Mahjan talk 雀話

    (10)プロの雀力


 現在、麻雀のプロ団体は4つか5つあるという。1団体、平均5,60人が所属しているとすると、全部で250人前後のプロが存在することになる(よく知らないので、違っていたらあしからず)。それも囲碁/将棋に比べると平均年齢はかなり若いようだ。しかし囲碁も将棋もどんどん若い人が台頭している。麻雀がそうであっても不思議はない。

 また最近は女子プロもかなり誕生している。たしか今年の春だったか、姉妹プロ誕生という記事も専門誌で拝見した記憶がある。盤上ゲームである以上、腕力や脚力は必要ない。同じように鍛錬すれば、女性でも男性と対等にゲームできる。女子プロはこれからもどんどん増えてゆくと思うけれど、大いにご同慶の至り。σ(-_-)もいっぺん女子プロの方と対局したいと思っているが、なにせ田舎住まいなので、間違ってもその機会がない・・・。

 それはさておき、プロという以上、一部の天才肌のプレーヤーは除いて、多くの人はそのレベルに達するまでにかなりハードな鍛錬を積み重ねて来たに決まっている。しかしそんな鍛錬の上につかんだプロプレーヤーの座であるが、各団体によって認定基準がかなり異なっているようだ。

 おまけに団体によってペーパーテスト部分が公表されることはあっても、技量部分のデータが公表されたことを見たことがない(σ(-_-)が見た事がないだけかも知れないが・・・)。場合によってはペーパーテスト部分でさえも公表されない。プロである以上、ルールや諸事項に関する知識ははもちろん重要。しかしプレーヤーとしてのプロである以上、技量的部分がより重要なのはいうまでもない。

 もちろん囲碁でも将棋でも、プロとしての認可されたとき、それまでの成績が公表されるわけでもないようだ。しかし囲碁/将棋では、奨励会とか院生というシステムがあり、そこでの成績によってプロとして認定されている。プロ認可時に成績は公表されなくても、あとで知ろうと思えば可能である。しかし麻雀では各プロ団体の体制がマチマチ。マチマチなのは構わないが、技量的な部分の基準、設定が外部にいささか不明である。

 おまけに麻雀というゲームの性質上、世界有数のプレーヤーであっても、数ゲームのプラマイだけで言えば、(内容は別として)初心者相手にひけを取ることだってある。そんなかんやのせいか、一般にはプロの雀力についての理解がいまいち浸透していないような気がする。そこで「麻雀プロは、最低でもこれだけの雀力を備えている」なんてことを書いてみたくなった次第。

 現在、麻雀のアマチュア団体は、プロ団体よりはるかに多く存在する。多いだけでなく歴史もはるかに長い。もっとも長い歴史を誇る日本麻雀連盟に至っては、創立以来70年を数える。この日雀連に代表されるアマチュア団体の多くは成績による昇段システムというものを採用している(昇段システムは何種類もあるが、ここでいうのはいわゆるA方式=プラス率方式)。

 最高段位はどこでも九段である(タイトル位としての十段はある)。日雀連を例に取れば、無段のプレーヤーが最短スピードで最高位である九段になろうと思えば、一荘戦、連続1800ゲームのランダム対戦で、平均65%ぐらいのプラス率を挙げることが必要とされる(八段なら連続1300ゲームでプラス率65%ぐらい)。

 日雀連で行われている麻雀は、我々が通常プレーしているリーチ麻雀と異なり、今日、二十二(アルシーアール)と通称される麻雀である。二十二麻雀でも1800ゲームのプラス率であれば、その成績はリーチ麻雀をゲームした成績と等評価と考えても差し支えないと思う。しかし二十二麻雀とリーチ麻雀は異なると言えば、その通りには違いない。

 ではリーチ麻雀団体ではどうなっているかと言えば、σ(-_-)が比較的詳しい或るリーチ団体でも、ほぼそれと同様の評価基準を用いている(日雀連から分離して出来たリーチ団体なので、当然といえば当然か・・・)。八段とか九段といえば、どの世界でも最高峰の存在である。たとえアマチュア団体といえ、一荘戦連続1800ゲーム以上でプラス率65%前後というのは、もうすんごいとしか言いようがない。しかし最高峰ともなればそんな成績を要求されるのも当然か。

 最高峰は別としても、囲碁でも将棋でも「プロの初段は、ほぼアマの4,5段の実力」という話を聞いたことがある。そこから考えると、仮に或る麻雀プロ団体でもっとも下位と言われるようなプレーヤー(いうならプロ初段クラス)であっても、1000ゲームレベルでプラス率60%は超すような雀力を持っているということになる。逆に言えば、これ以下の雀力のプレーヤーを、プロ団体がプロとして認定するわけがない。

