Laboratory 研究室 

     (27)PKルール


 完全先付けルール(完先ルール)は、名前とは裏腹に巷(ちまた)では多くのトラブルが発生しているようだ。

 とボヤいていても事は解決しない。そこでトラブルの起きない完全な完先ルールを考えてみた。しかし完全完先ルールでは、どうも字面(じずら)も語呂も良くない。そこでこれをパーフェクト完先ルール、略してPKルールと呼ぶことにする。決してペナルティキックルールではないので、間違えないように。(笑)

 まずPKルールでは、小符は一切ない。得点は次の表にしたがう。
 ※翻数には場ゾロを含む。
翻数
ロン ツモ ツモ ロン
1000 300/500 三翻 500all 1500
2000 500/1000 四翻 1000all 3000
4000 1000/2000 五翻 2000all 6000
8000 2000/4000 六/七翻 4000all 12000
12000 3000/6000 八/九翻 6000all 18000
16000 4000/8000 10-12翻 8000all 24000
24000 6000/12000 13-14翻 12000all 36000
32000 8000/16000 15翻-役満 16000all 48000
※槓の有無は関係無い。

(1)字牌の一翻のみでアガる場合は最初に副露(ポン槓)する(あるいは翻牌を暗刻にしている)こと。
 完先ルールの基本中の基本。(^-^)
 そこで九索などを吃(チー)したあと、暗刻にしていた中などを明槓し、結局中のみでアガリという形になったという場合。

例 三萬四萬五萬六萬七萬八萬九萬  中中中中  九索九索九索
 これはたとえ中が配牌から暗刻であったとしても、見た目が中付けという形になるのでアガリ不可。もちろん中が暗槓なら、手のうち牌であることがハッキリしているのでOKである。また次の形などもアガリ不可

 とまぁ字牌の一翻だけのことなら、それほど大きな問題とならない。しかし小三元とか大三元がからむと非常にややこしい。そもそも完先ルールのトラブルは、この字牌形のアガリにからむものが大半といっていい。

 ※翻牌(中)、および役(小三元)の中付け形となるのでアガリ不可
 三萬四萬五萬白白發發 中中中中 九索九索九索

 ※大三元の中付け形となるのでアガリ不可。。
 六筒  白白白 發發發 中中中中 九索七索八索

 しかし次の形ならアガリ可。(全体で混一が確定)。
 四索 白白白 發發發 中中中中 九索七索八索

 全体で全帯(チャンタ)が確定なのでアガリ可
 一萬 白白白 發發發 中中中中 九索七索八索

 問題は最初に九索をチーした次のような形。
 白白白發發六筒六筒 中中中中 九索七索八索

 九索先鳴きで、中が後鳴き。混一でもない。おまけに小三元になるか大三元になるか確定していない。そこで一見、このケースは不可のようであるが、単純に言って白が暗刻。したがって六筒でアガれば白(一翻)+中(一翻)+小三元(二翻)の四翻、發でアガれば大三元でアガリ可

 また次のような高め(七筒)四暗刻、安め(五筒八筒)三暗刻の形。
  七索七索七索八索八索八索一萬一萬一萬六筒六筒六筒七筒

 これは三暗刻確定なので、五筒 八筒でも七筒でもアガリ可。もちろん七筒でアガったとき、三暗刻は四暗刻に吸収されてしまう。

 で、形は大三元に戻って次のようなケース。
 發發六筒六筒  白白白 中中中中  西西西(オタ風)

 これは全体で混一と対々の二つの役が確定しているのでアガリ可六筒が出れば小三元、白、中の場ゾロでテン翻のアガリ。發が出たときは、混一や対々、小三元は大三元に吸収され、役満貫のアガリ。

 そして次のような形は、すでに全体で小四喜が確定しているのでアガリ可。もちろん東でも大四喜としてアガリ可
  東東六筒六筒南南南西西西  北北北

 問題は、次のような形。たしかに安めでも小三元は約束されている。しかし三元牌が1種類も暗刻になっていないので、小三元は中付け形となる。もちろん大三元にしても同様なので、アガリ不可
  發發六筒六筒   白白白 中中中中 九索七索八索

 もちろん次のような形は最初に中を明槓しているので、發でも六筒でも問題なくアガリ可
 發發六筒六筒 白白白 九索七索八索  中中中中

 また次のような形は白の一翻が手の内で確定しているのでアガリ可
 白白白發發六筒七筒 中中中中 九索七索八索

 次のような形は大三元や小三元とは縁(えん)も縁(ゆか)りもないが、白の一翻が確定しているので、大きな顔をしてアガリ可
 白白白北北六筒六筒 中中中中 九索七索八索

 最後に緑一色に関連した形。PKルールでは、發の有無を問わない。つまり清一色型でも混一色型でも構わない。そりはいいけど、高め安めのある形の場合。
(a) 發發六索六索六索三索四索  八索八索八索  二索三索四索

