定の集団により使用される
  b. 「ジャーゴン」はある言語の部分集合として成立する
  c. 「ジャーゴン」は語彙のみの体系とはしない
  d. 「ジャーゴン」の本質を以下に求めない
   i. 使用目的、使用による帰結
   ii. 語彙の意味的性質
  e. 「ジャーゴン」語彙・文法の全てが使用者集団に共有されてゐない
 (1a)は「社会方言」や「集団語」の定義によくあてはまるものと考へる。しかし(1b-d)は「社会方言」等の名称やその名のもとになされた先行研究の指摘にそぐはない部分を含む。
 まづ(1b)は「方言」といふ名称から外れる。社会方言を含め、方言は一般に一つの言語システムとして完結しうるものである。それに対し、本稿で扱ふ麻雀ジャーゴンは日本語の「麻雀打ち方言」とは言へない。麻雀に関る話をする時の特有のことばのみを抽出したものが麻雀ジャーゴンである。「隠語」、「専門語」、「集団語」にはこの問題はない。
 つぎの(1c, d)は「隠語」「集団語」の研究において強調されてきたことに反する。例へば「集団語」といふ用語を初めて使つた柴田(1956: 96)は「集団語は(中略)主として語形とその意味に性格を表わすのであって、文法・音声については一般語と変らない。方言が語・文法・音声のすべての点で特色を表わすのと対照的である。」と言ふ。しかし柴田(1956)自身、「集団語」の語形成上の特徴に言及してをり、形態論が文法の一部であれば文法上の特徴に言及してゐることになる。「隠語」も、広い意味で使はれることもあるが(楳垣 1956: 463)、「仲間以外に分からぬやうに作られた語彙体系」の印象を拭ひきれない。本稿ではジャーゴンにも文法的特徴がありうること(1c)を強調する*1
 隠語、集団語に特有の機能としてしばしば強調される「団結」(「集団語は仲間意識にささえられている。」柴田1956: 97等)についても批判の余地がある。ある種の「ことば」を共有する集団に関する観察としてあてはまる場合も多いのであらうが、団結機能はジャーゴンにとつて本質的なものではない。これに関し二点指摘すると、まづ麻雀ジャーゴン使用者の団結は非常にゆるいが麻雀ジャーゴンを知らない者から見ればかなり多くの「ことば」を共有してゐる。また、そもそもことばの「団結」機能は集団語に限らず方言・言語にも見られるものである。本稿では(1d)を踏まへ既存の呼称を避けて「ジャーゴン」と呼ぶ。
 「集団語」といふ用語のその他の問題点は、かなり小さな集団を典型的な「集団」として生み出された用語だといふ点である。例へば「職業も同じ、地域も同じであっても、集団が違えば集団語も違うのが普通である」(柴田1956: 98)といふが、これに対し本稿で扱ふ麻雀ジャーゴンは小さな麻雀仲間の内輪のことばではなく、もつと広く共有されたことばを対象としてゐる。職業も地域も違ふ者が使ふ「同じことば」なのである。
 ただし、流暢さ*2の違ひやジャーゴン使用者の不均質性のため、本稿で例示するデータの全てが、麻雀ジャーゴン使用者なら容認するものと言ふことはできないだらう。そもそも人間は大小さまざまな集団と複雑な所属関係を結ぶものであり、社会とことばの変異の在り方もそれだけ複雑である。そこで(1e)を最後に挙げた。麻雀打ち手集団はかなり大きな集団であるから麻雀ジャーゴンに下位方言を設けることもできよう。「一発」を「即」と表現することは関西を中心とする地域的変異だといふ言説はよく知られてゐる。
 「位相語」は「隠語」「集団語」よりも中立的な表現とも言へるが、宮島(1980)が指摘するやうに「一定の意味内容」が「さまざまな ことなった姿であらわれる ようすを 研究の対象とする」位相論による用語で、「一般語にない 単語を おぎなっている」麻雀ジャーゴンにはふさはしくない。すると宮島(1980)の「専門語」に近いやうであるが、「うらめる」のやうに、麻雀集団による使用が特異に見られるのに一般語(「うらめになる」)に対応するやうなジャーゴン語彙(位相語的な部分)も存在する。すると「一般語に対応する表現がないことを本質的な条件」(宮島 1980: 81)とする「専門語」といふ名称も取ることができない。麻雀ジャーゴンは位相語的な要素と専門語的な要素を持ち合はせてゐる。麻雀分野に限らず多くのジャーゴンが位相語的-術語的な側面を合はせ持つのではないか。
