History 歴史

    (10)財宝牌の数々


 前回、麻雀博物館が、魚1索牌を入手したことを話した。これは資料的に非常に価値のある牌.
ところが博物館では、資料的にもさることながら、骨董的にもグンと価値のある財宝牌を何種類か入手している。その概要が博物館会報に掲載されている。

 まず第一は、清朝の高官が愛用していたという純銀製の牌セット。なんと1索は鳥でも魚でもなくが彫られている!。これは間違いなく宮廷牌だ。そしてさらに花牌8枚にはすべて満州文字が彫られている。我々にはさっぱりわけわかめであるが。翻訳によると、「日昇月和(世界平和)、乾坤清寧(社会安寧)」と彫られているそうな。

 コレクションには純金製の牌もあるが、純金製の方は最近香港で製造されたもの。資料的価値はない。また純金には違いないが金冠であって金無垢ではない。しかしこの純銀製の方は紛れもない銀無垢。資料的にも骨董的にも、その価値は国宝級

 次なる牌はなんと翡翠製!。華南の豪族が宮廷献上用に作らせたのか、あるいは宮廷に何かを献上した褒美に下賜されたものらしいという。製造年代は不詳であるが、どうやら光緒年間(1875−1908)ぐらいなようだ。花牌は昇官發財(位が上がって財産もたくさんできる)、富貴長在(名誉と財産を保ち続ける)と彫られている。これもマニア(って、ワイのことだけど...)垂涎の品。

 次は総うるし牌。6面の黒うるしなので、一見、よく見かけるブラックによく似ている。中国、山西大学の教授から寄贈されたものだというが、これもまさに二つとない逸品。1筒4枚には、乾隆盛世と彫られている(1枚に1文字づつ)。「乾隆」は、清朝の名君、乾隆帝のことで、「その世が盛んであれ」という意味。花牌は、「江山太平、永固祥和(国家が安泰、平和が続く)」と彫られている。

 次は七宝牌。清朝末期、北京の豪族が祝い事の贈り物用に作らせたセットという。大振りの牌で6面とも七宝焼き。1索にオウムが彫られているので、作らせたのは北京の豪族でも、製造されたおは華南(南支)だと思われる(中支では、鳳凰/雀が普通)。この七宝牌、牌がすんばらしいというだけではない。牌を入れる箱だって、七宝焼きの逸品。おまけに椅子も麻雀卓も七宝作りの豪華セット。

 最後は、儒学の祖、孔子様の子孫である第76代、衍聖公が愛用していたという五彩の螺鈿細工の牌。花牌は「春夏秋冬/梅蘭菊竹、連中三元/指月高昇」の2聯(4座8枚)。※連中三元=中国古代の国家試験、科挙の3段階の試験にすべて主席で合格すること。指月高昇=高い官位に昇ること。牌ケースは紫檀で、孔子や弟子が園遊する姿が螺鈿細工されている。う〜む、さすがは麻雀博物館。ただただ恐れ入るしかない。

 そこで思い出したのが、これらをしのぐ超財宝牌の存在。来年というか、来年の正月には、その話しを紹介する。

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