Rule 規則

    (8)栄(ロン)の話


 麻雀の発声用語と言えば、チー/ポン/カン/ロン/リーチ。この中でプレーヤーがもっとも好きなのは「栄(ロン)」。次に好きなのは立直(リーチ)だろう。(笑) このもっとも麻雀らしい発声であるロンリーチ、なんと両方とも和製雀語。特にロンは、完全なる和製雀語。

 リーチの方はまたの機会に譲るとして、今回はロンの話。
 もともと中国古典麻雀ではツモアガリでも出アガリでも常に3人払いなので、アガリの違いを厳密に区別する必要はなかった。そこでアガリの表明にも、ロンアガリとツモアガリの明確な区別はなかった。

 そこでアガリはすべて(フー)とか和了(フーリャオ)あるいは麻雀(マーチャン)と発声されていた。それでもツモアガリの場合は「自摸(ツモ=自摸和の略)」と発声されることもあった。

 いずれにせよ、麻雀はそんな状態で日本に伝来した。で、ツモアガリの方は中国流に「自摸(ツモ」で問題なかったが、ロンアガリの発声に困った。「麻雀(マージャン)」ではゲームの名前みたいだし、「和(フー)和了(フーリャオ)では、なんか日本人には迫力に欠ける感じ。

 そこで日本麻雀草創期の大指導者、林茂光(りんもこう)氏が端的な表現を捜していたところ、中国に「ロン」という発声がある事を知った。これは分かりやすいし、語感もいい。オゥ ワンダフルと思ったが字が分からない。そこでいろいろ考えた末、仮に「栄」という字を当てて紹介した。「栄」は発音もロンで語感もいいし、「栄える」なので意味もマッチする。

 こりはいいというので日本ではアッという間に普及した。それで林茂光も責任を感じ、本来はどのような字であったか改めて調査した。その結果、「ロン」は「取る」とか「抑える」「整える」という意味の「才龍(手偏に龍)」という字である事が判明したという林茂光「麻雀競技法とその秘訣」)

 そこで氏は「これがロンの正しい字だ」と発表したが、みんなは「たとえそうであっても、『栄』の方がいい」と言って聞いてくれなかったという。。。。そんなわけで今に至るまで日本麻雀では、出アガリは「(ロン)」と表現されている。

蛇足
 このように、もともと(ロン)は出アガリの表明語として開発?された用語。しかし日本で一番古いアマチュア団体である日本麻雀連盟では、「アガリ表明語が2種類ある必要はない」として、ツモアガリも「(ロン)」と発声している。また101連盟でも、同様という(101代表の古川凱章氏は日雀連出身)

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