*1 ジャーゴンの特徴が文法に及びうることは つとに宮島(1980)によつて予測されてゐた。「日本語の「専門語」という表現がふつう さす範囲は、「専門分野に特有な単語」だけであって、上にのべたような「専門分野における言語」ほど広くはない。しかし これから後者を対象とする位相・文体論的な研究がすすんでくれば、「専門語」の範囲を拡張してつかうか、あたらしい名づけを考えるかすることが、必要になるかもしれない。」〈p77)
*2 「ジャーゴン」は一つの言語としてのシステムになつてゐないこと、また社会的な活動に伴ひ使用されるやうになることばであることから、「流暢さ」について議論するのがをかしいやうに感じられるかもしれないが、ジャーゴン知識には個人差があることは認めても良いであらう。多くのジャーゴン使用者にとつてジャーゴンは自然に獲得することばではないため外国語の学習者のやうに知識にばらつきが出る。なほ ジャーゴンの「母語話者」といふ表現もをかしいやうに感じられることだらう。幼児が自然に獲得したのなら表現としては「ジャーゴンの母語話者」は成立するが、母語話者人口はたいへん少ないと思はれるし、通常の言語と比べれば、母語話者としての権威は落ちるであらう。
1.2 日本の麻雀
 麻雀は通常136−140枚ほどのこま(牌)を用ゐ、四人の打ち手が順に牌を引いては捨て、あるいは他者の捨てた牌を利用することで手持ちの牌の組み合せを入れ替へ、規定のあがりの形に向けて変化させてゆき、あがった勝者と敗者が手持ちの点数を交換する、そのラウンドを何度か繰り返しながら最終的な持ち点(特にトップ)を競ふゲームである。
 現代日本の主流の麻雀は「リーチ麻雀」と呼ばれ、他の現代麻雀ルールと同様に古典期よりも多くの「役」が採用されてゐるほか、次の特徴をもつ。
(2) a. 東南戦(半荘制)
   ・ 古典的な東南西北の四つのラウンド・セット全てをこなさない
   ・ 最近は東風戦も行なはれる
  b. 放銃一家包
   ・ 敗者のうち勝者をあがりに導いた責任者がゐれば一人で点数を払はせる
  c. フリテン規定
   ・ あがりチャンスを捨てた(も同然の結果となつた)場合のあがり制限
   ・ 関聯事項として各自が捨て牌を、捨てた順番通りにならべる規則がある
  d. 一翻縛り
   ・ 古典期から比べて役が増加してゐることに関聯
   ・ つぎのリーチとも関聯する
  e. リーチ
   ・ 他者の捨て牌を使はずにあと一手であがりといふ状態になつた時宣言をすることで、
     あがりの条件を確実にしたり点数を増やしたりできる手、一定の点数を賭けた上で
     手持ちの牌の入れ替へをやめる必要がある、「一発」役の成立条件の一
   ・ 「食ひ下がり」や役の「門前条件」と合せ、リーチ麻雀を全体として門前手が有利な
    ルール体系とする特徴
  f. 場ゾロ(バンバン)
   ・ 基本点算出にあたり無条件で加算される翻数2のこと
   ・ 関聯事項として二重の点数丸め導入による点数の単位の変化、
    8000点を満貫とする制度がある
  g. ドラ
   ・ あがりの際もつてゐれば点数が増える懸賞牌、ラウンドごとにある方法で指定
   ・ 赤牌によるドラを採用するルールも多い
 (2)で すでに明らかだが、麻雀のルールはかなり複雑であるから、本論に関らないものは用語の解説は入門書や戦術書にその役目を譲り、以下では省略する。(2)は(一部用語を差し置けば)日本で麻雀を楽しむ人にはよく知られてゐるゲームの上での決めごとであるが、古典麻雀に比べると 役の多さに加へ、(2d, f, g)により翻数が点数計算で最も重要になつた、個性のある麻雀バリエーションである。また「食ひ下がり」や「門前条件」のある順子系役が採用されたことで「メンタンピン」が非常に基本的な複合役になつたことも顕著な特徴と言へる。本論に関るキーワードは「リーチ、一発、メンタンピン、ドラ、翻数」および「一翻縛り、場ゾロ」である。
