Hands 和了役

    (32)亀将


 今日は亀にちなんだ中国役の話。まずタイトルの亀将クイチャンと読む。をその図柄から亀に見立て、それによる単騎アガリである。

 将は麻将(マージャン)将(ジャン)であるが(現在の中国では麻雀ではなく、麻将と表現するのが普通)、麻将はゲームの名称であると同時に、雀頭の意がある(「麻雀」にも雀頭の意味がある)。そこで亀将は「亀()の雀頭」の意となる。

 日本の神社仏閣ではよく(かえる)のマスコットを財布などしまっておくために販売してる。これは「」を「返る」に掛け、失(う)せ物が返るまじないとする。中国にも同じ習慣があり、亀を財布にしまう。これは中国では物が返ってくる事を「帰来(クイライ)」といい、この「帰(クイ)」の発音が「亀(クイ)」と同じためである。

 したがって亀将も、単騎を(亀)でアガった、というだけではなく「雀頭が帰ってきた」というニュアンスがある。もちろん「かえる」という意味に当てはめられた動物が、日本でも中国とも水に縁のある動物というのは偶然の一致である。

 しかし亀将(クイチャン)という表現は、どうも味気ない。そこでを黄金の亀に見立て、別名を釣金亀(チャオチンクイ)ともいう。

 ここまでは普通の話であるが、[麻将学]という本に、他にも亀にちなんだ面白い役が掲載されている。
 まず釣金亀の弟分が釣銀亀(チャオインクイ)。これはの図柄が亀甲に似ているため、の単騎アガリを「銀の亀を釣った」と洒落たもの。

 金と銀があれば、銅もあるさ。というわけで、を単騎アガリしたものが釣銅亀(チャオトンクイ)の図柄を小さな亀に見立てたものである。

 いずれも単騎アガリであるが、同じ単騎でも金亀孵蛋(チンクイフータン)となると、いささか変則技。これは「金亀の卵(蛋)が孵(かえ)った」として、(金亀)単騎を(蛋)でアガるものを云うそうだ(その逆も可)

 いずれにしてもアガリは単騎。それほど難しいものではない。しかし「麻将速成和全花祥」に掲載されている釣小亀(チャオシャオクイ)となると、辺搶槓でアガらなければならないので、いささか難しい。もちろん小亀があれば大亀もある。釣大亀(チャオタークイ)は、を搶槓でアガる。

 「亀」と言う名前がついてい役は、全部、単騎や搶槓に関係のあるアガリかといえば、そうでもない。さきほどの金亀孵蛋(チンクイフータン)は、単騎をでアガるという変則技のほかに、、一筒を刻子としたものも役となる。

七索七索七索一筒一筒一筒裏向き裏向き裏向き裏向き裏向き裏向き裏向き裏向き

 ちと恰好がとれている役としては双龍双亀(シャンロンシャンクイ)。これは万子と筒子の老少配(ラオシャオペィ)にを雀頭とした組合わせ。万子と筒子の老少配をそれぞれ2匹の龍に、の雀頭を亀に見立てて、「2匹の龍が亀と戯れている」と洒落たものだ。

一萬二萬三萬七萬八萬九萬一筒二筒三筒七筒八筒九筒七索七索

 別名を両龍戯亀(リャンロンシークイ)というが、意味は同じようなものだ。
*老少配でなく2種の6数字連牌であれば可というルールもあるという。

 さてどんじりに控えしは、役満貫の八仙戯金亀(パーシェンシーtンクイ)。

八索八索八索八筒八筒八筒八萬八萬八萬西西西七索七索

 これは8の三同刻で八仙人、で金亀、西で戯(シー)を表し、「八仙人が金亀と戯れる」としゃれたものである。

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