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    (11)お徳用?


 新年は超財宝牌の話でスタートする予定であったが、ちと多忙で長文を書いている時間がない。そこでとりあえず短文ですむ話を。(^0^;

 中国古典麻雀牌には「聽用(ティンヨゥ)」という牌があった。これは「何でも言う事を聽(き)く牌」、すなわち「オールマイティ牌」、トランプで言えばジョ−カーである。字が似ているので、よく「徳用」と誤記されるが、聽は聴の旧字体。

 考えようによっては間違いなくお徳用な牌であるから、徳用の方がピッタリのような気がする。(笑)

 しかし「お徳用」を「お値打ち」という意味で使うのは、あくまで日本語的感覚。もともとは「人徳」とか「高徳」とかで使われる高尚な言葉。いかに日本人にはピッタリであっても、麻雀牌に「お徳用」などと使われることはない。

 さてこの聴用牌、後に長江中下流域で「百搭(パイター)」という牌に変化した。百搭とは「百の搭子(ターツ=面子)」という意。従って同じくオールマイティ牌ということになる。現在でも中支・南支方面の麻雀セットにはほとんど百搭牌が入っている。

 ジョーカーで思い出したが、トランプのルーツは麻雀のルーツでもある中国カード(紙牌)ではないかという説がある。これは現在、「定説」と言うほどの段階ではないが、かなり有力視されている説。

 15年ほど前、或る中国文献のこの主張に基づいて簡単な調査をした。そして、「中国カードがトランプのルーツである可能性は大いにある」とコラムに書いた。しかしそもそも中国は何でも「我が国が世界で一番最初」と主張する傾向がある(たとえば火薬でも紙でもゴルフでも。別に敢えて否定はせんけど....)。そこでσ(-_-)のコラムも、「その類か」というのであんまり見向きもされなかった...

 ついでながら中国古典麻雀では、聴用牌2枚のほかに財神(ツァイシン=ざいしん)牌というものが2枚あった。財神牌は武財神(ぶざいしん)牌と文財神(ぶんざいしん)牌に別れていた。財神牌はのちに2倍(4枚)に増えたが、これが現在の花牌(春夏秋冬・梅蘭菊竹)のルーツと目されている。

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