 麻雀は「ローカルルール」採用によるルールのバリエーションの多さでも知られるが、リーチ麻雀のバリエーションに限つて言へば、ルールの取り決めを行ふ前にプレイを始め*3、そのあと詳細を確認し始めても間に合ふほどの差しかない。それに対し、リーチ麻雀とリーチ麻雀以外との相違は大きい。日本で一般的な牌のセットでは物理的に牌が足りない (花牌「春夏秋冬」に加へ「梅蘭菊竹」、ジョーカー牌、動物牌) ルールも多い。日本のリーチ麻雀以外のルール体系には、中国各地で行なはれる地方ルールがそれぞれかなり異なるほか、主要なものにつぎのやうなものがある。
*3 大まかな取り決めを一言(「ありありで」等)で表はし、細かなことはプレイしながら確認することがよく見られる。
(3) a.古典的な麻雀
    ・ 日本ではアルシーアルとして、またヨーロッパの一部で行はれる麻雀。
     役が少なくサイド計算を行なふものも多い
   b. 中国国家体育総局による「国標麻将」
    ・ 符計算なし、幺二式の不採用、細かい役の大量導入が特徴
   c. 台湾麻雀
    ・ 手持ち牌16枚で和了形17枚、符計算なし
   d. アメリカ麻雀
    ・ 毎年特定組織によつて発行されるルールブックに基づく麻雀
    ・ 特殊面子構成による満貫手の大量導入、ジョーカー牌、チャールストン(プ
     レイヤー同士の牌交換)の存在が特徴
   e. シンガポール麻雀
    ・ 花牌のほか動物牌を導入するなどの特徴をもつ麻雀
 (3)に挙げたバリエーションでは(2)の特徴はもたないか、かなり異なる形でしか採用されない。プレイ中の発話の言語も日本語ではないことが多いだらう。このやうに「麻雀」と言つてもいろいろで、麻雀ジャーゴンはルール体系によつて、また言語によつて大きな違ひがある。本稿が対象とするのは日本リーチ麻雀において主として用ゐられる日本語である。
1.3 麻雀ジャーゴン
 ある分野で精緻化された独特の概念を指す語彙(術語)もジャーゴンに含まれ得、既存概念の語彙を置き換へたもの(位相語)もジャーゴン語彙でありうる。公式のルール用語が麻雀ジャーゴンの中核となるが、それだけなら麻雀に関る組織によつて規範的に決められた、数にも限りのある専門用語を辞典的に扱ふことですんでしまふだらう。しかし日本リーチ麻雀を楽しむ人なら通常それ以上の麻雀ジャーゴン知識を有してゐる。またその知識の多くは成文化した規定に依らないものであるから、言語学の記述の対象となるべきものである。
 楳垣(1956)、米川(2000)は分野としては麻雀ジャーゴンを射程に含む辞典だが*4、公式の用語も俗語の類もほとんど項目に立つてゐない*5。入門書、戦術書の類には多くの用語が登場し、付録として用語集をまとめたものもあるが(井出2007等)、麻雀打ちの俗語の類はたくさんは現はれない*6。また小説・漫画の類には多くの俗語や用例が現はれるが語彙集、辞書のやうに使ふことは難しい。出版物には見るべき麻雀語彙集はなささうである。
 しかしウェブ上で語彙・慣用句をまとめた力作は存在する。こんちゃん「麻雀国語辞典」「雀のお宿 - 辞林」「ひいいの麻雀研究 - 麻雀用語、麻雀格言」などがその例で、「麻雀国語辞典」には「裏目る」(裏目になる)、「つめ茶」(冷たい茶)など麻雀専門語ではないが明らかに麻雀ジャーゴンスラングであるものが項目に立つてゐるし、「雀のお宿 - 辞林」には麻雀から派生した一般用語もまとめられ、「ひいいの麻雀研究」は格言が載つてゐるなど、みな麻雀ジャーゴンの豊かさを示す資料である。更に浅見了の「麻雀祭都」は氏の麻雀に関する見識の深さを示すページ群で、ジャーゴンに関しても、例へば<用語35 清 純 混: 2008>*7 に日本でできた役である「純チャン」が他役に見られる「清混」の「清」を使はず「純」といふ表現を使ふことを指摘するなど鋭い観察に溢れてゐる。麻雀ジャーゴンに関しては出版物ではなくウェブ上に、(その責任主体さへ明らかであれば)学問的レベルに達してゐるものや容易にその水準に引き上げられるやうな考察が出てきてゐる。
