Treatis 論考

    (19)麻雀点数論 10


 第5項 四六麻雀

 昭和4年、結成された日雀連は、現在も古典麻雀に近いルールでゲームされている(サイド計算は採用していない)。このルールによる最低の和了点は22点である。そこでこの麻雀を俗に二十二(アルシーアル=22点)麻雀と呼ぶ。

六索六索二索三索四索七萬八萬九萬七筒八筒 チー一筒二筒三筒 ツモ六筒
  20(符底)+2(ツモ符)=22符

 二十二麻雀では、一翻縛りではない(無翻でもアガれる)。そして二十二麻雀は四捨六入法計算である。そこでこの場合は22符が切り下がりで20符(符底のみ)の無翻のアガリとなる。この20符は子供の支払い点なので、親はその倍の40点支払う。すると合計は80点(20+20+40)のアガリ(俗称「にしん」)。

 もしこの手をロンアガリしたとすれば、
 20(符底)X2(平和)X4(4人分)=160点 となる。

 しかし現在の日本では、この二十二麻雀はまったく行われなくなり、立直麻雀が主流となっている。この立直麻雀は第2次大戦中にその芽が吹き、戦後、どんどん成長してきた。

 それでも終戦直後は二十二麻雀に立直をつけ足したようなルールで行われていたが、昭和20年代に入ると新規和了役がかなり採用されるようになった(一般高、三色同順、ドラなど)。和了役の増加に伴い、昭和20年半ばに場に一翻つけて五翻で満貫とするようになった。

 二十二麻雀の満貫は四翻で2000(子):3000(親)であるから、五翻になれば4000(子):6000(親)となる。この満貫点をとって、当時の麻雀を四六(しろく)麻雀と通称する。

 四翻満貫が五翻満貫になっただけでも大変化であるが、計算法にも重要な変化が生じた。それはこれまでの切り上げ法が、ダブル切り上げ法に変化した事である。

 第6項 ダブル切り上げ法

 シングル切り上げ法では、得点の端数(一位部分)を十位に切り上げるだけで、連底の端数はそのまま、あるいは四捨六入法であった。しかしダブル切り上げ法では、まずこの連底の端数(一位部分)を十位に切り上げた後、連底の累乗計算して算出された得点の十位部分を百位に切り上げる。たとえば次の手を子がアガったとする。

中中一筒二筒三筒三索四索五索六萬七萬 ポン白白白 ロン八萬
 連底は26点であるから、まずこの26点を30点に切り上げたのち累乗する。

30×2×4(両ゾロ)=240点

 ここで十位の数字である「4」を一桁切り上げるので、得点は300点となる(親であれば30×2×6=360 → 400点)。

 この例は30符連底であるので、5回累乗しても3900点となり、満貫(4000点)に100点不足する。そこで正式に満貫4000点となったのは40符連底以上であった。これは親も同様で、30符連底であれば5760≒5800点で満貫(6000点)にならなかった。

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