完全先付けルール(完先ルール)は、名前とは裏腹に巷(ちまた)では多くのトラブルが発生しているようだ。
とボヤいていても事は解決しない。そこでトラブルの起きない完全な完先ルールを考えてみた。しかし完全完先ルールでは、どうも字面(じずら)も語呂も良くない。そこでこれをパーフェクト完先ルール、略してPKルールと呼ぶことにする。決してペナルティキックルールではないので、間違えないように。(笑)
まずPKルールでは、小符は一切ない。得点は次の表にしたがう。
※翻数には場ゾロを含む。
子 |
|
翻数 |
|
親 |
ロン |
ツモ |
※ |
ツモ |
ロン |
1000 |
300/500 |
三翻 |
500all |
1500 |
2000 |
500/1000 |
四翻 |
1000all |
3000 |
4000 |
1000/2000 |
五翻 |
2000all |
6000 |
8000 |
2000/4000 |
六/七翻 |
4000all |
12000 |
12000 |
3000/6000 |
八/九翻 |
6000all |
18000 |
16000 |
4000/8000 |
10-12翻 |
8000all |
24000 |
24000 |
6000/12000 |
13-14翻 |
12000all |
36000 |
32000 |
8000/16000 |
15翻-役満 |
16000all |
48000 |
※槓の有無は関係無い。
(1)字牌の一翻のみでアガる場合は最初に副露(槓)する(あるいは翻牌を暗刻にしている)こと。
完先ルールの基本中の基本。(^-^)
そこでなどを吃(チー)したあと、暗刻にしていたなどを明槓し、結局のみでアガリという形になったという場合。
例
これはたとえが配牌から暗刻であったとしても、見た目が中付けという形になるのでアガリ不可。もちろんが暗槓なら、手のうち牌であることがハッキリしているのでOKである。また次の形などもアガリ不可。
とまぁ字牌の一翻だけのことなら、それほど大きな問題とならない。しかし小三元とか大三元がからむと非常にややこしい。そもそも完先ルールのトラブルは、この字牌形のアガリにからむものが大半といっていい。
※翻牌()、および役(小三元)の中付け形となるのでアガリ不可。
※大三元の中付け形となるのでアガリ不可。。
しかし次の形ならアガリ可。(全体で混一が確定)。
全体で全帯(チャンタ)が確定なのでアガリ可。
問題は最初にをチーした次のような形。
先鳴きで、が後鳴き。混一でもない。おまけに小三元になるか大三元になるか確定していない。そこで一見、このケースは不可のようであるが、単純に言ってが暗刻。したがってでアガれば(一翻)+(一翻)+小三元(二翻)の四翻、でアガれば大三元でアガリ可。
また次のような高め()四暗刻、安め()三暗刻の形。
これは三暗刻確定なので、 でもでもアガリ可。もちろんでアガったとき、三暗刻は四暗刻に吸収されてしまう。
で、形は大三元に戻って次のようなケース。
(オタ風)
これは全体で混一と対々の二つの役が確定しているのでアガリ可。が出れば小三元、白、中の場ゾロでテン翻のアガリ。が出たときは、混一や対々、小三元は大三元に吸収され、役満貫のアガリ。
そして次のような形は、すでに全体で小四喜が確定しているのでアガリ可。もちろんでも大四喜としてアガリ可。
問題は、次のような形。たしかに安めでも小三元は約束されている。しかし三元牌が1種類も暗刻になっていないので、小三元は中付け形となる。もちろん大三元にしても同様なので、アガリ不可。
もちろん次のような形は最初にを明槓しているので、でもでも問題なくアガリ可。
また次のような形はの一翻が手の内で確定しているのでアガリ可。
次のような形は大三元や小三元とは縁(えん)も縁(ゆか)りもないが、の一翻が確定しているので、大きな顔をしてアガリ可。