*4 楳垣(1956)は「隠語概説」に「麻雀には現代中国語が入っている」(p486)と言及、米川(2000)は集団(分野)一覧に「麻雀用語」を入れてゐる。
*5 筆者の気付いた、両辞典とも項目にあげる麻雀用語は性的隠語に發展した「白板(パイパン)」ぐらゐである。本稿で取り上げた語彙はほとんどが載つてゐないと見てよい。広辞苑にはこれらの辞典より多くの麻雀語彙が立項されてゐる。
*6 入門書などに現はれる用語集や用語の解説からは、麻雀ジャーゴンに封する規範的な立場を知ることができる。
*7 以降、「麻雀祭都」からの引用は「浅見<ページのタイトル:記事の日付>」の形式で出典ページを示す。
2. 麻雀ジャーゴンと語種
 語種は語を出自によつて分類したものであり、日本語では一般的に固有語(和語)、漢語、その他の外来語が区別されるほか、語源・語誌とは別に、音韻的・文法的な振る舞ひの違ひによる分類を盛り込むことがある。語種の種類は研究の目的によつて異なるものがたてられるのである。例へばオノマトペの類は上に紹介した三分類に従へば固有語にあたるが、その音韻的・文法的振る舞ひには独特な部分が認められ、その違ひに注目する研究では語種の一つとしてたてられる(Ito and Mester 2003: 38)。
 麻雀ジャーゴンを扱ふにあたつては、「新漢語」とでも呼ぶべき語種をたてるのが適当だと考へられる。「新漢語」は和製漢語の類を指すものとして使はれることもあるが、本稿では現代北京語から借用された「外来語」の一種といふ、語種を指す用語として使用する。また「外来語」は広い意味の外来語から新漢語を除いたもののことに使ふことにする。
 麻雀ジャーゴンの中核たるルール体系に関する語彙の多くが新漢語で占められ、麻雀ジャーゴンを特徴づける要素の一つとして重要である。麻雀のことを「中国語勉強会」と呼ぶことさへある。新漢語が語彙の中核をなすものには、麻雀ジャーゴンのほか 太極拳また中国拳法ジャーゴンや中華料理ジャーゴンがあると考へられる。
 新漢語の振る舞ひの特異性は語形成において漢語と同様の扱ひを受けながら、音韻的には漢語に見られない音結合による音節(シャン、ヤオ、パイ等)や音配列(例へば先の「パイ」は語頭に/p/をもつ)を有するところにある。
2.1 新漢語
 麻雀ジャーゴンにおける新漢語の特徴は以下のやうにまとめられる。
(4) a. 語形成上漢語とほぼ同様の扱ひを受け、漢語形態素との相性が良い
   b. 音韻的には漢語と似るが異なる振る舞ひも示す
   c. 表記上漢字や牌活字で書かれること場合がある
 麻雀ジャーゴンに含まれる新漢語語彙の例をつぎに挙げる*8
(5) 中〔チュン、東〔トン、対面[〔トイメン〕、雀頭〔ジャントー〕、面子メンツ、刻子〔コーツ〕、順子〔シュンツ〕、骰子〔シャイツ〕、暗刻アンコ(ー)、七索〔チーソー〕、五筒〔ウーピン〕、二万〔リャンワン〕、自摸〔ツモ〕、和了〔ホーラ、断幺〔タンヤオ〕、翻〔ハン、ファン〕、門前メンゼン〕、吃〔チー〕、ポン
 以上のやうに多くが二モーラ一音節をなす。例外は語末の形態素(「メンツ」の「ツ」や「アンコ(ー)」の「コ(ー)」)と「ツモ」の「ツ」と「モ」である。語末の長音が嫌はれることは、「コンピュータ(ー)」など一般語彙の外来語でも長短の揺れが見られるやうに、新漢語に特有の現象ではないが、このことによつて一形態素二モーラの原則が破られる。「ツモ」が新漢語らしからぬ形式で入つた理由はもしかするとゲームにおける語彙の機能と関係するかもしれない。競技規定上発声が義務づけられてゐる行為の宣言は「ポン、チー、カン、リーチ、ロン、ツモ」に限られ、リーチ以外は全て二モーラ語である。リーチはこれらの行為のうち日本で新しく導入されたものだから、初期には競技における規定された発声は全て二モーラであつた。そこで「ツモ」は他の二モーラ宣言に合せられた可能性がある。のちに触れるやうに、「ツモ」は語形成の要素としても、連濁を起こしたり「-る」付加による動詞化を起こすなど新漢語らしからぬ特異な面がある。
