Treatis 論考

    (14)麻雀点数論 5


第 二 編 得点

 第 1 章 計算比率

 麻雀で同じ手をアガっても親と子では得点が異なるルールが採用されていることが多い。これは中国における麻雀が親対子という対決型のゲームであったことに起因する。この得点の精算における親と子の比率について、中国麻雀では幺二式(ヤオアルシー)*18・幺半式(ヤオパンシー)・幺々式(ヤオヤオシー)・二四式(アルスーシー)などの方式が用いられていた。

*18日本で通常使用されている「ノム」は「幺」の俗字(慣用字)。本稿では正 字の「幺」を使用する。幺は部首名を糸 頭といい、糸の先っぽを表す。糸 の先っぽであるから小さい、そこで「幼い」とか、「幽かに」など、小さい という意味に字に使われる。そして数字で一番小さいのは1。そこで中国で は1のことを幺とも表現する。

 幺二式は、散家(子)同士では算出された点数をそのまま精算し、荘家(親)と散家(子)の間はその倍額を精算する方式である。中国でも廣く行われていた為、日本伝来後も主流で採用され、今日に至っている。
 幺半式は、荘家(親)と散家の間は算出された点数をそのまま精算し、散家(子)同士では算出された点数の半額を精算する計算法である。結果的に幺二式の半分の得点となる。幺々式は親も子も算出された点数をそのまま授受する計算法である*19
*19幺は1と同義であるから、幺一式ともいう。

 二四式は散家(子)同士では算出された点数の倍額を精算し、荘家(親)と散家(子)の間は、さらにその倍額を精算する方式である。結果的に幺二式の倍額の得点となる。

第 2 章 満貫点

 昭和初期、満貫点は300点(子1人当たり。合計では子供1200点、親1800点の得点となる)、400点(子1人当たり。合計では子1600点、親2400点)、500点(子1人当たり。合計では子2000点、親3000点)など3種類ほどが流通していた。日雀連では結成当初、500点法が採用されていたが、「満貫点は符底の20倍が基本」とのセオリストの主張により、昭和7年には400点(20(符底)×20=400)に改められていた。

 しかし同年のルール会議でまたこの満貫点が問題となり、協議の結果、500点にまとまった20。以来、今日まで日雀連はもとより一般麻雀も満貫は500点(子1人当たり。合計では子供2000点、親3000点)と安定している。

※現在の一般麻雀は、常に場に両翻 (両ゾロ)が加翻される。そこで子が満貫ツモを摸和すれば、500点に両ゾロを乗じて2000点(子1人当たりの点数。合計では子8000点/親12000点)となる。


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