最後に緑一色に関連した形。PKルールでは、の有無を問わない。つまり清一色型でも混一色型でも構わない。そりはいいけど、高め安めのある形の場合。
(a)
(b)
いずれも全体で混一色、あるいは清一色が確定しているので、どの待ち牌であってもアガリ可。高めが出たら緑一色となるだけである。
(2)最初に数牌をチーポンした場合、(翻牌などが暗刻であったり、手の内で手役が完成していない限り)そのチーポン面子に関係あるアガリでなければならない。
文章にすると、ややこしい。しかしこれも完先の定番ルール。たとえば次のような場合。
この伏せ牌の中に翻牌が暗刻であればいい。そうでなければ789のサンシキ、チャンタ、索子の一通、索子の混一色などが出来ていなければいけませんよ、ということである。
もちろん、たとえばアガリ牌で789のサンシキが完成するという場合、待ちは辺張、嵌張でなければならないのは云うまでもない。そこで上記の例題の場合、789のサンシキでアガるとすれば、手の内でサンシキができあがっているか、789メンツの辺張、嵌張待ちでなければならない。
例
または
それはいいとして、問題になるのがアガリ役に関係のないメンツを先鳴きしたケース。
これはサンシキの中付けであるが、一般の完先ルールでは、このケース、つまり字牌系以外の手役の場合は、中付けでもアガリ可としていることが多いようだ。
しかしPKルールでは、最初に数牌をチーポンした場合、そのチーポン面子に関係あるアガリでなければならない。そこでPKルールでは、上記のケースはアガリ不可。
もちろん下記のように、先鳴きのメンツがオタ風だった場合もアガリ不可。
次のようなケース。
ならば全帯(チャンタ)、なら対々、三同刻。これは安めでアガった場合と高めでアガった場合に共通役がない。したがってアガリ不可。
もちろんこれが次のような形なら、三同刻が確定しているのでアガリ可。
(3)ロンアガリできないものはツモアガリもできない。
一般の完先ルールは、役無しでも門前清であればツモのみでアガリOKである。しかしPKルールでは、ツモアガリのみは不可。
そこでちと問題になるのが、天和と地和。つまりそのときの形が役無し型であったらどうなるか。「役満だから特別扱い」という考えもあるが、ここで目指すのはパーフェクト。(笑)
そのときの手牌がロンアガリもできる形ならいいけれど、役無し型であればアガリ不可。
#最後のツモが何であったか対局者に分からない以上、並べ直したらロンアガリできる形になっているとしてもアガリ不可。
また振り聴はロンアガリできない。である以上、ツモアガリもできない。そこでたとえ大三元が手の内に出来ていても、振り聴ならツモアガリできない。もちろんロンアガリもツモアガリも出来ないような手は、流れたときノー聴扱いとなる。
(4)複数のアガリ牌があるとき、どの牌によるアガリであっても共通する役があること。
次のような形は、あるいはという三元牌の一翻が確定している。しかしあるいは、どちらの三元牌の一翻でアガリになるか不確定。すなわちすべてに共通する役があるという状態ではない。したがってたとえ門前聴牌であってもPKルールではロンアガリもツモアガリも不可。
次の形。
でピンフ、でタンヤオと、いずれでも一翻が確定している。しかし共通役がない。したがってロンアガリもツモアガリも不可。
では次のような形はどうか。
の変則三門張。これは「イーペーコーの一翻は確定しているが、それが678という形なのか789という形なのか確定していない。ましてやでアガったら、678か789か永久にワケワカメ。(笑)
で言える事は、完先ルールのポイントは字牌の規制にある。そこで678か789という事よりも、“イーペーコーが共通役として確定している”ということを主体とする。そこでPKルールではアガリ可。
とうぜん次のような形も、どの牌でアガっても“イーペーコーが共通役として確定している”のでPKルールではアガリ可である。
しかし次のような形。