(b) 六索六索六索三索四索四索四索  八索八索八索  二索三索四索

 いずれも全体で混一色、あるいは清一色が確定しているので、どの待ち牌であってもアガリ可。高めが出たら緑一色となるだけである。

(2)最初に数牌をチーポンした場合、(翻牌などが暗刻であったり、手の内で手役が完成していない限り)そのチーポン面子に関係あるアガリでなければならない。
 文章にすると、ややこしい。しかしこれも完先の定番ルール。たとえば次のような場合。
 裏向き裏向き裏向き裏向き裏向き裏向き裏向き裏向き裏向き裏向き  九索七索八索

 この伏せ牌の中に翻牌が暗刻であればいい。そうでなければ789のサンシキ、チャンタ、索子の一通、索子の混一色などが出来ていなければいけませんよ、ということである。

 もちろん、たとえばアガリ牌で789のサンシキが完成するという場合、待ちは辺張、嵌張でなければならないのは云うまでもない。そこで上記の例題の場合、789のサンシキでアガるとすれば、手の内でサンシキができあがっているか、789メンツの辺張、嵌張待ちでなければならない。

 例 六萬六萬三筒四筒七萬八萬九萬七筒八筒九筒   九索七索八索
または
    六萬六萬二筒三筒四筒八萬九萬七筒八筒九筒   九索七索八索

 それはいいとして、問題になるのがアガリ役に関係のないメンツを先鳴きしたケース。
 六萬六萬八萬九萬七筒八筒九筒   九索七索八索   二筒三筒四筒

 これはサンシキの中付けであるが、一般の完先ルールでは、このケース、つまり字牌系以外の手役の場合は、中付けでもアガリ可としていることが多いようだ。

 しかしPKルールでは、最初に数牌をチーポンした場合、そのチーポン面子に関係あるアガリでなければならない。そこでPKルールでは、上記のケースはアガリ不可

 もちろん下記のように、先鳴きのメンツがオタ風だった場合もアガリ不可
 六萬六萬八萬九萬七筒八筒九筒  九索七索八索  西西西

 次のようなケース。
 一萬一萬一萬八筒九筒九筒九筒九萬九萬九萬  九索九索九索

 七筒ならば全帯(チャンタ)、八筒なら対々、三同刻。これは安めでアガった場合と高めでアガった場合に共通役がない。したがってアガリ不可

もちろんこれが次のような形なら、三同刻が確定しているのでアガリ可
 三萬一萬一萬一萬九筒九筒九筒九萬九萬九萬  九索九索九索

(3)ロンアガリできないものはツモアガリもできない。
 一般の完先ルールは、役無しでも門前清であればツモのみでアガリOKである。しかしPKルールでは、ツモアガリのみは不可

 そこでちと問題になるのが、天和と地和。つまりそのときの形が役無し型であったらどうなるか。「役満だから特別扱い」という考えもあるが、ここで目指すのはパーフェクト。(笑) そのときの手牌がロンアガリもできる形ならいいけれど、役無し型であればアガリ不可
#最後のツモが何であったか対局者に分からない以上、並べ直したらロンアガリできる形になっているとしてもアガリ不可

 また振り聴はロンアガリできない。である以上、ツモアガリもできない。そこでたとえ大三元が手の内に出来ていても、振り聴ならツモアガリできない。もちろんロンアガリもツモアガリも出来ないような手は、流れたときノー聴扱いとなる。

4)複数のアガリ牌があるとき、どの牌によるアガリであっても共通する役があること。
 次のような形は、白あるいは發という三元牌の一翻が確定している。しかし白あるいは發、どちらの三元牌の一翻でアガリになるか不確定。すなわちすべてに共通する役があるという状態ではない。したがってたとえ門前聴牌であってもPKルールではロンアガリもツモアガリも不可
 白白發發六筒七筒八筒七索八索九索六萬六萬六萬

 次の形。
   二萬三萬三萬四萬四萬五萬七萬七萬七萬八萬六筒七筒八筒
六萬九萬でピンフ、八萬でタンヤオと、いずれでも一翻が確定している。しかし共通役がない。したがってロンアガリもツモアガリも不可

 では次のような形はどうか。
 六萬六萬七萬七萬八萬八萬九萬九萬白白六筒七筒八筒

 六萬九萬白の変則三門張。これは「イーペーコーの一翻は確定しているが、それが678という形なのか789という形なのか確定していない。ましてや白でアガったら、678か789か永久にワケワカメ。(笑)

 で言える事は、完先ルールのポイントは字牌の規制にある。そこで678か789という事よりも、“イーペーコーが共通役として確定している”ということを主体とする。そこでPKルールではアガリ可

 とうぜん次のような形も、どの牌でアガっても“イーペーコーが共通役として確定している”のでPKルールではアガリ可である。
 二萬二萬三萬三萬四萬四萬五萬五萬九索九索九索六筒六筒