※「連続1000ゲーム以上でプラス率60%超」と言っても数字ではピンと来ないかも知れない。あえて言えばフリー雀荘における勝ち頭ぐらいの雀力か・・・

 囲碁や将棋においてプロが複数のアマチュアと同時に対局する多面打ちという余興がある。いうまでもなく、これはプロの思考力、判断力がアマチュアよりはるかに勝っているので可能なことである。もしこのプロがアマチュアと一緒になって「う〜ん、う〜ん」と長考を連発していたら多面打ちなど出来るわけがない。それでは多面打ちどころか福笑いである。

 麻雀だっておんなじで、打牌に迷って手牌のうえで手をモタモタさせるようなレベルのプロは存在しない。もしどこかでそんなシーンを見かけたとしても、それはテレビ局の都合かなんかで、麻雀によく似た福笑いに参加しているだけに決まっている。

 しかしたとえ冗談でも、できればそんなお笑いゲームには参加して欲しくない。知らない人がみたら、「あれが麻雀プロなのか....(℃゜」と誤解する。常に流れるようなスピードで行われる摸打こそプロの姿勢であり、われわれアマチュアのあこがれだから。。。。

 麻雀関連のサイトをブラブラしていると、清一色特訓のwebページが結構目につく。いや、ホント、この清一というかメンチンというのはまことにやっかい。或るデータによると、清一に限らず自分にとっての有効牌をツモるのは平均で3回に1回だそうな。

 ホントにこの平均で清一牌をツモるなら、考える余裕もあるから対応も楽である。しかしどんどこどんどこ清一牌が流れ込み、あっというまに14枚になってしまうと、σ(-_-)クラスでは何を切ったらどうなるか、もうオタオタでどうしようもない。それでも出来るだけ知らん顔してサッサと切るようにしているのだが、切ってからよく見ると最悪の選択をしている。。。。

 もちろんこんなヘボがプロに存在するわけがない。たしかにメンチンの手は、そうそうには来ん。そんな滅多に来ないメンチンでも、いざというときプロが選択に迷うことはない。清一見分けの鍛錬なんて、いうなら基本中の基本のこと。読者の中で、もし誰か知っているプロがいたら、ためしに「清一、何切るクイズ」をやって貰うとよく分かる。

 実戦と違っていきなりメンチンの手牌が示される。とうぜん一般の手のときのようにノータイムでハイッと言うわけには行かないだろう。しかし「う〜む、う〜む」なんてことも間違ってもない。寸秒のうちに打牌と待ち牌を示してくれるに決まってる。

 最新式の自動卓には、テンリーダーとかなんとか持ち点記憶装置がついている。こりはホントに便利な存在。しかしむかしはそんな便利な装置はなかった。おまけに当時は今みたいにオーラスに互いの持ち点を教え合うなんてシステムはなかった。仮に教えて貰うとしても、オーラスの1回だけで逆転を考えるより、数局前から考えた方がチャンスが大きい。そこで毎回、点棒の動きをいちいち頭の中で計算し、記憶していた。

 ところがなにせ算数に弱いというか記憶力が散漫というか....東場のうちはいいがオーラス近くになってくると点数が千点前後は狂ってくる。得点の移動が激しかったゲームではなおさらである。まくったと思ったのが届かなかったり、千点でいいのにむりやり2千点のアガリを取りに行って大失敗なんて事はしょっちゅうあった。。。。

 しかしさすがにプロはじぇんじぇん違う。事情があって引退してるが、σ(-_-)の知人の元プロのYさん。現役の時は、得点どころか東1局誰が何点の手を誰から何牌でアガり、東の2局は流局で誰と誰が聴牌、という調子で南の4局までのゲームを再現できた(それでも「どうでもいい手のアガリなどは、アガリ牌などの印象は残りにくい」と言ってたが・・・)。そこで毎回の点数の移動など全然記憶していなくても、原点である東の1局の状態から順に再現していって、オーラスの点数状態が算出できた。

 そんな雀力など到底持ち合わせないσ(-_-)としては、ただただ感心するしかない。しかし考えてみると、プロプレーヤーならこれくらいは当然のこと。囲碁や将棋のプロ棋士なんか、いま行われたゲームどころか、むかしのゲームでもほとんど再現できるという。すると現役麻雀プロならば、いま行われたゲームの一つや二つ、再現できて当たり前。

囲碁や将棋のプロ棋士がゲームを再現出来るのは、駒や石の動きに意味がある事が大きいと聞いた。うん、なるほろ、麻雀は各自の打牌がランダムなのと、4人のプレーヤーの動きがからむ。そこで囲碁/将棋と同様に、ゲームの全体像は再現できても、第1打牌から最終打牌まで記憶するなんていうのはちと難しいかも知れない。

 思わず話しが長くなったが、男女を問わず麻雀プロは、最低でもこんなにすごい雀力があると云うことを言いたかっただけなのだ。

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