*8 以下、漢字表記をする場合、新漢語は定着してゐる漢字表記に〔〕括弧で、カタカナ棒引き表記を、漢語、和語は〔〕括弧内にひらがなで棒引き表記する。次節からは語種の区別をわざわざ行はない場合がある。
2.1.1 新漢語の表記
 上に見られるやうに新漢語形態素は漢字一字で表記されることがある。上の例には北京語の表記の慣習を標準とすると三つの宛て字が含まれる。五筒〔ウーピンの「ピン」は餅〔ピン〕を筒〔トン〕の字で、二万〔リャンワン〕の「リャン」は両〔リャン〕を二〔アルの字で、骰子〔シャイツ〕の「シャイ」は色〔シャイ〕を骰の字で宛てたもので、全て同義/類義形態素で宛てた意味的な宛て字である。音で宛てる宛て字には門前〔メンゼン〕を面前〔メンゼン〕と書く例がある*9。このやうに新漢語を漢字表記する場合、通常、意や音による宛て字ではなく起源となる北京語を日本の常用漢字体で表記する。そこで「対門〔トイメン」は「対面」と書かれる。
 異体字が使用される例外がいくつかあり、「万」、「発」の字は主にこのまま旧漢字で、「翻」は「飜」と、「幺」の字は「公」の字の二画目を欠いた字形をもつ異体字で表記されることが多い。「万」、「発」が旧漢字で残つたのは牌に刻された字形を写すものであらう*10
 さて、新漢語の漢字表記は日本の麻雀ジャーゴン表記として定着してゐる方法の一つであるが、カタカナ表記されることも多い。語彙によつて漢字で書かれることが多いもの、カタカナで書かれることが多いものの傾向が分かれる。例へば中〔チュン〕は通常漢字で書かれる。栄〔ロンはカタカナで書かれる。
 浅見<その他32・牌活字:2002>によれば1930年発行の書籍にすでに牌活字が使はれた例がある。今日の麻雀関係の出版物では牌の名称を表記する際、牌の絵柄の記号を文字のやうに混ぜて表記することが広く行はれてゐる。ウェブ上での牌表記もさまざまな工夫がされてゐるが、最近は出版物と同じく牌の絵柄の画像を文字の間に混ぜて表記するものが多い。使用の在り方は表意的な文字である。その使用に合はせてかUnicode 5.1.0 にも麻雀牌の図柄が文字としてすでに追加されたところである。牌を図で模したものが文字になるといふのは象形の方法(類像的方法)による新たな文字の出現である。
*9 「面前」といふ表記を誤りと考へる者も多いがすでに無視できないほど用例がある。
*10 この点、のちに論ずる類像性とも関連する。人名に用ゐる漢字が異体字までよく直別されることに似る。なほ、「發」牌の刻字はルマタを「矢」に作る異体字を用ゐることが多いが、活字ではルマタが普通である。
2.1.2 新漢語と漢語の相性
 漢字表記がされるだけあつて、漢語と新漢語の形式の対応はジャーゴン使用者によく把握されてゐる。漢語と新漢語の違ひは同一形態素の別の現はれと考へてもいい場合が含まれる。第一に形態素によつては既存の漢語と別の音形をもたないものがあり、第二に実際に異形態の振る舞ひを示すものがある。
(6) a. 摸、頭〔トー〕、連〔レン〕、南〔ナン、三〔サン〕、暗〔アン〕、面〔メン、底〔テー〕
   b. 牌〔はい、パイ〕、一〔いつ、イー〕、万〔まん、ワン〕、符〔ふ、フー〕
「牌はい」と「牌パイ」が単独で使はれる際、これらは自由変異にあたる。「一〔いつ、イー」が「混一色〔ホンイーソー〕」とその短縮形「混一〔ホンいつ〕」に現はれるやうに語形によつて変異が決まる異形態もある。音形も似ることが多い。
