Mahjan talk 雀話

    (131)他力本願


 日本ローカルに他力本願という役がある。要は裸単騎でのロンアガリ。実はこのアガリ、日本ローカルの特産品ではない。

 中国に二落抬(シーアルローテー)という役がある。十二(12枚)副露(落抬)するので、四副露単騎(スーフーロータンチー)ともいう(ココを参照)。そのアガリもロンアガリなら、全求人(チャンチューレン)となる(現在の中国公式麻将では6点役)

この全求人が、他力本願とまったくおんなじ。しかし全求人を知った日本の誰かが、別名を付けて採用したとも思えない。人の考えることは同じようなもの。きっとどこかでこんなアガリがあって、「じゃぁ、役にしよう」ということになったんだろう。

 雑談99で役不足、助長ど、誤用されている言葉なんかを思いつくまま書いた。
“助長”は「手助けしてやる」ではなく、「余分なことをして、相手をダメにする」の意味。

#昔の中国、ある人がネギを育てていた。半分ほど成長したところで、農民は「もっと早く成長するように手助けしてやろう」と思った。そこでネギに手を掛けて、片っ端からグイッとひっぱり上げた。そいでネギは全滅した、というのが語源。

 “情けは人の為ならず”は、「情けをほどこすのは、その人の為にならない」ではなく、「情けをほどこすのは、自分の為になる」の意。

 気のおけない”は、「安心できない」ではなく、「気をおく必要がない=安心できる」の意。

 単なる誤用のうちはいいが、ときには誤用が新しい表現を生む。
 仏教でいう他力本願、「仏の加護を信じて、全力を尽くす」の意。日本流に云うと、「人事を尽くして天命を待つ」という感じ。その他力本願が「ひたすら他人の力に頼ること」と誤解され、一般で自力本願という表現が生まれた。つまり他力本願自力本願はまったく同じ意味。

 麻雀で有名なのが、先付け後付け。、先付けは本来“最後に役をつけてアガリ”という意味。それを最初に役をつける意味と勘違いしたところから、完先とか後付けという用語が生まれた。正反対の表現なのに同じ意味、という他力・自力と同じパターン。

 裸単騎ロン=他力本願というローカル表現をみたとき、心の中で(他力本願なら、門前ツモだろうが....)とツッコミたくなった。(^-^;

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