Pillers tone 柱石 

    (16)雀力の養成



 ではノータイムでも切り間違いをしない。メンチンでもノータイムで的確な打牌を選択できる。局面を完璧に把握している。1ゲームを各自のアガリ手とともに得失点の移動を振り返ることができるなどの雀力を養成するには、どのような方法があるであろうか。それについてσ(-_-)は速読(そくどく)と算盤(そろばん)が非常に役に立つのではないかと考えている。

 そろばんの話からすると、σ(-_-)レベルでは、毎回の得点移動は、そのつど計算し記憶しておくことしかできない。そこでたとえば東の4局が終わったときは、その時点の各自の持ち点は把握するものの、それ以前の得失点状況など、まったく忘却の彼方となる。(-_-;

#誰かのアガリ、あるいは流局でその局が終了したとたん、頭の中で得失点の移動を計算し始める。ツモアガリの場合は、3人分計算しなくちゃいけないので大変忙しい。(笑) その局の感想みたいなことを話す奴もいるが、こっちはそれどころじゃない。第一、うっかり話に加わると、みんなの持ち点を忘れてしまうので、いつもむっつりしていた。「浅見さんは、いつも静かだねえ」と云われても、返事もしたくなかった。(_ _;

 その程度の得点記憶でも、一般麻雀ではかなり役に立った。しかし所詮は素人芸。おまけにそんな素人芸も、最近は点数表示卓の普及で必要なくなっった。

 しかし昔よく麻雀をした知人のY君は、半荘の得点経過を全部振り返ることができた。ゲームが終わってから、「東の1局は誰が何点の手を何でロンして、東の2局は誰が何点の手を何でツモって....」という具合。正直、これには感心した。

 そこでY君に、「そういう能力は、どうやって身につけたのか」と聞いた。すると「そろばんのお陰です」という。詳しく聞くと、彼の家はそろばん塾。彼も小さいときから手ほどきを受けていた。長じては親の代理で先生役ができるくらいになったとのこと。

 「なるほろ」と思いつつ、さらに「ではY君くらいに得点移動を記憶できるようになるには、どれくらい上達すればいいのか」と聞いた。すると「う〜ん、個人差もあると思うので何とも言えませんが、たぶん初段、2段くらいになれば可能かも....」という返事だった。

 「なーるほろ、なるほろ」 そこでさらに「では、そろばんが上達するのに、何が一番大事なことか」と聞いた。すると返事は一言、「集中力です!

 その後に続いた説明によれば、「計算力の上達にともなって集中力も向上する。得点移動などの記憶も、自然にかなりできるようになる」というようなことであった。

 ということで、雀力アップにそろばんの習得だけでもれだけでもかなり効果はあると思う。されどさらに奨めたいのは、速読・速聴・速視などの習得。

 ご存知と思うが速読とは本を速く読むこと。上級者ともなれば、厚さ1センチほどの文庫本なら数分で読みこなすと云う。横で見ているとパラパラとページをめくっているだけにみえるが、なんと全部きっちりと読んでいる。

 この速読は、修練すれば誰でも或る程度習得することが可能だという。といっても誰もが数分で文庫本を読み切り、文章を記憶できるようになるわけではない。どんなことでも上達の速度、あるいは到達点は人によって異なる。しかし修練すれば、それなりに速読力が身につくことは間違いない。

 しかし速読のトップレベルともなれば、「○○ページの文章は?」と聞かれれば、即座に暗唱できるという。じっさいにテレビでの速読の紹介番組があったとき、そのようなシーンが放映された。ただ速く読むだけでなく、記憶力もすごいわけである。

 聞くところによれば、本の文字を眼で追って読むのは、それがどんなに速くなっても中級クラス。超上級者になると眼球などは動かさない。文字も読まない。ページを開いた瞬間に写真のように記憶してしまうらしい。

 写真のように記憶しているので、あとで再現が可能。そこで「何ページには、なんと書いてあった?」と聞かれると、そのページの写真を記憶から呼び出して読み上げることが出来るという感じらしい。

 以前、衛星放送で子供の能力についての科学番組をやっていた。3X3=9マスに区切られた50センチ四方くらいの木の板を用意する。そのマス一つ一つに、たとえば1のマスには人形、2のマスにはコマ、3のマスには色鉛筆、9のマスには麻雀牌(まさか....)という具合に子供のオモチャを乗せる。

