Treatis 論考

    (34)麻雀点数論 25
<平和9>


第 8 章 その未来

 ではこのピンフは、将来においてどのような形態を取るのであろうか。結論から言えば、符計算の消滅との関連で、将来は「ツモアガリしようとロンアガリしようと、1雀頭4順子であればピンフ」という姿になると思われる。そして現在、すでにそれを予想させる兆候が幾つか生じている。

 その第一は、昭和58年頃、自摸八計算肯定派が肯定論の一理由として「自摸符があろうと無かろうとツモアガリしようとロンアガリしようが)、雀頭が役牌(一翻牌)以外で、両門待ちの1雀頭4順子であればピンフとして良いではないか」という提案をしている。すると断幺平和自摸の和了は次のような得点となる。
表41 未来型
門摸和 (20+2 ≒30)2×2×2×4×4≒4000
門栄和 (20+10) ×2×2×4×4≒2000
副摸和 (20+2 ≒30) ×2×4×4≒1000
副栄和 (20+2)   ×2×4×4≒1000

 ツモ符があっても構わないのであれば、対子符・嵌張符があっても、すなわち「単騎和、嵌張和でも構わないのでは」ということになる。しかしこの時点ではそこまでフッ切れていない。したがって自摸符の存在を認めて平和と両立させても、アガリかたそのものは現状を踏襲している。

 昭和31年、日本牌棋院総裁・天野大三氏は、既に「1雀頭4順子であれば、アガリ方、雀頭の牌種に関係なくピンフとする」という考え方を提唱している。これを新平和(しんピンフ)と称する。

 昭和31年といえば、まだリーチ麻雀揺籃期。その時代におけるこのような英断的な発想には敬服するしかない。しかし提唱された時代には余りにも先進的に過ぎた。また字牌の単騎和でも可となるとピンフが優遇され過ぎでもある。そこで当時はほとんど顧りみられなかった。

 しかし現在、中国麻雀における平和は、すでに1雀頭4順子であれば、アガリ方に関係なくピンフとされている(中国麻将公式ルール)※ただし中国麻将公式ルールでは、客牌・翻牌に関係なく字牌の使用は不可。
純麻雀(Pure Mahjan(略称Puma))は、「客牌・翻牌に関係なく字牌の使用不可。アガリはピンフアガリのみ

中国麻将公式ルールや純麻雀に小符は無い。また純麻雀には、このほか得点の累乗計算、親と子の区別、跳ね満(5割増し満貫)、倍満(10割増し満貫)等も無い。

 麻雀の点数が簡略化の流れにあることは冒述した通りである。この簡略化は、アガリ役についても同様である。そこで日本においても将来は小符が無くなり、「1雀頭(除・字牌)4順子であれば、ピンフ」という姿に移行してゆくと推測される。

                   −了−

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