ゴルフというスポーツにはハンデキャップというシステムがある。要は上手と下手(へた)が一緒にゲームを楽しむためのシステムである。囲碁・将棋ではハンデキャップという表現はしないが、2子とか3子、あるいは角落ちだとか香落ちだというように、ハンデキャップを導入した遊び方がある。
このようなハンディキャップの導入は、たった1ゲームで実力差がハッキリでるゲームで可能なことで、麻雀ではちと難しい。しかしむかし、それを麻雀に導入した人がいた。
昭和50年代、月刊宝石という雑誌があった(って、いまでもあるかも....)。その宝石誌に照井保臣(てるいやすおみ)という人が、10年以上、麻雀コラム(戦術論)を書いていた。
※照井氏は、のちに麻雀新撰組にも入会した人。
昭和58年、そのコラムが連載100回(9年かかったという)を迎えたとき、編集部から、「百回記念に、なにか面白い企画はありませんか」と聞かれたという。そこであれこれ考えた末、照井氏が思いついたのが、この麻雀ハンデキャップ制度。
どのようなものかというと、まず4人が何回か普通にゲームする。このゲーム数は実力が出ていると認識されるゲーム数というだけで、特に指定はない。しかしまぁ、実力が出ていると認識されるゲーム数といえば、常識的には100ゲームは必要だろう。
そしてその成績(得失点)を全部、記録しておく。それによって平均得点を算出する。その平均得点を次の表に当てはめてハンデキャップを算出する。
平均得点 |
HC |
平均得点 |
HC |
+18000以上 |
0 |
-1000以上 |
19 |
+17000以上 |
1 |
-2000以上 |
20 |
+16000以上 |
2 |
-3000以上 |
21 |
+15000以上 |
3 |
-4000以上 |
22 |
+14000以上 |
4 |
-5000以上 |
23 |
+13000以上 |
5 |
-6000以上 |
24 |
+12000以上 |
6 |
-7000以上 |
25 |
+11000以上 |
7 |
-8000以上 |
26 |
+10000以上 |
8 |
-9000以上 |
27 |
+9000以上 |
9 |
-10000以上 |
28 |
+8000以上 |
10 |
-11000以上 |
29 |
+7000以上 |
11 |
-12000以上 |
30 |
+6000以上 |
12 |
-13000以上 |
31 |
+5000以上 |
13 |
-14000以上 |
32 |
+4000以上 |
14 |
-15000以上 |
33 |
+3000以上 |
15 |
-16000以上 |
34 |
+2000以上 |
16 |
-17000以上 |
35 |
+1000以上 |
17 |
-18000 |
36 |
0以上 |
18 |
*** |
* |
この表にしたがって互いにハンデキャップを算出すればいいが、それはあくまでプライベートハンデ。そこでもし公式ハンデを取得したい人は、下記宛に官製ハガキで「資料請求」と書いて申し込む。すると後日、申請書類とともに手数料振込用紙が送られてくる。(^-^;
〒150-****
東京都渋谷区○○2-*-*
日本ハンデキャップ認定協会
そして無事ハンデキャップを取得したならば、次からのゲームは次のようにして行う。
まずABCD4人が普通通り卓につく。点棒も通常どおり配分する(2万5千持ちでも3万持ちでも良いが、とりあえず3万持ちとする)。このときAがハンデ10、Bがハンデ17、Cがハンデ22、Dがハンデ30だとする。
そこで一番ハンデの高いAが、BCDにそれぞれハンデ差分の点棒を渡す。つまりAはBに700点、Cに1200点、Dに2000点渡す。BはCに400点、Dに1300点渡す。CはDに800点渡す。するとゲームスタート時の各自の持ち点は次のようになる。
A |
B |
C |
D |
26,100 |
29,000 |
30,800 |
34,100 |
これでゲームするわけであるが、なかなかよく考えてあるし、面白いと思った。しかしこの話を初めて耳にしたとき、まず思ったことは、「まったく普及しないだろうな」ということ。
麻雀なんて初心者とベテランが対等にゲームして、初心者が勝つことはいくらでもある。1ゲームや2ゲームで実力差がハッキリ出るゲームではない。そんなものにハンデなんて、無意味に思えたからである。
それにじっさいジャンブルをするとき、「俺は○○というハンデを認定されている。Aは俺よりかなり強いから2千点くれ。Bは俺よりちょっとだけ強いから5百点くれ。Cは初心者だから千点くらいやっとくよ」なんてこともあるわけない。(笑)
また低いハンデなど、誰も貰いたくもない。すると高いハンデをもらった人が、「俺は○○というハンデを認定されてるよ」と誰かに自慢(?)するだけのモノで、実用性は無いといっていい。そのようなものを手数料を払ってまで、ほしがる人がいるとは思えなかった。そこでまったく普及しないだろなと思ったのであるが、実際そのとおりだった....
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