上家の打牌が完了する前にツモ牌することを先ツモという。「先ツモはイカサマの始まり」と言われるほどよろしくない行為。しかし先ツモでなくても、それと同等といえるツモ動作がある。それは上家の打牌が完了する前にツモ動作を開始すること、これを先モーション、またはフライングという。
先モーションにもいろんな症状がある。
もっとも重症なのが、上家がツモを行った時点で卓の中央まで手を伸ばし、その状態で上家の打牌を待つというもの。もちろんこの状態で上家の打牌を確認し、要ると思えば手を引っ込めながらチーポンと発声する。不要と思えばそのままツモを行う。
次に重症なのが、上家がツモを終了するまでは待っているが、上家が不要牌を選び、牌を持ち上げた段階ぐらいでツモ動作を開始するもの。上家の捨て牌が河に着いた頃に、ツモの腕が卓の上に伸びているという点では前者と同様。手を伸ばした状態で上家の捨て牌を確認し、そのままツモしたり手を引っ込めたりするのも前者と同じ。手をのばし始めるのが前者よりちょっと遅いだけ。
先モーションがあると、次のような弊害が生じる。たとえば南家が先モーションで手を伸ばしていると、西家には南家の伸ばされた腕が視界の妨げになる。
とうぜん東家の捨て牌が、着地した瞬間に確認できない。確認できるのは南家の手が引っ込められてからとなる。ポンのタイミングが遅れるのはもちろんであるし、南家も牌を戻すことになる。これは無駄なやりとりであるだけでなく、に北家がツモる牌が、南家には分かっていることになる。
おまけにポンがあって先モーション者が牌を戻すことになったとき、「ええ、もうしょうがないなぁ。ポンするならもっと早く発声しろ」と言わんばかりの顔をする....(おいおい、確認を妨害しているのはお前だろ。第一、お前のツモ牌でもないものを摩牌してどうする・・・・)。
これほどよろしくない事であるが、本人に不適切意識が無いため、意外に堂々と行われている。たとえ注意しても「先ツモなどしていないのに、何を言うか」という感じの反発さえ買いかねない・・・・
また西家はポン/ロンしたい牌があると、東家の打牌を、より早く確認したいと思う。しかし南家の腕が邪魔なので首を上や下に振り、南家の腕の隙間から確認しなければならない。他家には西家が何かポンしたい牌があると言うことが一目瞭然となる。
ここまで行ゆかない軽症は、上家が不要牌をつまみ上げたぐらいのところで利き手をふと持ち上げるというもの。10センチほど手を持ち上げるだけで前に伸ばすわけではない。しかしこれはあきらかにフライング。
たとえば100米競争の場合、ドンの前に腕を持ち上げると、ドンの瞬間に足はスタートラインから出ていなくてもフライングで失格となる。麻雀もそれと同じで、上家の打牌前にモーションを起こせばフライング。
では正しい摸動作とはどのようなものか。
まず利き手は卓のヘリあたりに軽く置いておく。上家の打牌が完了(着地)してから初めて利き手を持ち上げる。持ち上げた手は山なりではなく、直線的にスッと伸ばする。もちろん手をまず上に上げ、それから伸ばすのであるから横からみれば多少は山なりになる。これはいわば程度の問題。
ツモした牌は、まっすぐ引く。いったん頭上はるかまで持ち上げたり、下家の顔面をかすめんばかりに腕を回してツモったりするのは非常にみぐるしい。
まっすぐ引いた牌は、そのまま手牌の右手側の端(左利きは左端)へ置く。ここがツモの終点である。ときにまっすぐ引いた勢いというか癖で、卓のヘリを通り越したところまで持ってきてしまう、あるいは顔の前まで持ってきて一目確認してから手牌の右端へ置くタイプも見かける。
しかし確認などは右端に置いた段階で行えば良い。まっすぐ手牌の右端に置けば、そこまでで1動作。しかしどこかで一目確認してから手牌の右端へ置いたりするのでは2動作となる。そんな無駄な動きは控えたい。
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