Mahjan talk 雀話

    (49)麻棋


 麻雀という名称は、このゲームのルーツの1つである馬吊(マーチャオ)に由来するというのが現在の定説。1940年以前の中国では「麻将」という名称もあったが、やはり「麻雀」が主流だった。日本へは大正時代に伝来したので、もちろん「麻雀」。そこでいまも「麻雀」のままだ。しかしお隣の中国では少し様子が違った。

 1945年、共産中国が成立してから麻雀は日陰の存在となり、中国で麻雀本はまったく出版されなかった。しかし文化大革命が終ると息を吹き返し、1980年代になると麻雀本がぞくぞくと出版された。しかしそこで使われた字はすべて「麻将」に統一され、そのまま今日に至っている。
※香港や台湾は中共とは関係ないので、現在でも「麻雀」

 数年前、高田馬場のルノアールという喫茶店で雑談しているとき、新団体に関して「『麻雀』という名前にはどうしても賭けのイメージがある。なにかいい名前がないかしらん」という話が出た。そこで「中国では『麻将』と書く。それにしたら?」なんて話をしたことがある。いずれにしたって名称はその団体を表す大事なモノ。みんな智恵を絞るところだ。

 先日、「棊の字の研究(大澤永弘)」(遊戯史研究13)という論文を読んだ(「棊」は「棋」の古い字)。非常に面白かった。それによると「現在『棋』は、ほとんど碁の意味で認識されているが、本来は盤上ゲームの駒を表す字」ということであった。

 なるほろ、それで中国では碁は囲棋(イーチー)というし、日本の将棋にあたるゲームは象棋(シャンチー)というのだと得心がいった。しかしそうすると、日本将棋連盟はいいが、日本棋院では、何の棋ゲームをプレーする団体か分からない事になるな....(~-~;

 そこまでぼんやり考えていてハタと思いついた。いま中国ではオリンピックと連動させて、世界麻将大会を開催する動きもあるらしい。それはいいけれど、中国だって賭けはご法度。賭けのイメージを払拭した新鮮な名称があると喜ぶかもしれない。

 そこで麻雀と、この「棋」をくっつける。候補は麻棋(マーチー)・将棋(チャンチー)・牌棋(パイチー)の3つだ。このうち将棋は、日本の将棋(しょうぎ)と混同しかねない。すると麻棋か牌棋のどちらかである。

 牌棋はいいなと思ったが、日本で牌といえば麻雀の駒の意味。中国では札とか看板の意味である。そこで牌棋というと、なにか駒だらけの感じがしないでもない。となればあとは麻棋(マーチー)しかない。語呂も麻将(マーチャン)に近いし悪くない。

 うん、将来、中国側と麻雀談義をする機会があったら、「麻将」に代わる名称として「麻棋」を提案してみよう。(^-^)

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