Tile colection 珍奇牌

    (23)天九牌


 これは別に珍奇牌ではない。現在でも中国で遊ばれている天九牌(てんきゅうハイというもの。欧米のドミノのルーツでもある。全部で32枚あり、文子(ウェンツ)22枚武子(ウーツ)10枚の2種で構成されている。

 遊び方はいろいろあるが、代表的なものは牌九(パイチョー)というゲーム法。といっても牌九というゲーム自身にも多くのヴァリエーションが存在する。その中でも代表的なゲーム法は、

1)プレーヤー4人。
2)まず32枚で2段1列を作り、これを左右に分ける。
3)分けたうち左側の16枚を1ゲームめ用の配牌、右側を2ゲームめ用の配牌とする。
4)1ゲームは2回の勝負で成り立っている。
5)子は配牌を受け取る前に、1勝負め分幾ら、2勝負め分幾ら、と賭け金を張る。賭け金は必ず1勝負めより、2勝負めを多く張る。ただし1勝負めの額と2勝負めの額の差があまり大きくならないように、その差や賭け金の上限をきめておく。
6)1ゲームめ用の16枚を4枚づつ、子供3人に分配する。残った4枚を親が取る。
7)2枚でいろいろな組み合わせがある(日本のおいちょカブで云うシッピンとかクッピン、あるいはアラシなど)。その組み合わせに該当しない場合は、数字の9に近いほうが上)。
8)各プレーヤーは、配牌で適当な組み合わせを2種つくる。
9)組み合わせのうち、1種類を一斉に出す。もっとも強い組み合わせを出した者が、1勝負めの賭け金を得る。
10)続いて2勝負めを同様に行う。
#1勝負めで強い組み合わせを出してしまうと、2勝負めで負ける。
11)1ゲームが終わったら残りの16枚で2ゲームめをおこなう。1ゲームめで使用した牌は判っているので、2ゲームめは読みが重要となる。

 大変おもしろいゲームで、やりだしたら必ずハマる。くれぐれも手を出さないように。(^-^;

 といっても、ただ天九牌を紹介するだけがこのコラムの目的ではない。見た通り、天九牌の図柄は麻雀の筒子と非常によく似ている。それも道理、麻雀の筒子はこの天九牌の図柄が元になっている。

 紙札ゲームである馬吊、また麻雀が紙札ゲームであった頃、筒子の図柄は貨幣そうろうであった(むかしの六文銭みたいな図柄)。

 その紙札ゲームの麻雀が19世紀中葉、骨牌ゲームと融合して骨牌式の麻雀が誕生した。その融合の過程で、麻雀の貨幣の図柄は骨牌ゲームのサイコロめの図柄にとって替わられた。

 天九牌の図柄は、もともとサイコロめを表している。つまりサイコロを3次元式数字シングル表示とするなら、天九牌はすべて2次元式数字ダブル表示である。

 そして麻雀の筒子は、一筒二筒三筒四筒五筒は2次元式数字シングル表示、六筒七筒八筒は2次元式数字ダブル表示、九筒は2次元式数字トリプル表示(3*3)である。

 表示方法こそ少し異なるが、天九牌は麻雀の筒子図柄が骨牌ゲームのサイコロ目に由来するという証拠の品なのだ。

おまけ
紙札麻雀が骨牌ゲームと融合して麻雀が誕生したなら、トランプだって骨牌と融合してもおかしくない。ということで誕生したのが骨牌トランプ。


 あと100年も経ったら歴史家が、「むかし、トランプは紙札だった」なんて云ってるかも知れない。(笑)

以前へ  以降へ  目次へ