Treatis 論考
  
(20)麻雀点数論 11



第7項 六九麻雀

 昭和20年代後期にかけて、「常時、場に両翻(二翻)」というルールが定着してきた。いわゆる「両ゾロ」とか「場ゾロ」と呼ばれるもので、アガリの役数(翻数)に常に 二翻を加算する。

 この「場ゾロ」は、もともとサイコロの出目によってつけられた。すなわち振りサイの出目が普通のゾロ目であったときを「小(こ)ゾロ」と称し、アガリに一翻加算する。1(ピン)ゾロ、あるいは6ゾロのときは「大ゾロ」と称してアガリに二翻加算した。そしてこのゾロの一翻、あるいは二翻が加算される局を「ゾロ場」と称した。ところがやがて、それが「ゾロ目のときだけ一翻、二翻プラスなんてみみっちい。いっそのこと常に二翻加算しよう」というところから、そうなってしまったものである。

 いま流行り(?)のワレメルールで考えても分かるように、どこから配牌したどのアガリも常に倍額になるのであれば、ワレメルールの意味はない。それと同じで、どのアガリにも常に二翻加算されるのであれば、ゾロ場の意味はない。しかしジャンブルとなれば、大きいことはいいことだ。。。。そこで たちまち定着し、現在に至っている。そしてこれにより一翻のアガリは必ず三翻となることになった。すると、これまで一翻のアガリの最低点は240点であったが(子供)、これが960点(1000点)となった。

30符(連底)X2(翻)X4(子供4人分)=240点
 
30符(連底)X2(翻)X2(ゾロ翻)X2(ゾロ翻)X4(子供4人分)=960点

 これを単純に計算すると、満貫点は四六麻雀(4000(子) : 6000(親))の倍額、8000(子) : 12000(親)となる。しかしこれは当時の感覚では大き過ぎる数字であったのか、満貫は4000(子):6000(親)の5割増しの6000(子):9000(親)に抑えられた。そこで今日、これを六九(ろっきゅう)麻雀と称する。しかし昭和30年代もなかばになると、八一二麻雀が台頭し、六九麻雀は消滅した。

第8項 八一二麻雀

 世のインフレモードにつれ、新規ルール(槓ドラ、裏ドラ、一発など)が登場し六翻満貫が五翻の五割り増しでは物足りなくなった。そこで六翻満貫は五翻(4000(子):6000(親))の倍額、8000(子):12000(親)となった。これが現在主流となっている八一二(ぱいちにい)麻雀である。

 八一二麻雀でも30符連底では六翻で7680≒7700(親であれば11520≒11600)と、満貫には少し不足する。そこでまだ昭和40年代初期には、連底が40符ないと8000(子):12000(親)の正式満貫とはならなかった。

 しかし麻雀のインフレ傾向は益々進み、昭和40年代半ばには最終得点の百位を千位に切り上げ30符連底の六翻点7700:11600も8000(子):12000(親)とするルールも普及した。これをオール切り上げ、あるいはトリプル切り上げと呼び、現在、かなり定着している。

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