Free talk 雑談

    (183)警察無線


25年くらい前の話。
 いまは官庁関係の無線もデジタル化されていて、特殊な技術でも使わなければ傍受も不可能になっていると思う。しかし25年前くらいは、市販の短波受信機で警察とか消防の交信を傍受できた。

 と言っても文系のσ(-_-)はそんな事は知らなかったが、ある人から話を聞いて、(へえ〜、面白そう...)と思った。そこでさっそく大須(名古屋の電気街)へ受信機を買いに行った。

 購入してさっそく車に取り付けた。用もないのに「外回りしてきま〜す」と会社に行って外へ出た。走りながらスイッチを入れると、ガーガーピーピー鳴り出す。サーチングすると、ある周波数で突然声が飛び込んできた。「え〜、こちら愛知○○号。ただいま○○にて待機中

 (お、パトカーの無線だ。こりは面白そう)
 (なにか事件の話でもしないかな)
 などと思いながら聞いていたが、そうそう事件なんかあるワケもなく、事務連絡的なことがほとんどだっった。しかしそのうち、面白い表現を聞いた。

 県警本部から或るパトカーに「○○へ向かうように」という指示が出ると、そのパトカーが「了解。愛知○○号、○○へ転把っ!」と返事する。これには少々驚いた。

 転把(てんぱ)というのは直訳すれば、ハンドルを回す。意訳すればUターン、あるいは方向を変えるの意。それはいいけど、第2次大戦中にUターンが敵性語として使用禁止になり、その代わりに使われていた表現だと思っていた。それが戦後30年ほど経っても警察で使われていたので、ちとビックリ。(警察って、かなり保守的な世界なんだな)と思った。

 しかし考えてみると、「愛知○○号、○○へUターン」とか、「○○へ方向転換!」では、なんだか間延びした感じがしないでもない。やっぱり「○○へ転把っ!」の方がしまって聞こえる。今はどうなっているか知らないけど、ひょっとしてまだ転把っ!って云ってるのかな?

 そんな事を思いながら聞いていると、やがて盗難車手配の指示が聞こえてきた。「ただいまより盗難車の手配を行う。盗難車は、緑色のク○ウ○。ナンバーは愛○○○。昨晩、どこどこで盗難される。盗まれたときの状況は....発見次第うんぬん....」という感じ。

 (おっ)と思ったが、上の空で聞いていたので、緑色のク○ウ○以外のことは覚えていない。(これじゃあ協力したくてもできないなあ)と思っていたら、数日経って、また同じような盗難車の手配。

 (ヨシっ、ただ聞いているだけじゃ勿体ない。ちゃんとメモをとっておいて協力しよう)というので、いつでもメモできるように、メモ用紙を用意した。はたせるかな数日後、また同じ様な手配があった。さっそく控えて、走りながら目をあちこち。すると数日後、また違う車の手配がある。もちろんそれも控えて、目をあちこち。

 そんな事をしてるうちに重大なことに気が付いた。メモ用紙1枚に10台くらいのナンバーやら車種が書けるんだが、一ト月ほどでいっぱいになった。とてもじゃないが覚えきれない。それに手配車は増える一方....

 おまけにいくら無線を聞くのが面白いと云っても、24時間、車に乗っているわけではない。よく乗ったって1時間か2時間くらいなもん。警察がσ(-_-)が乗っている時間を見計らって、手配をしてるわけではない。となると乗っていない時間に、どれだけの手配情報があるやら。(あ〜あ、こんなに盗難車が多いのでは、どうしようもない)と思って1ト月ほどで止めてしまった。

 しかしそのとき、σ(-_-)のレベルで聞いた手配が月に約10台以上とすると、現実には毎日1台以上のペースで盗まれているんじゃないか。名古屋で月30台以上のペースだとすると、東京大阪では毎日どれくらいの車が盗まれているんだろうと思った。

 しかし盗難車の数にも驚いたが、盗まれた時の状況にも驚いた。手配の指示には盗難時の状況も連絡されるが、その70%がカギ付き。つまりカギをつけたまま自宅前なり道端に駐(と)めておいたら盗まれたというもの。

 盗む奴がもっとも悪いに決まっているが、盗まれる方だって不注意すぎる。いくらニュースで盗難車騒ぎを見ても、たぶん(自分には関係ないこと)と思っているんだろうな。

 いずれにしても名古屋で月に30台(あくまで推定)と云っても、25年くらい前の話。いまではどうなっているんだろう。

 

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