Personal analyze 諸分析 .

    (7)リードの法則


 べた降り君1とべた降り君2の思考ロジックは全く同じなのに、半荘250回やった段階では、大差がついている。これは、どうしてなんだ?というのが、今回のテーマ。

 先般紹介した「リードの法則」ですが、確率の本ではマルコフ連鎖などの確率過程の話の次に出て来ることが多いようです。私自身は、paper study 以上の知識はありませんが、自分自身の勉強の意味も込めて少し書き連ねたいと思います。(^O^)

 #3413のYさんの半荘600回の累積得点のグラフを見ていただくと、ちょうどよいのですが、思考ロジックが別な者同士は、値が違っていてもよいとしても、思考ロジックが同じ者同士が違った値、しかも見かけ上、大きくずれている。これこそが、リードの法則です。

 技量伯仲の2人勝負を取り扱うとき、常識では勝ち負けが相半ばすることが最も多く、一方的勝負に終わることはごくまれであるように思われているが、実際はむしろ反対で、運・不運が一方的に働き、勝負の結果が極端に偏る場合がかなり多いのである。すなわち局所的には勝ち負けが相半ばしていても、利得を合計すると一方がリードしつづけることが多いのである。

 ランダムウォークは2次元とかいろいろありますが、今回は、1次元のもので考えれば十分ですので、1次元で考えます。

 X軸は時間軸(回数)、Y軸は累積点数とし、原点(0・0)からスタートするものとします。教科書の例では、コイン投げを例にあげ、表が出たらプラス1、裏が出たらマイナス1として、累積点数をY軸に取っています。

 (例) 表裏表裏表表表裏表表 と順に出たとすると
 (0・0)→(1・1)→(2・0)→(3・1)→(4・0)→(5・1)→(6・2)→(7・3)→(8・2)→(9・3)→(10・4)
 
 10回コイン投げをやって、表7回、裏3回出たので、その差4だから (10・4)にいるということです。そして、この(0・0)から(x・y)への道のりのルートの数を計算します。
 
(a) 途中のいかんにかかわらず、2n回目に原点に戻る確率
長さ2nの道は、2^2n個(←これは、2の2n乗 の意味です)あり、その各々は等しい確率1/(2^2n)を持つ。今、(0・0)と(2n・0)を結ぶ道の個数は、2nCn なので、求める確率は、これの2^-2n 倍である。すなわち、P(a)=(2nCn)/(2^2n)=U2n(←表記の簡便のため導入)である。

(b) 2n回目にはじめて原点に戻る確率
(c) 2n-1回目にはじめて負の領域に入る確率
(d) 2n回目までに決して原点に戻らない確率
(e) 2n回目までに負の領域に入らない確率
 ・・・ってな感じで、話は進んでいきます。
(ちょっと細かくて、よくわからないので説明はパスさせてね。)(^_^;)

 そして、次は、「リードを続ける確率」ですが、こいつをやるには、まず「長さ2nのすべての道2^2n個から任意の一本を選ぶ時、2kの長さが正の領域にあり、2n-2kの長さが負の領域にあるものが選ばれる確率P2k,2n」を知る必要がありますが、こいつは、先ほど導入した記号を使えば、 P2k,2n=U2kU2n-2k  となります。

 そして、U2nはスターリングの公式(注)を使って、近似計算すれば、
   U2n=(nπ)^(-1/2) ← nearly equal です
         ↑
   円周率のパイです。(nπ)のマイナス2分の1乗です。
       
 (注)スターリングの公式とは、「nの階乗は、nが十分大きい時、(2nπ)^(1/2)・n^n・e^-n に近似される」というもので、組み合わせのcombinationの式を変形する時に、よく使われます。すると、
                    1       ← 分子
  P2k,2n=U2kU2n-2k=------------
                π(k(n-k))^(1/2)  ← 分母
              
  k(n-k)全体にルート(平方根)がかかったものとパイを掛けたものが、分母に来ます。 長々と細かい数式を出してしまいましたが、具体例の計算値を乗せます。
 
 20回コイン投げをやって(2n=20)、2k回が正の領域にある確率は、
  2k    |0 ・ 20 |2 ・18 |4 ・16 |6 ・ 14 | 8 ・12 |10   |
  P2k,2n|0.1762|0.0927|0.0736|0.0655|0.0617|0.0606|
 
 となります。これによると、正の領域にある長さが10である確率は他の場合と比べて一番小さいことがわかります。これは、常識と反する答えである。

 それというのも、公平なコイン投げであれば、正の領域にいる長さと負の領域にいる長さとが同じ割合であろうと思われるのに、その確率が最も小さいのである。
 さらに、正の領域にある長さが0または20である確率、すなわち、一方が負け続けるか勝ち続ける確率の方がかえって高いという驚きの事実を示している。
 
 つまり負け続けたり勝ち続けたりする確率が高くて、正負の領域に同じ割合にいる確率が最も小さいということは、「ツキ」の存在を証明するものである。
by多摩(ターニア)

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