四角四面な話ばかりでは肩が凝るので、少しソフトな話など。
かなり前に亡くなられたが、五味康祐という作家がいた。剣豪作家として有名であるが、「雨の日の両筒」とか、「麻雀一刀斉」などという麻雀短編小説も書いている。
昭和50年頃、その五味 康祐氏が「五味麻雀教室」という入門書を著した。読みやすい文体とユニークな麻雀論でたちまちベストセラーになった。その中で人目を惹いたのが「触らずの14枚」という話。
ゲームしているとき、牌が逆さまになっているとわかりにくい。しかし索子のと、筒子の、それとの計14種は上下左右が同じだから、ひっくり返す必要がない。そこで五味氏は、これを「触らずの14枚(ひっくり返す必要がない)」と称したわけ。これは当時かなり話題を呼んだ。
しかし「相手が手牌をひっくり返しているかいないかよく観察し、それによって相手の手牌を推察する」という主旨の記述にはちょっと驚いた。万子だって字牌だって、必ず逆さまの状態で来るわけない。(相手が2枚や3枚ひっくり返したとしても、手牌が推察できるんかいな)と思ったしだい。
そんなことも忘れていた数年前、中国麻将(近年の中国では、麻雀を麻将と書く)の統一ルールが発表された。その中国統一ルールでは、80ものアガリ役が採用されている(花牌役を加算すると81)。
なんと、その80のアガリ役の中に、この「触らずの14枚」が推不倒(トイプータオ)という名称で採用されている。もちろん五味氏の本を参考にしたわけではない。単なる偶然の一致だ。
構成としては、要はこの14種類の牌で1雀頭4メンツを作ればよく、門前であろうとチーポンしてアガろうと8点となる(中国統一ルールは日本麻雀のように一翻二翻ではなくて、1点とか4点とか12点という方式)。
でもいいし、
なんて形でもいい。しかし筒子でいえば9種類のうち7種類も使えるから、白板を使った推不倒の混一色なんてのも出来る。
それはそれでいいけれど、8点や12点では面白くない。そこでちょいと考えた。14種の牌を適当に使って1雀頭4メンツを作るのではなく、国士無双みたいに14種を全部揃えるというのはどうだろう。
名前は国士無双の向こうを張って天下無双だ。こんど中国へ行く機会があれば、統一ルールに採用するよう提案してみよう。(笑)
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