日本でメジャーにプレーされている一般のリーチ麻雀(以下、日麻と)には縛りルールがある(最低 一翻の役が無いと和了できない、という制約)。その最低のアガリ条件である一翻(場ゾロ込みで三翻。以下同)で和了すれば、親で1,500点の得点となる(30符アガリの場合。以下同)。そこで親がその一翻手を4連続で和了すれば、合計は6,000点となる。一翻は一翻なので、ロンアガリでもツモアガリでも1回の得点に変わりはない(符計算から生じるロンアガリ ツモアガリにおける誤差は除く)。
しかし一般日麻は倍々計算。そこで4連続の一翻ではなく 一度に四翻というアガリであれば、4連続の一翻アガリの倍額 12,000点となる。ここに麻雀ゲームの魅力の一つ、役の複合の妙味がある。そこで ただのピンフでも、できればタンヤオ、できればイーペーコー 、さらにはサンシキなどを絡めようと努力が発生する。1枚変わればサンシキだ、一通だということになれば、もう必死。そんな苦労をしてせっかく張ったのに安めをツモアガったりすれば、
フリテンに構えてでも がんばる。σ(-_-)
さらに日麻では門前アガリ、特にリーチを掛けてのアガリ インパクトが大きい。リーチアガリの特典である一発やウラドラがプラスされることはもちろんであるが、それが空振りに終わっても、リーチの一翻は確保される。そこへツモの一翻が加算されれば、タンヤオ
ドラ1の手でも四翻満貫が見込まれる。そこで日麻では、役の複合もさることながら 門前での手作りが基本となる。
五味康祐という高名な剣豪作家がいた。麻雀が大好きで、麻雀一刀斉という麻雀小説や「五味麻雀教室」(昭41年、光文社刊)という戦術書も書いているくらい。その五味氏が あるときも知人と卓を囲んだ。ところが最初のゲームの東の1局、起家の五味氏の第一打牌を南家が両門でチー。それを見た五味氏、「こんなの麻雀じゃねぇ」と云って席を立ってしまった。このエピソード、ウソかホントか知らないけれど、それほど日麻は門前アガリへの指向が強い。
とはいえ エンドレスで倍々計算を続けると,五翻で24,000点〜八翻で192,000点となってしまう。これでは点棒がいくらあっても不足する。そこで一般リーチ麻雀では、四翻以上は“両翻刻みの5割り増し”というブレーキを掛けている。それでも一翻手を連続で和了した場合と、その連続一翻数を一度に和了した場合の得点は、変則的ながらも大きな差が出る。単純に云って四翻アガリ(場ゾロ入りでは六翻)の12,000点は、一翻を4連続和了した合計点6,000点の倍額となる(八翻でも同様)。すなわち一般リーチ麻雀においては小さな翻数の和了を続けるより、その翻数分の役を重ねて一度に和了した方が得点が大きくなる。すなわち日麻では、役は重ねれば重ねるほど得点インパクトは大きくなる。そんな状況を一覧表にすると
こんな感じ()。
一般リーチ麻雀
|
・ |
* |
一翻アガリ
連続回数 |
得点 |
得点計 |
・ |
和了翻数
(場ゾロ抜き
の翻数) |
得点 |
両者の
得点差 |
1 |
1,500 |
− |
一翻 |
1,500 |
ナシ |
2 |
1,500 |
3,000 |
二翻 |
3,000 |
ナシ |
3 |
1,500 |
4,500 |
三翻 |
6,000 |
+1,500 |
4 |
1,500 |
6,000 |
四翻(満貫) |
12,000 |
+6,000 |
5 |
1,500 |
7,500 |
五翻 |
(同上) |
+4,500 |
6 |
1,500 |
9,000 |
六翻(跳満) |
18,000 |
+9,000 |
7 |
1,500 |
10,500 |
七翻 |
(同上) |
+7,500 |
8 |
1,500 |
12,000 |
八翻(倍満) |
24,000 |
+12,000 |
※番外要素(積み棒の点数とか5本場から両縛とか、あるいは八連荘など)は除外。
最近、公式中麻をプレーする人も増えてきた。公式中麻に親子の別はない。そこで誰が和了しても得点は同じ。それはじつに結構な話であるが、得点は一般リーチ麻雀と違ってアガリポイントの加算方式。ただし公式中麻も一般リーチ麻雀と同じような縛りがある(最低、8点の役が無いと和了できないという制約)。そこで最低の和了点は8点となる。その和了点に、1人8点 計24点の底点(ボーナス点)が加算される。そこでAプレーヤーがBプレーヤーから8点の手をロンアガリすれば、計32点の得点となる(8(B支払い和了点)+24(BCD支払い底点)=32点)。その8点の連続アガリ合計点と、その回数分を1回で和了した得点を一覧表にすると こんな感じ。
公式中麻 |
・ |
* |
8点を連続ロンアガリした場合 |
・ |
8点の倍数手を
ロンアガリした場合 |
連続回数 |
和了点 |
底点 |
得点 |
得点
合計 |
和了点 |
底点 |
得点 |
両者の
得点差 |
1回 |
8 |
24 |
32 |
32 |
8 |
24 |
32 |
ナシ |
2回 |
8 |
24 |
32 |
64 |
16 |
24 |
40 |
-24 |
3回 |
8 |
24 |
32 |
96 |
24 |
24 |
48 |
-48 |
4回 |
8 |
24 |
32 |
128 |
32 |
24 |
56 |
-72 |
5回 |
8 |
24 |
32 |
160 |
40 |
24 |
64 |
-96 |
6回 |
8 |
24 |
32 |
192 |
48 |
24 |
72 |
-120 |
7回 |
8 |
24 |
32 |
224 |
56 |
24 |
80 |
