一般社団法人京都精神保健福祉協会設立趣意書



 京都精神保健福祉協会は1962(昭和37)年5月12日、「精神衛生関係者が互いに協調して有機的なつながりのもとに明るい社会生活を営むため精神衛生思想を普及向上させること」を目的として発足し、今日まで、多くの関係機関や団体の協力を得て精神保健福祉の普及啓発を中心に取り組んできました。
 この間、我が国の精神保健福祉のあり方は大きく変化し、府民、市民の精神保健への関心の高まりと共に、精神障害者の社会参加が進められてきました。しかし、今日もなお、全国で約7万人の「社会的入院」といわれる精神障害者の退院支援が大きな課題となっています。また、地域で生活する精神障害者の増加とともに、地域生活支援や精神科救急医療の充実、精神障害者雇用の促進等も大きな課題となっています。
 近年、年間の自殺者数が3万人を超える状態が続き、京都府内においても毎年約600人の方が自ら命を絶っています。この問題は、国や地方公共団体はもとより、企業、医療機関、民間団体と国民があい協力して取り組まなければならない課題といえます。さらに、青年の「社会的ひきこもり」、災害・事故時等のこころのケア、職場のメンタルヘルス、発達障害者支援や認知症の医療とケアも重要な課題になりました。
 京都精神保健福祉協会は、毎年「こころの健康づくり大会京都」や精神保健懇話会、こころのケア講演会の開催、「めんたるへるす京都」の発行等を行ってきました。また、2002(平成14)年7月22日からは京都府・京都市より精神科救急情報センター相談事業を受託し、関係各位の多大なご協力を得て、精神科の救急電話相談に取り組んできました。
 今後、京都精神保健福祉協会がこれらの事業を一層充実し、安定した取り組みを継続するとともに、精神障害者やその家族をはじめとして多くの府民、市民から信頼を得て、精神保健福祉の普及発展に資するためには、団体の基盤の確立が極めて重要との認識で一致しました。そこで、より公益性の高い様々な事業を安定的に推進していくために、任意団体としての歴史ある京都精神保健福祉協会を発展的に解散し、新たに「一般社団法人京都精神保健福祉協会」を設立し、京都府、京都市、京都府医師会をはじめとして多くの関係機関、団体や府民、市民との協力関係を深めることにより、こころの健康の保持、増進と精神障害者の社会参加の推進に寄与していくことといたします。

2009(平成21)年2月15日
一般社団法人京都精神保健福祉協会
設立発起人代表  林 拓二


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