Treatis 論考

    (24)麻雀点数論 15


第13項 中国麻将

 中国に発源した麻雀は、日本に伝来以後、先人の努力により競技性豊かなゲームへと成長してきた。しかし発祥の地、中国でも大きく変化している。すでに日本と中国では、事前の調整程度で日中対局を行う事は不可能である。その現代における中国麻将の得点形態は下記のようである*
中国国家体育総局制定公式ルールによる。

 アガリ役として80種を採用。難度に応じて1点(一翻役クラス)から88点(役満貫クラス)までを配分する。8点をベースとし、それにアガったときの役数ポイントを加算する。

 そしてロンアガリの場合、放銃者は8点に役数ポイントを加算した点数を支払い、他の2名は基本点(8点)を支払う。ツモアガリの場合は、各自、8点に8点に役数ポイントを加算した点数を支払う。
表19
副露して10点の手を栄和した場合 (10+8)+8+8=34
同じ手を摸和した場合 (11+8)× 3 =57
※基礎が11点となのは、摸和の1点が加算されるため。

 この例では摸和が5割増し程度のポイントであるが、アガリ手が大きくなるとこの差は非常に大きくなる。
表20
副露して88点の手を栄和した場合 (88+8)+8+8=112
同じ手を摸和した場合 (89+8)× 3 =291

 小符の廃止はもとよりであるが、中国ルールのもっと大きな特徴は幺二式まで廃止している点である。これにより4人は親対子という図式ではなく、同等の立場のプレーヤーとなる。これは麻雀がバクチとしてのゲームから、競技としてのゲームに脱皮する為の極めて重要なポイントである。

 また中国麻将には日本麻雀で誕生したドラ・積み場・ノーテン罰など偶然性ルールはもとより、連荘も包(パオ=責任払い)も王牌も存在せず、随所において競技的要素を秘めている。

 とはいえ摸和と栄和では、同じ手であっても大きな得点差を生じるのはあまりにもツモアガリ偏重であり、この点でギャンブル的要素が強くなっている。また花牌の採用、天和・地和ほか海底自摸和・搶槓・嶺上開花などの偶然役を多量に採用しているなど、人為的偶然性を含みすぎている。

 さらに採用役80種が他役と複雑に複合し、ときによって採用役判定に迷う事もあるという。このような点は、競技としての見地からは今後の課題と思われる。
参考:中国麻将公式ルール採用役
一点役
1:一般高(イーパンカオ)
 
日本では一盃口(イーペーコー)と表記されることが多い。
2:喜相逢(シーシャンフォン)
 
二色同順例:234二三四)。一姉妹(イーチーメー)という異名もある。日本では色違い一盃口とも呼ばれる。
3:老少副(ラオシャオフー)
 同色の順子二組で、123,789とあるもの。

4:幺九刻(ヤオチューコー)
 一・九・客風の刻子。明刻も暗刻も関係なし。

5:連六(レンリュー)
 
数字の連続した2順子(例:345678)。
6:明杠(ミンカン)
 
明槓子。
7:缺一門(チュエイーメン)
 
萬子・索子・筒子のうち一色がないアガリ。字牌もなければ次の「無字」役も加わる。
8:無字(ウーツー)
 
字牌が無いアガリ。
9:和辺張(ホーペンチャン)
 
辺張でのアガリ。
ただし56789の7アガリは不可。
10:和坎張(ホーカンチャン)
 
嵌張でのアガリ。ただし23345の4は不可。2224の3は可。
11:単釣将(タンチャオチャン)
 
単騎でのアガリ。延べ単は不可。
12:自摸和(ツモホー)
 
不求人(プチューレン)とは複合しない。

13:花牌
 
1枚につき1点。花牌による補充でアガリとなった場合、自摸和は複合するが嶺上開花は複合しない。

二点役

1:箭刻(チェンコー)
 
三元牌の刻子。
2:圏風刻(チェンフォンコー)
 
場風の刻子。
3:門風刻(メンフォンコー)
 
