Treatis 論考

    (32)麻雀点数論 23(平和7)


第2項 副露和了

 現代麻雀では一翻縛りの成立と共に、いくつかの役が縛りの対象外となった。その中のひとつに食いピンフがある。これ自体は大した問題ではないようであるが、他役とのからみで一つの問題点となっている。

 たとえば食い三色食い一通のみで両門待ちをロンアガリした場合、手牌がピンフ型であると連底(小符合計点)は符底(20符)しかないので、額面通り計算すると得点は散家(子)で700点と いう事になる。

20×2×4×4=640≒700

 ところが現代麻雀には門前加符の影響で「アガリの最低得点は1000点」という暗黙の設定がある。そしてまた関西麻雀は、もともと二十二麻雀の影響が色濃いこともあって食いピンフに対する抵抗感がきわめて少ない。そこで中部以西(関西中心)の麻雀の一部では「食いピンフのみのアガリは認めない。ただし他役でロンアガリした時に限り、アガリ型がピンフであれば食いピンフの一翻を認める」というルールが採用されている。

 「他役と併合した場合」という条件つきながら食いピンフ一翻を認める事により700点という得点が発生する事はなくなった。しかし門前アガリのときは切り上げ計算のお陰で摸栄同点であったものが、副露アガリでは下表36のように完全に逆転することとなった。
表36 他役併合・食い平和式(一翻の場合)
副摸和 (20+2 ≒30)2×4×4=960≒1000
副栄和 (20)× 2×2×4×4=1280≒1300
 これは一翻の場合であるが、ドラが2枚でもからめば、1500点ぐらいの差が生じる。極端な場合、食い清一色食いピンフが絡むと、子で4000点、親で6000点もの逆転が生じる。
表37 他役併合・食い平和式(清一色の場合)
副摸和 清一色(五翻)= 8000点(満貫)
副栄和 清一色+食い平和=12000点(跳満)
 これに対し関東地方では他役の有無に関わらず食いピンフ一は認めていない。その代わり食いピンフ一型のロンアガリについては平和加符として10符を加え、30符連底として計算している。そこで食いピンフ一型の副露アガリでも、摸栄同点となる。
表38 30連底式(関東中心)
副摸和 (20+2≒30)2×4×4=960≒1000
副栄和 (20+10) 2×4×4=960≒1000
副摸和 食い清一色(五翻)      =8000
副栄和 食い清一色(五翻)      =8000
 平和加符といえば、昭和5年、木村衛氏が提唱した同じ名称の加符を彷彿とさせる。しかしこの現代麻雀における平和加符は存在するにも拘わらず関東をエリアとしたどこのリーチ団体のルールにも記述はない。いうならば幻の10符である

パソコン通信のニフティサーブにおけるFmajan月例会ルールには平和加符10符が明記されている。また101連盟では平和加符という表現ではないが、「ピンフツモ以外の小符が10符以下の和了は、すべて30符ベースで計算する」と表記されている。

 平和加符という存在を認めようが認めまいが、現実はこのような方式で計算されている。そして現在、関東を中心にした中部以東ではこの計算に基づき、門前アガリについては摸高栄低副露アガリについては摸栄同点となっている。

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