「流し国士」とか「幺九振り切り」とも呼ばれる。いずれにしても通称みたいなもの。では中国名ははなんと云うかと云っても、そのようなものはない。そもそもが昭和20年代成立した日本ルールだからだ。しかし中国名はまったく無いのかというと、いちおう「和牌満貫(フーパイまんがん)」とか、「流満和(リューマンホー)」という翻訳名はある。※和牌満貫は台湾翻訳名(「和牌」というのは「アガリ牌」ではなく、「流局」という意味)、「流満和」は中国名。
このルールが採用されだした頃は、流局の時、捨て牌が一九字牌だけであれば満貫、ただし途中で1枚でもチーポンカンされていたら無効というのが一般的であった。しかし近年は、満貫ではなく倍満としているルールも多くなっているようだ。
また途中でチーポンカンされていたら満貫、されていなかったら役満貫というルールも聞いたことがある。通常 完成者の手牌の状態は問題にならないが、中には手牌がテンパイになっていなければ不可とか、自分がチーポンカンしていたら不可というルールもある。
ローカルルールだからどのような取り決めでも自由だけれど、現行麻雀のインフレ度からいうと、チーポンされなかったら倍満、チーポンされたら無効。プレーヤーのテンパイ、ノーテンは不問というあたりが順当なとこかもしれない。
流し満貫はリーチ麻雀が隆盛するなかで自然に成立したものなので、発明者などは特定できない。しかしどんどん普及したので、昭和35年、日本牌棋院の東京ルールで初めて成文化された。
一般の麻雀では王牌を14枚残すので、チーポンカンなしに流局すれば東家・南家は18回、西家・北家は17回の摸打となる。西家17回、北家17回に東家(または南家)の18回を加算すれば計52回。そして一九字牌は合計52枚なので、計算の上では同時に3人が完成させることが可能である。
よく「流し満貫はアガリ役であるか否か」という論を聞く。ローカルルールであるから、どのようなルールにしようと自由であるが、やはりテンパイ料同様、単なるルール上の精算事項として処理するのが順当と思われる。それは本来アガリとは「ロン」とか「ツモ」という発声がともなうもの。この発声ナシにアガリが成立というのでは、なにか釈然としない。
またアガリ役としたルールで2人のプレーヤーが完成した場合、ダブルアガリ有りであれば2人とも有効で問題ない。しかし3人完成となると、三家和で流れなんてことになりかねない。(笑)。
また2人完成でダブルアガリ無しのルールの場合は、優先順位の問題が生じる。この場合、一般的には河底牌に一番近いプレーヤーのみを有効としていることが多いが、これも下家にとっては釈然としないことだろう。
そこで単なるルール上の精算事項としておけば、発声の有無が問題になることはない。また複数完成の場合は完成者全員有効となり、相互に精算する。もちろん子供が完成させた場合、親が流れるかどうかなんてのは別問題。一般ルールで行けば、親がノーテンなら親流れ、テンパイなら連荘というところ。
あと問題になるのは、流し満貫が発生したときテンパイ料の精算をどうするかということ。四角四面に考えれば、場に生じる流し満貫と、手牌とは別問題。そこでそれぞれに精算するというのも一理ある。しかしまぁ、アガリでもない手のことでめくじらたてることもない。そこで「流し満貫が発生したときは、テンパイ料は精算しない」としておくのが無難なところかも。
なんか最近は流し満貫の亜流で、流し断幺とか流し清一、流し混一というのもあるという。ここまでゆくとご愛嬌だと思っていたら、なんと「流し独身」なんてのもあるという。
いったいどんなんだと思ったら、「赤色を女性にたとえ、赤色無しの牌を独身牌と称する。その独身牌を最後まで捨て続けると満貫。途中で赤色牌を捨てても、その牌が吃ポンされて捨て牌から無くなれば流し独身続行となる」というものだという。
う〜ん、こんなこじつけがまかり通るなら、流しカップル、流しデート、流し結婚から流し離婚まで、なんでも出来そうだ。(笑)
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