自風の刻子。
4:双同刻(シャントンコー)
 
同数字の2刻子(たとえば222二二二など)。
5:双暗刻(シャンアンコー)
 
2暗刻(双同刻との重複可)。
6:暗杠(アンカン)
 
暗槓子1組。
7:断幺(タンヤオ)
 
中張牌のみのアガリ。無字(ウーツー)は加えない。
8:四帰一(スークーイー)
 
ある数牌の槓仔使い(槓していたら不可)。
9:平和(ピンフ)
 
1雀頭4順子。待ちの形不問(嵌張・辺張・単騎でも可)。ただし役牌雀頭は不可。
10:門前清(メンチェンチン)
 
門前ロンアガリ七対子など、門前が必然の役とは複合しない。

四点役
1:双明杠(シャンミンカン)
 
明槓子2組み。
2:全帯幺(チャンタイヤオ)
 
純全帯の場合は無字の1点を加える。
3:和絶張(ホーチュエチャン)
 
零牌でのアガリ。
自分で該当牌をポンしてる場合も可。ただし搶槓とは複合しない。
4:不求人(プーチューレン)
 
門前自摸和

六点役

1:双箭刻(シャンチェンコー)
 
三元牌2組み。
2:三色三歩高(サンソーサンプーカオ)
 
3種数牌で数字が1つづつ繰り上がった3順子(例:123二三四(3)(4)(5) )
3:ポンポン和(ポンポンホー)
 
対々和。
4:暗双杠(アンシャンカン)
 
暗槓子2組み。
5:五門斉(ウーメンチー)
 
万・筒・索・風牌・三元牌の5種を使用したアガリ。七対子も可。
6:混一色(ホンイーソー)
 
混一色。
7:全求人(チャンチューレン)
 
裸単騎のロンアガリ(暗槓があれば不可)。
釣将(チャオチャン=単騎和)とは複合しない。

八点役

1:三色三同順(サンソーサントンシュン)
 三色同順のこと(123一二三(1)(2)(3) )
2:三色三節高(サンソーサンチェーカオ)
 三色三連刻のこと(222三三三(4)(4)(4) )

 
#むかし、同級生の柴田(仮名)から満貫をムシリとった役だ(笑)
3:花龍(ホワロン)
 3種数牌による一通(例:123四五六(7)(8)(9) )
4:杠上開花(カンシャンカイホー)
 
嶺上開花のこと。自摸和とは複合しない。
5:搶杠和(チャンカンホー)
 搶槓のこと。
6:妙手回春(ミャオショーホイチュン)
 
海底自摸和のこと
 ※妙手回春とは、名医の手によって健康を回復すること

7:海底撈月(ハイテーローユエ)
 
牌底放銃のこと。

 
※海底撈月は、日本では海底自摸和の意味。
8:無番和(ウーファンホー)
 
役無しのアガリ。

9:推不倒(トイプータオ)
 
シンメトリー牌だけによる1雀頭4面子。

十二点役
1:三風刻(サンフォンコー)
 
風牌3刻子。日本では三風(さんぷう)とか三風子(サンフォンツ)という。
2:組合龍(ツーハーロン)
 
3種数牌で筋牌をそろえたもの例:147二五八(3)(6)(9))。3つ合わせると一通ができるので、筋牌龍(チンパイりゅう)ともいう。
3:全不靠(チャンプーカオ)
 
筋牌+字牌各1枚
(例:17三六九(2)(8)東南西北白發で、4(5)中待ち。

 
「靠」は“ 近寄る ”という意味。そこで「不靠」は「バラバラ」という意味になる。
4:大干五(ターユイウー)
 
6以上の牌による1雀頭4面子。
5:(シャオユイウー)
  4以下の牌による1雀頭4面子。

十六点役

1:一色三歩高(イーソーサンプーカオ)
 
同種数牌で数字が1つづつ繰り上がった3順子
(123,234,345)
2:三色双龍会(サンソーシャンロンホエ)
2種の老少副(ラオシャオフー)に、老少副面子以外の5の雀頭(例:123789一二三七八九(5)(5) )
3:清龍(チンロン)
 