-144 |
8回 |
8 |
24 |
32 |
256 |
64 |
24 |
88 |
-168 |
表の通り、最低点の8点を4連続ロンアガリした場合の得点合計は128点。8点の4倍、32点の手をロンアガリした場合は56得点なので72点の損(?)。8連続に至っては、なんと168点の損(笑) 。 すなわち中麻では、役をいくら重ねても 得点インパクトは大したことはない。そこで公式中麻では、一度に たくさんの役を重ねる努力をするより
最低の8点の手でも繰り返し和了した方がはるかに効率が良いことになる。そんな状況を一覧表にすると こんな感じ()。
公式中麻は一般日麻と異なり、同じアガリ手でも ツモアガリすると和了点を他プレーヤー3人から取得する。そこで同じアガリ手でも、ロンアガリした場合とツモアガリした場合とでは、アガリ点が大きく異なってくる。たとえば最低の8点アガリでも、ロンアガリした場合は32点であるが、ツモアガリした場合は48点となる(24(BCD支払い和了点)+23(BCD支払い底点)=48点)。これは8点の手を3つ重ねた24点の手をロンアガリした得点とまったく同じ。しかし計算のベースが同じなので、連続アガリと倍数手を一度に和了したときの得点差はロンアガリの場合とまったく同じとなる。
公式中麻 |
・ |
* |
8点手を連続ツモアガリした場合 |
・ |
8点の倍数手を
ツモアガリした場合 |
連続回数 |
和了点 |
底点 |
得点 |
得点
合計 |
和了点 |
底点 |
得点 |
両者の
得点差 |
1 |
24 |
24 |
48 |
48 |
24 |
24 |
48 |
ナシ |
2 |
24 |
24 |
48 |
96 |
48 |
24 |
72 |
-24 |
3 |
24 |
24 |
48 |
144 |
72 |
24 |
96 |
-48 |
4 |
24 |
24 |
48 |
192 |
96 |
24 |
120 |
-72 |
5 |
24 |
24 |
48 |
240 |
120 |
24 |
144 |
-96 |
6 |
24 |
24 |
48 |
288 |
144 |
24 |
168 |
-120 |
7 |
24 |
24 |
48 |
336 |
168 |
24 |
192 |
-144 |
8 |
24 |
24 |
48 |
384 |
192 |
24 |
216 |
-168 |
さらに中麻は日麻と異なり、門前アガリのインパクトが非常に小さい(門前ロンは加点ナシ)。もちろん門ツモアガリなら加4点(不求人(プーチューレン))となるが、ツモアガリは保証されたものではない。そこで中麻では門前よりアガリというので、早い段階からチーポンがなされることが多い。それが最低の8点アガリでも、ツモアガリなら8点オーライで3倍増(24点)。一翻あったら米のメシどころか、ツモ上がったら満漢全席 (笑) 。
では我が純麻雀ではどうか。ぐだぐだ云う」より、先に表(笑)※純麻雀では縛りが無い。そこで得点は0翻アガリから始まる。しかし一般日麻や公式中麻とのアガリ点比較の関係で、一翻アガリから表示。
純麻雀
|
・ |
* |
一翻アガリ
連続回数 |
得点 |
得点計 |
・ |
和了翻数 |
得点 |
両者の
得点差 |
1 |
1,500 |
− |
一翻 |
1,500 |
ナシ |
2 |
1,500 |
3,000 |
二翻 |
3,000 |
ナシ |
3 |
1,500 |
4,500 |
三翻 |
6,000 |
+1,500 |
4 |
1,500 |
6,000 |
四翻 |
9,000 |
+3,000 |
5 |
1,500 |
7,500 |
五翻 |
12,000 |
+4,500 |
6 |
1,500 |
9,000 |
六翻 |
15.000 |
+6,000 |
7 |
1,500 |
10,500 |
七翻 |
18,000 |
+7,500 |
8 |
1,500 |
12,000 |
八翻 |
21,000 |
+9,000 |
※積み棒とか両縛、八連荘など、番外要素は最初から無い。
純麻雀に場ゾロは無い。また一翻は一翻なので、ロンアガリでもツモアガリでも翻数が同じなら得点に変わりはない(符計算が無いので、ロンアガリ ツモアガリにおける誤差もない)。そして一般日麻のように得点は倍々計算ではなく、常に アガリ翻数-1*3=得点(アガリ翻数から1を減じるのは、0翻アガリがあるため)という計算。当然 1一翻手の連続アガリより、その翻数を1回で和了した方が はるかにメリットがでる。
さらに「四翻以上は両翻刻み」というブレーキもない。そこで四翻アガリより五翻アガリ、六翻アガリより六翻アガリというように、必ず得点は大きくなる。またその増加点は倍増、あるいは5割増ではなく、定数的に増加する。たとえば四翻で和了した場合、得点は9000点だが 五翻では12000点で3,000点の増加。アガリが六翻であれば、四翻のときより6,000点増加する。おお、なんと素晴らしい得点ッステム!(世の中ではこれを我田引水、自画自賛という(笑))
そして純麻雀には一翻縛りという制約が無い and いかにトップを取るかという麻雀。そこで公式中麻とは違った意味で(トップ目が早アガリを目指すため)、ラス場に近くなると上家の第1打牌からの両門チーはもとより、オタ風ポンなどが結構発生する。五味氏が純麻雀をプレーしたら、「こんなの麻雀じゃねぇ」と云って席を立つかも。(^-^;
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