参議院選挙もたけなわ、こんな田舎市にも候補者がくる。ところで議員を選ぶんだから選議とか選議員のはずだが、なぜ選挙というのか。じつはこれは古代中国のせい。
むかしの中国王朝に科挙という国家試験制度があった(科目別に挙人(きょじん=合格者)を選抜する という意味の短縮形)。挙人は挙国(国を挙げて)とか挙兵(兵を挙げて)と同じで、‘人を挙げる’という意。そこで挙人(合格者)を選抜することを選挙と称した。あ、元ネタはこの本ね(^-^;
科挙に合格さえすれば たとえ庶民でも、高級官僚 大臣 宰相も夢ではない。そこで多くの人がチャレンジしたが、これが ものすごく難しい試験。どれくらい難しかったか現在とは比べようもないが、たぶん小学生が東大へ合格するより10倍くらいムズカしかった。選挙とは そんな試験の合格者を意味しているんだから、当選した各議員は お利口さんばかりの筈なんだが....
それはともかく科挙にはメインの試験が解試(かいし=郷試(きょうし))、会試(かいし)、殿試(でんし)の3種類あった。そしてそれぞれの首席を解元(かいげん)、会元(かいげん)、状元(じょうげん)と呼んだ。
1回でも首席で合格すればたいしたもんだが、中には3試験とも首席で合格した人もいたらしい。首席の称号にはすべて元という字がついている。そこで3試験とも首席で合格することを三元中選(三つの元の選に中(あた)る)と呼んだ。麻雀の大三元というアガリ役は、この三元中選の意味というのが現在の定説。※他にも1月1日の意味(1年と1月と1日の元(はじめ))とか、上元(じょうげん)中元(ちゅうげん)下元(かげん)の意味とか いろんな説がある。
合格者名は試験場に名前を張り出して広報したが、真んなかに赤色で大きく中と書き(‘大中(あた)り’の意)、回りを丸く囲むように氏名を表記した(一番上につきだして書かれているのが首席合格者)。麻雀の は、たぶん これを表していると思われ。
同書p27
そう云えば 少し前に明石散人(あかしさんじん)という人が、「むかしは黒色の役牌がもう1種類あって、大三元ではなく大四元という役があったのではないか」という珍説を発表したことがあった。そりゃま 科挙が3段階ではなく4段階で、四元中選という言葉も残っているというなら その可能性もあるけど(^-^;
オマケ
最初の公式試験である解試(郷試)に合格して めでたく挙人にになると、新挙人を招いて盛大に祝賀の宴が催された。この祝賀の宴を「鹿鳴(ろくめい)の宴」という。明治時代、政府が鹿鳴館という社交場をつくったが、この名前は「鹿鳴の宴」に由来している(鹿鳴の宴という名称の由来は知らないが、たぶん中原に鹿を追うという主旨と思われ)。※鹿は財産や名誉を表している。
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