一気通貫のこと。
4:三同刻(サントンコー)
 
三色同刻。
5:三暗刻(サンアンコー)
 
三暗刻。
6:全帯五(チャンタイウー)
 
1雀頭4面子に、すべて5が入っている組み合わせ。

二十四点役

1:一色三同順(イーソーサントンシュン)
 
同色の同順子3組(例:123,123,123)。全帯五/全中/平和/喜相逢/缺一門などと複合する。
2:一色三節高(イーソーサンチェーカオ)
 
三連刻(さんれんコー)
3:清一色(チンイーソー)
 
清一色。無字とは複合しない。
4:七小対(チーシャオトイ)
 
七対子のこと。4枚使い可。
不求人、単騎和とは複合しない。
 
※六六七七八八(2)(2)88白白白
 普通なら(2)と8のシャボ待ちのみであるが、白単騎の七対子ともみなすので白ロンも可。またこの手の場合、(2) or 8でのアガリは、ツモなら可であるがロンは不可(8点縛りに不足)。

5:七星不(チーシンプーカオ)
 
全不であるが、字牌7種がすべて揃っているもの(例:17三六九(2)(8)東南西北白發中)。五門斉、不求人、単騎和とは複合しない。
6:全双刻(チャンシャンコー)
 
偶数牌のみの対々和。
7:全大(チャンター)
 
789の牌だけの1雀頭4面子。
8:全中
 
4・5・6の牌のみで1雀頭4面子。
9:全小(チャンシャオ)
 
123の牌だけの1雀頭4面子。

三十二点役
1:一色四歩高(イーソースープーカオ)
 
同種数牌で数字が1つづつ繰り上がった4順子(123,234,345,456))清一色や平和、一門とは複合するが連六とは複合しない。
2:混幺九(ホンヤオチュー)
 
混老頭のこと。対々和とは複合しないが、七対子/五門斉/双同刻とは複合する。
3:三杠子(サンカンツ)
 
三槓子。
牌姿によって一色三節高/対々和/双同刻/一門/断幺/小干五/大干五と複合する。

四十八点役
1:一色四同順(イーソースートンシュン)
 
四連太宝のこと(例:123,123,123,123)。清一色/三節高/一般高/四帰一/平和/小干五/大干五とも複合する。
2:一色四節高(イーソースーチェーカオ)
 
四連刻のこと(例:111,222,333,444)。清一色とは複合するが、対々和/一色三同順とは複合しない。

六十四点役
1:小三元
 
三元牌2種が刻子、1種が雀頭。三元刻と複合しない。
一色双龍会(イーソーシャンロンホエ)
 
1種牌による双龍会(112233 55 778899)。日本では中車輪。
3:小四喜(シャオスーシー)
 
圏風刻/門風刻と複合するが、三風刻と複合しない。
4:字一色(ツーイーソー)
 
三元刻/対々和と複合しない。
5:四暗刻(スーアンコー)
門前清、対々和と複合しない。
6:清幺九(チンヤオチュー)
 
清老頭のこと。対々和、三同刻、無字と複合しない。

八十八点役
1:大四喜(タースーシー)
圏風刻、門風刻、三風刻、対々和と複合しない。
2:大三元(ターサンユワン)
 三元牌と複合しない。
3:連七対(レンチートイ)
 清一色の連数両般高(日本で云う大車輪)。筒子でなくても可。清一色/不求人/単騎和と複合しない。
4:四杠子(スーカンツ)
 四槓子のこと。役牌および幺九刻と複合する。対々和と複合しない。
5:十三幺九(シーサンヤオチュー)
 
国士無双のこと。五門斉、不求人、単騎和と複合しない。
6:緑一色(リューイーソー)
 
發なしも可。この場合、清一色と複合する。
7:九蓮宝灯(チューリェンパオトン)

 清一色や幺九刻と複合しない。

#複合するとかしないと注釈を入れているうちに、なんだか頭が痛くなってきた。(笑)

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