(15)延べ単と国士無双のマチ(月刊近代麻雀・昭和61年11月号)
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マチの理屈がよく分かりません。という搭子が マチの両門マチということは分かりますが、両門単騎、いわゆる延べ単や双ポンも両門マチと云っていいのでしょうか。
またあるとき、マチが しかない国士無双を上がった友人が「 単騎の国士を上がった」と云っていましたが、こういう場合も単騎マチになるのでしょうか。(府中・角 紘○)
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マチは その形態で表現される場合と、和牌門の数で表現される場合があります。形態での表現とは、辺張とか嵌張、あるいは単騎、シャンポンなどを云います。そして和牌門の数で表現する場合は、単騎とか辺張などの形態に関係なく、マチの種類数だけを表現します。そこで とか のように、辺張と単騎、あるいは嵌張と単騎が複合したものなどはすべて両門張となります。
しかしおそらく質問者の念頭には、こういう辺張と単騎、あるいは、あるいはのように両門と単騎が複合したものは変則両門張とか変則三門張云うべきものであって、「純粋の両門張、三門張ではないのでは?」という疑問があるのだと思います。
たしかに一般に“ 両門張 ”と表現されるときは、順搭子におけるマチをイメージしている場合が多いようです。これは“両”という文字に“両側=両サイド”というイメージがあるため、どうしてもの両側= いう印象が強くなっているためと思われます。
しかし“両”という文字は“二”という数字の代用に過ぎません。そこで両門張を本来の字に戻せば、単なる二門張となります。そこで延べ単であっても双ポンであっても、マチが二つならば“両門マチ”で問題ないことになります。
ここで仮りに順搭子におけるマチを“純粋の両門張”とすれば、辺張と単騎などが複合した二門張は変則両門張と云うことになります。じっさい辺張と単騎などの複合マチが変則両門張とか変則三門張と呼ばれるのは、多くのプレーヤーに「純粋の両門張(or三門張)とは、順搭子におけるマチ」という意識があることは間違いありません。それはそれで構わないのですが、純粋であろうが不純?であろうが、両門張は二門張、三門張は三門張であることもたしかです。
また中国用語では“純粋の両門張 三門張”を 和両頭(フーリャントー)和三頭(フーサントー)、変則両門張を小螺糸(シャオロースウー=ねじれマチ)、変則三門張を大螺糸(ターロースー=大きいねじれマチ)、両門の延べ単を両頭将(リャントーチャン)、三門単騎を三頭将(サントーチャン)と呼ぶこともあります。
次に国士無双のマチなどですが、いうまでもなく単騎マチとは雀頭マチを意味します。そこで厳密に言えば、無い牌を待つ形は単騎マチではありません。しかし一般では、このような一種類マチを単騎マチと表現することが多いようです。これは一種類マチ以外のマチ、すなわち十三門張は必ず単騎マチ形であることと、他に適当な表現がないのでそのように表現されているようです。
別にそのように表現しても構わないのですが、どうしても中国風の表現というのであれば、聴東風(ティントンフォン)とか聴紅中(ティンホンツォン)、あるいは等北風(トンペーフォン)とか等一万(トンイーワン)という表現があります。
聴は聴牌(テンパイ)の聴ですし、等は「待ち」の意です。そこで一門張や 両門張も、等一門(トンイーメン)、等両門(トンリャンメン)などとも表現されます。しかし聴紅中にしても等一万にしても、いまさら非常に云いにくい....そこで単純に「マチの国士」、あるいは「国士をマチでテンパイした、上がった」でよいのではないでしょうか。
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