Treatis 論考

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(平和4)


第 5 章 木村式・平和加符

 前述で明らかなように、ピンフのアガリに限り摸栄逆転が生じた直接の原因は門前加符10符の存在である。しかしまた単に符が無いアガリの名称に過ぎなかったピンフが一翻となった事も遠因の一つでもある。

 そこで昭和5年、当時の日本麻雀界のセオリストの一人、木村衛氏は、ピンフ一翻の廃止を主張した。しかしそれが簡単にできるくらいであれば、最初からモメる事はない。そこで木村氏は、平和廃止を受け入れられ易くするため、「いきなり廃止」ではなく「段階的廃止」を考え、まず「ピンフ無翻・加10符」を提唱した。この方法によれば、ピンフの得点は次のようになる。
表31 1930年頃(昭和5年頃)平和加符10符法
門摸和 (20+10+2 )×2×4=256
門栄和 (20+10+10)   ×4=160
副摸和 (20+10+2 )  ×4=128
副栄和 (20+10) ×4=120
 見たとおり、門前アガリ・副露アガリとも摸栄逆転が是正されている(自摸八計算と同様、副露アガリについては自摸符をカットすれば摸栄同点となる)

 ピンフが一翻ではないとしても、無くなるわけではない。また摸栄逆転は是正されるなど良い事だらけの妙案である。しかしこの妙案も、たとえ加10符役であってもピンフという名称のアガリと、摸和、あるいは自摸符が両立するという点が抵抗があったのか、時の日雀連に受け入れられることはなかった。

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