ジュール・ベルヌといえば、「80日間世界1周」や、「海底2万マイル」で有名なフランスの大小説家。SF少年のσ(-_-)は、子供の時に夢中になって読んだ。
両方とも映画化された。小説の映画化というと、イマイチのデキであることが多い。近年では、デビルマンが最悪だった。ローレライもひどかったが、デビルマンはダンペ。
しかし「80日間世界1周」や「海底2万マイル」はよかった。特に「80日間世界1周」は、原作と肩を並べると云ってもいいくらいの出色のデキだった。そんなジュール・ベルヌのもう一つの傑作が「15少年漂流記」。これも夢中になって読んだ。
’05.7.18(月)、テレビを見ていたら、午後4時からCBC(愛知県の地方局)で「椎名誠の15少年漂流記」という番組をやっていた。なんでも小説の舞台となった島を訪ねるという内容だった。
(ふ〜ん、そんな島が実在するのか)と思って見ていたら、まず小説に記されている経度緯度にじっさいに存在する島を、椎名誠が訪ねるところからはじまった。
小説には、島の経度緯度が記されている。そこは南米のパタゴニア領の島。南米南端のマゼラン海峡というか、もう南極に近いところ。
で、椎名誠が行ってみると、そこは殺風景で思いっきりさびしそう。緑も少なく、とても少年が生きてゆけるような状況ではない。また小説では絶海の孤島モードの設定なのに、そこは小島が集結している。
椎名誠も、「小説に記された位置はたしかにここだけど、状況が違いすぎる。どう考えてもここは小説の舞台ではない」
ナレーションも「どんなことでもしっかり調査していたジュール・ベルヌが、どうしてこんないい加減なことを書いたのでしょうか」みたいなことを云っている。
(ンなこと云ったってもともと小説じゃん。実在しなくても不思議じゃない)なんて思いながら見ていると、次の候補としてニュージーランドの東、南太平洋のチャタム島という小島が紹介されはじめた。
チャタム島は日付変更線の西側にある島で、パタゴニアからは思いっきり離れている。南太平洋域にあるので緑も水も豊か。小説に記述された経度と大きく違う場所にあるこの島が、どうして候補地とされたかと云えば、ジュール・ベルヌがそこを訪れたことがあるという。
小説と照らし合わせてみると、島の状況が細かいところまでぴったりと一致。どう疑いの目でみても、否定しようがないくらい。そこでテレビでは、「“15少年漂流記”の舞台は、ここに間違いないでしょう。世界ではじめて判明したのです」みたいなことを云っていた。
(ふ〜ん、世界で初めて判明なのか。テレビ局もたいしたもんじゃん)と思っていると、さらに続けて「ここが小説の舞台であるという、もう一つの証拠があります」
(ほう、ほう)と思っていると、カメラはフランスの何とか図書館に。非常に古い
and 由緒ある図書館で、ジュール・ベルヌ直筆の原稿がたくさん保管されているという。とうぜん「15少年漂流記」の調査資料だか初版本も保管されているが、その調査資料の中に「チャタム島」という記述が3回も出てくるという。
ではどうしてジュール・ベルヌがチャタム島ではなく、南米南端のマゼラン海峡に近いところを舞台としたのかといえば、当時の航路の問題があったらしい。いまでこそチャタム島には大勢の人が住んでいるが、当時は辺鄙な地域で主要航路もなかった。
15少年は通りかかった船に救出されるが、船が通らないチャタム島では救出されることはない。しかしパナマ運河がなかった時代、マゼラン海峡あたりはメイン航路。そこでマゼラン海峡あたりを舞台としたらしいという。
それでテレビは、「このような証拠によっても、“チャタム島”がモデルの島であることは間違いない」とコメントして終了した。
調査資料に具体名があるうえ、現地と小説の内容と現地がぴったり一致するとなれば、そりゃそうだろう。しかしそんなはっきりした資料があるなら、「テレビ局の調査によって、世界ではじめて」というレベルの話じゃないと思った。そいだけ....(-_-)
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