これはアガリ牌がしかないので、実質はイーペーコーが確定している。しかし形としては の延べ単。「○○を4枚使いしているから、高めしか存在しない」というのは本人の事情。言うなら「 の待ちだけど、は下家が暗槓しているから、タンヤオになるしか残っていない」というのと同じ。そこでこのケース、PKルールではアガリ不可。
また次のような形。
これはでアガればイーペーコー、でアガればサンシキであるが共通役が無い。したがってアガリ不可。
もちろん雀頭が数牌やオタ風であれば、共通役として平和(ピンフ)が確定するのでアガリ可となる。
また次の形。
これはでは断幺(タンヤオ)にならない。そこで一般の完先ルールではアガリ不可とされることが多いようだ。しかしPKルールでは、、どちらでアガっても三暗刻が確定しているのでアガリ可。もちろんなら三暗刻は四暗刻に吸収され、問題なくアガリ可である。
次の形。
がでたら、平和、イーペーコ
がでたら、断公九、平和、イーペーコ
がでたら、断公九、三暗刻
がでたら、断公九、三暗刻
すべてのアガリ牌に共通役が無いので、アガリ不可。
(5)打牌優先
これは、自分が打牌をした時点で次巡に入るという完先特有のルール。
たとえば上記の手。三暗刻や断幺(タンヤオ)が確定しているので、でロンアガリできる。しかしできればでアガリたい。そこへ上家がを切ったとき、アガリを見逃すのは本人の勝っ手。
しかしすぐ次のツモがであったとき、ノーマルな麻雀なら自摸優先であるからアガリOKとなる。しかしPKルールでは同巡内の選択アガリになり、ツモアガリ不可。アガりたかったら、次巡以降(自分が何かを打牌した後)しかダメだよん、という事である。
(6)ピンフは完全一翻
この手はピンフが確定している。であるならで問題なくロンアガリできる筈。しかし関西ルールではツモるとピンフが消えてしまう。関東ルールでは消えてしまうことはないが、半人前扱いだ。
消えてしまったり半人前扱いになっている役など、PKルールでは容認できない。(笑) となればピンフは役として認めないか、逆に1人前扱いするしかない。
そして“ピンフを役として認めない”なんて云えば、奇人変人どころか凡人軍人扱いされる。そこでピンフは立派な一翻として認める。そこで例題の手をツモアガリすればピンフツモとなり、関東でも関西でも親で千点オールとなる。(笑)
(7)七対子は完全二翻
七対子もピンフと同様。一般麻雀のように“六翻以内は一翻計算(場ゾロ含む)で、七翻からは二翻計算”なんてセコイことはしない。(^-^;
最初っから完全二翻だ。
(8)食いタン無し
完先とくれば、これがもれなく付いてくる。PKルールも、もちろんである。しかし対々和の場合、それがタンヤオ形であれば一般の完先ルールでは断幺(タンヤオ)の一翻を認めることがあるようだ。しかしPKルールはパーフェクトを指ざす。(^-^)
そこで対々和だろうが清一色だろうが、副露アガリしたものはいっさい断幺(タンヤオ)の一翻を認めない。そこでPKルールでは、対々和で断幺(タンヤオ)の一翻が加算されるのはツモリ四暗刻形をロンアガリしたときのみとなる。
(9)立直後の暗槓
下記の手で立直。ロンアガリなら6400点(子)である。
しかしこの後、と引いてきて暗槓すると、三槓子がプラスされて満貫確定となる。いや、へたするとドラが増えて倍満だってある。“立直してから、役やドラを増やすなんてふてぇ野郎だ”(笑) というわけでPKルールでは立直後の暗槓はいっさい不可。
とまぁこれがPKルール。いろんな方からチェックを頂いたので、少なくとも完先ルール部分に関しては、トラブルは解消されているんではないかと思ふ。
といっても、もとより思いつき....(-_-; 、見落としている問題点があるかも知れない。気付いた点があったら教えてちゃぶだい。
※文章の中で「暗刻で確定してる」という感じで「確定」という表現を使っているところがある。実はルール的には正しくない表現。しかしまぁ、分かりやすさ優先ということで....