 複雑なのは例へば「牌」が複合形式内に現はれる場合で「パイ」「はい」ともに使はれるもの(7a)のほか、「はい」のみ使はれるもの(7b)、「パイ」のみ使はれるもの(7c)がある。
(7) a. 牌、安全あんぜん〕牌、危険きけん〕
   b. 手牌〔てはい〕、余剰牌〔よじょーはい〕
   c. 配牌〔はいパイ〕、聴牌〔テンパイ〕
 このやうに一種の交替形と考へられるものがあるほか上記「はいパイ」や漢語の節で例示することになる漢語・新漢語の混在語彙が存在することも漢語と新漢語の相性の良さを示すだらう。
 新漢語形態素の中には現代漢語の発音とあまり合はないものもある。日本漢字音の干渉を受けたものや方言から入つたものが中にはあるかもしれない。
(8) a. 六〔ロー、西シャー
   b. 多〔ター〕、少〔ショー、小〔ショー〕、前〔ゼン〕、宝〔ポー〕
 新漢語以外の語種も少なくない。大まかにはルールの根幹に関るものに新漢語が多く、それ以外に他の語種が多い傾向がある。つぎに新漢語以外の語種の例をみよう。
2.2 新漢語以外
2.2.1 漢語
 漢語は非常に多く、ルール規定にも関る語彙がかなり含まれる。その他の語彙も戦術など、固めの意味をもつものが多い。純粋な漢語のほか、漢語と新漢語のまざつた語がある。
(9) a. 点棒、局、符、配給原点、罰符〔ばっぷ〕、流局、字牌〔じはい〕、少牌〔しょーはい〕
     供託、現物、宣言、安全牌、危険牌、単騎、満貫、三倍満、大三元、小三元、一気通
     貫〔いっきつーかん〕、三色同順〔さんしょくどーじゅん〕、国士無双、九種九牌、全体役、
     部分役、好形、愚形、闘牌
   b. 半荘〔はんチャン〕、清一〔チンいつ〕、混一〔ホンいつ〕、西〔シャーにゅー
    大四喜〔だいスーシー〕、九蓮宝灯〔チューレンポーとー〕、好配牌〔こーはいパイ〕
    先制立直〔リーチ〕、一向聴〔イーシャンテン〕地獄、形式聴牌〔テンパイ、三六九〔さ
    ぶローきゅー〕
   c. 放銃〔ほーじゅー、ほーチャン〕
 新漢語表記を音読みした立直〔りっちょく〕←リーチのやうな漢語化した新漢語もある。
2.2.2 和語
 ジャーゴン語彙に和語は多い。特に動詞のほとんどは和語と言へる。ルールに関る語彙もあるが、比率としてはルールに規定されてゐない語彙がより多い。和語と新漢語、漢語、外来語が複合したものもある。
(10) a. 親、子、場、手、風、場風、壁、縛り、手積み、先付け、燕返し、手なり、染め手、
     大物手、受け入れ、頭、筋、あたり筋、出あがり、はこ、はこした、おか、うま、
     さしうま、たかめ、 ひくめ、たて、よこ、とび、頭はね、跳ね満、?通し、やきとり、
     割れ目、回し打ち、べたおり、 チョンチョン、何切る、あとひつかけ
   b. 積む、積み込む、仕込む、引く、浮く、浮いてゐる、おとす、捨てる、切る、切れる、
     ひきもどす、 かぶる、仕掛ける、なく、さらす、食ふ、食ひ変へる、染める、リーチを
     かける、リーチがかかる、(万子が)伸びる、おつかける、ひつかける、おりる、おろ
     す(おりさせる)、まはす、つかむ、つかまる、ふる、ふりこむ、あたる、刺さる、沈む、
     あがる、(ドラが)のる、(点数が)はねる、とぶ、まくる、流れる
   c. 上家〔かみチャ〕、下家〔しもチャ〕、東場〔トンば〕、刻子場〔コーツば〕、暗刻アン
     コ(ー)落とし、自摸切り〔ツモぎり〕、自摸〔ツモ〕り三暗サンアン、帰り東〔かえ
     りトン〕、空吃〔から チー〕、食ひ断〔くいタン〕、しば棒〔ぼー〕、親満〔おやまん〕
     跳ね直〔ちょく、本場〔ほんば〕、二抜け〔にぬけ〕、自風〔じかぜ〕、手牌〔てはい〕
     トップ目、ラス前
 「あがる」を「和がる」「和了る」などと表記する宛て字があるほか、語源があまり知られてゐない語彙(例: オタ風〔おたかぜ)や麻雀ジャーゴン特有の意味をもつと看做される語彙(例: オリる)がカタカナ表記されることがある。
