Foundation stone 礎石 .

    (5)打動作


 ツモ牌が必要牌であっても手牌中に入れない。ツモ牌は手牌の右端においたまま、不要牌を打牌する。もちろん不要・必要に関係なく、ツモ牌を手牌にとどめたい場合は同様である。

 序盤段階は、手牌もバラバラ。この段階では誰も捨て牌には迷わない。そこで摸打の流れも実にスムーズ。しかし中盤以降になると、何かとややこしい局面も生じる。そこで我々アマチュアは、どうしても選択に迷って手が止まることがある。この回数を出来るだけ少なくするように心がけたい。

 手が止まるということは、打牌の判断に迷うということ。迷う回数が多いと云うことは、少ない回数のプレーヤーより雀力が及ばないということ。この手が止まる回数が1局平均3回のプレーヤーは、平均1回のプレーヤーの3分の1の雀力である。

 もちろん我々はプロではない。誰がなんと言おうと完璧なアマチュア。1ゲームで手が止まる回数をゼロとするのはちと難かしい。そこでせめてこの回数を、1局で1回ぐらいに抑えたい。

 摸打の所要時間は、選択に迷わなければ2秒以内に終了する、そこでメドとして、この秒数を上回るものが“少考した=手が止まった”ということになる。

 囲碁や将棋に多面打ちという催しがある。プロが一度に五人十人のアマチュア相手にゲームするもの。こんなことができるのも、プロの実力がはるかに上回っているからである。同じ局面でも、アマチュアが10分考えるところをプロは瞬時に打つ。すなわち結論が早く出せるのは、それだけ棋力のある証拠。

 AB二人がいつも同じような打牌を選択し、同じような成績を挙げているとする。しかし仮に摸打の所要時間がAは平均2秒、Bは平均4秒だとしたら、Aの実力はBの倍である。たとえAとBの打牌が同じであっても、選択に2倍の時間差があるという事は、Bは適切な判断を下すのにそれだけの時間がかかる雀力という事だからである。

 もちろんプレーヤーにはプレーヤーの段階がある。初級者であれば5秒6秒の長考も仕方がない。しかし長考回数を1回でも減らすように努力していけば、雀力は確実に向上する。

 もう一つ大事なのは牌離れ
 打牌の手も、山なりではなく捨て牌列まで直線的に伸ばすようにする。そして着地した牌からは、出来るだけ早く手を放す。着地した牌をいつまでも抑えていたり、抑えたままズルズルと捨て牌列に引きずってゆくような捨て方はもっともよろしくない。これを“牌離れが悪い”と云う。

 手を早く放すため、その瞬間に捨て牌が多少斜めになってしまう場合もある。もしそうなったとしても、慌てて手を出して直そうとしない方がいい。牌離れした段階で下家のツモ動作が始まっている。その場で直そうとすると利き手同士がバッティングする。そこで下家の利き手が引っ込められたとき、軽く指先で直すようにする。

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