Free talk雑談

    (148)携帯電話


 携帯電話の普及はすざましい。いまや小学生でも持っている。まさに持ってないのがおかしいという時代。そのため世の中も様変わりした。そんな様変わりの時代をσ(-_-)に実感させたある出来事。

 数年前、深夜に女房と二人で家路を急いでいた。もちろん車でだ。或る小さな交差点にさしかかったとき、信号が黄色になった。(ムリすることはない)と思って停車したところ、前方から小型バイクが走ってきた。

 なにげなく見ていると、黄色のうちにと思ったのだろうか、そのまま左折しはじめた。と思う間もなくガリガリガッチャーン!とすごい音とともに、バイクが転倒した。どうやらコーナーをできるだけ小さく回ろうとして、左側の縁石に車体下部が接触したようだった。

 バイクはその辺に転がり、乗っている人もバイクから放り出され、車道に腹這いになった。これは大変だというので、いそいで女房と車を降りた。

 側によると、ハタチくらいの若者だ。幸い息がある。といってもウ〜ン、ウ〜ンとうなっているだけ。そうこうするうちに、音を聞きつけて近所の家から多くの人がでてきた。

誰か、救急車に電話して
「よし、わかった」
「こんな車道の真ん中じゃまずいから、舗道のほうへ運ぼうか」
どこの骨がどうなっているか分からないから、ヘタに動かさない方がいいのでは
「そうだな、まず車なんか来ないし」
「救急車に電話しといたよ」
というようなやりとりが飛び交う中、
あんた(→σ(-_-) )がぶつけたのか」という質問も。(おひ、止めてくれ〜)

 みんなで「おい、大丈夫か」なんて声を掛けていううちに、ようやく若者がなんとか話が出来るようになった。

その道路に腹這い状態になっている若者に野次馬が
「どうだ、痛いか」(当たり前だろ....)
「ウンウン」
「どこが痛い」
あっちこっち
「いま救急車、呼んだからな」
「ハイ」

 なんて云ってるうちに若者がなにか云ってる。何云ってるのかわからないので、顔を近づけると、
「すみません。誰か携帯をかしてください」

 野次馬の一人が携帯をさしだすと、道路に腹這いになった状態のまま、電話しだした。側にいて聞いた、その会話。

「もしもし、僕だけど」
「いま○○あたりにいる」
「どうしてそんな処にったって....」
「だってバイクに乗りたかった....」
「ゴメンてば....」
「そいでいま交通事故起こした....」
いま道路に腹這いになっている....
「うん、腰を打って動けない」
「もうじき救急車が来るから」
「うん、病院が分かったら、また電話する」

 いまさっき事故を起こした本人が、道路の真ん中で腹這い状態のまま家に電話しているのを見て、(携帯電話の威力ってすごいなぁ)とつくづく思った。

おまけ
やがて救急車が来た。隊員が近づくと、ワラワラと野次馬は道をあける。σ(-_-)も一歩下がって見ていると、隊員が若者に質問を始めた。その質問に感心した。まず痛めた箇所とか、どれほど痛いかなどを聞くのかと思ったが、そうではなかった。

「おい、誰かにぶつけられたのかっ」
(若者は首を振る)
「自分で事故ったのかっ」
(うなづく)
「相手はいないんだな?」
(もう一度、うなづく)
「よしっ、どこが痛い?」

 なるほろ〜、ひき逃げだったりしたら、緊急の手配があるわけだ。さすがは交通事故のベテランだと、これもつくづく感心した。

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