2.2.3 外来語
 外来語には以下のやうなものがあるが上に見た他の語種に比べると外来語は少ないやうだ。新漢語が他の外来語を圧倒してゐるのみならず、外来語が漢語や和語に比べて少ないことは麻雀ジャーゴンの特徴と言つても良からう。
(11) a. ラス、オーラス、(4000)オール、ワンチャンス、セーフ、アウト、メンバー、プロ、デジ
     タル、オカルト、セオリー、オープン、ローカル・ルール
   b. トップ目、ラス親、ラス目、ラス牌、ラス半〔はん〕、ノー聴〔てん〕、起家〔チーチャ〕マー
     ク、ダブル(リーチ)、トリプル(役満)、マグ雀〔ジャン〕
 「ノー聴〔テン〕」を「不聴」と表記する宛て字が行なはれる。
2.3 語種とその他の分類について
 語彙を分類するには語種以外にも様々な方法がある。品詞はその一つで、麻雀ジャーゴンの場合、他のジャーゴンと同様名詞がとても多く、動詞も相当数あるが、その他はとても少ない。次のやうに形容詞、副詞と助数詞があるが、助詞や助動詞は管見の限りない。
(12) a. (この筋は)薄い、(受け入れが)広い、(場が)ひらたい
   b. ポンポン(と鳴く)
   c. 符、翻、局、巡目〔じゅんめ〕、本場ほんば〕、門張〔メンチャン〕
 その他、「ポン」、「チー」、「カン」、「ロン」、「ツモ」、「リーチ」及び「追つかけ」、「通らば」などの宣言は間投詞的な用法と言へるかもしれない。
 分類語彙集、シソーラスに整理されるやうに意味的な分類を行ふこともできるだらう。麻雀ジャーゴンの場合、次のやうな分野をたてられるかもしれない。
(13) 牌(牌姿、待ち)、役、点数(点棒、点数交換の配分、順位)、他のルール(場等)、
   プレイ方法(仕草、マナー、戦略、性格、いかさま)、雀荘、プロ、小説/漫画/映画、
   賭博、ネット麻雀、慣用句(麻雀格言、諺、クリシェ)、その他
 試みに点数、プレイ方法、雀荘、慣用句の例を挙げれば以下のやうになる。
(14) a. トップ、トップ目、イッチャ、ニチャ、サンチャ、ラス、ダンラス、ラス目、値段、
     ひらたい、一人沈み、一人浮き、満貫条件、ごみ、ごっとー、にんろく、ざんく、
     ごんに、ちっち、ぴんぴんろく、高目、お父さん、お母さん、はこてん、はこわれ、
     はこした、はこる、まくる
    b. 打ち筋、手筋、手なり、手役狙ひ、手変はり〔てがわり〕、牌理、牌効率、
     勝負手、躱し手〔かわして〕、亜空間殺法、東大式、デジタル、オカルト、
     セオリー、流れ、寄せ、寄せる、仕掛ける、鳴き仕掛け、食ひ仕掛け、だまテ
     ン、 やみテン、門前〔メンゼン〕派、順子〔シュンツ〕志向、ひつかける、もろ
     ひつかけ、筋ひつかけ、現物、回し打ち、おりる、ベタおり、つつぱる、全ツッパ、
     全つ、 手に惚れる、先自摸〔さきヅモ〕、先捨て、見せ牌、(捨て牌の)六枚
     切り、発声〔はっせー〕、晒し方、腰を使ふ、口三味線
   c. セット、フリー、三人打ちフリー、場代、つめ茶、あつしぼ、ラス半、メンバー、
     立ち番、代打ち、代走、本走、本走回数、女流ゲスト、裏メン、チップ、ノー
     レート、貸卓、 0.3〔てんさん〕、0.5〔てんご〕、1.0〔てんぴん/ぴん〕
   d. 麻雀は平和〔ピンフ〕に始まり平和〔ピンフ〕に終はる、金持ち喧嘩せず、切る
     来るの法則、 東発〔トンはつ〕つきもの、東緑〔トンリュー〕つきもの、早いリーチ
     は一四索〔イースーソー〕、棒聴〔ぼーテン〕即リー全ツッパ、一万去つてまた
      
一万、あんた背中が煤けてるぜ、御無礼〔ごぶれー〕、雀聖〔ジャンせい〕(阿佐
     田哲也のこと)
 以上のやうな意味分類は語彙集に活用できるだけでなく、ジャーゴン使用者の語彙知識と麻雀との関り方との相関を知るためにも役に立つであらう。例へばマナーを重視する打ち手はマナーに関する語彙を豊富に持ち合はせてゐるかもしれないし、雀荘に行つたり麻雀小説・漫画を読んだりしない人は「フリー」も「つめ茶」も耳にしない可能性が高い。
