ネットワークのデータ送信の仕方について


 プロトコルではないですが、ネットワーク上で複数の人がデータのやり取りする際、 同時にデータを送信したらどうなるだろう・・・とか疑問に思った人はいないでしょうか? 実際はデータが壊れたりするので、送信する時にはエラーが起きないように方式があります。 ここでは、その代表的な方式を記述していこうと思います。


≪ 項目 ≫
1.はじめに
2.コンテンション方式とCSMA/CD方式
3.トークンパッシング方式
4.媒体非共有型


 1.はじめに

 はじめに通信方法ですが、大きく分けると媒体共有型と媒体非共有型の2種類に分かれると思います。
 媒体共有型とは、その名前の通り繋がっているパソコンすべてが通信媒体(ケーブルなど)を共有します。 つまり誰かがデータを送信している最中に、他の誰かがデータを送信することは可能です。 ただし、コリジョン(データの衝突)が発生するかもしれません。
 媒体非共有型とは、通信媒体(ケーブルなど)を専有するというやり方です。

 ここで注意しておきたい事ですが、ここで書かれているのはハード依存(物理層)、それも通信媒体に依存している部分が多い事です。 「ネットワークの通信方式について」と、何故分けてあるかと言いますと、アプリケーション側で制御できるものでは無い事だと判断して、ここに記述しました。


 2.コンテンション方式とCSMA/CD方式

 コンテンション方式(Contention)とは、送信権を競争して奪い取る方式です。別名CSMA方式と呼ばれます。

 例えば、図のようにBからDへとデータを送信したい場合で説明します。
 Bはまず他のパソコンが通信をしていない事を確認します。 データが流れていないことを確認したら、BはD宛でデータを送信します。 この時Dに対してではなく、AとCにもデータを送ってしまいますが、物理層のプロトコルによって、自分宛ではないと判断されたらデータが破棄されます。
 これをコンテンション方式と言います。


 もちろんBの他のパソコンから同時にデータが送信される場合もあります。その場合はコリジョン(データの衝突)が発生し、データが壊れてしまいます。 それを監視するために CSMA/CD方式 と言って、送信終了までに通信媒体の電圧を監視し、電圧が規定範囲内であれば正常に送信できたとみなし、範囲外であれば異常とみなして再送信をします。

 図を見て分かる通り、バス型のネットワークで多い方式で、ネットワークが混雑すると急激に性能が低下してしまうという欠点があります。


 3.トークンパッシング方式

 トークンパッシング方式とは、トークンと呼ばれるパケットを巡回させ、このトークンでデータの送信権を制御します。 このトークンを受け取ったパソコンがデータを送信することができると言う事です。

 例えば、右の図のようにAからCへとデータを送信したい場合は、Aはトークンを受け取るまで待機します。 その後トークンを受け取った時、送信可能な状態かをチェックして、送信可能であれば宛先とデータを乗せて送信します。

 トークンはパソコンが接続されている順番に回っていくので、Bは受け取っても自分宛ではないのでそのままCへと送ります。 そしてCの所に来ると、Cはデータを受け取り、またAに向けてデータを受け取ったという受信完了のフラグのデータを送ります。 Aはそれを受け取ると、トークンに送信可能のフラグを設定してネットワーク上にトークンをBへと回します。


 この方式は、トークンが回ってこないとデータの送信はできないのですが、コリジョン(データの衝突)が発生しないという特徴もあります。 そして実際にはトークンは複数同時に巡回させ、性能向上を図っているアペンドトークン方式と言われる通信もありますが、 実際のところISO(国際標準化機構)やIEEE(米国電気電子技術者協会)で使用してるLANは無いとの事です。
 図で分かるように、リング型のネットワークで使用されていたのですが、今ではほとんど使われていないかと思われます。
 (バス型ネットワーク用のトークンバス方式というのも存在するようです。)


 4.媒体非共有型

 通信媒体を共有せず専有する方式です。 各パソコンをスイッチ(スイッチングハブとか)に直接接続しネットワークを構成します。 多くのオフィスや家庭では、この方式だと思います。

 この方式だと。通信媒体が共有されないので全二重通信となります。 スイッチが送信されたデータの宛先情報を調べて、宛先のパソコンが接続されているポートからデータを送ります。
(図はAからDへと送りたい場合)


 この方式の特徴は、ほぼ1対1の通信で全二重通信となるので、コリジョン(データの衝突)が発生しません。 なのでそういったチェック機能の不要になるので、非常に効率のよい通信が可能となります。
 スイッチについてはまた別のページで説明します。


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