今日は亀にちなんだ中国役の話。まずタイトルの亀将はクイチャンと読む。をその図柄から亀に見立て、それによる単騎アガリである。
将は麻将(マージャン)の将(ジャン)であるが(現在の中国では麻雀ではなく、麻将と表現するのが普通)、麻将はゲームの名称であると同時に、雀頭の意がある(「麻雀」にも雀頭の意味がある)。そこで亀将は「亀()の雀頭」の意となる。
日本の神社仏閣ではよく蛙(かえる)のマスコットを財布などしまっておくために販売してる。これは「蛙」を「返る」に掛け、失(う)せ物が返るまじないとする。中国にも同じ習慣があり、亀を財布にしまう。これは中国では物が返ってくる事を「帰来(クイライ)」といい、この「帰(クイ)」の発音が「亀(クイ)」と同じためである。
したがって亀将も、単騎を(亀)でアガった、というだけではなく「雀頭が帰ってきた」というニュアンスがある。もちろん「かえる」という意味に当てはめられた動物が、日本でも中国とも水に縁のある動物というのは偶然の一致である。
しかし亀将(クイチャン)という表現は、どうも味気ない。そこでを黄金の亀に見立て、別名を釣金亀(チャオチンクイ)ともいう。
ここまでは普通の話であるが、[麻将学]という本に、他にも亀にちなんだ面白い役が掲載されている。
まず釣金亀の弟分が釣銀亀(チャオインクイ)。これはの図柄が亀甲に似ているため、の単騎アガリを「銀の亀を釣った」と洒落たもの。
金と銀があれば、銅もあるさ。というわけで、を単騎アガリしたものが釣銅亀(チャオトンクイ)。の図柄を小さな亀に見立てたものである。
いずれも単騎アガリであるが、同じ単騎でも金亀孵蛋(チンクイフータン)となると、いささか変則技。これは「金亀の卵(蛋)が孵(かえ)った」として、(金亀)単騎を(蛋)でアガるものを云うそうだ(その逆も可)。
いずれにしてもアガリは単騎。それほど難しいものではない。しかし「麻将速成和全花祥」に掲載されている釣小亀(チャオシャオクイ)となると、辺を搶槓でアガらなければならないので、いささか難しい。もちろん小亀があれば大亀もある。釣大亀(チャオタークイ)は、を搶槓でアガる。
「亀」と言う名前がついてい役は、全部、単騎や搶槓に関係のあるアガリかといえば、そうでもない。さきほどの金亀孵蛋(チンクイフータン)は、単騎をでアガるという変則技のほかに、、とを刻子としたものも役となる。
ちと恰好がとれている役としては双龍双亀(シャンロンシャンクイ)。これは万子と筒子の老少配(ラオシャオペィ)にを雀頭とした組合わせ。万子と筒子の老少配をそれぞれ2匹の龍に、の雀頭を亀に見立てて、「2匹の龍が亀と戯れている」と洒落たものだ。
別名を両龍戯亀(リャンロンシークイ)というが、意味は同じようなものだ。
*老少配でなく2種の6数字連牌であれば可というルールもあるという。
さてどんじりに控えしは、役満貫の八仙戯金亀(パーシェンシーtンクイ)。
これは8の三同刻で八仙人、で金亀、で戯(シー)を表し、「八仙人が金亀と戯れる」としゃれたものである。
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