 意味的な観点から別の分類をすることもできる。同義語、類義語、反対語、多義語、同音異義語など、語彙同士の形式・意味の関係からの分類である。楳垣(1956)も米川(2000)も「隠語/集団語」には「同義語」が多いといふことを指摘する。通常の言語には真の意味での同義語は少ないのだからその指摘が本当ならジャーゴンの著しい特徴と考へられる。
 麻雀ジャーゴンにも同義語はあるが、多くは短縮による語形成に起因する同義語である。また同義語と言つても、ことばのもつニュアンスまで同一といふことはあまりないし、用法の違ひが見られることもある。つまり正確には類義語といふべきケースが多い。さらに同義語である時、同一形態素の異形態の関係にあるかどうか、場合により判別は容易でない。つぎのものは同義語(同義形態素)と言へるかもしれない。
(15) a. 三色同順〔さんしょくどーじゅん、三色〔さんしょく〕、三色〔さんしき〕
    b. 七対子〔チートイツ〕、七対〔チートイ〕、チットイ、にこにこ
    c. リーチ、リー-、メン-、りっちょく
    d. シャンポン、シャボ、バッタ
    e. 鳴く、食ふ
    f. 即、一発
    g. ?オール、?通し
 一方(16)には明らかに類義語の関係が入つてゐる。
(16) a. 放銃する、振る、振り込む、打つ、打ち込む、あたる、刺さる、突き刺さる
    b. 捨てる、打つ、切る、落とす
 ジャーゴン語彙には同義語が多いといふ楳垣(1956)や米川(2000)による指摘は、辞典項目に採用した語彙の背景となる社会集団が多岐にわたることにも関るだらう。また、すでに存在する概念を言ひ換へるタイプのスラングに良く当てはまるのかもしれない。しかし、麻雀ジャーゴンに限つて言へば、短縮がよく起こりそれにより同義語らしきものができることを除き、同義語の発生は通常の言語に起こる範囲をあまり超えてゐないやうだ。
 ルールの根幹に関る用語には多義語、同音異義語 が非常に少なく*11、正式な用語にはまづ見当らない。つぎのものが多義語、同音異義に該当するかもしれない。
(17) a. 面子〔メンツ〕  1. 打ち手の顔ぶれのこと  2. 三枚組の牌
    b. 流れ  1. 流局 2. 親が移ること  3. ゲーム進行における運の調子
    c. 自摸ツモ   1. 牌を引く行為  2. 役の名前  3. 山から牌を引いてのあがり
 「面子1. 」、「流れ 3.」はの意味はルールで規定する必要はなく、「流れ1. 2.」はそれぞれ競技ルールなどでは「流局」「輪荘」などと呼ぶ*12。「自摸 2.」はもともと「門前清自摸和〔メンゼンチンツモホー〕」で、短縮形「自摸〔ツモ〕」は今でも完全に正式とは言へないだらう*13。「ツモ3.」はルール規定では「ツモあがり」などと表現して区別する。正式なルールの用語は術語的であるから、両義的な語彙があつても意図的に避けられてゐるのだらう。
 正式なルール用語以外の語彙には多義語、同音異義語はとても多い。上の例のほかにも以下のやうなものがある。
(18) a. 壁  1. 牌山  2. 他家が順子で使へないと予測させるに足る同一牌四枚
    b. 浮く 1. 持ち点が原点より高い  2. 他の牌と一緒に使ひ難い牌である
    c. 積む 1. 二段の牌山を築く  2. 自分の計画した牌ならびの牌山を不正に築く  3. 連荘を重ねる
*11 同音異義語と多義語の區別をするには本來煩雑な議論が必要であるが、本稿では区別を論じない。
*12 ここの議論に關しては少なくとも日本プロ麻雀協会(2008)の競技規定についてはあてはまる。
*13 長めの短縮形である「門前自摸メンゼシツモ」はかなり正式なひびきを持つ。

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