点数 15・平和加符


 基本的な質問ですが実際に麻雀荘あったことなのでお聞きしたいと思います。

 リャンメンをチーしていてタンヤオドラドラの出アガリ、手の内はすべてシュンツであがった形もリャンメン。僕は2600点だと思ったんですが、彼は3900点だといいました。同様にドラが3個だった時も5200なのに8000点だといいます。

 ちょっと気に入らなかったんで店員を呼んで点数はいくらかと聞いたところ、やはり3900と8000だといいます。とにかくこの件をはっきりさせたいですよろしくお願いします。


 たしかに食い断幺を平和(ピンフ)型でロンアガリした場合、一般の得点表に基づけば連底(小符合計点)は符底の20点しかありません。そこでこのまま計算しますと、断幺ドラ2のアガリは2600点(子)になります。

 それがどうして3900点になるかといえば、「平和加符10符」というものを暗黙の了解のうえで加算しているので連底が30符になるのです。

 といってもこの10符、慣習的に加算されているだけで一般の得点表には掲示してありません。そこで多くの人にはその存在がよく分かっていませんので、質問のような疑問が生じるわけです。

 この平和加符が一般麻雀で慣習的に採用されるようになったのは、歴史の中で平和という役の扱いが様々に変化してきたた事と(もともと役無しであった平和がこの時代に一翻役に昇格した)、昭和四年に日本で門前加符10符というものが採用され、平和に限って栄和のほうが摸和より高得点になるという逆転が生じてしまった事が大きく関係しています。

 この逆転現象を是正するために自摸八(ツモはち)計算というものが考案されました。
自摸八計算=平和を摸和したときのみ、ツモの2符を計算しない。 その代わり平和の一翻を計算するという方式。

 当時、これで逆転現象は是正されました。しかしやがて世の中は一般立直麻雀の時代となりました。 そして現在、一般立直麻雀では自摸八(ツモはち)計算が幅広く採用されています。ところが現在の一般立直麻雀では、また得点体系が大幅に変化し、食い平和も一翻として認められないようになってしまいました。

 そこで現在の得点体系に自摸八計算をそのまま適用し、かつ食い平和を無翻とするなら、食いタンの平和型のアガリは栄和・摸和とも700点(子)となります。それならそれでいいのですが、実は一般麻雀には「和了の最低得点は1000点」というもう一つの慣習的認識があります。

 そこで一般麻雀ではこの慣習にしたがって、食い断の平和型アガリのときは自摸八計算を適用しないでツモの2符を加算し、1000点(300/500)とする様になりました。

 またロンアガリについてもこのままでは700点となってしまうので、やはり慣習認識にしたがって平和加符10符を加算し、同じく1000点と計算するようになり、現在に至っているのです。

 また関西系のルールには、食い平和をロンアガリした場合に限り、平和加符10符の代わりに食い平和の一翻を加算するルールもあります(二十二麻雀式のシステム)。この計算法ですと、食い平和型のタンヤオのみのロンアガリは、子で1300点となります。


 どうしてピンフのツモアガリときに門前清栄和加符(10符)が無くなり、食いピンフ形でロンしたときには平和加符(10符)が取得となるのでしょうか。その辺りをもう少し詳しくお教えください。


 門前清栄和加符(10符)と平和加符(10符)」は、たまたま両方とも同じ10符ですが、遠因関係はあるものの、直接の関係はありません。

 ほんらいアガリ点は「摸高栄低(モこうロンてい=同じ手であってもツモアガリした方がロンアガリより高得点になる、という意)」が原則でした。しかしレインボー会議で門前清が「栄和(小門前清)加10符、摸和(大門前清)一翻」と設定された事によって、断幺・平和におけるアガリ点が逆転してしまいました。
*子で480点(立直麻雀換算2000点)、摸和320点(立直麻雀換算1300点)となる。