 二萬二萬三萬三萬四萬四萬五萬五萬六萬六萬九索九索九索

 しかし次のような形。
 六萬七萬八萬九萬九萬九萬九萬七筒八筒九筒   九索七索八索
 これはアガリ牌が六萬しかないので、実質はイーペーコーが確定している。しかし形としては六萬 九萬の延べ単。「○○を4枚使いしているから、高めしか存在しない」というのは本人の事情。言うなら「六筒 九筒の待ちだけど、九筒は下家が暗槓しているから、タンヤオになる六筒しか残っていない」というのと同じ。そこでこのケース、PKルールではアガリ不可

 また次のような形。
 發發三索四索五索三筒四筒五筒二萬三萬三萬四萬四萬

 これは二萬でアガればイーペーコー、五萬でアガればサンシキであるが共通役が無い。したがってアガリ不可

 もちろん雀頭が数牌やオタ風であれば、共通役として平和(ピンフ)が確定するのでアガリ可となる。
 九萬九萬三索四索五索三筒四筒五筒二萬三萬三萬四萬四萬

 また次の形。
 二索二索二索七索七索七索三筒三筒三筒七萬八萬八萬八萬

 これは九萬では断幺(タンヤオ)にならない。そこで一般の完先ルールではアガリ不可とされることが多いようだ。しかしPKルールでは、六萬九萬、どちらでアガっても三暗刻が確定しているのでアガリ可。もちろん七萬なら三暗刻は四暗刻に吸収され、問題なくアガリ可である。

 次の形。
 二索二索二索三索三索三索四索四索五筒五筒五筒六筒七筒

 一索がでたら、平和、イーペーコ
 四索がでたら、断公九、平和、イーペーコ
 五筒がでたら、断公九、三暗刻
 八筒がでたら、断公九、三暗刻

すべてのアガリ牌に共通役が無いので、アガリ不可

5)打牌優先
これは、自分が打牌をした時点で次巡に入るという完先特有のルール。

 二索二索二索七索七索七索三筒三筒三筒六萬六萬六萬七萬
 たとえば上記の手。三暗刻や断幺(タンヤオ)が確定しているので、八萬でロンアガリできる。しかしできれば七萬でアガリたい。そこへ上家が八萬を切ったとき、アガリを見逃すのは本人の勝っ手。

 しかしすぐ次のツモが七萬であったとき、ノーマルな麻雀なら自摸優先であるからアガリOKとなる。しかしPKルールでは同巡内の選択アガリになり、ツモアガリ不可。アガりたかったら、次巡以降(自分が何かを打牌した後)しかダメだよん、という事である。

6)ピンフは完全一翻
八索八索四筒五筒六筒七筒八筒九筒三萬四萬五萬七萬八萬
 この手はピンフが確定している。であるなら六萬九萬で問題なくロンアガリできる筈。しかし関西ルールではツモるとピンフが消えてしまう。関東ルールでは消えてしまうことはないが、半人前扱いだ。

 消えてしまったり半人前扱いになっている役など、PKルールでは容認できない。(笑) となればピンフは役として認めないか、逆に1人前扱いするしかない。

 そして“ピンフを役として認めない”なんて云えば、奇人変人どころか凡人軍人扱いされる。そこでピンフは立派な一翻として認める。そこで例題の手をツモアガリすればピンフツモとなり、関東でも関西でも親で千点オールとなる。(笑)

(7)七対子は完全二翻

 七対子もピンフと同様。一般麻雀のように“六翻以内は一翻計算(場ゾロ含む)で、七翻からは二翻計算”なんてセコイことはしない。(^-^; 最初っから完全二翻だ。

(8)食いタン無し
 完先とくれば、これがもれなく付いてくる。PKルールも、もちろんである。しかし対々和の場合、それがタンヤオ形であれば一般の完先ルールでは断幺(タンヤオ)の一翻を認めることがあるようだ。しかしPKルールはパーフェクトを指ざす。(^-^)

 そこで対々和だろうが清一色だろうが、副露アガリしたものはいっさい断幺(タンヤオ)の一翻を認めない。そこでPKルールでは、対々和で断幺(タンヤオ)の一翻が加算されるのはツモリ四暗刻形をロンアガリしたときのみとなる。

(9)立直後の暗槓
 下記の手で立直。ロンアガリなら6400点(子)である。
 二索二索二索七索七索七索三筒三筒三筒六萬七萬西西

 しかしこの後、二索七索三筒と引いてきて暗槓すると、三槓子がプラスされて満貫確定となる。いや、へたするとドラが増えて倍満だってある。“立直してから、役やドラを増やすなんてふてぇ野郎だ”(笑) というわけでPKルールでは立直後の暗槓はいっさい不可

 とまぁこれがPKルール。いろんな方からチェックを頂いたので、少なくとも完先ルール部分に関しては、トラブルは解消されているんではないかと思ふ。

 といっても、もとより思いつき....(-_-; 、見落としている問題点があるかも知れない。気付いた点があったら教えてちゃぶだい。

※文章の中で「暗刻で確定してる」という感じで「確定」という表現を使っているところがある。実はルール的には正しくない表現。しかしまぁ、分かりやすさ優先ということで....

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