 それをオーストラリアの原住民(アボリジニー)と白人の子供(みんな5,6才)にそれぞれ見せ、どこになにが置いてあるか記憶するように云う。

 一定時間見せたあと、オモチャを全部取り去り、そのオモチャをもとの位置に乗せるように云う。すると白人の子供は横に置いてあるオモチャを眺め、その中から人形を取り上げて1のマスにおく。次にコマを捜しだし2のマスへ。色鉛筆を探して3のマスにというように順番に置いていって完成させる。

 ところがアボリジニの子供はオモチャを適当に一つ取り上げ、それが麻雀牌なら9におく。次に取り上げたのが色鉛筆なら3のマスに、次に取り上げたのが人形なら1のマスに、という具合にランダムに置いていって完成させる。

 これについて女性科学者が、「白人の子供が物事を系統的に理解しようとしているのに対し、アボリジニの子供は状態を形として認識し、うんぬん」というような解説をしていた。これを見て、「速読の上級者が状態を写真のように記憶するというのは、こういうことなのかな?」と思った。

 将棋でも上級者やプロともなると、以前の対局も克明に記憶しており再現できるという。しかしそんな上級者でも、文庫本を1分で読めるという話は聞かない。これは同じ記憶という問題であっても、記憶の種類が違うせいなのかも知れない。

#将棋は「どんな駒を使うのか。それで王将を取った方が勝ち」くらいのことしか知らないので、この辺りのことは何ともはっきりしないんだけれど。

 どちらの記憶法がどうのこうのなんてことは別として、写真的に記憶していれば写真を呼び出してその通りに並べればいいだけ。つまりアレコレ考える必要がないことだけは確か。

 麻雀の打牌はランダムであるため、論理的に打牌巡を記憶することはできない。とうぜん記憶・再現も困難となる。そこで印象的な局面を記憶しているのがせいぜいということになる。

 しかしカメラのような能力が完璧に身につけば、ノータイムでも場況など一瞬で把握できる。ゲームの再現も可能ということになる。そうなったらもちろんA級のプロl。もちろんそこまで行くには速読のプロくらいにならなければいけないだろうけれど....

※実はそう思って昨年、名古屋の速読スクールに通いだした。今年になってちと忙しくなり、とてもそんな時間がとれなくなってしまった。結局入門コースをかじっただけで終わってしまったのが、とても残念。(-_-)

 いずれにせよ雀力とは、いかに短時間で場況を的確に把握できるかということ。そこでこの速読力を充分に身につければ、瞬秒で充分に局面を把握できるし、とうぜん切り間違いもしなくなる。メンチンでもノータイムで的確な打牌が選択できるようになると思う次第だ。

 この他に速視、速聴というものもあるという。速視、速聴については詳しいことは知らない。しかし速聴のPRを見ると、やはり集中力が養成され、記憶力も飛躍的に高まるという。

http://www.sokuchou.com/

 じっさいソロバンの読み上げ算なんかでは、すごい速さで数字を読み上げる。選手はそれを正確に聞き取りながら計算してゆく。これも速聴の能力の一つかも知れない。

 速視については、速聴より知らない。しかしやはり集中力の鍛錬に役に立つような気がする。そこで速視/速聴も、速読同様、雀力の向上に役に立つかもしれない。

 話は変わるが、宇宙ロケットを打ち上げるとき、推力を増すために本体にブースター(日本語に訳せば、増幅器か)という補助ロケットを数本装着する。

 これをゲームに置き換えると、囲碁・将棋・麻雀などの棋力・雀力が宇宙ロケット本体、速読・算盤などの習得で培われた集中力・記憶力がブースターと言うことになる。算盤と速読でブースター2本。速聴、速視もマスターすれば、ブースター4本ということになる。(^-^) 当然推進力は、超倍増。

 とはいうものの、小さな本体(未熟な棋力・雀力)に、おおきなブースターをつけても、効果が少ない。推進力アップというより、本体無しでブースターだけ飛んでゆくのとおんなじだ。ブースターは、それなりの棋力・雀力という本体あってのブースターである。

 また逆に言って、でっかい本体に小さなブースターをつけても意味がない。小さなロケットには小さなブースターが適切だし、大きな本体には大きなブースターが必要である。

以前へ  以降へ  目次へ