Mahjan talk 雀話

    (72)やくざの代打ち


 σ(-_-)がやくざの代打ちをしたという話ではない。ある新書本に、著者がやくざの代打ちをした思いでが載っている。それがち〜と(@_@)な話なので、思わずカキコする気になった。といっても著者はまだ健在だし、名前を出すとなにかとさしさわりがあるような気がする。そこで本の名前とか著者名は控える。内容も、例によって抜粋だ。

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 昭和26,7年のこと。ある組の親分とウマがあって、鉄火場的な雰囲気の中で麻雀の代打ちをやらされたときの話。ある日、その親分から銀座の某所でヤクザの親分衆の雀会があるから一緒に行かないかと誘われたので、後学のためにふらっとついていった。

 レートは箱テン六万円と聞いたが、インフレ時代のことで大したことはなかった。しかしウマが大きかった。落ちウマといって原点を割ると十万円、それが全部トップへゆく。役満貫のご祝儀が三十万円。そこで1ゲームで百万円から二百万円の金が動く。

 対局した4人はかなりの顔役で、そこに私を含めて二人の観戦者がいたそのとき荒○組の組頭、及川某という男が、どえらいイカサマをやった。しかし私は何も言わなかった。

 それはたしか二回戦目のオーラスのこと。及川某が中を鳴き、6巡に發をポンした。役満貫は1人から三十万円のご祝儀が出るというので、とたんに場が緊張した。及川某はしばらくムダヅモをしていたが、十五巡に「役満っ!」と叫んで手を開けた。

一索一索白白七索八索九索  中中中  發發發

 白をツモってのアガリで、3人は点棒を払うのに大わらわ。しかし私は、及川某が、それまで左指ではさんでいたタバコを右手に持ちかえ、左側にあった灰皿をつかわず右側にあった火鉢を引き寄せて、灰を落とすふりをして牌を火鉢の中に落としたのをみてしまったのだ。

 監視役をつとめていた彼の舎弟という中川某が代打ちに入ったのを機に、私も親分が尻(けつ)を取ってやるからやれ」というので、その後、三回ほど代打ちをつとめた。

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 と言う話だ。σ(-_-)はこれを読んで疑問がぼろぼろ。。。。
 まず「箱テン六万円」というレートの件。 昭和26,7年頃の大卒初任給が幾らくらいかよく知らない。しかし昭和40年頃は3万円くらいだった記憶。それから考えると、せいぜい1万円くらいじゃなかったのか。

 現在、大卒初任給は20万円前後。つまり当時の一万円は、現在の20万円前後に相当することになる。だとすれば「箱テン六万円」は現在の120万円くらいに価する。著者は当時学生だった。いくらインフレ時代であっても、学生が「大したことはなかった」という金額ではないと思った。

 ましてや「1ゲームで百万円から二百万円の金が動く」となれば、2千万から4千万。いかに親分衆でも、1ゲームでそんなにお金が動く麻雀していたんかいな....それでもそれだけの事なら、σ(-_-)がヤクザの世界のことを知らないだけであり得るのかも知れない。しかしその後のイカサマの話がどうも腑に落ちない。

 まず白をどこから持ってきたか?。ひょっとして監視役の舎弟、中川某が予備牌の白でも渡したのか?。しかし他のプレーヤーの手に白が対子だったりすると血の雨が降る。となれば及川某が、誰かの捨て牌を拾ってきたとしか考えられない。しかし監視役が中川某しかいなかったとしても、その拾いを他の親分衆、二人の観戦者が全然分からなかったとは。

 不要牌を火鉢の中に落とし込んで隠したという話も疑問だ。次の回からどうやってゲームしたんだ。まさか火鉢をかき回して、牌を取り出したわけでもあるまいに。もし予備牌の白を中川某が渡して大三元を完成させたんだとしたら、次回からの枚数は合うことになる。しかしそれだと次回から白が5枚になるからすぐトラブる。


#むかし予備牌の白が1枚混入してゲームを始めたことがあった。誰かが白を捨てたら、二人がポンッ!(笑)

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