Piller stone 柱石 

    (6)嵌め手とは


 某BBSで囲碁/将棋における「嵌め手の是非」が話題になっていた。「嵌め手」といっても積み込み/抜き技などのイカサマの話ではない。あくまでルールの範囲内での話。

 肯定派は「ルールの範囲内における戦術の1種=問題はない」、否定派は「アンフェア(不公正)な戦術=ルールの範囲内であっても、やるべきではない」というのが主たる論拠であった。

 囲碁/将棋のことはじぇんじぇん分からない。当然どういうものが嵌め手と言われるものかも分からない。かろうじて子供の頃にゲームした五並べで考えるなら、四追いで追い詰めての四三勝ち等ではなく、将来の勝ち筋にさりげなく置き石をするたぐいのものか(ちと違うのかな?)。

 まぁ、麻雀で云えば「筋引っかけ」とか、「地獄待ち」というたぐいのものだと解釈しながらロムしていた。たしかに「筋引っかけ」、「地獄待ち」はスマートと云えないかも知れない。しかしσ(-_-)はアンフェアとまで思えない。

 いずれにせよよく分からないのでロムしてただけであるが、σ(-_-)の理解の観点からは、否定派の「アンフェアな戦術」という主張がどうも理解できなかった。

 そして肯定派の「嵌め手にかかったからといって、それはそういう戦術を知らなかったプレーヤーの問題。それをアンフェアと非難するのはおかしいのではないか」という主張は、σ(-_-)の感覚にマッチした。そこでこの話題が交わされ始めた当初、σ(-_-)はどちらか云えば肯定派のシンパであった。

 そのうち否定派の「嵌め手など上級者は熟知している。したがって初・中級者には通用しても上級者には通用しない」という発言を読んで、なるへそと思った。うん、上級者うんぬんは別にしても、イケイケ麻雀の自分は、他人の手など全然読まない。こんな人間に嵌め手など、まったく無意味だ。(笑)

 そこでちょっとなるほろと思ったが、まだ否定派に寝返るほどではない。(笑) ところがそのうち喩え話に野球がでてきてかなりグラグラ。

 野球で嵌め手といえば盗塁・スクイズ・送りバントかと思ったらそうではなくて、話は隠し球に。

 ご存知の通り、隠し球は、球を持った野手が持っていない振りをする。油断して塁を離れたランナーにすばやくタッチ。アウトをくらったランナー/チームは、唖然・呆然・愕然とする。

 しかし審判もアウトを宣告するところをみると、もちろんルールの範囲内。しかしたとえルールの範囲内といえど、1種のトリックプレー、野球本来の打った・走った・守ったというプレーに属さない。喰らった方はもとより、喰らわした方だってあんまり後味がよくないような気がしないでもない。

 「囲碁/将棋の嵌め手は、この隠し球みたいなもの。トリックプレー=嵌め手のお陰で勝つこともあるだろう。しかしそれは囲碁/将棋のゲームの姿ではない。そうまでして勝ちたいとは思わない。そんなことで勝ちを拾っても、本人の実力向上には役に立たない」というのが否定派の主旨。う〜ん、なるへそ....そこまでは考えていなかった。。。。

 囲碁/将棋のことは何もしらないので、野球の隠し球が囲碁/将棋における嵌め手=トリックプレーレベルに属するという解釈が順当かどうかは何とも分からない。しかし仮に囲碁/将棋における嵌め手がこのように解釈されるものであれば、否定派のいうことも首肯できると思った次第。

 と、話がそこまできたところで、囲碁/将棋でいう嵌め手が「トリックプレー=本来のゲームの姿ではない」であるならば、麻雀におけるそれは何だろう?と思った。少なくとも筋引っかけや地獄待ちの類でないことだけは確かだ。そこで思い当たったのが、過去によく見たあのプレーの数々。。。。

 東家が三萬を打った。それをみて南家の手がなんとなく手牌の上をさまよう。瞬秒の間の後、黙ってツモ切り。数巡後、西家が六索を切ると、南家のタンピン・ドラ2にみごとに放銃。見るとたしかに南家の手に万子はあるが六萬七萬八萬の面子。おひ、あの三萬の迷いは何だったんだ・・・・(いちおう頭は四萬だったが....

 東家が索子2副露、捨て牌からは、どう考えても索子の染め手にみえる。実際東家の待ちは三索六索。しかし実はドラの八筒をアンコで抱え、雀頭も二萬のタンヤオ・ドラ3の手。そこでうっかり?倒れる手牌の右恥、いや右端においた頭の二萬

「ああ、なんだ索子じゃないのか。じゃぁタンヤオのドラ持ちか?」
となれば万・筒・索子、危険度は大して変わらない。逆に索子2副露なら索子はまぁまぁ安全そう。そこで思わず北家の手から、止めてた三索がポロリ。

 東家は索子ガメリの一直線。2副露しての終盤なのに、3枚切れの中を抱えたイーシャンテン。

    三索三索三索四索九索九索中  チー五索六索七索 ポン一索一索一索

 そんな都合は他家にはわからん。索子なんざぁ1枚も出ん。そこで必殺、オッパ○ポロリ作戦。チラッと倒された中を見て、「あぁ、なんだ。少なくともまだイーシャンか。なら今のうち」

 誘惑に負けた北家の手から九索がホイ。これで東家は少なくともテンパイキープ。うまくゆけば親満だって。。。。

 麻雀ならば、これが嵌め手のトリックプレー。かりに見せ牌はアガれないのどうのこうのと云ったって、別に二萬九索でアガるわけではない。三萬の少考にいたっては、牌を倒したわけでもない。しかしこれはルール以内であってもマナー以前の話。

 たしかにその手で勝つこともあるだろう。しかしそうまでして勝ちたいのか、とσ(~0~)も云いたい・・・・

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