 この逆転の是正をはかるため鎌倉系麻雀で自摸八計算法が考案されました。この自摸八計算では、門前の断幺・平和は摸和160(子)/320(親)=640点(立直麻雀でいえば約10,000点の価値)、栄和480点(立直麻雀でいえば約7,200点の価値)となります。そして食い断平は摸和・栄和とも320点(立直麻雀でいえば5,000点の価値)になり、たしかに摸栄の逆転は是正されます。

 しかしこの計算法は、当時の二十二(アルシャール)麻雀では主流とはなりませんでした。したがって現在でも二十二麻雀ルールでゲームしている日雀連では、平和については門前・副露に関係なく摸栄逆転のままでゲームされています。

#ただし日雀連では食い平和を認めています。そこで日雀連ルールで食い断平をアガると、摸和で160点(子)、栄和で320点となり、栄和の方が倍の得点になります。

 しかし二十二麻雀では主流とはならなかった自摸八計算も、戦後急速に台頭した立直麻雀では主流となり、以後、関東系立直麻雀は自摸八計算一色となっています。

 そこで現行立直麻雀では、門前の断幺・平和の摸和は2,600点となり、栄和は2,000点となっています。この立直麻雀で喰い平和の和了についても自摸八計算を適用すれば、喰い断平は摸和も栄和も1,300点、即ち摸栄同点となります(摸和の場合、400(子)/700(親)の支払いとなるので、結果的に1,500点となります)。

 しかし立直麻雀では喰い平和を認めなくなりました。たとえ認めなくなっても、小符の端数が四捨六入式のままであれば、喰い断平は摸和も栄和も700点、すなわち摸栄同点のままで推移したはずでした(摸和の場合、200(子)/400(親)の支払いとなるので、結果的に800点となります)。

 しかしこの端数処理も四捨六入式からオ−ル切り上げ式で計算されるようになりました。この結果、喰い断幺・平和は、計算上、摸和1,000点・栄和700点という事になりました。それならそれでいいのですが、一般麻雀には「一翻の最低点は千点」という暗黙の認識が存在しています。

 その暗黙の了解のもと、一般麻雀では計算上は栄和7,00点でも、1,000点として計算されるようになりました。しかしもちろん1,000点になる為には30符の一翻のアガリとならなければいけませんから、厳密に言えば10符不足します(オール切り上げ式の発想でゆけば2符)。しかし一般麻雀では10符(あるいは2符 )などという細かいことは、どうでもよかったのです。

 そこでこの理屈と現実のギャップを埋めるため、25年程前、平和加符の10符を提唱しました。平和加符という用語自体は造語ですが、別に新たな符を考案したわけではありません。実質上すでに流通していたものを理解しやすくするため名前を付けただけのことです。

 平和加符を10符としたのは、現行の点数計算がオール切り上げ式だからです。すなわち平和型のアガリは他に小符はありません。そこで平和加符は2符であっても10符に切り上がります。つまり2符でも10符でも結果は同じとなります。そこで最初から10符としただけです。

 現在、ルール上、平和加符が明記されているのは101連盟と麻雀フォーラムのルールぐらいですが、明記されちなくても麻雀団体の計算は、ほとんどこの計算法で行われています。

 それでもまだ一部には、20符しかないアガリなのに、1000点になるのはオカシイという論があるのは確かです。しかし誰も疑問を抱かずに採用している現行の計算法の中にも、オカシイ点は山ほどあります。たとえばオール切り上げ式であるにも関わらず、七対子は常に25符という計算になっています。

 門・断・平・自摸は六翻あっても満貫になりませんが、、門・断・平・自摸・三色の八翻は跳ね満貫となります。また厳密に計算するというなら、22符六翻は5632点ですが、オール切り上げ式で7700点となります。この差は2068点もあります。

 さらに点数は厳格にというのであれば、幺二式ではツモピンフは子の支払いが700であれば親の支払いは1400となる筈です。しかし一般麻雀では「700/1300」で精算されています。

 一般麻雀ではこのようにアバウトな計算法を採用しているのですから、いまさら「700点が1000になるのはオカシイ」といっても、重箱の隅をつつくような話と思います。

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