Rule 規則 

    (18)途中流局の話


 一般の麻雀で採用されている途中流局ルールは九種九牌/四風子連打/四槓算了/三家和/四家立直の5種類。

九種九牌は正式には九種幺九倒牌(チョーチュヤオチョータオパイ)という(なんだか舌をかみそう) 。配牌で一九字牌が9種以上あるとき、流局を宣言できるという中国伝来のルール。もちろん宣言する、しないは自由だけれど、日本麻雀では国士無双がうんと簡単になったので、宣言しない人も多い。

 むかしの九種九牌は、一九字牌でも対子や刻子になっているものは九種九牌の数に入らなかった。それはもともと九種九牌は悪手を救済するためのルールだったので、役牌、あるいは点数の高い一九字牌が対子や刻子になっている場合は悪手と考えられていなかったからである。たとえば次のような配牌は、一般論として「悪い配牌」とは云わない。

東東南南西西北北白一萬九萬一索九索

 したがってあくまで単独の一九字牌が9種あるものだけ九種九牌とされ、宣言時期も配牌終了直後に限られていた。

 それは第一ツモ後の宣言を認めると「第一ツモで十種十牌になれば役満狙い。 ダメであればゆっくり流そう」という選択ができる事になるからである。これでは「悪手の救済」という事とは逆方向の話となる。そこで宣言時期は配牌終了直後に限られていた。

 現在の麻雀は19世紀中葉に誕生したというのが、現在の定説である。誕生当初は単牌式という方法で壁牌が組まれていた。しかし並べやすさから、すぐ複牌式(現在、一般的に行われている方法)が主流となり、それにつれて親が跳板(チャオパン=俗に言うチョンチョン)により、配牌で14枚取得する様になった(単牌式の時代は親も13枚の配牌)。

 すると自動的に親だけ第一ツモを加えた14枚で宣言することになる。となれば親は八種八牌であったのに、第一ツモのお陰で九種九牌になったかも知れず、逆に九種九牌であったのに第一ツモが幺九牌であったせいで八種十牌となって宣言不可となったかもしれない。

 さらに親が配牌を14枚取得するようになったため、配牌終了時点で天和が可能となった。そこで「天和と九種九牌の宣言が同時発生した場合、どちらが優先するか」などという問題も出てきた(これは現在、アガリ(天和)優先として処理されるのが一般的)

 それでも日本伝来当時は、親のみ14枚での宣言OKという事で行われていたが、いつのまにか(時期不明であるが、たぶん戦後と思われる)子供も第1ツモ後の宣言を認めるようになった。それでも初期のうちは対子や刻子は計算にいれていなかったが、これも自然に計算の対象とする様になり現在に至っている。

 そして現在、九種九牌を認めるルールの場合、第1ツモ終了時点でしか宣言できないというルールと、配牌13枚時点での宣言も認めるという2種類のルールが流通している。

別名・九種倒牌(きゅうしゅとうパイ)
英名・NINE MUMMIES(九体のミイラ)

四風子連打は、最初、「西風子連打(シーフォンツレェンター)」、または四家西風(スーチャシーフォン)と呼ばれ、西が連打されたときだけ流局とされていた。

 仏教に「一路帰西(イールクーシー=死者の魂は一路、西方を目指す)」という言葉がある。 また「禅林類聚」という古い仏教の書物に「金烏東上人皆貴、玉兎西沈佛祖迷(金烏(太陽)が東に昇るとき人は皆貴く、玉兎(太陰(月))が西に沈む時、佛も迷う)」という文言があるという。すなわち仏教感では西の方角は、死とつながイメージがある。 そこで昔は西風が連打されると「縁起が悪い、やり直しじゃぁ」というので流局となったらしい。

 しかしいつの頃からか定かではないが、「南風だろうと北風だろうと、連打されれば四風子連打(スーフォンツリェンター)=死風子連打(スーフォンツリェンター)ではないか。こっちの方がもっと縁起が悪いぞ」というので、結局、風牌全部が流局の対象となったようである(どうも日本人が言い出したらしい)

別名・四個風子(スーコフォンツ)・四家同風(スーチャトンフォン)・四風牌連打(スーファンパイリェンター)
英名・Four same discards

 四槓流れは正式名称を四槓算了(スーカンサンラー)という。これが流局となった理由は、四槓算了と死棺算了(スーカンサンラー=死んでお棺に入って終り)と発音が同じため、縁起を担いで流局となったと言われている。

 古典麻雀では、最後の四槓目は嶺上牌を取得しなくても同一牌を4枚見せた段階で成立となった。つまり嶺上牌を取得する必要はなかったのである。しかし現在ではたとえ四槓目であっても必ず嶺上牌を取得しなければならず、かつ不要牌を打ち出し、その牌が栄和されなかったとき成立となっている。
別字・四槓散了

 三家和(サンチャホー)も中国伝来の途中流局ルール。 どうして流局となったのかよく分からないが、たぶん珍しい状況だとか、支払い者が一人だけというのは可哀想というところから成立したと思われる。

英名・Three people declare "out"

 4人リーチは正式名称を四家立直という。といってもこれは日本で成立した途中流局ルール(中国麻雀に、途中立直は無い)。

 これも四槓算了=死棺算了と同じ発想で、四家立直=死家立直=縁起が悪い、というので某立直麻雀団体が流局とするルールを作り、それが普及して今日に至っている。

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